酒場の看板娘 ローズマリー [ユージーンとの会話が噛み合っていない事に気が付いていないかのように。] ──あの人によく似てとても愛らしい愛らしい子どもなのだけど、坊やはとても可哀想な子どもなの。 私に口を開いてくれたのも七日ぶりの出来事。 今度はいつ話してくれるのかもわからない。 でも、あの人に会えばきっと満足すると思うわ。 坊やはあの人に会いたい会いたい会いたい会いたい。うふふ──。あの人も坊やと私の事を待ちわびているはず。 [しゃべりながら、言葉の後半は恍惚として不気味な笑いに変わり。ユージーンの「激しい殺し合いを与えてくれるなら」と言う部分でピタリと笑いを止めた。ベールをゆらめかせながら、] 殺し合いがお望みかしら? 蟲使いを追って来たのも、激しい殺し合いをお望みだからかしら? ──だとしたら、素敵。 そういう男は嫌いでは無い。 勿論、口だけでないならね。 | |
(68)2006/06/18 00:31:07 |
酒場の看板娘 ローズマリー [刃物を握ったままの右手首がすっぱりと切れ飛んで行く事に何ら感情を動かされる事もなく、] 返して戴けないととても困ってしまうの。 私が、ご主人様にお会いした時どんなお仕置きを受けるか──。 [ニィと今後は歯を見せて笑い、マリーはユージーンの左手の中指を噛みちぎり、強引に飾りを取り戻そうとした。 噛んだ指を吐き出す。] それにあなたに顔を見せて差し上げる訳にはいかないわ──。 [先刻、最初に苦無を避けた時、少しだけ裂けた顔面を覆うラバーがゆっくりと奇妙な生物のように再生。スローモーションで露出しかけた白い頬を覆う。 そして、少なくとも裂かれ露出した部分の顔面には異常は見られないようだった。] | |
(84)2006/06/18 02:15:45 |
酒場の看板娘 ローズマリー [血まじりの唾液を零す口元。残腹になった頭髪と半ば剥がれたラバーの残骸の張り付いたマリーの顔面。右手を使う事は諦め、左手で顔面を覆う。] では望み通り、お前を許さない。 そしてお前を確実に殺してやる事を誓おう。 ──なぜなら私の右側を見たのだから。 それとも、────────────と言う選択肢もあるが、それはお前が望まないでしょうね。 私の全てはあの人だけのもの。 [囁きよりもぞっとする、しゃがれた呪詛の声。 しかし、露になった右側の一部の顔面はユージーンに因って傷つけられた以外に、一見して分かる程変わった様子は見られない。もしかすると、目元に何かがある──のかもしれなかった。] | |
(92)2006/06/18 03:27:45 |
流れ者 ギルバート −島の北部、密集高層建築郡− ─森の北端─ [廃墟を呑み込み黝黝として横たわる森の縁に辿り着いた時。 既に夜も更け、むしろ明け方に近い頃合となっていた。 森のそこかしこには屍体が転がり、強烈な屍臭が漂っている。 途上で行く手を阻んだ男からもぎ取ってきた腕をむしゃぶりつつ、森の奥を見通すように茫洋たる視線を彷徨わせる。 その男からは腕だけでなく、奪えるだけのものを奪い取れるだけ奪い取ってきたのだが、身に着けた衣服もその一つだった。 暫時佇んでいたが、風の流れが変わったのを見て取ると、肉の少なくなった骨を打ち捨て、静かな足取りで奥へと入っていく。 ・・・・・・匂いが教える、求めるもののところへと。] | |
(94)2006/06/18 08:43:01 |
学生 メイ ─南西部・山裾廃屋前─ ……んー?なんか気配がしてるねぇ。中に誰かいるねー。 ヤだなぁ。下着とか盗られてなきゃ良いんだけどさ。 [朽ちかけた建物の中に何かの気配を感じ、軽口でぼやく。提げられた鞘に手を伸ばすことすらせずに重い鉄扉を開いた] ──────。 [そこには昨夜までと何一つ変わらない光景。ただ一つだけ異質な『気配』] [気配に気づいていないかのように真直ぐに蛍光灯の下──彼女の定位置へと歩む] ────────。 [刹那、物陰から飛び出す襲撃者。その手には仄紅く煌く刃] あはは。あんた、泥棒さん? 遊んでくれるの? はは。 [わざとその斬撃を頬に受け、笑う] | |
(118)2006/06/18 21:56:38 |