牧童 トビー [先に歩き出したケネスに驚きながら、ローズマリーとカミーラを振り返る。囁く様な早口で、] 一階の僕の部屋に、吸血鬼を封印した者の日記帳──クインジーが発見して、恐怖からケネスやローズマリーを彼が襲った原因です──と、此処をハーヴェイが選んだきっかけになった例の「The Legend of Vampire」があります。二階に来る前に、部屋に入れて鍵を掛けておいた。 …カミーラは一緒に居たから見ていましたよね。 嗚呼。 僕達は、自分達が殺される前に、ヴァンパイアを封印する方法を考え、実行する必要がある。 僕は此処で死にたくはないし、これ以上誰かに死んで欲しいとも思わない。 【僕はナサニエルを疑ってしまった。】 行きましょう? | |
(11)2006/07/24 00:13:57 |
牧童 トビー ─一階・部屋9─ [鍵をがちゃりと回して、カミーラ、ケネスと共に部屋に入る。トビーが最後に出て来た時と、内部の印象は何も変わらず、一瞬だけホッと息を付く。] 【そう言えば、他人を自分の部屋に入れるなんて滅多に無い事だ。僕が誰かの居る所に、僕は浮いているのかもしれないと思いながら、混じっている事はあっても、他人を自分の領域に入れたり、自分の気持ちを話したりする事は滅多に無い。…いつも、怖いと言う気持ちがある。 人に気持ちを明かさないのが、行けないのか。 僕がナサニエルを信じられなかった様に。 …ギルバートが言っていた事はそういう意味なんだろうか。 嗚呼,今はそれどころじゃない。】 [ともあれ、自分の部屋にカミーラ、そしてケネスが居る事に対して、事態の異様さとは別に、不思議な心持ちがしたのは事実だった。今は煙草も酒も手にしていないケネスに小さく頬笑んでから、言葉を続ける。] これがさっき言っていた日記帳です。 古いもの…でしょう。 吸血鬼を封印する方法が書かれた部分は、文字が判別出来ないのですが……。震えた文字や酷く強い筆跡があるのが…なんとも。 | |
(24)2006/07/24 00:52:15 |
牧童 トビー [それは最初にギルバートが日記を見つけた読んだ物と似た様な箇所だった。] 『私は彼の吸血鬼を思い出す度に今も震えが走る。』 『彼らの力は強大であり、 私に連なる血脈の力を持ってしても滅ぼす事は出来なかった。』 『そう、"アイツ"を弱らせ封印する事しか出来なかった。』 [「私に連なる血脈の力を持ってしても」の部分で、トビーは首を傾けた。] …血? そう言えば、ハーヴェイはナサニエルの事を、何か特別な血を持っていると言う風に。ナサニエルも、そんな事を言っていて。最初、ナサニエルの言葉は、意味がわからなかったら……僕は。 ナサニエルも、ハーヴェイも、お互いに殺す事について迷いがなかった。そして、ハーヴェイがナサニエルの心臓を剣で貫いて殺した。ハーヴェイが僕らを追って来なかったとしたら、原因はおそらくナサニエルの“血”。 | |
(27)2006/07/24 00:57:27 |
酒場の看板娘 ローズマリー 【――運命。何が起きても、これは運命。だから、わたしは干渉しちゃいけない。その為に誰とも深く関わらず、自分の世界を作らず、他人の世界に関わらない。それをただ見守って、儀式で決められた言葉を告げる。もっともらしく占って見せ、皆を信頼させる。それがわたしに課せられた鎖――。】 [ハーヴェイやカミーラの言葉を頭の中で反芻して、小さく呟いた。] 台無しよ。……すべて、台無し。 貴方のせいで、すべて、台無しよ。 【"彼"さえ居なければ、ずっと守れて居たのに。自分に疑問を感じる事も無ければ、遠い過去を思い出して恐怖する事も無かったのに――。】 | |
(93)2006/07/24 03:34:56 |
酒場の看板娘 ローズマリー [ケネスの行動は、本来ならばローズマリーに悲しさや悔しさを齎すものであっただろう。けれど、ローズマリーは血に染まり行くケネスを見て、視界を歪ませながら絶望を味わった。自分が言った言葉を思い出す。"Der Hängende――、吊られた男。……意味は、試練よ。"そのカードには試練と言う意味もあるが自己犠牲が望まれると言う意味もあるのだ。] ……ケネス――! 【これが、運命の力。外れる事の無い、必ずそうなるという道――即ち運命を現すタロットカード。どう足掻いても――】 [弱気になって、それを持ち直すのに大分時間が掛かった。あまりの力の差に、恐らくは恐怖が負の思考へと導いたのだろう。それから、ローズマリーは廊下へと駆け出した。] | |
(114)2006/07/24 04:20:09 |