農夫 グレン [あれから幾度か日が巡り、また日が昇った] 気持ちを落ち着けて冷静になると…ハーヴが人狼だとはとても思えない。あいつは殺されたがってるようにしか見えない。 シャーロットを守るために…。 前の赤い月の夜、シャーロットから見てハーヴ、エッタ、キャロル、俺しかもう狼は残っていなかったんだ。ハーヴがエッタも俺も殺したくないと思ったのなら、キャロル姉さんを手にかけるしかなかったのか。 ギルが狂信者なら、自分が殺されそうな時にハーヴを占い先に決めるだろうか。 人狼はハーヴを犠牲の羊にするために、ギルを襲撃することを選んだのではないだろうか。 [俺は人の姿の消えたバンガローで考えを綴った] | |
(50)2005/06/16 17:45:17 |
村長の娘 シャーロット 【海岸、エッタの墓】 雨に打たれながら、過去を思い出していた。 私はずっと屋敷の中に閉じ込められていて、外の世界を見ることは許されなかった。 いくら綺麗に見えたとしても、あそこは私にとって牢獄だった。 だから、逃げ出したかった。私は外の世界で普通の女の子として生きたかった。 ある日、壁の向こうから男の子がやってきた。 あの子はきっと私を外の世界へと連れ出してくれる、 そんな予感がした。 差し伸べられた手を取りたかった。 「私を連れて行って」 そう言いたかった。 けれど、それは許されなかった。私にかかわれば不幸になるんだもの。 だから、私は二度と彼に会おうとはしなかった。 いまさらになって思う。 あの時手を取っていれば何かが変わっていたのではないかと。 もう一度彼に会いたかった。けれど、それはもう、叶わぬ夢。 過去にはもう、戻れないのだから。 | |
(57)2005/06/16 19:22:14 |