人狼審問

この寂れた村……。
本当に村起こしなんて成功するのかなあ？
ま、いっか。
これでいっぱい人が来れば、あたしをここから連れ出してくれる人も来るかもしれないもんね。

[ネリーは念入りに化粧をした。]

なんかさ、童話をモチーフにテーマパークを作るらしいよ。
童話ってなんかあったっけーと思ってばあちゃんに聞いたら、「あんたは三つ編みなんだからラプンツェルにしたら」だってー。
ばあちゃん横文字喋れるなんてすごいよね。らぷんちぇる、らふんちぇ、らふれんちぇ……言えねー!!

しまった、こんな乱暴な言葉遣いしてたんじゃモテないわ。
イケメンがいつ何時現れるかわかんないんだもん、気は抜いちゃダメよね！

[ネリーはコンシーラーでそばかすを消している。]

カレシいないのにカップル用アトラクション考えちゃった時って軽く凹むよね！イエッハー！……はぁ。むなしぃ……。
そもそもこの"らぷれんちぇる"って恋愛モノじゃん？ばあちゃん何気にひでーな。

童話をモチーフにしたテーマパークを作るなんて…。

みんな一生懸命がんばってるのよね。
主に仕えるものとして、村の一員としてわたくしも何かしなくては。

…そうね、この前特売で買った石鹸が余ってるし
人魚姫にしようかしら。
泡になった人魚姫をシャボン玉で表現するの。

[ 微笑むステラの肩に銀色の小鳥がとまる ]

『余ってるものの処分だけ考えて適当に決めるのはよくないと思うのー』

主は無駄遣いを禁じているでしょう？

『それなら買いすぎはお金の無駄遣いなのよー』

シュテルさんは廃棄物になりたいのかしら？

『きゃー、虐待反対なのよー』

[ 羽をむしろうとする手から逃げ、シュテルはステラの頭上をくるくると飛び回った ]

最後は決まったから最初の場面をどうするか考えなくてはならないわね。
無駄にしないためにも教会をどう改造するか…。

『教会を勝手に改造するのはよくないのよー』

村のためです、主も理解してくれます。

『最初と最後だけ決めて中身なしになりそうな予感がするのよー…キャー、暴力反対なのよーーーーー』

[ キーキーわめき、飛び回るシュテルを無視して、ステラは内容を*考えている* ]

[企画書]
モチーフ童話：ラプンツェル
企画概要：男女1組で賞品獲得に挑む
1stステージ＞女性の髪を後ろから撮影し、ダミー写真の中から男性には恋人の髪と思われるパネルを選択してもらう。パネルの先にあるロープ（15m）を登りきると、正解の場合上にある小屋に恋人の正面からの写真と対面する。

2ndステージ＞真っ暗な小屋の中で、恋人の声を頼りに小型マイクが取り付けられた家具の中から"恋人"を見つけ出す。制限時間内に見つけられたら賞品獲得。

賞品：カメラマンによる写真撮影（ヘアメイクつき）

企画書って書くのムツカシイねー、ばあちゃん。
「小屋に対面する」って意味わかんねー。

[ネリーは修正液で「に」を消し、「で」と書いた。]

過疎に悩む村か。つまり、ロートルしかいないってことだろ？さあ、みんなボクの笛の音についてくるといいよ。極楽浄土へ……あれ？お話が違うね。

そうそう、村おこしね。村おこし。
うん。楽団か何か作るといいと思うんだよ。
噂に聞くテーマパークで成功した村まで、ツアーでもすればいいんじゃない？

アタマ使うとおなかすくよね。
昨日漬けといた烏賊下足のマリネでも食べよっと。
まさかラッキョウ酢とレッドオニオンと下足でこんなに美味しいのができるとはねー。我ながら驚き。
お酒が進むっ！あーしあわせ。ぷはー。

[ネリーは食事に*夢中になった。*]

[赤ら顔で通り過ぎる見習いメイドをぽかんと眺めていた]
目の錯覚だよな。幻覚。
*牧場に戻ろう*。

夏休みだから折角実家に帰ってきたのに、なんだか暇だなぁ。やっぱ、田舎の町って刺激が少ないよね〜。
しょうがないから、森にカブトムシでも捕りに行こうかなあ。
町で売れるかな？


……って、なんだこれ。

[ラッセルは新聞の折り込み広告を手に取った。]

「過疎撲滅!!」
「目指せネバーランド村!!」
「成功と勝利を我が手に!!」
「アナタも始めませんか？」

……何を。

ふぅん。

村おこしねぇ。
地元の人は苦慮してるんだね。

僕も暇だし、夏休みの間だけなら協力してみてもいいかな？
そうだね。


……うーん、そうか。
僕の特技のアレを上手く取り込めないかな？

わー！わー！きゃー！きゃー！

[ウェンディは元気に走りまわっている。]

[ローズマリーは木陰でよく冷えたサングリアを楽しんでいる]

こんな暑い日は飲まないとやってられないわー
酒場も毎日飲んだくれどもで賑わってるもんねー

んんー…これは何だろ？

ふぅーん…童話で村おこしかあ。面白いかも。
そういえば、この前読んだ異国の御伽噺、面白かったわね。
……あれなんてどうかしら？

竹藪もなぜかあるし、あそこを使わせて貰えればいいわよね。
えっと？『企画書』を書かないといけないわけね？

[トビーは牧場で月明かりの下考えている。]

ギター弾きはロバの着ぐるみ。
速弾きとかムリそうだな。せめてライトハンド奏法ぐらいはマスターして欲しいけど……。
ドラムは犬。何犬なんだろ？
手数が多くて派手な方が受けるよな。ツーバス必須。
キーボードはネコ。
猫踏んじゃったしか弾けなかったら、物が飛んできそうだ。サティーのように気ままでも困るな。楽団には協調性が必要だからな。
ベース兼ボーカルはニワトリ。
絞り出すようなハイトーンが望ましい。きれいなロンゲ必須。GIカットとかだとギターで殴られるに違いない。

【楽団員募集】
村興しの為に一肌脱ごう！
年齢性別不問。プロ志向。練習スタジオ完備。
ハイテクコミックバンドでスターを目指そう！！

完璧なマネージメントとプロモーションで、楽団をサポート！
村の時代を切り開くのは、キミだ！

ベタなアオリだな。まっいいか。
ボクの天才的な手腕で一躍スターダムにのしあげてやるよ。ふふっ。

[なにやら呟きながら、集会所には入らずに立ち去ろうとした。]

おっと、いけない。肝心なことを書き忘れてたよ。

「お問い合わせ先は、牧場のトビーまで。」

これで完璧だな。長者番付に乗る日も近い。

[今度こそ*立ち去った*。]

ふぅん。

ここでテーマパークについての集会が行われている訳ね。

でも、誰も居ないみたいだね。
さて、僕はどうしようかな。一応、テーマパークの出し物は考えてみたけど……。

……ハイテクコミックバンド？


ええと。
つまり、シンセとか打ち込み駆使しまくった、有名バンドのパロディなんかもやっちゃうバンドってこと？

楽器かぁ。
僕も一応、演奏出来なくもないけど……。
この村の牧場ってどこだっけ。久々に帰ってきたから覚えてないや。

あ、一応これ……。

[ラッセルは丸めて持ってきていたチラシの裏を、皺を伸ばすように広げた。]

僕が考えたのは【ふくろうの染物屋さん】だったりするんだ。
色絵の具の入った壷を、沢山並べて置くんだよ。
遊びに来た人たちは、入り口で真っ白いＴシャツを受け取るの。で、思い思いに、色絵の具を使ってＴシャツを染めるの。

もちろん、塗るのが苦手な人は僕に言ってくれれば上手く塗るよ。

こんなの、どうかなぁ？
ダメかなあ？
面白みに欠けるかなぁ？


うーん。


[チラシの裏に、複数の壷が置かれた絵が描いてある。]

うーん。

悩むけど取り敢えず今日は戻ろう。

あー夕食も美味しかった！
十穀米は身体にもいいし、何よりお酒が進むわよね！

[ネリーはほんのり赤く染まった頬に笑みを浮かべて升を呷った。]

あら、貼り紙があるわ。

はいてくこみっくばんど…？

なにかしらわからないけど面白そう。
パイプオルガンしか弾けないけれど役に立てるかしら。

『自分の企画書もできてないのになにしようとしてるのよー』

企画書…きっと主がお手伝いしてくださいますわ。

[ あらぬ方向を見つめている ]

『神様が企画書かいてくれることなんてないのよー』

主は迷えるものすべてを救ってくださいますもの。

- 集会所　村長のデスク -

なんだ、企画書提出してンのあたしだけ？
なっさけないなーみんな。こーゆーのはちゃちゃっとやっちゃわないと！
村長ってばいないのね。ハンコもらわないと着工できないんでしょー。めんどくさいけどここで待つよー。

[ネリーはふかふかのソファに腰掛けた。]

ふゎ……眠くなってきちゃった……。

『いつまで祈ってても何もできないのよー』

仕方がありません…。

[ ステラは企画書に「モチーフ童話人魚姫・シャボン玉使用・他鋭意考慮中」と書きなぐった ]

村長は優しい方ですから、これで認めてくださるでしょう。

後日きちんとした企画を提出すればいいのよ。

『ちゃんと提出するのよー』

うるさいわね。

『キャー鷲掴みはイヤー』

ネリーさんが眠ってらっしゃる。

[ じっと寝顔を覗き込み震える ]

だめ…だめよ…落書きしたいのは我慢しなくちゃ…

[ 衝動を抑えるためにネリーの上に顔を隠すように毛布をかぶせた ]

ふぅ、寝顔が見えなければペンを取り出したくなりません。

では村長、お願いしますね…っていらっしゃらないわ。

提出だけしていきましょう。

[ 書きなぐりの企画書を村長の机に置く ]

ではシュテル、帰りましょう。

『帰ってちゃんと企画書を完成させるのよー』

[ キーキーわめく声を聞き流して教会へと*帰っていった* ]

走ってたら汗かいちゃった。
お風呂に入って、珠のお肌を綺麗にしてから、集会所に行ってみようっと。

[ウェンディはお風呂に向かった。]

[...は村の入り口にふらふらとやってきた]

何年ぶりだろうな、ここに戻ってくんのはよ。
だがまあ、ここまで来ればしばらくはのんびりできるだろうさ。

[大通りを歩く途中、チラシのようなものを見つける。拾い上げて目を通した]

何だこりゃ。しまったな。こんなんで成功するとはおもわねぇが、ちとやっかいだぜ。
しばらくはどこかに身を隠すか。

[人通りの少ない細い道に入ると、潰れかけた家のドアを叩く。中からの返事がないのを確認して、やや乱暴にドアを開けた]

ちと埃臭いが、死にゃしないだろ。

[窓を少しだけ開けて、奥の部屋に入る。1cmくらい埃の積もったマットレスを見つけて上をはたくと、その上にボロ布を被せて寝転がった]

久々にはるばる遠い街から帰ってきたわけだが…
こんなに寂れた村が我が故郷？

我ながら信じられん。
うん、無理。

記憶では、もうちょっとマシな村だったはずだが。

ま、子供の頃の記憶だし。
知らぬ間に美化していたと言われれば、そりゃ否定できないがね。

ふわわ……お風呂に入ってすっきりしたら、眠くなってきちゃったよ。
集会所は、また明日行こうっと。

[ウェンディはベッドにダイブした。]

なになに？

『過疎撲滅!!』
『目指せネバーランド村!!』
『成功と勝利を我が手に!!』
『アナタも始めませんか？』

…ママン。貴女が言っていたのは、これのことですか？
私もよくよく運のない男だな。

ん……あたしの王子様……。

[無意識の内にネリーの唇は心なしか前に突き出ていた。あたかも、*キスを強請るかのように。*]

まあいい。
企画書とやらは、明日にでも出すことにしよう。

今夜くらいは、熱い風呂と柔らかいベッドで、長旅の疲れを癒してもバチは当たらんだろ。
横に美女がいないのが、ちと残念だが。
そこは、目をつぶるしかないのだろうね。

ま、今日のところは、お前に代わりを務めさせるか。
一人寝のベッドほど、寒々しいものはないからね。
あーやだやだ。

せめて、安らかな眠りを導くための、寝酒くらいはあってくれよぉぉぉ、っと。

[...は、スーツケースを引きずりつつ宿へと*歩き始めた*]

ふぁ、あ、ああああああああ。


[大きく欠伸をして、草むらに寝転がったままの身体を認識する。]


…雲が流れてるな。


[月明かりに、雲が舞う。
それは果てしなく美しく、儚さすら覚えない。]


…いいか。


[…もうここで、眠ってしまっても。

目を瞑る。

次に目を開ければ、明日がやって来るはずだ。
少なくとも、そう自分は信じていて、それで十分なのだ。]

[いつもと変わらない朝。
グレンは何気なく新聞の折り込み広告を見ていた。
が、ふとその中の一枚に目を留める。]


「過疎撲滅!!」
「目指せネバーランド村!!」
「成功と勝利を我が手に!!」
「アナタも始めませんか？」


あー……なんだこれ？