人狼審問

ネリー、紅茶にブランデーを落としたものを……と、ネリーは寝込んでおりましたな。

自分で淹れて参りましょう……

（僕は間違った事はしていない、僕は正しいんだ）

ヒューバート、わたくしにもお願いしますわ
紅茶は抜きでおねがいねｗ

――ヒューバートは、人数分のティーカップとポットに入った紅茶、ブランデーの瓶、コンポートにして生クリームを添えたリンゴを載せた皿をワゴンに乗せて応接間へ戻ってきた――

こんなものしか作れませんでしたが、ろくに食事を摂っていない方もいらっしゃいましょう。
少しでも何か摂った方が宜しいかと存じますよ。

ありがとう、ヒューバート
何か食べないといけませんわね・・・
でも、食べる気になれないのよ・・・・・

うひょぉ、遅くなったスマンのう。
随分ワシ寝こけてた・・・ほんとスマン。

……ベン、心配したぜ。

全くだ。
――ケネスはベンに事のあらましを説明し始めた――

が、心苦しい状況だな。

――こういうときはどう反応していいのか、わからなくなるな。
ベン、何かあればいまのうちだ。

ベンジャミン・・・・

―――ベンジャミンの顔が見れず窓の外に視線を落としている―――

――ケネスの言葉に耳を傾け

ふむ、ワシが寝てる間に・・・
今日から一人ずつ減ってゆくんじゃな。
そしてそれが、ワシじゃと。

実はワシ、昨日ある道具を使ってたんじゃが、なにぶん慣れなくてぶっ倒れてしまってたんじゃよ。

その道具というのが、まあ、とあるハンターから譲り受けたアレじゃ

「人と人狼を見分けることのできるモノ」

ワシはそれを持っているんじゃ。

なにぶん使い慣れなくて倒れてしまってたが、それを理由に今ワシが死ぬとなると、後に使えるものがおらんのじゃろ。
せめて一匹くらい見つけてからワシは・・・

いや、いまさら言い出しても遅いんじゃろうが。

ベンジャミンさん……それってまさか…。
自分こそがアーヴァインさんによって呼ばれた占い師である、と…そう仰ってるんですか…？

ああ。
占い師というには、道具に頼りっきりじゃしちと邪法なのかもしれんが、見分けることは出来るぞえ。

今起きている人達だけで良いですが、今のベンの話を聞いて今日の処刑をどうすべきか、思うところを話して欲しいですな。もうほとんど時間はありません。ベンの言葉にも耳は貸さない、とも言いましたが、皆さんの考えはお伺いしたいですよ。

……ベン。
そういうことはもうちょっと早く言うべきだぜ。
ヒューじゃねぇが、俺もくらっと来たんだがね。

皆さん…騙されないでください。
…こんな事…言いたくないんですが……ベンジャミンさんは嘘をついてます。
予定とは違いますが…今日の犠牲者の決定まで時間がありません…。
私がアーヴァインさんによって呼ばれた本当の占い師です…。

で、どうするね、ヒュー。

……正直頭が痛いんだが。
確かにベンには何かあればと言ったが、こんな無茶を言いだすとは思わなかったぜ。

……文学嬢ちゃんもか。
何も今言いださなくてもいいだろうに。

まぢかよ。このタイミングで？
予定を変える必要がでてきたんじゃないのかい？

もう勝手はつかんだしの、こんなヘマはせんが・・・

あぁ、何てことでしょう・・・
眩暈がしますわ

す、すいません…っ。私も焦ってしまってつい口が滑ってしまって…。
でも…私としてはこのままベンジャミンさんを放っておくほうが危ないと思います…。
すいません…。

……どうするね？
このままじゃ、らちがあかねぇ。
これ以上の名乗りあげを許すのか許さないのかをきめちまわないかい。時間はこの際おいておくしかないだろう。

もし許すなら全員から言質をとりたいもんだからな。

おやおや、セシリア嬢もかい。

おかしいな、アーヴァインどのは、一人しか呼んでいないはずでは・・・？

ヒューバートは、何も聞かないと言われましたわ。でも、この状況では、考え直さないといけませんわ

なんか見るからにベン偽ぽいな。
このギリギリまで、何も発言せず。
いまになって重大発表。
処刑してもよいのでは？

といっても全員揃っていねぇのか……。
夜明けも近いってのに酷な話だぜ。

ベンジャミンさん…なんでこんな嘘をつかれるんですか…？
もしかして貴方が人狼教の信者なんですか…？本当の事を言ってください…。
皆を惑わさないで…！

名乗りは…夜明けではなかったの？
ベンジャミンさんはともかく…。

俺もベンは信用ならないことをしでかした故に偽物では、とは思うが、万が一の事を考えるとどうも手が鈍る。
……困っちまうな、ほんとによ。

―――ネリーは扉にもたれかかるようにして、ソフィーの横から顔を出した―――

　･･････。難しいところですが。

　セシリア様にお尋ねします。
「ベンジャミンさんは偽者だから処刑すべきだ」とお考えでしょうか？

　ベンジャミンさんにお尋ねします。
　やや遅くなりましたが、あなたは誰を見分けるべきだと思われますか？　また、あなたが毒杯を差し出すべきだと考える方はどなたでしょうか。

ベン、セシリア…この二人が贋者だと思う人はすぐにでも名乗り出て欲しいと思いますな。
正直、この混乱で、どちらかが本物と思える状況ではありません。
さりとて、今から処刑を考えるゆとりがあるものでしょうか。

――はじめて見る、「見える者」に興味を覚え取材してみたいと、記者の血が騒いだが……場が場なので言わないで置く事にした。

とりあえず、だ。
どちらかが本物の占い師、どちらかが人狼か信者。
ベンが人狼に取って代わられてたのなら、処刑されそうになったので慌ててこういうでてきかたをしたとも考えられる。嬢ちゃんはちょっと予想がつかん。
二人のへまはこの際抜きだ。時間がない。
二人とも生かして、同じ対象を「見極め」させて、意見だけ参考にするてのはどうかね？

ごめんなさい…、ニーナお姉ちゃん…。
私、混乱しちゃって…。

ひどいねぇ、人が頑張ってなれない占いして、ぶっ倒れてたら日暮れで、出てこないからお前偽者かだと？

まあ、うさんくさいとはワシも思うよ。
じゃがね、ワシを殺したら、狼は野放しも同然じゃぞ。

ヒュー、ならば見えない者は見えないと言いだした方が良いんじゃないか？
それのほうがより明確になるのじゃないかと思うが。

お二人とも、あまりにもお話しを聞けない方々なので……信じろと言われても……でも、本物なら……あ、いえ取材は抜きにして、お話しは聞いてみたいものだなと…

名乗り出て、いいのね？ヒューバートさん。
その言葉を聞いて安心したよ。

―――静かに立ち上がると、ベンジャミンとセシリアをまっすぐ見据えた―――

本当に贋者が出るのね。
覚悟はしてたけど、すぐに二人も名乗るなんて、少し驚いた…。

―――ロザリオをテーブルの上に置き―――

見極める事のできる「目」を持つ者はあたし。
…こんな状態で言いたくなかったわ…。

そうですな、クインジー。
昨日も申し上げましたが、私には見分ける力も聞き分ける力も備わってはおりませんな。

名乗りたい方は、名乗ればいいわ。
薬を飲むことを避ける為に、どなたでも名乗ればよろしいのよ

嘘……おねえちゃんまで………。

なんと、もうひとり居ったのか・・・・

まぁ、これで出揃ったな？
四人出ることは無いだろうから言うまでもないかもしれないが、俺にも見える力はないぜ。

ちいとばかりぐだぐだになっちまったが、こればかりはしょうがねぇ。
……あとは処刑の話を進めないとな。
時間もねぇんだ。

なんともいえんな。
一人は狼か？

わたくしにも見える力はありませんわ

僕も…どっちの力も無いよ…

おそらくは１人は狼が混じっているんだろうぜ。
そして、信者もな。
厄介な事をしてくれるぜ、まったくよ。

――ケネスは、床に大の字に転がりながらぼそっとつぶやいた――
俺には「目」も「耳」もねぇ。

あたし…見るのも初めてです
ましてや、あたしにそんな力なんて

　……すこし、考える時間がほしいわ。

　もちろん、あたしは霊媒で、生きている人から狼を見分けることはできません。

――改めてネリー方を向き

ワシが一番怪しいのは、ワシも分かっていること、
じゃがワシは自身を見ることはできぬ。
見たいと思うものはな、そうじゃのぅ、オードリー氏かの。特に皆が頼りにしている人じゃからこそ、人狼なら、とんでもないことになる。

そして毒杯を差し出したい相手は、申し訳ないが、ラッセル氏じゃの。
どうも、間違った情報で人間を先導しているように見えるというか。

私も能力などないよ。
と、すまん、また出なければ。

落ち着いて、改めて処刑について考え直しましょう。
ベンの言葉には耳を貸さないという誓い通り、予定を変えずに行くのか、あるいは改めて考え直すのか。

―――ネリーの質問に俯き―――
ニーナおねえちゃんまで、名乗り出た今となっては答えようもありません…。
…私、どうすればいいのか…。

力のある可能性があるのなら、急いで薬を飲ませるのは、反対ですわね。
ベンジャミンの代わりを考えませんといけませんわね・・・
わたくしは、名乗りをした三名にどなたに薬を飲ませると考えているかお聞きしたいですわ

……三人名乗り出た以上、俺たちから本物を処刑してしまう危険は犯すべきじゃないと考えるぜ。

俺の意見は変わった、予定通り行くべきだ。
最後にニーナがでたが、彼女が狂信者であったとしても出る意味はない、人狼が信者が表へでている状況でさらに援護にでていく可能性は限りなくゼロに近い。
俺は、ニーナを本物の「目」だと信じたい。
最初の二人がそれぞれ人狼とその信者だと思う。

ニーナを信じたいけど…
他のお二人よりはずっとお話しをしているし…
でも……そんな見極めなんて、今すぐは出来ないし…

まさかこんな状態になるなんて…。

あたしから見れば、変更する必要はないよ。
ただみんなはそういう訳にも行かないんじゃない…？
名乗りを挙げた人たち以外からなら、考え直しだよ…。

―――ソファに蹲り、顔を伏せた―――

話をしているから本物だ、話をしないから偽物だというのはちと安易で性急すぎる話だ。

見極めは焦らない方がいいぜ、絶対にな。

今日は夜明けが少し遅いとは言え、夜明けまで時間もありませんな。
名乗りを挙げた３人以外から選ばざるを得ませんか…

―――オードリーの方を向き―――
私は…ベンジャミンさんです…。
３人のうち、１人が人狼でもう１人は人狼教の信者なんですよね…。
この中で振り分けるとしたら…最後に名乗ったおねえちゃんが人狼である可能性は極めて少ないと思います…。
記録通りだと、普通贋者の占い師は信者が名乗るもの…それがちゃんと機能してる状況で、人狼がみすみす危険を犯してまで出て来ないと思うんです。
だから…こんなの考えるのは辛いですけど…ニーナおねえちゃんは人狼教の信者…だと思うんです…。

あたしが言うのもなんだけど…。真偽はなかなかつかないと思う。

この力に気付いてから、こういう状態もあり得ると知って、疑われても当然だってずっと思ってた。色んな可能性があると思うから…、あたしもそれを考えるよ。

あぁ、ごめんなさいね、セシリア・・・
３名以外で考えてみていただけます？

　ベンジャミンさんは、ここに集められた早々から「占いのための呪具」について言及していたような気がします。

　セシリア様は、「力あるもののプライド」と「偽者が出たら、言い返さずにはいられないだろう」と仰り、そのように振舞われました。

　ニーナは、自分の力については何も仄めかしはしていなかったようですが。積極的に疑いにいけるかというと……。
　人狼側なら「名乗り出ない」という選択があるにもかかわらず、三人目に宣言した、という疑念もあります。

　このうちお二人は嘘をついているわけですが、皆さんどうにもお上手でいらっしゃる……

ケネスさんは…ニーナおねえちゃんに対する感情に動かされてると思います…。
霊能者がネリーさんだと断定された今…、ここで占い師として名乗らないと信者の存在意味がなくなります。
予定とは違う急な占い師の登場。だからこそニーナおねえちゃんは名乗りを上げた…私はそう思います…。
―――言いながら俯き―――

わたくしは、ニーナを信じてますの。
でも、セシリアとベンジャミンに急いで薬を飲ませても、もう一匹の人狼の手がかりは増えませんわ。
三名には、同じ方を見極めていただきたいわね

３人以外…ですか…？
……わかりません…。なんとも言えない、と言った方がいいでしょうか…。

ベンジャミンさんが、処刑を恐れた狼に見えました
でも、三人……
しかも、二番目に名乗り出たセシリアちゃんはベンジャミンさんを狼だと言う
ベンジャミンは吊りのがれの狼
セシリアは本物か人狼か見極めが付かなかった狂人
特に出てくる必要は無いと思うニーナが本物だと
一瞬思っただけに……混乱してます。

三人の誰が本物であるか、という議論は翌日に持ち越しましょう。
今日のお話で名前が挙がっていたのは、カミーラ殿とラッセル君の二人。こうした乱暴な考え方で良いものかどうかわかりませんが、どちらかを見極め、もう一方を･･･

…名乗りの順番については、名乗った時に言ったけど…一応説明しておくね。

すぐに名乗っていいのか総意を知りたかった。
あたし達は独断だけで動いてないでしょ？

みんなの判断を悪戯に引っかき回すのは厭だったよ。
だからヒューバートさんの発言を待った。

…それだけの事。

ニーナは誰に薬を飲ませると考えていますの？
ニーナの気持ちでなく、力を持ったものの役目として答えてくれないかしら・・・

手短に言う。ニーナが狼であるケースはありえない。
考えられるのは４つのケース。
ニーナが狂人で初めの二人が目か狼の２つ
ニーナが目で初めの二人が狂人か狼の２つ
狼がベンの宣言に反応して表に出てくる可能性は限りなく０に近いからさらに二つパターンが消える。
のこるのは
ニーナが狂人でセシリアが目、ベンが狼
ニーナが目でセシリアが狂人、ベンが狼
これが俺の意見の根拠だ。

　カミーラ様かラッセル様か、という選択については反対いたします。

　二人とも今ここにいません。抗弁の余地がない状態では……死に切れないでしょう。

わたくしも、ヒューバートの意見に賛成ですわ。
新たに考えるより、どちらを見極めるか、それぐらいの判断しか出来ない状況だと思いますもの

ワシから見るとな、ワシを狼だと思った？信者があわてて名乗り上げ、さらに場を混乱させようと狼も名乗りを挙げたのでは、と思っとるよ。
わざわざ狼は三番目に出てこない、そこを逆手にとってな。

……どうすればいいのかね。
まったく。
ケネス、そいつらの真偽は今は重要じゃねぇ。
あり得ないところをあえて、という手もあるんだろうからな。
あまり考える必要はねぇよ。

この３人の判断は保留ってことになるのなら、俺はカミーラを推す。これは昨夜から変わらない。

俺もいない奴を処刑するのは気が引けるが……。
起きてみたら棺桶の中じゃ報われねぇ。

でもケネスさん…。ニーナおねえちゃんが狼じゃなかったケース、有り得なくは無いと思います…。
先程どなたかが仰っていたと思うんですが…。
一見狼が出て来ないと思われるこの状況で、狼が裏をつき、狂人を切り捨てて自分こそが真の占い師だと３人目に名乗りを上げて村人にそう思い込ませる…。そういう戦法なのかもしれません…。

風に当たりに外に出ていたのですが
予想外の事態になりましたね
僕にはなんの力もありませんが
まさかこんなことなるとは…

セシィもベンジャミンさんも…
自分の身の潔白を出したいのは同じよね。

でも今は夜明けが近いから…。
薬と見極めのことを先に考えようよ。
あたしも今、考えてるから…。

今は…3人の中の誰が本物かっていう話はやめない…？見分けようが無いし本物の信頼が落ちる一方だよ…

時間があまりにありません。横暴を承知で申し上げます。
見極めはカミーラ殿を。
処刑はラッセル君を推しますよ。

うむ、そうじゃのう、こんなことで言い争っている場合ではないな。

わかった。ヒューの決定に従う。

決定に従いますわ

ラッセル君。本当に済まない･･･