人狼審問

…名前も知らなかったこの花、この香りをいつもローズの笑顔と共に思い出すんだ。

婆ちゃんから聞いた事があるんだ。
この花はライラック。
本当は４枚の花びらを持つ花だけど、その中にはまれに、５枚の花びらを持つものがある。
それを見つけたものは、幸せになれるって伝説があるんだってさ。

だから…だから私は誰かを犠牲にしようとも生きる
それが人の道から外れているとしても
それでも…私は生きて生きて生き延びて
ここから脱出するの
その為に……ハーヴェイ。あなたを犠牲にする
謝りはしない。謝ったら…偽善だもの

今朝、丘の花の中から一輪見つけたんだ。
５枚の花びらを持つ花を。

ローズマリー、あなたが好きだ。
あの日からずっとそう思っていた。
俺と、ずっと一緒にいてくれないか。

―――そう言うと乾いた笑みをこぼす―――

狂っているのは私かな…
そうかもしれない
あの狂気の中、正気が保てていたなんて自分自身思ってないもの
自分が死なない為に誰かを吊る…
狂気以外の何者でもないわね…ふふふ

――グレンの言葉に驚き、ライラックを落としてしまう――

え？今なんて言ったの？私の事をすきって聞こえた気がするけど・・・聞き間違いよね？
だってグレンは私が嫌いなんでしょ？私が話しかけるといつも煩そうに怒ってたよね？

…いざローズを目の前にすると、胸が苦しくて顔が熱くなって、
何を話して良いのかわからなくなるんだ。
だからいつもは、できるだけ用件だけを話すようにしてたんだ。
もし余計なことを喋って、嫌われないかと不安でしょうがなかった。

ずっと嫌われてると思ってた・・・
あの丘でグレンの泣き顔みちゃったから、嫌われたんだと思ってた

嫌いになんかならない。
聞き間違いじゃない、何度でも言うよ。

俺はローズが好きだ。
俺がずっと貴方を守るから。

――悲しそうに微笑むと――

ありがとう、でもごめんなさい・・・
私ね、明日の夜明けは迎えられないの
多分・・・ううん、絶対！

…大体話は飲み込めた。
ローズとグレンの恋物語なんだな？

みんなの所にもどるね
お花ありがとう・・・

あ〜…。
人狼を殺す手段はソフィーが文献当たってくれてるな。
俺からも注意点だ。
今後、なるだけ一人にはならない事だ。
人狼相手に数的不利になるのは人生の終わりだと思ってくれ…そういう習性なのかどうかはハッキリと分からないが、数で負けてる場合は人狼どもはおおっぴらな行動には出ない。

ま…俺の経験から言えるのはこのぐらいだな…。

――ソフィーのノートを拝借して眺めながら――
ふむ…。
ローズはハーヴェイが人狼だって主張…ヒューバートはローズとは違う占い結果になった訳だな。

そしてキャロルが…？
――煙草に火を点けて――

…藁にでも良いからすがるしかネェんだろうな。

―――酒場に戻ってきた2人と、変わり果てた硬貨とを見比べながら―――

人狼も俺と同じようなことを考えているかもな。
虫かごの中の虫の様な扱いを受けているのは、奴らも同じなんだから。

しかし、虫かごから出るチャンスは俺達か人狼かのどちらか、生き残った方にしか与えられない。

人狼に勝つためには、人間と人狼とを見分けることができる者達を死なせてはならない。
皆、彼らの動向に気を使うようにしてくれ。
クインジーからの注意と合わせて言っておく。

――花瓶にライラックを活けながら――

また、占い先はばらついてるのね・・・

まだ希望先を出していないのは

ユージーンさん
クインジーさん
ローズ
キャロル

だと思うわ…

私は、ヒューバートを占いたいけど、どちらが真実を言っているか分かれば済むこと。
クインジーを希望しておくわ。

もうしばらくしたら、夜明けが来るんだったな。

俺も占い先の希望を出しておく。
グレン　だ。
占いができる2人とハーヴェイの間に居る彼が、俺には怪しく見えてしまう。

それから、みんなが一番口にしたくない事。
ハーヴェイについては、私は人狼にする対応をお願いするわ。
キャロル・・・ごめんね
あなたに辛い役お願いする。
私の真実、証明してね

――グラスを置いてローズマリーの方をみて――
ローズ、もう覚悟は出来てる。俺に濡れ衣を着せたお前を恨んでも今さらしょうがねえ。そういう運命だったんだろうよ。

それから、お前に頼むのも筋違いだが……
済まねえが、こいつをキャロルに、それからこいつをグレンに渡してくれねえか。
――２通の手紙をローズマリーに渡した――

―――ハーヴェイから手紙を受け取ると―――

私も渡せないといけないから、カウンターに置くわ。
気が付いた人が教えてあげてね

濡れ衣ね・・・だったらどんなにいいか。

―――手紙を見つめながらつぶやいた・・・・

どのような形であれ、死者は丁重に弔うのが礼儀だと俺は思う。

―――墓守詰め所から人数分の棺を台車で運んできて、酒場の裏庭に並べた―――

う　ら　な　い？
又、殺す人を決める為に誰かを血祭りに？

ふん、勝手にやってればぁ
あたいは今夜は夜通し飲むんだぁ

あたいは、誰の恨み言でも聞くわよぉ〜

あはは、死にたくなかった生きていたかったって
それを聞くのが

あたいの　や　く　め　なんだからぁ〜

――ソフィに目を向けて――
助かれば良いわ、最後までこの地獄の中でね
その神経があたいは解らないっ！！

やれやれ…。
一応俺は昨日はハーヴェイ希望してたんだが…。
早速ハーヴェイに疑いが掛かっているってのが何とも言えんな。
人間だと思ってるだけにハーヴェイが意見をまとめてくれるのを期待してたんだがな…。

分かってもらえなくても別に…良いわよ
自分の手で親しい人を…殺す
すぐそばで人狼に食われるのを黙って聞いている…
分かってもらっても困るわよ

―――ソフィーのノートに乱雑に―――

Ｆ　　ソフィー
Ｇ　　クインジー
Ｓ　　ユージーン
Ｈa　 ソフィー
Ｈu　 フレディ
Ｗ　　グレン
Ｒ　　クインジー
Ｅ　　グレン
Ｋu ソフィー

俺はソフィーを希望だな。
適当でも決定役が欲しいってトコだ。

あたいは平気よぉ〜

だって……だって……
ハーヴに死んでって言ったも……
もう、誰が死んでも平気

あはは、あんたと一緒よソフィ

―――そっと肩に手を置き―――

キャロル・・・誰を見たい？

―――ソフィー＆キャロルを見ながら―――

…辛気臭い顔するんじゃねぇよ。
確かに俺らの手で殺す事には変わりは無ぇが…。
殺す奴は精一杯の人狼疑惑叩きつけて送ってやるのが礼儀だぜ。落ち込むのは生き残ってからにしな。

でねぇと煙草が不味くならぁ。

――ローズマリーにほほえみ――

あたいを、そして狼判定を頂戴
そうすれば、ハーヴと一緒に……

――そう言い残すと、店の外に飛び出していった――

キャロル・・・・

多数決でいいのかな？
いいのなら、私心を決めるよ！

ソフィー、みさせてね・・・

････。
我々には、人狼の生死を確かめる術がない。
彼女が口を閉ざすだけで、疑心暗鬼になっている我々は最後の一人になるまで殺し合いを続けるだろう。
彼女には生きていて貰わなくては･･･。

――グラスを置いてゆっくり立ち上がった――
もう、夜明けも近えな。
お前らみんな、俺を殺したがってるんだろ。

近寄るな！

俺一人で死ぬ。
大丈夫、逃げたりしねえよ。

―――猟銃を背負うと酒場から出て行った―――

ローズ。マスターがロープを用意してなかったか？
その辺にあると思うから取ってくれねえか。

ハーヴェイ・・・そこの柱のとこに、あるわ・・・

――森の中、緑に包まれて声を限りに泣いている――

でも、もう今日を限りに泣かない
あたいは……人で有ることも、もうやめる…

――木にロープをかけながら――
この木で首を吊ればいいんだな？
まったく、簡単な事じゃねえか。

――皆に背を向けたまま、無言で椅子に登り、首にロープをかけ･･････


･････････････そのまま椅子を蹴り倒して首を吊った――

私が占われるの？
無駄だと思うけど…
まあいいわ

――背を向けながら――
…ハーヴェイ。
もう少し抵抗してくれねぇと…俺はお前が人狼に見えなくなっちまう…

――慌てて酒場に駆け込む――

はぁ・・・はぁ・・・


――キョロキョロと周りを見渡し、ハーヴェイを見つけると抱きついた――

ハーヴェイ・・・おにいちゃん・・・

あのね・・・折り鶴作ったの・・・
・・・お兄ちゃん、寂しくないように・・・

（ごめんなさい、本当にごめんなさい・・・
　せめて、安らかな――）

――ハーヴェイの足の下に、そっと折り鶴を置いた――

――そっと立ち上がると、ゆっくりとキャロルのいる森の方へ視線を移した――

私は笑顔で送り出す事は出来ない
だから目を背けない
せめて…苦しまずに…

―――酒場を覗きながら―――

占うのはソフィーでいいんだな？
確認したよ。

ここで私はハーヴェイを処刑することに同意しなければならないのか？
私は彼が人間であることを知っている。
だから彼を処刑することに妥協はできないんだ。
ここでみんなの和を乱すことはよろしくないというのはよくわかってはいるんだが、せめてもの供養だ。
ローズに投票させてくれ。

――森の中――

・・・・ハーヴ！