人狼審問

ふぁぁぁ…。眠いな…。

皆が揃うまで寝ているぞ…。zzz…。

こんにちは・・・。

ち、しつこいヤードの警部だぜ。こっちは何もしてねえってのによ。しばらくこの村で隠れてするとするか・・・・。俺が人を殺したりするわけねえだろうが・・・

・・・なんだ、人狼だ。・・・こいつはまずい時に村に来たもんだ。とりあえず、夜になるまで身を隠すか。

やれやれ、人に集まれと言いながら説明もせずに見廻りか……。

アーヴ先輩も偉くなったものだね。
代返を担っていた後輩としては嬉しい限りだよ。
皆が揃うまで私も暫し休憩させてもらうとするかな。

もっと光を……

くはは、くははははっ！！！

主人が亡くなって以来、久しぶりの下界ね。
お邪魔させていただくわ……

…人狼が出たんですって？

気だるい午後だわ……

昆布をあまり食べ過ぎると体に悪いですよ。

あら、ありがと…、フフ

どう致しまして。

女性には優しく野郎には残酷であれ、と祖父の遺言でね。
お陰で私は祖父に対する良い思い出が一つもないのだけど。

。oＯ(このばばぁ…私のラッセル様に色目使いやがって…)

でも、私も強いていうなら殿方の方が好きかしら……

人が増えるのを待つ事にするわ。

村中にコンブ植えつけやがったのは誰だ？？

…へっへ、いい景色じゃねぇ〜か、ゆらゆらゆれやがって、のんきなやつらだなぁ、ォィ

んー、ここの書類はこうなってっと。ん？ここは間違ってるか。・・・・・・・（黙々

アーヴの野郎、人呼び出しといて、
どこほっつき歩いてんだ？
…ったく
昔からあいつぁどっか抜けてんだよなぁ…ッヒック

くぅ、酒が切れやがった…
誰か買ってきてくれ、
一番安くてアルコール度数が高い奴だ。

酒がくるまで寝るぜ。ﾋｯｸ。

こんにちは。
しばし議事録を読ませてくれ。

こんぶは邪道。
きのこが王道。

話ってなんなんだい。酒場の営業があるから適当に切り上げて欲しいんだけどさ〜…
差し入れに昆布酒を持ってきたわよ。

ケネス。一人で飲んじまうんじゃないよ！

昆布酒、私も一杯頂こうかな。

――…ふむ。
此の潮臭い匂いに粘着いた食感にどろりとした咽喉越し。
どれも素晴らしい。矢張り、此の村の昆布酒は最高だね。
余所の村が真似をしても此れ程の酒は造れまい。

しっかしこの村の畑には何で昆布しか生えないのかねえ。
他所の村が高値で買い取ってくれるから良い様なものの、昆布の価値が暴落したらここで生きていけなくなるじゃない…

狼なんているわけねーじゃんよ。顔は出したものの、もう少しブラついてくるぜ。

夜になったが、まだ結構人が少なそうだ。このままじゃ、目立ってしょうがねえなあ。
しかし、昆布臭い村とは思ったが、どういう場所なんだ、ここは。なんだか異世界に紛れ込んだみたいだぜ。・・・まあ、そっちの方がうるさいオマワリから逃げられて、大歓迎なんだけどよ。

なんだ、なんだ。この酔っ払いは。
こんなとこでイビキかいて寝やがって。

しかたねえ、このあたりで一息いれるか。さっきまでいた連中が戻ってくるかもしれないからな。

これから夕飯だからちょっと席を外させてもらうよ。
すまないね。

こんばんは！

本当にこの村は昆布ばっかりよね。
何でかしら？

私もこれからご飯なので食べてくるわね。

あの・・・。

私、今からしばらく出かけねばなりませんの・・・。明日はほとんど顔を出せませんわ。

明日の夜には必ず戻ってきますのでご心配なさらぬよう・・・。

あと、私、昆布は苦手ですの・・・。
ああ、めまいが・・・。

墓…増えるかな…。

ふむ。実は最近、神話を学んでいてね。
此の村に伝わる神話の一説を読んで聞かせよう。



古の昔―――。

此の土地は唯一本の菩提樹のみが生えている荒野だった。
作物の育たない不毛な、人間どころか動物も生きていけぬ土地。
だが、そんな此の地に故郷を追われた漂流の民が辿り着いた。

彼等は疲弊していた。彼等は饑渇していた。
逃げ惑う長き旅路の果てに辿り着いた先は何もない此の地。
水も尽き、食糧も尽き、寒さを凌ぐ術も、風雨を避ける術もなく。
絶望の縁に立たされた彼等は菩提樹の下で神に祈った。

―――神さま。どうか、我々をお救い下さい、と。

その祈りが天に届いたのか、或いは、端から神は見ていたのか。
菩提樹が黄金に光り輝き、女神が降臨して彼等に恵みを与えた。
樹の周辺を埋め尽くす一面の緑の恩恵、それは昆布畑であった。
漂流の民は女神の昆布を食して飢餓の危機から逃れたのだ。
以後、此の村では昆布が名産品となって今に至ると云う……。

あら、私が最後ではないようね。

一番最後に来るのは誰かしら。うふふ。

さあ、私もこんぶを食べてこようっと。

ただいま。
この村にそんな大層な神話があったとはねえ。
しかしそこで昆布とは粋過ぎる計らいだね…

お嬢ちゃん、要するにね、うちの村は出来た時から昆布しか生えてないって事よ。

痛っ。

なんで私を殴るのかなー。

うえーん。

ふぁぁぁ…。んー…よく寝た。

…ん?まだ皆揃ってないのか…ふぅ。
かと言って、また寝るのも飽きたしな。

いや…、読もうよ…。

ラッセル切ないじゃないか…。

俺も面倒だったさ…。けど頑張ったよ…。

……んー…私は難しい話は得意じゃないんだよな。
もっと簡単に、率直に言ってくれんと
子守唄にしか聞こえんな…。

…また眠くなってきた…。

まぁ、所詮、神話は神話だ。
私は神と云う都合の良い存在を信じない。
何でもかんでも神に縋るのは堕落だ。
此の神話を信じるか、信じないかも個人次第だな。

此の神話を信じるならば……
昆布を食べる時に菩提樹の女神に祈りを捧げるのも一興だね。

おっと、あっしが最後でざんすか？