人狼審問

み…みんな待って！
みんながすると言うのなら…

あたし…あたしがする…

トビー…ご、ご、ごめんなさいっ…！

[キャロルはギルバートからネリーが託されていたのだろうか、注射器をネリーから奪い取った。　そしてそのままトビーを抱きしめ、膝を折ってトビーのおでこに優しく口づけをし、そして震える指先でトビーの身体に注射を施した。]

oO(あたしは…また死ねなくなった。　あたしはどれだけの犠牲の上に立っていなければならないのだろう。　トビー…。)

[ローズマリーが異変を感じて部屋から飛び出すと、そこにはトビーにすがりつくキャロルと、崩れ落ちるステラの姿があった]

……シスター！！

[ローズマリーはステラに駆け寄って抱き起こしたが、既にステラの息はなかった。]

シスター！しっかり…しっかりし…
…感染させられたのか…

ちくしょう…

[キャロルは動かなくなったトビーを抱えて、そばのソファーに横にし、そっと毛布をかけた。やはり、ネリーに預けなければならない。　キャロルは近くのチェアーに腰掛けテーブルに伏して再び音を殺して泣いた。]

[ノートを読むために目を離した僅かの間に全てのことが起き、終わった]

…！！
トビー…、ステラさん………。
今日も犠牲がでてしまったのね。

グレンさんの投票は、ローズさんを守っていたということなのかな…。

[ローズマリーは泣きながら真新しいシーツを敷いてそこへステラを寝かせ、胸の前で手を組ませた]

…シスター…エッタにお別れを言わせてやりたいから、しばらくここで待ってて欲しい。
明日、必ず墓に…

…やっと、やっと会えたと思ったのに。
死んだら意味がないだろ…ねェ…

[ステラのコイフを外し、そっと髪を梳いた]

[ステラさんを抱き起こすローズマリーとトビーをソファに預け泣き続けるキャロルをみてもし自分だったら、と思う。セシリアが予言したかのようにどんどん皆がひとりぼっちになっていく、そんな気がした]

キャロルさん、ごめんなさい。
トビーを少しだけお借りしますね。

[素早くトビーに歩み寄ると右腕に極細の針を刺し、引き抜く、あとどのくらいこんなことを続けなくてはならないんだろう、と暗い気持ちになった]

時が進んだ…感染死したのはシスター。
排除されたのは…トビー…
まだ終わってない。
…トビーは保菌者じゃァなかったってことだけは確実のようさね。

グレンは、あたしにワクチンを打ったのか…

そうですね、一応検査はしてみますが…
恐らく、トビーが保菌者でない、ということしかわからないのではないかと思います。

力不足で申し訳ありません。

[キャロルはネリーの役目の価値にはとても感謝しているが、役目を遂行するそのものの行為を見る気にはとてもなれなかった。]

ネリー、そんなことないよ。
あんたがいて、どれだけ心強いか…一番つらい仕事だッてのにさ…

あたしはそろそろ休むよゥ…
みんな、無理しないでおくれよね。

[ローズマリーはキャロルにかける言葉が見つからないまま、グレンの部屋の前へ向かった]

ねえグレン、あんたが生きててくれて嬉しい。
あたしを守ってくれたッてこともね。
…でも、あたしひとりだけ、暖かい場所に居るわけにはいかない。

[ローズマリーは扉の前でそれだけ呟き、自室へと*帰っていった*]

[キャロルはトビーの身体を調べているネリーの方向を見ずに、テーブルに腕と頭を伏せて話した。]

ネ、ネリーさんのせいじゃないわ…これはきっと、きっと、誰かのせい…なんだろうと思う。

[キャロルはその名前を言う気にはなれなかった]

ローズさん、キャロルさん、ありがとうございます…
力不足かもしれないけど、頑張ります。

ギルバートさんは、私に票を預けていてくれたんですね。

ゆっくり休んで早く元気になってくださいね。
そろそろ私も休ませていただきます。
おやすみなさい。


[ギルバートの部屋のほうを見て、自分の室に*入っていった*]

[セシリアはロビーから聞こえる悲鳴を自室の中で聞いていた。]

今日も誰かが犠牲になったんだね。
一体誰が犠牲に…？

排除されたのは誰…？

[ロビー出ると、トビーを抱きしめるキャロルと、血塗れになっているステラの姿があった。]

トビーが排除で、ステラが感染…。

あははははっ。トビーは感染者じゃないと思うよ。
私が感染者だと思ってる人はまだ生存してる。

いつ、排除しようかなぁ。

やっぱりグレンは残ったね。
医者だとしても、今日までは残ると思った。

問題は…明日まで生きられるか。
色んな意味で、今日がローズとグレンが一緒に居れる最後の日になりそうだね。

[宿を出たセシリアは、大地を照らす陽の光に目を細めた。その陽の光はいつもと変わらず強い…。セシリアは手で目を覆いながらケネスの墓に向かった。]

【墓地】

[墓地に辿り着くと、セシリアは並べられた墓をみつめる。自分が望んだ事――しかし、セシリアの心は霧がかかったように晴れていなかった。]

「ケネスさんに嫌われるって言った時寂しそうな顔したんでしょ？
　今ならまだ戻ってこれるってば！」
　
[トビーが死ぬ前に言った言葉。それが一晩中、セシリアの耳に残っていたのだった。]

戻れるわけないよ…。
もう私は…昔のように笑えない…。

ケネス。
もう私の事なんか…嫌いになっちゃったよね。

【夜半・宿にて】
[キャロルが自らの手でトビーに注射するのを見つつ呟いた。]
トビーとキャロル…

[そして背後ではステラが音も無く崩れ落ちた。その姿を横目に見やりつつ、ラッセルはグラスを弄んでいた。]

そしてまたもう１人E-virusの犠牲者が増えたという訳か。
料理の犠牲者は減りそうだけどな…。

[ステラに哀悼の意を込めてグラスを傾けつつ、ラッセルはキャロルとトビーを見ていた。]

で、グレンはローズにワクチンか。ローズにワクチンを打つというのは感情的に理解はできるが、今後もローズに打つのだろう？元々医師だったかどうか怪しいものだし、もし本当に医師だったとしても役に立ちそうには無いね。今日はグレン駆除を主張させてもらうよ。

ローズもそれでいいかね？ローズの主張する明日のセシリア駆除をしたいのであれば今日はグレンを駆除せねばならないだろうからね。

[ラッセルは、微笑を浮かべながらローズへそう告げると宿を出て行った]

【宿/自室】
[グレンは一人ベッドで目覚めた。]

ローズ……

[グレンはロビーへ行き、議事録を読んだ。]

トビーが排除されて、ステラが感染されたのか
[グレンは二人に黙祷した。]

ラッセル、今日俺を排除し明日はセシリアを排除する、か
すると明後日残るのはキャロル、エッタ、ギル
そしてネリー、ローズ、ラッセルの中から１人
ハーヴェイ、トビーまたは俺が感染者だと思ってるって事だよな？でなければ、感染者か保菌者が生き残ることになる。
本気でそう考えているのなら別に構わんよ

[ローズマリーは冷たくなったステラの体のそばに、花束を横たえた]

シスター、協会の裏庭の花、摘んできたからあとで一緒に入れてあげるよ…
エッタは…まだ起きてこないのか。
あの子の正体はわからないけど、シスターの死を知ったら悲しむだろうね…

[椅子に座ったままで机に突っ伏していた自分に気づいて、
椅子に座ったまま、壁にかかった磔刑にされたイエスの像を眺めた]

…神様……あたしは…

[ヘンリエッタは手を組んで長く祈りを捧げた後、宿に向かって歩き出した]

[床の上には、白いシーツの上に寝かされたステラの姿があった。
側には、誰かが置いたものか…
教会の裏庭に咲いている花が沢山供えられていた]

…し……シスター……？
…うそ………うそ、だよね……？
シスター、が…ばい菌、に…………

[ヘンリエッタは恐る恐るステラの元へ歩み寄って、そっと手に触れる…]

………………

[指先に触れたステラの手は、驚くほどひんやりとしていた…
ヘンリエッタは臆することなく、今度はその手をしっかりと握り締め、頬に当てた]

…シスター…あたしが、あんなこと言ったから……
あたしが、わがまま…言ったから……
シスターが、死ななきゃ…ならなく…なっちゃったんだね……

[ヘンリエッタの瞳からはとめどなく涙があふれている]

……あたし…あたしのせいだ………
あたしが…あんな、こと……

…シスター…と、別れなくっちゃならないの？
ねえ、うそ…嘘だよね…シスター……

[ヘンリエッタはステラの手を握ったまま、その場で涙を*流し続けた*]

[ローズマリーはラッセルの残した言葉に複雑な表情をした]

…ラッセルはグレンを医師より感染者と見てるッてことかい？
うーん……あたしにはそうは思えないんだよねェ。私情もあるのは否定しないけど、信じる理由はいくつかあンのサ。

グレンが医師だッて名乗り出たあの日、なぜソフィーが感染したかをみんなで話してたと思うけど、そのときのグレンの話し振りッて他の人間とは違う視点をしてるように感じたよゥ。
感染者は保菌者がわからない。
だからほかの健康体と同じような視点で話すと思うンだよねェ。
だからあたしはグレンが万一医師じゃないなら感染者じゃなくて保菌者の可能性のほうが高いと感じたのサ。

でも、保菌者じゃァないとも思ってる。
グレンはソフィーの襲われた理由をギルバートが保菌者かもしれないってと直結して話さないところ、これが理由さね。
ギルバートが保菌者でなく、他に保菌者が居た場合、ギルバートの分析とソフィーの感染死のタイミングの符号を持ち出して、ギルバートに目を向けさせるのが一番手ッ取り早いと思うンだよねェ。

[ローズマリーは蹲って泣いているヘンリエッタを見ながら、グレンに小声で話しかけた]

…シスターとトビーをあのままにはしておけないよゥ。
あとで墓地に連れて行きたい。手伝ってくれないかい。
キャロルも、離れたくないんだろうけどサ…

[机に伏して眠ってしまっているキャロルにそっと毛布を*かけ直した*]

[セシリアはケネスの墓の前でいつの間にか眠っていた。瞳をゆっくり開けると、綺麗な丸い月が天頂目指して昇っていた。]

…私の心はこんなにも荒んでるのに、月は憎らしい程に綺麗だね。

ケネス…。

僅かな時間でも…貴方に愛されて、私は幸せだったよ。

もし…もし今でも、ケネスの心の中に私が居るのなら…
ケネスの心から、私を排除して欲しい。

私はもう…ケネスに愛して貰う資格なんてないんだよ。

さようなら、ケネス。
私の愛しい男性(ひと)……

[セシリアはケネスの墓に、亡くなった後にケネスの服のポケットからとった金鉱石を置き、墓の前から立ち去った。]

ああ、分かった。
…別れを済ます間に穴を掘ってくる。

[グレンは小声で答え、*墓地に向かった。*]

[セシリアが宿に戻ると、トビーとステラの姿はなかった。恐らく、ローズ達が墓に埋めたのだろう。
この場所で幾人もの人が血を流したせいか、宿の中は血の匂いが沁みこんでいた。]

ふーん。
ラッセルも私を排除する事を考えてるんだね。

いい…？私を排除するって事は、確実に今日まで、若しくは今日、感染者を排除しないといけないんだよ。

皆はそれができるのかな…？

私は今日、グレンを排除するよ。

邪魔なんだよね。
ローズを不幸にするのに…。

ローズには最後まで生き残ってほしいなぁ。
愛する人を失った時の辛さを分からせてやりたい。

おっと。
私がグレンを排除しようとする理由、感染者だと思ってるのか、それとも先生と思ってるのか、はたまたただ単に排除したいのか。それは言わないでおくよ。

まぁ…言ったところで、誰も聞かないとは思うけどね。

トビーを失ったキャロル。
ステラを失ったエッタ。

そしてグレンを失ったローズ。

残るは…
ネリーとギルバートを引き裂けばいいんだね。

ラッセルはどうしようかなぁ。
何をすれば、ラッセルは一番悲しむんだろう。

ローズか。グレンか、俺は感染者だと思ってるね。保菌者とは思ってないが。
というよりは医師に見えない。エッタも感染者の可能性が高いと見ていたから俺的には昨日駆除したかったんだがね。

誰か…いたのかしら。なんとなく、暗い念のこもった言葉が一瞬聞こえたような気がしたわ…

[キャロルは窓から空を見上げた。なんとなく晴れない空。]

まだ…いる…
セシリアの他に、E-virusにおかされた人が…

少し…みんなのいる所へ、お参りに行ってこよう…

セシリア、「明日セシリアを駆除したいなら今日グレンを」…っていうのはローズの話だな。
俺が明日セシリアを駆除するかどうかは俺の胸の内にしまっておくぜ。
ククっ、いるかどうかも分からないしな。

ただね、俺は
A．今日までに感染者を駆除→明日セシリアを駆除→明後日保菌者を駆除する
くらいならば
B．今日までに感染者を駆除→明日保菌者を駆除→明後日があったら再度保菌者を駆除にトライ（ランダムだが）

の方が面白いとは思うがね。
B案で明後日が無い場合、お前１人が保菌者側で生き残るのも楽しいだろう？フフフ。

アハハハハハ！

[墓地ではキャロルがよく知っている人の名が刻まれた墓、初めて聞く名前の墓など、無数の墓を見た。　あといったいどのぐらい数を、墓石に名前を刻む回数を増やさなければいけないのだろう。　父を失い、弟を失い、また新たに弟に思えてきてならなかった少年にまで手をかけてキャロルはこの地に立っているのだ。
キャロルはこの村の惨状を知ったときから多生の犠牲の上に立つ覚悟はあったが、実際にそうなってしまう現実を知ると、自分の両の足が震えだして止まらなくなってしまった。]

[キャロルはグレンだろうか、ローズマリーだろうかが丁寧に作ってくれたトビーの墓の前で叫んでしまった。]

トビーちゃん、トビーちゃん…
お母さんには会えたのかしら。それともトビーの方が先に天国へ行ってしまったのかしら…

[ふとキャロルは言葉に詰まった。もしトビーの母を名乗る人物が現れたら、顔向けができないのではないのだろうか、と。]

トビー…ごめんなさい…許して…
お姉ちゃんの顔をぶってもいいから…

[ギルバートは重い頭を振って起き上がった。]
…昨日よりは意識ははっきりしてるな。
感染したわけではなさそうだ。
…今日は誰が排除され、襲われたんだ？

ふふふ、なるほどね。
ラッセルは今日までで感染者を排除できると思ってるんだね。

因みに、ラッセルは誰が保菌者だと思ってるの…？
言いたくなければ言わなくてもいいけどね。

どうやら、少しは体調が戻ったみたいだね。
心配しなくても大丈夫だよ。

ギルバートが感染する可能性なんてゼロに近いんだから。

そうそう、さっきまでそこにトビーが居たんだよ。
昨日排除されたんだ。感染者の汚名を着せられてね。

ねぇ、ギルバート。
ネリーが死んで一人になるのと、自分が死ぬのと…
どっちを望む…？

[グレンはローズとともに宿へと向かう途中]

悪い、ローズ
少し家に用事があるから、先に……
いや、やっぱり付いてきてもらって良いか？

セシリア･･･お前、本当に狂ってしまったのか。
！？トビーが？
…いや。俺もトビーは感染者で疑っていた。もしくは保菌者で。
だが、保菌者ではなかったようだな。
で、お前は俺を殺すのか？
ネリーは殺させない。死ぬなら…俺のほうだ。

おや…？
トビーを感染者として疑って排除するのは分かるけど、保菌者として排除するのは感染者の行為だね。

とは言え、ギルバートに感染者の可能性はないから、最後まで排除する事はできないんだけどね。

私が狂った…？

[セシリアは大声で笑い出した。]

そうだよ。私は狂ってるよ。
でもね…皆だって同じだよ。

自分が生きる為に、人を殺してるんだからね。

私だけじゃない…。
皆だって狂ってるんだ…っ！

ネリーは殺させない、か。

ねぇ、私の仲間の保菌者さん。
ネリー殺してよ。

ネリー殺して、ギルバートを一人にするんだ。

【宿/自室】（回想）
[疲れきった顔で部屋に戻り、しばらくぼんやりと椅子に座って時を過ごした。大切な人を失い、ひとりになっていく…　セシリアの言葉どおりに。そんな想いが呪縛のように頭の中をグルグル廻っていた]

………生きて、この村を出たい。
でも……　

ダメ…　弱気になっちゃいけない。できることをしないと・・・

[暗い考えを振り払うように、頭を振ると、鞄から試薬を取り出し、一連の動作でトビーが何者であったかを探ろうとした]

色が変わらない…　やっぱり保菌者でない、ということしかわからない。
どうしたらいいの………　私にもっと力があれば…

[ぐったりとベットに身を横たえ、眠りについた]

[グレンはローズと自宅へ行き、しばらくして宿へと戻った。]

[暗い顔で部屋から出てくると、みなに挨拶をした]

こんばんは。すっかり遅くなってしまってすみません。
トビーさんは、保菌者でないとしか、わかりませんでした。
力不足で、申し訳ありません。

【宿の外】

グレン、ちょっと話があるンだけど、いいかい。

[キャロルはセシリアの声を聞いていて思った。　キャロルは本当は自分が恨むべき存在に違いない。セシリアのいない所で反芻すると、彼女に向かって手をあげたくなるが、いざ彼女の姿を見ると、その気もすぐに失せてしまう。
結局自分は、彼女に対して怒ることも悲しむこともできないのだろうか。]

【宿の外】

ん、どうした？ローズ

[ローズマリーはグレンの頬を平手で打った。ぱん、と乾いた音がした]

…みんなの居るとこじゃ言えなかッたけど…
なんで排除されてもいいなんて言ったのサ…！
あんた医師じゃないのかい！？
だったらなんでそんなことが言えるんだよ！

セシリアさん………。
そうですね、私はもう検死官としては村のお役に立つことはできないでしょうし、今日感染死しても問題はありません。
生きてこの村を一緒に出るという約束を果たせないのは心残りですが。
ひとり残されるよりは、私はそのほうがよいと思ってしまうのです。

ギルバートさんが保菌者であるなら感染死はできないですし、保菌者である可能性を隠れている保菌者は残したいでしょうから、ギルバートさんを感染死させることはないと思います。
尤も私は前者の考えは考慮していません。

セシリアさん、あなたがそう望み、それを見ることで心が安らぐなら…
私が今日死ぬことを望んでもかまいません。

[グレンは自分の頬を擦りながら]

…すまない
だが、皆が俺を感染者か保菌者だと思っているなら仕方がないさ

ローズ…、俺を医師だと信じてくれるか？

人の不幸を望むだけでは幸せになれない。
今日、私が死んだらそのことを考えて、せめてケネスさんのために頑張ってあげてくださいね。

[そこまで話すと、ノートに視線を落とした]

あたしは信じるって言った。
疑わないって言っただろ…

…あ、あたしを守るッて、幸せにするッて言ったじゃないさ。
あんたが…あんたが死んで…あたしが幸せになるとでも思ってンの…

[ローズマリーはうつむいた]

[セシリアが同情を望んでいないことは短い付き合いながらも感じていたが、次々と目の前で大切な人を失っていく人を見ているうちに言わずにはいられなかった。
せめて、ケネスの望みをかなえるために頑張るという目標を彼女に与えたかった。そうすれば、ケネスの元に彼女が旅立つ日胸を張れるだろう、と考えたのだった]

…ごめん
必ずお前を幸せにしてみせる。

[グレンはローズを包み込むように抱きしめた。]

……解ってくれたらそれでいい…

[ローズマリーはそっとグレンから離れ、こっそり涙を拭ってから、宿の扉を空けた]

ネリー。
勘違いしないでね。

私は幸せになりたいなんて思ってない。
皆が不幸になれば、それで十分なんだよ。

…ただいま。

[部屋に入ると席について議事録を読み始めた]

[グレンはローズに続いて宿へと入った。]

…セシリアの動き方が気になる。
トビーを保菌者だと言っておきながら、一転して自分が気狂いだと告白、最終的にトビーに投票してる。
理由として考えられるのは２つ…いや３つかねェ。
１、トビーを感染者だと思った。
２、トビー（とギルバート）を除外した中に、保菌者と思しき者が居て、最も排除対象に近かった。（この場合、トビーの正体は感染者でも健康体でも構わない）
３、ギルバートを保菌者だと思ったため、排除できるなら誰でも良かった＋排除回数を稼ぐため。

こう考えると、少なくとも気狂いだと告白する段階には、セシリアはトビーが保菌者でないという確信を持ってたことになるね。
トビーが仮に保菌者なら（まァ違ったンだけど）黙っておいた方が、トビーの排除が後回しになるから利があったはずだしサ。

ローズ、お前さんは一杯食わされたんだよ。

トビーは無菌者だったんだと思うぜ。

無駄に駆除をさせたんだろうよ。

……自らの証明、かもしれないかしら…
トビーちゃんは保菌者じゃなかったから…

【回想/墓地】
[ヘンリエッタはステラとトビーを墓地へと連れて行くグレンとローズの後を
少しも離れずについていった。

自分がここまで元に戻ったのも、献身的に尽くしてくれたシスターのおかげだと、
ヘンリエッタは常日頃からそう思っていたからだった。

…そのシスターが、今はものを言わぬ骸となっている…
彼女には、その現実は俄かには受け入れ難いものだった]

ローズ、少しだけ当たってるね。

私はトビーが保菌者の可能性なんて考えてもなかったよ。それに感染者の可能性もね。トビーは確実に村人だよ。
私が思うに、トビーは感情を素直に出す子なんだろうね。あんなあからさまに保菌者を排除しようなんて、感染者なら危険過ぎるよ。

さて、私は今日何を望んで誰を排除するのかな。

ケネスを想い、そろそろ感染者を全力で排除しにいくか。
それとも、感染者をわざと残して村人を不幸に陥れるか。

あれ…？皆そんな顔してどうしたの…？
大丈夫だよ。

皆、死ぬんだから…。
死ぬ前に…少しは苦しんで貰うけどね。

ま、ローズ。一から考え直すんだな。
そこにいるグレンが真に医者なら、誰が感染者だと思うか相談でもしてみればいいんじゃないか？

今日はグレンから誰が感染者だと思うのかという言葉が全く聞けてないんでね。ちょっと興味もあるよ。

……？

ラッセル、楽しそうだね。

ん…セシリアは楽しくないのかい？

（ラッセルは心底不思議そうにセシリアを見た）

楽しいよ。
笑いが止まらないくらいね。

でも、村人のラッセルが今の状況を楽しむのは不思議だよ。

ねぇ、ラッセル。
ラッセルは何を望んでるの…？

…感染者ってのが生きてると仮定しないといけないのか？
どうも感染者は、俺はトビーだったんじゃないかと思うんだが･･･。
排除されると言うよりも分析されそうな疑われ方をしていてのあの反応は、今となるとどの能力者でもないのにおかしいと思える。
…女子供が保菌者の可能性･･･か。
だが、グレンが保菌者であると言うのもやや考え難いな。感染者はもう居ないものとして考えると、保菌者は･･･彼女なんだろうか？

[グレンが掘った墓穴の中にそれぞれ、
トビーとステラの亡骸が降ろされていくのを見て、
ヘンリエッタはローズマリーに声をかけた。

『ローズお姉ちゃん…あたし、シスターに…
渡したいもの…が、あるの…
すぐだから、もうちょっと、もうちょっとだけ待ってて…？』

ローズマリーが頷くのを見るか見ないかの内に、
ヘンリエッタは走り出していた。
…教会を目指して…]

誰が感染者か？
エッタが保菌者ではないと言うのはおよそ間違いないと思ってる

ラッセルが俺がローズにワクチンを打つのは感情的に分かると言ったね。
エッタがネリー、ローズ、ラッセルを差し置いてステラさんに感染させるかな？
まぁ、どの位あてになるか分かりはしないが

そうそう忘れてた。セシリアにプレゼントだ。
死にたくなった飲め

[グレンは何かを包んだ薬包紙をセシリアに渡した。]

熱に不安定で量も少ない、
間違っても他人に飲ませようなんて考えるなよ

ありがとう。

死にたくなる時が来るのかは分からないけど…
使わせて貰うよ。

気が変わって、ローズが飲む水の中に入れてたりしてね。

そんなに不思議かい？俺が今の状況を楽しむのが。
少し考えれば分かりそうなものだけどな。フフフ。

それと俺の望んでるもの？そんな事知ってどうするんだい？
それを壊してやりたいってとこかな？
まぁその辺は想像に任せるよ。分かるものならね。

[ラッセルはそれだけ言うと喉をくっくっと音を立てて笑った]

そうだよ。壊したいね。
ラッセルが望んでる事を…。

まだラッセルには死んで貰っちゃ困るよ。
きっと貴方は…死は恐れてないだろうからね。

その前に、しっかり苦しむ方法を考えないと。

[ヘンリエッタは息を切らせながら教会後ろにある勝手口から中に入った。
いつもシスターと一緒にいたこの教会にも、もう自分しかいないのだと知って、
ヘンリエッタは涙が出そうになる。

『…泣いちゃ、だめ…あたしが、しっかりしないから…シスターは……』

こぼれそうになった涙を必死にこらえながら、
ヘンリエッタは、自分の物が入れてある引き出しから、
ステラが自分にくれた小さな指ロザリオを取り出し、
それを一度強く握ってポケットに入れる。

更に引き出しの奥の方に隠してあった、
透き通った原石のようなものが覗いている小さな石を2つ手にして外へ出た。

『前に…川で遊んでたとき…きらきら光ってて、きれいだったから…
シスターに、プレゼントしようと…思って…拾ったけど……』

そして、裏庭に咲き誇っている白いカスミソウを
腕いっぱいに抱えて墓地への道を駆け戻った]

[息を落ち着かせながら、ヘンリエッタはトビーとステラの墓穴の中に、
祈りながら石をそっと落とした。

そしてその上から両手いっぱいのカスミソウを、
それぞれの上に振りまいて、祈りを捧げた。

『シスター……トビー……あたし……がんばる、よ……』

ヘンリエッタが小さく呟くと、ローズマリーはグレンに向かって頷いた。
それが合図だったかのように、グレンはヘンリエッタにスコップを渡した。

『エッタ、お別れだ…二人の上に、お前が土をかけてやれよ』

その声で我に返って、ヘンリエッタはスコップを手に取って、
ステラとトビーの上に少しだけ土をかけてグレンに渡した]

ローズ…ぬるいな。

ちゃんと聞いてやれよ。
>>84　保菌者じゃなくて感染者の話をしてるんだってな。

セシリア。俺が苦しむ方法が分かるといいな。
応援してるぜ、フフフ。

[二人がそこを離れた後も祈り続け、
ヘンリエッタはゆっくりと宿へと向かった]

【回想終了】

エッタとキャロル、どちらが不自然か？と言えばエッタ
不自然と言うか、不思議と言うか

散々言ってる、疑われているから先に排除されたかった
これは本心なのだろうな、たぶん
なら…、なぜ自分から疑われる行動をとる？
４日目の「排除されても良い」はまだ許容できる。
余裕のあるうちに排除されたかった。の延長なのだろう
だが、なぜセシリアを排除したがった？
それはただの問題の先送りに過ぎない
セシリアは保菌者でも感染者でもないのだから

ランダムにはなるが
エッタ→キャロル→ギル
で感染者も保菌者も居なくなるだろう。
セシリアを排除していてはそれは無理だ。
昨日の段階でもセシリアを排除すると言うことは
トビー、エッタ、キャロル、ギルの誰かを残す。ことになると分かっていたはずだよ？

自分を残せ！と言うなら分かる、しかしエッタは自分を排除しろと言った。不思議なんだよ、とても

…グレンお兄ちゃんは、あたしが、セシリアお姉ちゃんを
『排除』…しようとしたこと、が不思議なのね。

昨日は…昨日だけは…我慢できなかった……
…みんな、頑張って…生き残ろうと、してるのに……
誰が…誰を疑っても…仕方ない感じだったのに…
…疑いあう、みんなを見て…楽しそうにしてる…
そんなお姉ちゃんが、あたしは許せないって思った…

『排除』できないって…余裕がないって…
そんなことは、わかってるよ…
でも、あたしは…セシリアお姉ちゃんを、許せなかった…

……それだけだよ。

エッタ…
自分が健康体だって皆を説得する以上に
「この人は健康体です！」って言える人が居るの？

…そっか、分かった。

…ラッセル、悪いけどあたしはグレンを信じる。

グレンは今日、ワクチンを打つ相手に投票はしないで。
１票の差で何が起きるか解らないから。

分かった。
キャロルかエッタ、感染者だと思う方に

でも、今日…シスターが、いなくなって……
あたしは、頑張らなくっちゃいけないって…わかったよ。

あたしは、できる限りのことをする…
そう、シスターに約束、したから。

エッタは排除しちゃいけない。

だって、エッタは……

皆、分かってる…？
保菌者の可能性がある人を排除すれば終わりだよ…？

それでもいいの…？
いいなら別に構わないけどね。

保菌者の可能性が一番低い人を排除すべきなんだ。

今日は……あたしは、セシリアお姉ちゃん…には、投票、しないよ…
シスターが…死んじゃったのは…
あたしが、あんなわがまま言っちゃった、から…
あたしが、頑張らなかった…から……

シスターはいつも
『みんなのためになることをなさい』
…って言ってた。

だから…あたしは……あたし以外で、正体がわからない、人……
キャロルさん、に…投票、するよ……

グレンには言ってないよ。

感染者は…グレンなんだから。

シスター…
あたしはあたしの思うようにしていいよね…

セシリアお姉ちゃん…
あたしは…自分を『排除』…できない…
自分に、投票は…できない…

だから………

[ヘンリエッタはじっとセシリアの方を見つめた]

エッタ。

迷ったら、一番排除しやすい人を排除するといいよ。
私を排除しようとしたところで、私が今日排除される可能性はないからね。

セシリアさん。
………そうですね、あなたは同情なんて望んでいないでしょうから…

この村に来て一月ほどですが、セシリアさんの性格はなんとなくわかりますから…

でもね、こんなこと言うと怒る人もいるかもしれないけど、狂者だって保菌者だって感染者だって、自分の幸せを願うのは当たり前だと思うし、幸せになることを願ってもいいと思うのです。

グレン、あたしはあんたを生かす。
だから、護るべき人を護って。

それでしか、きっとみんなは納得しない。
排除されない限り、あんたは最後まで生き残る。