酒場の看板娘 ローズマリー ――客間―― [ステラの言葉に苦笑する。] 確かに説得できるとは思えない部分はあるわ。 だけど、説得すべきなんじゃないかしら? 本当に彼女のことを思うならね。 それに貴方だって私は心配だわ。 女の子だけで行くなら尚更にね。 警戒すべきは吸血鬼だけじゃないんじゃないかしら? 自然は勿論だし、物騒な人も中にはいるかもしれないもの。 [オードリーに微笑みかけて] 頼もしいわ。 だけど……、それでも心配よ。 貴方が大丈夫だったとしても、そこの女の子もね。 仮にケネスさんを見つけたとして、怪我をしていても2人でこの天気じゃどうすることもできないんじゃないかしら? | |
(250)2005/08/26 02:18:03 |
墓守 ユージーン 僕はね。 殺人鬼なんだよ、ヘンリエッタ。 [笑顔の下で、虚ろに心に言葉が響いた] | |
2005/08/26 02:38:01 |
書生 ハーヴェイ 神の導きか。 そのようなものが、ヴァンパイアたる私に与えられるのかどうか。 知りたいものだな。 | |
2005/08/26 02:50:43 |
未亡人 オードリー ――2階、個室(自室)―― [昼間の出来事を思い返していた] [『お前か!』という怒号が妙に印象に残る。] メイさんが怖がっても仕方無い…か。 吸血鬼、だっけ? 聞いた事も無いけどね。 何か、ただならぬ危機を感じるのは確かね。 もっと細かい事も見逃さないで注意しないといけないのかもね。 それにしても… ハーヴェイさん、彼はいい子ね。頼りになる。 明日から何か困る事があれば、彼に頼る事にしよう。 | |
2005/08/26 02:53:48 |
墓守 ユージーン ――客間―― そうそう。 確か…彼女は、ステラとか言ったか。 僕は、正しい行動が間違った結果を導き出す事をも知っているよ。 [やんわりと笑みを浮かべているが、何処か虚ろに心で呟いた] | |
2005/08/26 03:02:14 |
酒場の看板娘 ローズマリー お兄さまに「無駄な殺しだ」といわれるたびに私は酷く悲しくなる。 "これは私たちの性なのに、お兄さまは何故否定するのかしら?" ハーヴェイは覚醒した時からずっと、ずっと。素直だった。 葛藤を捨て切ることができたハーヴェイ。 その強さが私はずっと羨ましかった。 お兄さまだって、"あの"事件が起こるまでは―― ずっと。ずっと。 | |
2005/08/26 03:43:42 |
酒場の看板娘 ローズマリー 覚醒。 覚醒した時の瞬間を私は今もはっきりと覚えていた。 あの、体が苦しくて痛くて、自分が裂けてしまいそうな感覚。 足元から頭まで這い上がってくる激痛に眩暈がして、もう終わりだと思った。 私はあの瞬間から。 ずっと迷ったまま――。 お兄さまとハーヴェイがその手を血に染めている横で 私はずっと――。 言われなければ、動けなかった。 自分の意思がないのかと言われてもそれに答えることは出来なくて。 | |
2005/08/26 03:46:38 |
酒場の看板娘 ローズマリー ――今は? あれから大分経った。 あれから大分年を取って、 あれから大分沢山の人を殺して、 あれから大分沢山の事を知った。 お兄さまは"あの"事件を通して変わってしまった。 けれど。私は―― 何を通しても 何を得ても 何を失っても 変わらない。 | |
2005/08/26 03:48:36 |
酒場の看板娘 ローズマリー 衝動的に、そう、衝動的に……、 人を手にかけては、後悔し、 人を手にかけては、躊躇し。 人を手にかけられない私は、 ずっと性に 罵られ、 怯え――。 力なんてほしくなかったと思った。 欲しくなかったと思っても、この手は力を込めればスグに―― 獣のそれへと変化する事が出来る。 | |
2005/08/26 03:50:33 |
酒場の看板娘 ローズマリー これが良い事なのか、悪い事なのか。 私にはさっぱりわからなかった。 良い事のようにも思えたし、 悪い事のようにも思えた。 どうしたらいいのだろう。 何でこんなに私には何もないのだろう。 何でこんなに私は決められないのだろう。 何でこんなに私は「意志」を持たないのだろう? けれど――。 後悔すると知りながら、私はアーヴァインを殺すために門番小屋へ向かった。 | |
2005/08/26 03:51:57 |
酒場の看板娘 ローズマリー 自分が何故、そんなことを言ったのかわからなかった。 だけど、血を口にしたくない気分なのは本当だった。 血を含むとき、リアリティが付きまとう。 そう。 吸血鬼の性が自分に備わっているんだという事実にリアリティが。 それは酷く―― 時に心地いいものだったけれど、 今の私には不必要だった。 それならばいっそのこと、 苦しんで死んでいく姿を見た方が よほどマシだった。 そして。 のんきな人間達が、慣れ親しんだ、私の大事な故郷であるこの城に滞在し、 楽天的に吸血鬼などいないと断言したり、吸血鬼だと騒ぎ立てることがやはり許せなかった。 | |
2005/08/26 04:11:22 |
酒場の看板娘 ローズマリー 何故私なのだろう。 何故力を持っているのは私なのだろう。 吸血鬼は本当に存在するのだと、 もっと逃げまとえばいいのだと、思った。 サディスティックな気持ちだとハーヴェイに伝えた。 だけど、本当は違った。 心のどこかで―― 吸血鬼だと、私が吸血鬼だと。 そう突き止められたかった。 誰かに否定されたかった。思い切り。 誰かに強く肯定されなければ 誰かに強く否定されなければ 全てに自信が持てないから。 | |
2005/08/26 04:13:10 |