人狼審問

――ヘンリエッタに視線を移し、ゆっくり微笑む――

そうだな、お前がそう思うのは仕方のないことだ。
責める気はないさ。大好き「だった」と言われるとちと堪えるがな？

ま、大丈夫だ、ヘンリ。お前はお前の信じる事をすればいい。
それで自ずと道は開ける。そう信じてるよ。

なにもしなくていい。
…ああ、最期にみるお前の顔は、笑顔がいいな。
そんくらいリクエストしてもバチは当たらねえよな？

……ところでラッセル様はいらっしゃらないのでしょうか。

……ついでに前言は完全撤回したと、考えていただきたい。
クインジー君の方は、たしかに目が見えきっているんだね。

ふむぅ…なるほど、あたしはどうやら随分信頼されていないようだね。こりゃまいったな。まぁ、自分の行動を思い返せば自業自得ってやつなのかな…

ただ、あたしの自業自得に村の全員までつきあわせるつもりはないから、あたしは、狼を見つけた時の為に自分の信頼を稼ぐ行動をとるべきだと思う。もう何度も繰り返し言ってるにも関わらず行動が伴っていないから白々しく聞こえるかも知れないけどね。

ニーナ・・・
信用されてないって分かりながら話すのは辛いと思うけど、村のためを思うなら、自分の考えを話して欲しいの。

とりあえず、あたしを今日部屋に送る事に関しては、あたしは反対するよ。コレは保身の為じゃなくて、村の為だよ。

これにはもはや、みんながあたしを信頼するかしないかは関係ない。
重要なのは、夢喰らいか、染まる者の一人があたしの持つ能力を騙り、みんなの目には今を見る者が二人いるように見えているという事だよ。

つまり、ここで片方だけ（というかあたしだね）を部屋に送り出したら、まだ一匹も夢喰らいを見つけてない…と主張している…ヘンリエッタは無実の村人に夢喰らいの判定を出し放題になるんだよ…そしてそれを審議する方法はもうどこにもない…過去を見る者だって欠けてしまっているんだからね。

ああ、そうだ、ニーナお嬢さん……
今朝シャーロットお嬢様が何やら質問をしていたようだが、
気が向いたなら答えてみてはどうかね。

>>43

出し放題、というと……
好きな相手に出せるということかな？

ふむ。
クーの言う「婆とニーが夢喰らいの場合」に、ヘンリに倣って反証をしてみようか。

もし 婆が夢喰らいならば、「見る先を取替えて、ヘンリに婆を、ニーにロッテを見てもらう」ということにでも、なってごらん。
夢喰らいだということは、全員にばれてしまう。
それならば 婆を人だと言い、翌日にヘンリに夢喰らいだと「判定」を下されても、黙っていたほうがいい。
そうすれば、「デボラが夢喰らいならば、何故 過去を見る者として名乗り出なかった？ヘンリエッタは、自分の存在を夢喰らいに伝えようとした、染まる者ではないか」という疑惑も、植えつけられたはず。

さらに、もう一つ。
今を見る者、過去を見る者が二人ずつならば、どちらが「本物と染まる者」なのかわからない、となる。
夢喰らいが本物の今を見る者の夢を喰らっても、残った者は「彼奴は染まる者だったのだ」と言える。
夢喰らいは、互いの夢を喰らえないそうだからね。
しかし、染まる者が表に出て、過去を見る者が三人になれば、今を見る者は「本物と夢喰らいだろう」と判断されてしまうのさ。

染まる者を表に出さず、夢喰らい二匹だけで力の者の振りをすることに成功したとしても、果たしてこれは効果的なのだろうか。
ノームのように、「真贋がわからないのだから、全員『審問の部屋』に送ってしまおう」と言ったとするね。
すると、残りの夢喰らいは一匹だけ。
そしてただの人間の振りをしている染まる者は、誰が夢喰らいなのか知らない。

成功しようが失敗しようが、とんと意味がないのさ。
全く持って、馬鹿げた話だと思わないかい。

ニーナお姉ちゃんには、みんなの話し合いが伝わってないの。今日ラッセルお兄ちゃんを見て貰えたのはたまたま夜明けが少しだけ遅かったからなの。
でも、アーヴァインさんも入院して、診療所が忙しいのは分かるの。しょうがないの。

…まあ、ここまで言ってきたけれどね。
婆にとっては、婆自身を信じてくれずとも、ヘンリを信じてくれれば、それで構わないのさ。
何度か言うように、こうして夢喰らい達を表に引き摺り出せたわけだから、婆の役目は半分終わっている。
ほ、ほ。

――そう言って、少々 自嘲気味に笑った。――

や、みんな。心配かけてすまないね。

――泣きそうになりながら――

……ずるいよ。
僕がここまで酷い奴でも、まだ僕を信じるなんて。

――無理やり笑ってみせ――

分かった、最後のリクエスト。
努力してみるよ。

あたしがこの先何を言っても、みんなには白々しく聞こえるだろうと思ってる。それでもあたしはしゃべり続けるよ…少なくとも今を見る者の真偽について確実な答えを知ってるのは、あたしと…夢喰らい達だけなのだから。

この状況であたしが信頼を回復しきるのは、非常に困難だと思ってる。だからあたしは…どっちが偽物だろうと一番隙が少なくなる方法をみんなに提案し続けるだけだね。

少なくとも、ヘンリエッタだけを部屋に送って欲しいなんてバカなことを提案したいとは思わないよ。

――ニーナの方を向き――

……残念ながら、僕もニーナもあと1人の「夢喰らい」を見つけたら用無しなんだ。
誰かを狼だといったらそこでおしまい。

―――ラッセルは、自嘲気味に笑った―――
巷に雨の降るごとく、わが心にも涙ふる、といったとこかな。実に実に空々しいけどね。

もう、クインジーには言った。彼も、別れを述べた。このことについては、変更は彼の決意に対する冒涜になると思う。今日、部屋の戸を叩くのはクインジーだ。

仮決定以後、とりわけ反対もなかったようなので、はんていされるのはレベッカということでお願いしたいな。

異論がある人は、今ならまだ聞けるよ。

･･････発表の順番等はいかがいたします？

了解したよ、ラッセル君。
……すまない、クインジー君。

――ニーナに顔を向け――

どっちが偽物だろうと一番隙が少なくなる方法、というと。
今は、それはどんなものだと考えているかな？

自分を駒のように言うな。ヘンリエッタ。たとえ僕がそう扱っているのが本当でも、だ。

……まぁ、なんだ。んーと。
あまり悲しいことを言わないでくれよ。ニーナもね。
デボラ婆様には……頭を下げるしかないけどね。

――なるべく、意識しないように。
　　　編み物をしながら、ラッセルに声だけで同意する――

ああ、異存はないよ。

決定を了解したわ・・・
ううん、承認する。

――ラッセルに意味ありげに微笑んだ――

婆の事は、気にするんじゃないよ。
ほ、ほ。

――ラッセルを元気づけるかのように、笑う――

――編み物をするデボラの顔を覗き込み――

全く、俺は騒音だと言ったはずだがな？
相変わらず律儀な婆さんだよ。

俺は、今を見る者を揺るぎない者にしない為に仕方なくニーナは偽り、あんたを狼だと言い、更にあんたがヘンリに見られるのを避ける為に過去を名乗る者を偽ったんじゃないかと言ったんだ。染まる者の話とはまた別さ。

染まる者は完璧にタイミングを見誤ったんだろうよ。可哀相にな。まあ、奴はあんたより先にあんたら狼を護る為に眠ったんだ。本望かもしれねえな？

…ちっ。本当に騒音にしかなりゃしねえ。もうやめだ。

とりあえず、今日部屋に送って欲しいのはデボラさんだね。

正直、今日と明日で二人を順々に部屋に送ることは、あたしの中では決定事項として動かしがたいから、どっちからでもいいんだけど…クインジーさんの正体を知っておいて、コレまでの発言を検証する事は可能だからね。

本物と断定することは不可能だけど、偽物と断定することは可能性としてあるからね、あたしの視点だと。

――ラッセルの肩を叩き――

……ラッセル君、一言だけ。
あまり背負い過ぎるのではないよ。
貴方の選択が罪ならば、私達もすべて同罪なのだから……

――自嘲気味に笑い――

所詮僕らは狂える神の遊戯に付き合わされている哀れな盤上の駒なのさ。
なんてね。
僕は皆を信じているからね。
大丈夫だよ。まだ大丈夫……。

判定結果の発表順は、皆、言うべきことを知っているもしくは知るだろう、という点で無作為でもよさそうだけどね。
決めたほうがやりやすいというなら、そうだな、デボラ、エッタ、ニーナの順で。昨日の逆かな？

――ヘンリエッタの頭をぽん、と撫で――

おいおい、お前が泣きそうになるなんて、明日は雨か？
ま、いいか。お前さんの泣き顔も中々見れたもんじゃねえしな。

――笑って見せる――

ヘンリに見られるのを避けるならば、人と言ったほうが良かったのでは、と言うのが主さ。
まあ、昨日 人と喋らなかったせいか、口が軽くなってしまったんだろうよ。
お喋りな婆の、ただの戯言と思っておくれ。

…クーも、立派になったものだね。
いいや、悪い意味じゃないさ。
ほ、ほ。

――寂しげに、笑う。
　　　我が子が自らの手を離れていくかのように――

･･････クインジー......さらばだ......

･･････そういえば聞いてなかったな......

君は何をしてお尋ね者として追われているんだい？

あぁ、そうか、ヘンリエッタ。そうだね、確かにもう見る者達の中に二匹狼がいるのは確実なのか…そこに関してはあたしの勘違いだね。ごめん、それは認めるよ。

ヒューバートさん、少なくとも今あたしが考えているのは、二人に同じ人間をみてもらって、確定で人間だと判断できる人を増やし、最後の一匹の隠れ蓑を無くす事だと考えています。どちらか片方が人間だといっただけでは…残念ながら人間であるかどうか、皆さんからは判断できませんからね…

――クインジーの近くまで駆け寄って――
クインジーおじちゃん、少しの間だけさよならなの。
いつもお菓子ありがとうなの。
それから、えっと、………ごめんなさいなの。

何か一つ、クインジーおじちゃんが昔から使ってるモノが欲しいの。それがあれば、ウェンディ、必ずクインジーおじちゃんを見つけられるの。

本人は記憶をなくしたと言っていたんじゃなかったかな。

クインジー、実は僕は街でね、手配書を見たことがあるんだ。
でも、それは今のあなたとは関係のないことだ。これからのあなたとは、もう遠い世界の話になる。
すまない。

――レベッカは、独り言のように呟いた――
クインジーの悪役面とも当分お別れね。

ニーナ、私の質問には答えてくれないの？
参考まで聞いておきたかったんだけど・・・

――肩で息をしながら――

…そろそろ…っ、時間だよな……
おいっ……クインジー、お前…お前が此処から居なくなってもな…
探して、ぶん殴って、此処の事、俺達の事…思い出させてやっからよ…
…っだから…安心して行ってこいよ……。

まただ、また……ツラ合わせて、ふかそうぜ…

――湿気た煙草をクインジーに投げつけた――

あぁ、ちょっと表現がおかしいですね…あたしかヘンリエッタのどちらかが夢喰らいだと皆さんはほぼ確信してるでしょうから、あたし達は確実に部屋に送るべきです。

そうすると、隠れ蓑を無くすことはできないですね…できるのは隠れ蓑を減らす、狭くする事ですかね…それでも随分判断材料を増やせると思いますよ。

それと…誰かが心配してましたけど…あたしが自分の意志で占い先を統一しないことはありえないです。それだけは断言しておきます。

さあな？ユージーン。
俺の抜け落ちた記憶に訊ねれば解るかも知れんな。

――側に来たウェンディに気付き――

ん？ああ、まあ戻らなくても構わないから…良いんだ、ウェン。もしどうしても欲しかったら、宝探しだ。茶棚にあるものの中に俺の物が紛れてるさ。

――にやりと笑うとウェンディの頭を撫でた――

――ラッセルの言葉に跳ね起き、クインジーの顔をみつめ――

……はは、なるほど。
道理で、見覚えがあると……

でももう、全て関係はないのだね……

ニーナ、今日は時間があるのかな？
多分、君に聞きたいことがある人はいると思うので、できれば答えてあげてほしい。
シャーロットとかね。>>43

･･････さて、どうでしょう......記憶が無いからとて、街の公安が顔を見たときに見逃しますかね......

いつの手配書か分かりませんが、今も有効だと思いますよ？

彼らが捕まえてくれるなら、迎えにいく手間が省けるってもんさ。でも、そううまくはいかないだろうと思うよ。

えーっと、クインジー、ちょっとこっち向きなさい。
――レベッカはクインジーが振り向き様に顔を両手でホールドして、強烈なキスを見舞った。場が一瞬で凍りつく。――

ね、わかるでしょ？クインジー。
別れ際のキスって物凄い恥ずかしい事なの。
しかも衆人環境で相手はろくでなしよ？
一生の恥だわ。二度と戻ってこないでね。
戻ってきたらそれこそブッ殺すわよ。

――ケネスから煙草を受け取り、少し噴き出す――

まぁた、お前さんが一番情に脆いタイプだったか？
…ありがとな。

意外と落ち着いてるもんだ。不思議だな。
不安なんてこれっぽっちもねえよ。
だから安心してくれ。

もし…また会う事があれば、一緒に酒でも飲むか。
会う事が…あれば、だ。

昨日の投票ですか？

あたしは誰をみるのか変更するのに手一杯だったので、ユージーンさんに投票していると思います。記憶が定かではないのですけど、一人だけ投票結果が違うのはそういう理由だと思いますよ。

……これをレベッカの反語法、と名づけるか。
僕はちょっと頭を冷やしてくるよ。

―――雨の降る庭を見渡すテラスに歩いていく―――

――本人も固まったまま動かない――

…ああ……そうだな……
楽しみにしてんぜ…

――レベッカとクインジーを見て顔がほころび――

…お前等、又ぜってぇ、どっかで逢うよ…。
運命なんてのは、案外そんなもんだ。

――クインジーを抱きしめ――

……僕は絶対に君を忘れない。
そして、この事件が終わった後にまたクインジーを見つけて。
初めて会った時のように、僕がわがままを言って、お父様はしかたなくクインジーを雇って。
そうして、またこの村に戻ってこよう。
また楽しく、一緒に……。

――精一杯の笑顔をクインジーに見せ――

――もう一度強く抱きしめた――

あのネ、ニーナ落ち着いて・・・
私は、あなたが昨日も遅れていたら誰を見ていたの？って聞いてるのよ。
時の妖精が拗ねなければ、変更できなかったんでしょ？誰を見るつもりだったの？

――ドカドカと去るレベッカの後ろ姿に漸く笑いかけ、バツが悪そうに――

…またな。

――ケネスと目が合った瞬間に顔を赤くし、抱きついてきたヘンリエッタを抱き留める――

はは、いいな、それも。ハッピーエンドって奴か。
俺は眠っても、お前の目付を辞めた気はねえさ。
悪い虫がつかねえように自分で身は守れよ？

いいな、その顔。忘れねえよ。

――ソファに倒れ込み――

……眠いな。
この時間は、何時も、恐ろしく眠たいね……

――レベッカ事件からやっと立ち直り――

･･････さっきのような出来事で本当に時間が止まればいいのですが......

そうすれば誰も被害者なんぞでないでしょうに......

クー。
…クーの坊や。

きっと、全てが終われば。
赤い星が消え失せれば。
お前も、婆も、昔のように、きっと…、笑い合えるようになると、望んでいるよ。

お前は、偽善だと言うかもしれないがね。

――呟くように、誰にも聞こえない声で。
　　　デボラは、クインジーを見送った――

あぁ、ごめんなさい…なんか混乱してます…ちょっとあわててます…

えっとですね、あたしは…とりあえずシャーロットをみるつもりにしていたよ。もし仮に間に合わなかったとしても、シャーロットを二人で見たという最低限の情報を皆にあたえることが出きると思っていたから。

決定がでていない段階での仮の見る先としては最善の選択だったと思っているんだけど、どうかな？

この全てを信じることができればいいのにな。
少なくとも二人、嘲笑っている奴がいるんだ。
これを口に出すあたり、僕も相当の根性曲がりけどね……のうのうと眠らせておくものか。

――クインジーから離れ――

……もう、行かなきゃ。

僕の仕事。
皆を助ける為に。

――最後にもう一度だけクインジーに微笑み――

――2階の自室へ帰った――

…聖剣の加護が、愛する者全てに注ぐように。
お前らの笑顔が出来るだけ曇らないように。

俺は祈ってる。最期には幸福が訪れるように。

――言い終えるとお気に入りのソファに腰掛け、ゆっくりと目を閉じた――

ごめんなさい・・・
クインジーさん

――小さくつぶやいた――