牧童 トビー [シャワーを止めてから、タオルを頭から被って外へ出る。 ──トビーの視界に入るのは、荷物の横に積み上げられた数冊の本。 研究用の書物であったり、合宿に来る直前に駅前で買った読みかけの推理小説であったり。…それら日常の続きが、この窓の無い洋館にある光景が酷く非現実的に思えた。] …そうだ。「The Legend of Vampire」をシャーロットに貸したままだった。シャーロットの具合がどうなっただろう。クインジーの狂乱と転落死…。それと、僕はキャロルにばかり気を取られて、半ば忘れ掛かっていた。 [目の前にすぐに浮かぶのは、キャロルの華やかでいて憂いを帯びた壊れそうな美貌。ふわりと揺れる金髪。] キャロルはあのまま部屋に居たのだろうか? ギルバートは何処へ行ったのだろうか? [トビーは首を振って、浮かんだ顔を消す。 身体が冷めないうちにと自動的に着替えをする事に集中した。] | |
(8)2006/07/21 23:45:19 |
牧童 トビー ナサニエルと同じ? 意味がわかりません。 [ギルバートを眉を顰めて見上げ、僅かに苛立ちの滲む声で告げる。言ってから、ギルバートに話しても埒が明かないと判断して。何時もとは様相の変わったキャロルに視線を向ける。(が、ギルバートが邪魔でキャロルと視線が合わない事に気が付かない。) キャロルは最初シャーロットの部屋の近くに居て、キャロルに弾かれた様に、ローズマリーが走り出した事を思い出す。 ギルバートを避ける様にしてキャロルの部屋に踏み込み、キャロルの目の前に立つ。] …キャロル。 まず、あなたが無事で良かったです。 でもなんだか、赤い服の所為か遠くに行ってしまったみたいに見える。 [決心した様に、] シャーロットに何かあったんですか? | |
(46)2006/07/22 01:44:20 |
牧童 トビー [シャーロットの恍惚とした表情から痛ましそうに目を背け、指で触れた肌と、“痕”の感触を反芻する。それはアーヴァインとは違っているのだが、しかし。 トビーは思い立って、カミーラの目の前で手に持っていた日記を開き、唐突に昨日最初に読んだ箇所を読み上げる。] 『地下室にある棺桶には、吸血鬼が封印されている。』 『吸血鬼は自分を起こしてくれた人間にとり憑き、 人間達をこの屋敷に閉じ込め、"食事"を行う。』 [カミーラを真剣な眼差しで見つめながら、] クインジーは二階でこの日記帳を見つけ、このページを読んで恐慌状態に陥ったのだと…僕は思う。カミーラは、吸血鬼の存在を信じて、信じた上で此処からちゃんと脱走しようと考えるんだよね? | |
(85)2006/07/22 02:40:03 |
牧童 トビー [カミーラの笑い声に微笑みを返してハッキリと答える。 ナサニエルに対する不信感による緊張を、カミーラの生命力のある言葉が、少しだけ和らげた。] …僕は、吸血鬼ではありません。 多分、僕と一緒に一緒に日記を見つけたギルバートも。 結局、僕達は明け方近くまで二階に居たから。 【ギルバートの事を考えるのは正直、苦々しい。 けれど、生きてここから出て太陽の光を浴びたい。 それと、僕はキャロルを助けたい。】 【彼と僕が同じなのかと、ギルバートが問うた理由は何だろう?】 [目の前のナサニエルに首を傾けて、] 吸血の様子や遺体の特徴が知りたいなら、自分で調べればいい。敢えて僕に聞く理由が分からない。ナサニエル、あなたは…何処か変だと思うよ。 | |
(122)2006/07/22 03:39:03 |
牧童 トビー [ナサニエルの言葉は自己完結していて意味が分からない。他人に意味のわかる言葉で、自分の現状を説明しようと言う意識が少しも感じられない。何か深い理由があるのかもしれないが、かたくなで自分に酔っている様に見える。その事に自分は、不審と不快感を感じるのだとトビーは気が付いた。] 【僕とナサニエルが同じ? ギルバートにはそう見えたのか?】 [何故か突き刺さったままのギルバートの言葉を、頭の中で反芻してから、今度は勝手に出て行くナサニエルを眺めた。扉が閉ざされてから、] 力を、知恵を、合わせるなら、一緒にラッセルを探しに行くべきだろう? カミーラ。 僕は生きたいと思う。 それと…あなたを信じたいとも思う。 僕達も、ラッセルを探しに行こう。 | |
(141)2006/07/22 04:08:38 |