流れ者 ギルバート ─西部、街─ 悪ぃね。こんなんまで貰っちゃってさ。 [中に鉄板を巻いたバンダナを頭に締めて、蕩けるような笑顔を振りまく。 火傷の痕はほぼ消え、今は「おばちゃん」から貰った衣服を身に着けている。 いかなる心境かは定かでないが、「おばちゃん」はあれから、仕入れた「肉」から剥ぎ取って保管していた衣服や装備を、この男に渡して着せたのだった。 蹴り足の動作を数度素早く繰り出し、新しく履いた安全靴の様子を見る。 す、と構えを解き、] ・・・・・ん。 じゃ、行って来っから。 元気で。 [何の衒いもなく「おばちゃん」の頬にキス。 あっけに取られて頬を染めたのを見ることもなく、旋風と化して疾走。] | |
(1)2006/06/20 23:48:14 |
お嬢様 ヘンリエッタ [ずるりと腕を引き抜く。 手の中に残る肉片を食み 薔薇色の唇は細い指をゆっくりと飲み込み ぬらりと抜き出す。] こんなに美味しいのに… 残念ね、残念だわ、残念よ。 …せめてもの手向けよ… [くるり反転した日傘より舞い踊る花弁は 緩むリボンの隙間から其の内側へと滑り込む。 女の肢体を包むリボンの間から どろりだらりぬらり 溢れる血が溜まって薫りが辺りを包む。 男の声に細い柳眉を微かに寄せて向き直る。] 私から薔薇色との約束を奪い、愛を囁く時間を奪うなんて… 意地悪ね、意地悪だわ、意地悪よ。 其の上名も名乗らずに尋ねるなんて、礼儀知らずなのね。 私はヘンリエッタ。 | |
(12)2006/06/21 01:35:31 |
墓守 ユージーン あぁあぁ。 これだから何も知らない子供は性質が悪い。 誰だったっけねぇ。 誰かが言ってたっけねぇ。 子供は躾が肝心だ。子供は獣とおんなじだ。躾けられて人間に。なるって話だったかね。 あぁあぁ、全く愛なんて。簡単に言っちゃいけねぇや。 この人はね、ご主人様とやらに全てを捧げてらっしゃるのさ。 だから、ヘンリエッタのような餓鬼。 愛し合うなど、無駄も無駄。 あり得ないったらありゃしねぇ。 こいつはホント、笑えるねぇ。 何せ、ご主人様に会う為にゃ、自分を殺せと死を望む。それくらい潔いったら、いい方だ。 エッタのような餓鬼にゃ、何年経っても絶対に。何十年と何百年、経っても愛し合えっこねぇ。 ハハハ!見えてないお子様は、駄目だなぁ。 [少女の怒りの炎に油を注ぐように、ケラケラと哂う。] | |
(15)2006/06/21 02:02:46 |
墓守 ユージーン はぁ? [直線的に詰める行動は、動きは単純。] [一瞬、「消えた」と思えた瞬間に、仕込み刀を右の刀で受ける。日傘を振るう時にはスピードが緩い。地面の下に下げていた左の刀で日傘を打ち払った。] ハハ。 馬鹿だなぁ。エッタエッタ、ヘンリエッタ。 [嘲笑う。この上なく。] 俺が死ぬかねぇ?あぁ、途中で死ぬかもしれねぇ。 じゃあ、エッタが先に殺せばいい。俺以外の奴をねぇ。 それに、俺が死ぬかねぇ? こんな目の前に、とても愉しい愉しい奴がいる。 死ぬわきゃないねぇ。 ハハハハハ! 愉しみは復讐は殺意は、伸ばせば伸ばす程、甘美だ。 [ヘンリエッタの喉に向け、突き。だがそれはフェイント。喉元で垂直に方向転換。顎を抉り眸を*襲おうとした。*] | |
(20)2006/06/21 03:13:49 |
お嬢様 ヘンリエッタ [耳障りな嗤い声に冷たい視線を注ぐも 其の言葉に小さく溜息を漏らし柳眉を寄せ呟く。] 本当に…あんなに美味しいご馳走はもう居ないかも知れない… もっともっとゆっくり味わえば良かった。 [薔薇色の唇が細い指の小さな爪を噛み脳裏を過ぎるは漆黒の羽根を持つ女。] 愛のない殺し合いに興味はないわ。 でもジーンの言う事は少しだけ正しいのかも知れない… [顔をあげれば喉元に走る刃に身を翻すも 見越したように大きな瞳に迫る。 仕込み刀を持つ手を添えて日傘の柄で受け流す。 ――パチン…… 仕込み刀を仕舞いくるりと回し開く。] ジーンを殺すのは他の誰でもなくこの私よ、何があっても生き延びなさい。 [踵を返しくるくると日傘を弄びながら深紅の少女は*全てを殺しに行った*] | |
(21)2006/06/21 04:05:22 |
墓守 ユージーン ─地底湖─ あぁ。 本当にいい子だなぁ。 [暫くヘンリエッタを見送り。喉を鳴らして笑み零す。] 申し訳ねぇや。 一応は、生かすと決めたのに。 心の臓を抉られて。体までこの有様。 [エッタのいう「愛」とやらの花弁で切り刻まれた赫い海に浮く白い裸体に眸を送り。屈み込む。続いて傍らの鞄へと視線を送った。] あぁ、坊やとやらを守ろうとしたんだねぇ。 坊や坊や。ママがいなくて。哀しいかい。哀しいかい。 [一息つき、リボンを手にとってみるも反応はない。] [黒い鞄へと声かけつ、男物のシャツの下、心臓があった穴をリボンで覆ってみる。創だらけのマリーの全身を覆ってみる。剥がれないようにと時折縛りながら。] | |
(24)2006/06/21 12:03:12 |
墓守 ユージーン [辺り一面を木々が覆い尽くしている。どうやら此処は島の中央の森らしい。丁度円筒状の建物があり、其方へと向かう。] まぁ。俺は高い所が好きなんで。 そちらは好きか分からないが。此処に置かれりゃ運がよけりゃ鴉も来ましょ。でないなら、風葬になるかねぇ。 此処からなら遠くの島も見えるだろ。まぁ、数ヶ月しかいれないかもしれないが。 ・・・・坊やは、送り届けまさ。 そのご主人とやらの誤解もね。解いてやりまさ。 こう見えても、義理は固いんだわ。 関わっちまったら、捨ておけねぇ。 [屋上へとマリーを座らせるように横たえると、その顔を幾つもの島が見える方へと向けた。黒いラバー製のリボンでぐるぐる巻きの彼女はまるで人形のように動きもしない。] [ユージーンは鞄を持ちあげると、踵を返した。] | |
(26)2006/06/21 12:36:57 |
墓守 ユージーン はぁ。そいつぁロマンチックだこと。 殺し合いに愛あるか?――そいつぁ否だ。 そこには殺し。混じり気なしの殺し合い。 絶対零度の殺意とな、灼熱に焦げる血と肉の妙。 そいつがありゃあ十分だ。 それがあれば十分だ。 遣るか。お前などにはな。 生涯渡る殺戮か? 追うものは決して辿りはつきゃしない。 俺はそんなもの要らねぇや。 一瞬でいい。 弾けるような火花がいい。 [亀裂のような笑みを一度浮かべ。] だから、お前は邪魔だ。 へび花火みたいなもんさ、お前との殺し合いってのはよぉ。 [右が二閃。加えて、半転、相手の動きに合わせ、左手が刃引の太刀を掴み、柄の部分が肩越しに相手へと突かれる。背の紐は解け、ブン、と紐が撓る。] | |
(37)2006/06/21 20:36:11 |