人狼審問

また、守護聖が発ったか……。

[クラヴィスは私邸の窓から空を見上げる。
昨日はマルセルのところでお茶を飲んだ後、挨拶もそこそこに帰ってきたが、守護聖たちの招集も気になり、昨日は眠りが浅かったようだ。]

……。

[若干の気だるさを感じつつ空を見つめた後、クラヴィスは*身支度を整え始めた。*]

−　朝の執務室　−

皆の者おはよう。
それでは、まず昨日の報告をせよ。

[侍従をあつめて朝礼を行っている。]

ううむ。
いくら好物だとはいえ、さすがに毎日テリーヌを食していると、たまには違った味のものも食べたくなるな。

[ジュリアスは、明日から、テリーヌの材料や味付けを少し変えてみるように、料理人に伝えた。]

それにしても、今日の日差しも強すぎるな。
……こう言う日はあまり執務を進める気にもならん……
少し休むか。

[クラヴィスは執務室を出て、日の光をしのげるテラスでくつろいでいる。]

それにしても、今日はよい天気だ。
空に曇りもなく、陽の光がまぶしい。
こうも快晴だと、心にまで力がみなぎってくるようだな。

[ジュリアスは空を見上げている。]

やれやれ、こう言う日にもあいつは満面の爽やかさを放っているのだろうな……。

[あまり思い出したくない顔を思い出し、クラヴィスはふうと息をついた。]

―自室―

[昨日はマルセルがロザリアとの散歩からに戻って来た後で、豊かさのサクリアをお願いした。快く引き受けてもらい、お茶飲み干すとマルセルの執務室をあとにして一日を終えた。]

[朝の光を浴びて目を覚ますと、身支度を始めた。着替え終わったところで、ドアがノックされる。]

はーい。

[従者から、ゼフェルとリュミエールまでもが女王に呼ばれた事を聞いた。]

そ、そう……ありがとう。

リュミエール様……。

[いつもならキラキラと差し込む朝の光が、何故か急に色を失ったように思えた。]

【ううん、また逢えますよね。でも…この気持ちは…なんだろう……。】

[何度もサクリアをお願いしに訪ねた水の執務室にリュミエールの姿が無いと想像すると、無性に寂しさを感じた。]

−　執務室　−

[山積みの書類を前にデスクワークをしているが、何の気なしに外を見てしまう。]

ううむ。こんな日に馬ででかければさぞ気持ちがいいだろうな……。

そうだ。

こんないい天気の日なら、きっと執務を放り投げて遊び歩いている守護聖もいるに違いない。
少し、見回りをしたほうがよいだろう。

しばらく馬にも乗っていないしな。
たまには、面倒を見てやらないといけない。
これも守護聖の努めだ。

[ジュリアスは、仕事の手を休めて、うきうきと聖殿の厩に向かった。
　手綱を取って愛馬にまたがる、颯爽と聖殿を飛び出し、飛空都市をうろうろ散歩に出かけた。]

ハイヨーッ！

日差しはだいぶ落ち着いてきたようだが、何か嫌な予感がするな……。
そろそろ戻るべきか……？

−　テラス　−

[クラヴィスの執務室の外、テラスで休んでいるクラヴィスの姿を見つけ、爽やかに声をかける。]

おや、クラヴィス。
こんなところで暗い顔をして一体どうしたのだ。
何か思い悩むことでもあるのか。

[予感が当たった、とクラヴィスは思った。
悩ましい事に昔からこう言う勘だけははずさないのだ。]

……今まさに思い悩む事が出来た所だよ、ジュリアス。
お前は相変わらず、押しの強い爽やさをはなっているようだな。

ふむ、何を悩んでいるのかはよくわからぬが、昼間からそう暗い顔をするな。
だいたい、いつもいつも穴蔵のような部屋にこもっているのは不健康だぞ。

どうだ、たまには乗馬訓練にでもつきあわぬか。

[珍しく、クラヴィスに誘いの声をかける]

[嫌悪しているわけではない無い……だが苦手だ……
クラヴィスは心の底からそう思う。]

過剰な健康さこそ私には不健康に見えてくるのだがな……。
乗馬か……柄では無いな。

[クラヴィスはふと考えて、話題変えるべく口に出す。]

まあ、乗馬はともかく……だ、お前は今回の女王候補選び、どちらが有能と見てるのだ？

女王候補、アンジェリークとロザリアだな。

有能か無能かで言えば、ロザリアであろうな。
生まれも育ちも良い誇り高き娘であり、才気と優しさの両方を持ち合わせている。
フェリシアの育成のほうも順調だな。

アンジェリークのほうは、どうにも庶民出身ということもあり、不安定な部分が見受けられる。
言い換えれば、少し危なっかしい部分が多いのだ。

ただ、二人とも未完成な部分も多い。
試験が終わるまでにどのように成長するかが鍵だな。
有能な人物が女王になるとは限らぬ。

ロザリアの方か……まあ悪くは無いと私も思う。
フ……お前がロザリアを推すなら私はアンジェを推そうか……
などと決めれたら良いのだが、私は少し判断に悩んでいる。
アンジェの不安定さが、面白くみえる部分もあるのでな。
まあ、確かに２人が未完成と言うのには同意だ……

[これは本心ではあるが、今はジュリアスの真面目さを利用し、乗馬から話題をそらすのが主目的だ。
今のところそれは上手くいきつつあった。]

女王選びは遊びではないのだ。
そのようないい加減な基準で選んで貰っては困る。

それはともかく、乗馬訓練には行かぬのか。

[いよいよ去ろうとするその瞬間、話を蒸し返されてしまった……とクラヴィスは思った。
普通に見れば、気ののらないそぶりをしてるのは解りそうなものだが、ジュリアスはまっすぐで、あまり人の気持は読まない傾向にある。自分がやっている事への揺ぎ無い自信が、そうさせるのだろうか。]

まあ、だからこそ束ね役なのだろうが……これはもう素直に乗った方が楽かも知れんな……。

[クラヴィスは聞こえぬようにそうつぶやくと、「解った、行くか……」とジュリアスに答えた。]

そなたも守護聖の一人であるのだから、くれぐれも真摯な態度で女王試験に臨んでくれ。

それでは、準備ができたら出かけるとしよう。
まずは、庭園の噴水の方から森を回った後、飛空都市を早駆けで一周して、それから……
[ハードな訓練を提案する。]

[私は私なりに真摯だ、と言いかけて、ジュリアスの提案に絶句する。]

……まるで天まで駆けて行きそうな勢いだな、ジュリアス……
一体どこまで走らせようというのだ……。

[クラヴィスは、楽かもしれないなどと思った自分を後悔していた。]

なに。
いつも、暗い部屋に引きこもっているからそんな風になるのだ。
乗馬はいいぞ。身も心も癒される。

そして、そなたは私が不在のときには、守護聖の首座を務める必要があるのだ。
常に飛空都市の状況を知るように努め、秩序を保つ義務があるのだ。

さぁ、行くぞ。無理をしないようついてまいれ。

[クラヴィスはジュリアスについて馬を走らせる。
ふと、リュミエールあたりが、これを見たらどんな顔をするだろうか……と考えた。
いや、リュミエールはさも楽しそうに微笑むだけだろうが、遠慮のないオリヴィエあたりが見たら指を差して笑うかもしれない。
まったく、稀有な事だよ……と、思わずクラヴィスはつぶやいた。]

[時たま、ジュリアスが爽やかな笑顔で「大丈夫か？しっかりついてくるのだぞ」と振り返っている。
輝くような白い歯がまたわずらわしい。]

この男は、なぜこうも無駄に楽しそうなのだろうか……
あいつの飲んでいる紅茶には、何か精神を昂ぶらせるような禁制の葉でも混じっているのかも知れんな……

[クラヴィスはそう言うと、馬に鞭を入れた。]

[数十分後―
過剰な乗馬訓練を終え、ジュリアスと別れたクラヴィスは再びテラスへと戻ってきた。]

……私は確か休憩をしていたはずなのだがな……
なぜこうも疲れきっていなければならんのだ……

[クラヴィスは、もうこのテラスでは休むまいと*心に決めた。*]

[クラヴィスが部屋に戻ったあと、ジュリアスは一人呟いた]

ふむ、クラヴィスが乗馬訓練につきあうとは、思ってもみなかったが、声をかけてみるものだな。

皆は、私とクラヴィスについて、もっぱら相性が悪いとか、いつも対立しているなどと噂しているようだが。
クラヴィスも意外と近づいてみれば、見所のある人物だったのかもしれんな。
今まで、誤解していたようだ。

クラヴィスは確かに、根暗で怠惰で性格に問題があるのは確かだ。
だが、無気力なところと嫌味が多いところさえなんとかすれば、そう悪いところばかりの守護聖というわけではない。

あとは、執務に対してもっと積極的な態度になり、早朝の会議に遅れてくるようなことが減れば、申し分ないのだがな。

さて、訓練も終わったことであるし、散歩の続きにでかけよう。
さぁ、行くぞ。

[愛馬の腹を軽く蹴ると馬は早足で駆けだした。
　ジュリアスは機嫌よく、どこかへ出かけていった]

―私邸・温室―

[マルセルはロザリアにもらったフェリシアの花の種を植えている]

ふふっ、昨日は楽しかったな。
ロザリア温室楽しんでくれたし。

よし、お花さん、元気に育つんだよ。

[ネームプレートを挿して満足そうに微笑む。]

ゼフェルとリュミエール様もいっちゃったのか。
そんなに大変なんだね。

温室はこれでいいでしょう、鉢植えも作ったでしょう。
鉢は執務室に置いておけばいいよね。
ロザリアも生育状況が見れるもの。

[服の土を払い落とし、鉢を手に持つ。]

―執務室―

[机の上に、扉を開ければすぐに見えるように鉢を置く。]

そういえばアンジェにサクリア頼まれていたんだった。

エリューシオンに緑の豊かさが満ちるように。

エリューシオンの花もいつかもらえたらうれしいな。
きっとアンジェみたいに元気でかわいい花が咲くだろうから。

フェリシアの花…早く咲かないかな。

―執務室―

[自室にて、フェリシアとエリューシオンの育成記録を読んでいる。文面をゆっくりと視線で追うその姿は、もういつも通りの落ち着きを取り戻していた。

昨日発ったリュミエールならば、安心して女王様のことを任せられる……自分は余計なことを考える必要なく、こちらのことに専念できる]

……とはいえ、ゼフェルまで発ったのは予想外だったんですが。

[ふと鋼の守護聖の顔を思い出し、ルヴァは育成記録から顔を上げ数秒、沈黙する。
そして、様々な感情が織り交ざって、どう表していいのか分からないのだろうか。困ったような顔でどこへともなく、虚空へと呟いた]

[ランディは自分の執務室を出ると、火の執務室へと向かった。ドアをノックすると、女性が出てきてオスカーの不在を告げる]

オスカー様はどこへ行かれたんだろう。今日こそ剣の稽古をつけてもらいたかったんだけど。
仕方ない、公園にでも行ってみよう。
今日からリュミエール様とゼフェルも行ってしまったからな…俺もしっかりしないと。

―自室―

[鏡を見ると少し目が赤い。]

こんな時、ディア様ならどうしたらいいか打ち明けられたのかな。
ロザリアに言うのも恥ずかしいし・・・。

[机に座り、エリューシオンのみんなの事を考えている。]

【夢の力を持つオリヴィエ様とお話してみようかな。】

[夢の力が希望に繋がることを、エリューシオンのみんなを見てて思い出した。]

―オリヴィエの執務室―

［オリヴィエは、自分の爪をじーっと眺めている。］

―夢のオリヴィエの執務室―

【……来ちゃったけど、なんだか心臓が爆発しそう。】

[…は、恐る恐る扉をノックして部屋に入った。]

こんにちは。

［オリヴィエはドアがノックされる音を聴いた。］

ハァイ♪
アンジェリークじゃないか。
久しぶりに来てくれたね。

［オリヴィエは、アンジェリークの目が赤くなっていることに気付いた］

………どうしたんだい？
目が、随分と赤いけれど。

え！？

[慌てて目を擦った。]

ええと……その……。

［オリヴィエはアンジェリークをじーっと見ている。］

寝不足……でもなさそうだねェ。

ひょっとして……オスカーと何かあったのかい？

[オスカーの名前に、何故か鼓動が早くなった。]

？！

えっと……何も……無いです。

[午前中はルヴァから借りた読書の時間にあてゆったりとした時を過ごした
　風通しのよい屋内には蓄音機からながれる美しい音色が共にあった]

こんなにゆったりしたのは聖地に来て以来かしら。
たまにはいいものね。
このところずっと育成育成…で気が張っていたから…

[本を置き、蓄音機の傍にいき手でそっと撫でる]

こんなにゆったりした時間の大切さを教えてくださったのはオリヴィエ様だわ。
頑張りすぎず、他と比較せず、自分の未来のために…笑顔のために最善を尽くす。
そしてそのことが自信につながり、笑顔と優しさを生み出すのね。

[小さいノックの音に続き宮殿からの使者が旅立った守護聖の名を告げた]

そう…リュミエール様とゼフェル様まで…
陛下のお召しとはいえ、一体どれほどの危機が迫っているのかしら。

リュミエール様の優しいお姿とハープの音は暫く聞くことができないのね…
そしてゼフェル様。
ぶっきらぼうなところもあったけれど、きちんと求めに応じて職務を果たしていらっしゃったわ。
もっと…お話をしておけばよかったわね。

……そう？
［オリヴィエはわざとにこりと微笑んだ。］

てっきり、そういうコトかと思ったよ。野暮なコト聞いちゃって、ごめんねー。

［オリヴィエはひらひらと手を振った後、改めて笑顔を作って話を始めた。］

じゃあ、今日はどういう用かな？アンジェリーク。

【ここでリュミエール様の事を言うのは……変だよね……。】

はい、実は……オリヴィエ様にサクリアのお願いに来ました。
どうかエリューシオンのみんなに、夢と希望を。
前を向いて歩く力を分けてあげて欲しいのです。

【みんな、の中に私も入るよね。】

[ぎこちなく微笑むと、お辞儀をした。]

−　公園　−

[通りすがりに、顔を知った聖殿で働く女性がいたため、声をかける]

すまぬが、守護聖のオスカーを見ておらぬか。
ふうむ、今日は姿を見ていない。

そうか、久しぶりにチェスの相手でも頼もうかと思っていたのだが。

オーケー。わかった。
私も最近のエリューシオンがちょっと心配だったんだ。炎や鋼のサクリアが強く働いてて、リュミエールの水のサクリア……「優しさ」の力が妙に弱くなってる気がしたんだ。

でも大丈夫。私の夢のサクリアを送れば、少しは民に余裕もできて、みんなリュミエールの力……「優しさ」を感じ取ってくれるだろうからね♪

ルヴァ様はゼフェル様のことをとても気にかけておいでだったから、気落ちされていらっしゃるようなことがなければいいのだけれど…
サクリアのお願いも兼ねてお邪魔しようかしら？

[読みかけの本に栞を挟むとルヴァの執務室へと向かった]

ありがとうございます♪
エリューシオンのみんなが益々笑顔になるかと思うと、今から嬉くてたまりませんわ。

[ペコリとお辞儀をしたが、リュミエールの名前に心が寂しくなるのを感じた。]

【ああ……私はきっと、リュミエール様の優しさに甘えていただけなのでしょうか……。
でも、そう考えるのは……なんだか寂しいな……。】

【なーんかアンジェリークは抱えてそうなんだよねぇ……。まあ、あんまり話したくないみたいだけど。

　無理に聞くのも野暮かな？……それとも、きちんと順を追って聞くべきか……】

[顔を上げたときには、いつもの笑顔でオリヴィエに微笑んだ。]

またお話しに来てもいいですか？

［オリヴィエは、アンジェリークに微笑んだ］

もちろん。また遊びにおいで。
育成の話でも、フツーの話でも、何でもいいからさ♪
他の守護聖の話でも、キレイな女のコになるためのアドバイスでもね♪

［オリヴィエは、アンジェリークにウィンクした。］

【これは……無理に聞き出さない方が賢明……かな。今アンジェリークから悩みを引っ張りだして落ち込んじゃったら、エリューシオンがまたしばらく落ち着かなくなっちゃいそうだねェ……。アンジェリークは、ただでさえロザリアよりも状況に左右されやすいコだから。】

─ルヴァの執務室─

ルヴァ様、失礼致します。

「あー、ロザリア、こんにちは
　ようこそお越しくださいました」

[いつも通りを装う声でルヴァは答えたがその表情はどことなく暗いものであった]

ルヴァ様…　大丈夫…ですか？
お顔の色が少し悪いようですけれど…

「あー…心配をお掛けしてしまってすみません。
　昨夜は面白い本が届いたものでつい…」

[自分を気遣って下手な嘘をつくルヴァを寂しく思った]

そう…ですの。あまりご無理はしないでくださいね。
陛下のお召しで聖地を離れられる守護聖様もいらっしゃる時ですから…

「あー…そうですね。ええ…気をつけますよ。
　ご忠告ありがとう、ロザリア」

差し出たことを申し上げてしまってすみません…

あの………ルヴァ様。
皆様、陛下のお召しでの急なご不在なのです。
ルヴァ様があまりお気を落とされると、陛下もゼフェル様も悲しまれますわ。
ですから…　

[それ以上は言う必要を感じず、微笑みながらルヴァを見詰めた]

ルヴァ様、お疲れのところ恐縮なのですが、フェリシアにサクリアを贈っていただけますか？
豊かな実りと美しい未来を描く民が多いエリューシオンですがそのためには知恵と賢さが必要ですもの。
どうぞよろしくお願いいたします。

[お願いをすると執務室を辞した]

【綺麗な女の子かぁ……。】

[廊下の窓に映る自分を見て、ため息をついた。]

オリヴィエ様って、綺麗だな。

[廊下を歩くジュリアスに気づいた。]

こんにちはジュリアス様。

[お辞儀をすると、上目使いで様子を窺っている。]

[廊下にたたずむアンジェリークの姿を見つけ、声をかける]

ほう、アンジェリーク。偶然だな。
浮かぬ顔をして、どうかしたのか。

［オリヴィエは、顔を赤くして走り去るアンジェリークにひらひらと手を振った。］

またね、アンジェリーク♪

［そして、アンジェリークの姿が見えなくなると、足を組み替えながら、微かに思案の表情を見せた。］

【……なんなんだろうねぇ。オスカーの話を振ると妙に焦るのはいつものコトだけど、リュミエールの話を振ってあんなに動揺するのは……】

［椅子から立ち上がり、華美な服の裾をそっと整えた。］

【リュミエールのこと……かな。】

［オリヴィエはぽつりと心の中で呟くと、王立研究院へと向かった…］

ええと、オリヴィエ様に……

[一瞬しまったと言う顔をした。]

エリューシオンのみんなが夢の力を求めていたので、サクリアのお願いに伺ったところでした。

[マルセルの事も心配になり執務室へと向かった]

マルセル様、いらっしゃいますか？

[緑の補佐官がマルセルの不在を告げた]

そう…お会いできなくて残念そうだったと伝えて頂けるかしら。

あら…？これは…？
マルセル様にお渡ししたフェリシアの花のようね。
かわいらしいプレートがついているわ。

ふふ…大切にして貰ってよかったわね。
早く花を咲かせてみせてね。

[鉢植えに目をとめ、鉢に語りかけた]

[アンジェに]

そうか。
試験のほうは上手くいっているのか。

お前は選ばれた女王候補なのだ。
そのことにもっと自信と誇りを持ってよいぞ。

ジュリアス様も公園にいらしてたのか…

オスカー様は見当たらないし…そろそろ運動でも始めよう。

ふむ、オリヴィエがどうしたのだ？

あれが、また下らぬ遊びにでもお前を誘おうとでもしたのか。

【誇り、自信……。】

[意を決したようにジュリアスに向った。]

ジュリアス様。
実は私……リュミエール様の優しさに甘えすぎていたのかもしれません。
そんなリュミエール様が女王様の元に行かれて、少し自信を無くしていました。

でも、ジュリアス様に今日お会いできて、やらねばならない事を再確認できたと思います。
どうか、ジュリアス様の誇りと自信を、エリューシオンに分け与えていただけないでしょうか。

―王立研究院・最深部―

さーてと、今日はエリューシオンに夢のサクリアを送ってあげないとね。

エリューシオンの民に、夢を見る力を。強さと向上心に溢れたかの地に、一時の美しき幻想を。

私の夢のサクリアで、「みんなが」希望を抱けるようにね♪

アンジェリークのために、とびっきり美しい夢を贈っちゃおう♪

［オリヴィエは、エリューシオンに投げキッスをした。唇と指先の間から妖艶な色のサクリアがこぼれ、かの地へと降り注いだ。］

いえ、オリヴィエ様にも励まされてきました。

[ぎこちなく微笑みを返した。]

［オリヴィエは仕事を終えると、*王立研究院を後にした*］

[アンジェに]

ふむ、我が輝ける誇りのサクリアをエリューシオンに贈ればよいのだな。
よきに計らおう。

しかし、それはそれとして。
お前の悩みはそれだけではないように見える。
何かあるなら申してみよ。力になれるやもしれん。

【女王試験の最中に気になる人がいると言ったら、きっとジュリアス様は気分を害してしまうわね。】

ええと……その……。
ロザリアを見てると、なんだか私には足りない事が多すぎて……。

冒険家 ナサニエル

そのようなことでは女王候補は務まらぬぞ。
もっとしっかりして貰わねば困る。

競争相手が気になるのは仕方ないが、ロザリアと比較して、自分の足らぬところを気にしてばかりいると、逆にお前がロザリアに勝っているところが自分から見えなくなってしまうだろう。

自分の短所を恥じて下を向くのではなく、自分の武器となる長所を自覚することから始めよ。

はいっ。もっともっと頑張ります。

[表情を引き締めてお辞儀をしてから、何かに気づいたように満面の笑みを浮かべた。]

ありがとうございますジュリアス様♪

【厳しさも、きっと優しさの一つなのね。】

またお話に伺わせて下さい♪

あとは、余計な世話かもしれぬが。
他の守護聖との関係について悩みがあるのであれば占いの館に行くとよい。

そこにサラという占い師がいる。相談事をしてみるのもよかろう。

そこでラブラブフラッシュだ。

[一瞬ギクリとしたが、今はその想いを振り払うことにした。]

サラ様ですね？
わかりました。
エリューシオンのみんなに、心配そうな顔は見せられないですものね♪

【ジュリアス様とクラヴィス様に、ラブラブフラッシュでもお願いしてみようかしら。うふふ♪】

しかし、お前は女王候補なのだ。
そのことをゆめゆめ忘れるでないぞ。

では、私はそろそろ行く。
それではまたな。

はいっ、頑張ります♪

[ペコリとお辞儀をすると*折角なので占いの館に行く事にした*]

[空を見上げ、念じる]

輝ける光のサクリア。
誇りの力をエリューシオンの民へ届けよ。

-王立研究院-

……ふむ。金の髪のお嬢ちゃんはがんばっているようだな。ここの所のエリューシオンの発達は目に見えて良い。

…案外良い女王になれるかもしれないな。

お譲ちゃんに統べられる宇宙はきっと幸せだろうよ。

…それは俺が実感しているからな。

［抜き身の大剣にサクリアを込める。剣が赤く燃え上がる。］

エリューシオンに炎の強さを。
どんな困難にも負けず、突き進んで行けるように。

［剣を振りかざす。赤く燃えるサクリアが、天に向かって飛んでいった。］

-私邸-

……ああ、それはこっちに、それはここでいい。
すまんな、それじゃ、留守の間よろしく頼むぜ。

［執事風の初老の男性に指示をして、身支度をする。］

…そうそう。これを届けておいてくれ。
金の髪のお譲ちゃんの所に。

［小さな白い花がいくつか咲いている鉢植えを、手渡す。］

…ん?直接手渡さないのかって?
……やめておくぜ。

さらっていってしまいそうだからな。