吟遊詩人 コーネリアス [夜中、何時の間にか皆が寝静まり静寂に包まれた酒場に、コーネリアスの足音が微かに響く] さて、今の所大きな争いもなく上手く行っていますが…… [コーネリアスは、ヒューバートの腕の中で眠っているウェンディを見つめた] 幼き少女よ、人の温もりに抱かれながら、夢から旅立ちなさい。 苦痛が在るからこそ楽しいという感情も生まれるのです。 "楽"が在るからこそ"苦"があり、 "苦"が在るからこそ"楽"を感じられる。 苦痛がないこの世界は……いつか楽園では無くなるでしょう。 [コーネリアスは静かにリュートを弾き始めた、その戦慄に乗るように、少女の体は光に包まれ、光球となって星が輝く空へと昇っていった] さて、此方はこれで良いでしょう。 [コーネリアスは静かに酒場から出て行った] | |
(5)2006/02/26 22:07:08 |
吟遊詩人 コーネリアス 私の魂がもう一度あの苦しみで満たされた現世へと戻るぐらいなら、消滅した方が良い……と。 そして最後の最後に私は……その消滅からも逃げ出そうとしたのです。 しかし、その時点で私の魂は酷く消耗しており、もはや現世への転生は叶わない状況でした。 その時です、ある一人の導き手が、この世界と同化しかけた私の魂を救い、導き手へと転生させてくれたのです。 その後の導き手としての歩みは平穏その物でした。 しかし、何事も無い平穏とは楽園では有りません。 苦が在るからこそ楽があり、楽が在るからこそ苦がある。 そしてその2つが重なり合っている現世こそが……真の楽園なのだと失って初めて気が付いたのです。 | |
(57)2006/02/26 22:56:20 |