人狼審問

―自室―

［夜明け少し前から目が覚めている］

今日は何も起こっていませんように。

[ふすまを開けて自室から廊下へ出た]

[ロビーに行く途中の貸切露天風呂の入り口から湯気がただよっている]

？？？
あれ入り口が開いてますの。

[入り口には【空き】の札がかかっていた。気になって脱衣所まで足を踏み入れる]

変ですわね、掃除の人が閉め忘れたとか？
脱衣籠にも何も入ってませんし。

[露天風呂へと続く戸が半分くらい開いている
...は戸を更にあけ露天風呂の中を見た]

[露天風呂に入ると洗い場で崎山が頭から血を流して
倒れていた]

崎山さん…
誰か、誰か来てー！！

[近くにいたらしい警官が...を外に出し貸切露天風呂は封鎖された。警官からもう崎山は亡くなっていると告げられた]

[警察に事情聴取を受け開放された後、ロビーにぼんやりと座っている]

連行されたのは鳳さん。ということは犯人はわたくし、陽子ちゃん、摂氏さんの中の誰か。

何でまだ人が殺され続けているの？
鳳さんを連行希望したのは間違いだったのかな。

―部屋―

んっ
澤野さん・・

[　澤野さんの夢を見ていた。窓から差し込む朝日がまぶしかった。また、澤野さんが護ってくれたのかな？それとも、終わったのだろうか？あたしの部屋。この空間だけは不思議と平穏だった。泣きたいのに。澤野さんはもうこの世界のどこを探してもいないのに。何もできないあたし自身が悔しくて。でも、この場所は暖かくて優しくてあたしを癒してくれる]

できないけど
あたしには無理かもしれないけど
でも
せめて良い世界にしたいよ

[　それでもあたしは、まだしばらく心安らぐ空間にいたくて、布団に再び潜り込んだ。この部屋を出れば再び現実に立ち向かわなくちゃならないから。*あたしは枕に顔を埋めて目を閉じた*]

[誰もいない深夜のロビーで事情聴取を受けている]

…はい。昨日は体調が悪くて一日中自分の部屋にいました。…いえ、言い争ってたわけではないです。崎山さんと意見が食い違っただけです…鳳さんとも…はい。はい。

わかりました。勝手に帰ったりしません

[警官はやれやれ とつぶやきながら離れていった]

…やれやれなのはこっち。これってホントに現実のことなの？

[人気が無く がらんとした旅館を見回した]

【もしかして、ホントに霊とかそう言うものの仕業で、犯人なんていないのか…】

【いや、そんなことはないはず。だって、そうであれば刑事さんが最初に殺されたのはなぜ？働いてる仲居さんが殺されないのは？やっぱり、だれかがやってることなんだ】

[考えてることが自然と口をつく]

…今残ってるのは、あの小さい女の子と、牧師さんと仲が良かった女性…仲の良かった人達だな。

………このままだと………あの二人に犯人にされちゃうな………考えないと

[頭をひねりながら*自室へ戻った*]

―ロビー―

[...はうつろな目でホワイトボードを見ている]

崎山さんに一般客に犯人はいないと思うと言ったのに
わたくしと摂氏さんと陽子ちゃんが残っている。
はあぁ。

【今まで連行された方達はどうなってるのかしら。
自白したとかそういう話が入ってこないし。

鳶君犯人の足あとを２〜３人と確認するのも時間かかってるし、数はあいまいだししっかりしてほしいですの。】

―ロビー・事情聴取―

[　あたしはまた事情聴取を受けていた。崎山の死体が発見されたという事だった。まだ犯人がいるということだ。あたしにはアリバイは無かった。今容疑者として残っているのはあたし以外に恵理ちゃんと摂氏さんだった。ふたりとも女の子だし崎山を殺せるのかというところが少し腑に落ちなかった。だが、どちらかが殺したことは間違い無い。何の為に・・。当然、連続殺人の容疑者が絞られたことで今日はとりわけしつこく質問を受けた。答えようの無いものはどうしようもないのだけどね。そして事情聴取は終わった]

恵理ちゃん
だいじょうぶ？

疑われるってだけで
心労ばかになんないよね〜

崎山さんを最初に発見しましたので
警察の方がしつこくてしつこくてもう…

そうなの？
大変だったね

崎山さんは・・
揉め事には慣れているような感じだとあたしは思ったけど
そんなに簡単に殺せるのかな？

【もうわたくしと摂氏さんと陽子ちゃんの３人しか残っていない。
摂氏さんと陽子ちゃんのどちらかが犯人…
何でこんなひどいことをするのかしら。

昨日鳳さんを連行希望したのは間違ってたのかしら
もう何が何だかわかんない】

[　話しながら恵理ちゃんの表情が曇ったのに気付いた。状況が状況だけに仕方無いのか。あたしも自分では気付いていないだけで、酷く暗い表情をしているのかもしれなくて、気をつけようと思った]

陽子ちゃんも相当しつこかったんじゃないですの？
それならとっとと連行した人を自白させてほしいですわ。

っと…崎山さんは揉め事になれているというか
誰に対しても隙がないような印象がありましたわ。
確かに殺すのは大変そうですの。

【背中に刺青のあるかたですからね。揉め事は慣れていたでしょうね】

まいっちゃうよね〜
殺人が起こるのが予想できるんだから
あらかじめ対応して欲しいよ〜

あたしをいくら叩いたところで
何も出ないのにさ

[...はこくりと頷いた]

毎日誰かが殺されているのですから
警察の方達も頑張ってもらわないと困りますわ。

【何も出ない…わたくしもそう答える、きっと摂氏さんもそう答える。
摂氏さんはわたくしを疑ってるだろうし、陽子ちゃんも悲しいけどわたくしのことを疑っている。
この状況だから仕方がないよね】

わたくし達の中で誰かが嘘をついているんですのね。
何でこんなことするかなあ。
一体何のために？

ひどい、ひどいよ。

[自室のテレビでサッカーをぼーっと見ている]

…サッカー見てても全然わかんないや…

[サッカーをあきらめてロビーに向かう]

…あの二人仲良いからなぁ。何を話したものやら。

[ロビーで二人の姿を見かけて 話しかける]

…こんばんは。何か、さんざんだよね。

[摂氏に気づき力なく手を振る]

ええ、何でこうなっちゃったのかしら。

[しばらくうつむいているが 思い切ったように]

辺見さん、だったよね。もう言わなくても分かってると思うけど、やっぱり残った私たちのうち、誰かが犯人なのは間違いないと思う。

…率直に聞くけど、辺見さんは、その…殺したり…した？

あ、ほら、堀○ってあんまり評判良くなかったし。なんか、表でにやにやしながら腹のさぐり合いってどうも…

【摂氏さんは思い切った人ね。でも馴れ合っていても
何も進まない】

うん…わたくし達の中の誰かが犯人でしょうね。

[少し考えてから]

警察には言ったんだけど
わたくしは堀●さんに恨みはあったし殺したいと思っていた。

でも堀●がどこにいるかと知る前に誰かに殺されてしまいましたわ。

摂氏さんは堀●に恨みとかありましたの？

あたしは…両親が知り合いだったみたいだけど、あたし自身は面識無いな。恨みとかも別にないし。

あたしは、ここには民俗学と歴史の調査、って言っても個人的に調べ回ってるだけだけど、それで来たんだ。

【摂氏さんがこう聞くということは堀●さんに
恨みがある人が犯人なのかしら。
探偵の2人も堀●さんについて調べていたし。

そういえば澤野さん、堀●を殺したい動機があると言ってました。
堀●に恨みがある人がここに集まっていた？】

【うっ、無関係って訳ではありませんのね
やはりここに集まった人達は…】

ご両親が知り合い…

あの、陽子ちゃんは堀●さんに何か関係があったりしますの？

【殺したいほど…か。刑事さんも堀○を見張ってたとか言ってた気がする。何なんだろう、ここは…】

[思考しつつ 河野に目を向けた]

[陽子の返答を待ちつつ、ホワイトボードに目を向けている]

【鑑識さんとか霊が見える人って郷田さんがクロかシロかって言ってますわね。
皆さん連行された人についてのシロクロですわね。】

【鳶君を殺した犯人が２〜３人…らしくて
堀●のタタリだと言ってた流さんは
鳳さんがクロと言った橘さんが連行された時にクロ。
流さんは鳳さんを敏腕探偵さんと信じていた】

【うう…沈黙つらいな】

[気まずい思いをしながら ホワイトボードに目を向けている]

【橘さんから見たら鳳さんはヘッポコ探偵さんで
どっちかが敏腕探偵さんだとしたら葉月さんがそうなるのかな。
安城さんは葉月さんが敏腕かどうかわからないけど
郷田さんにクロ、流さんにクロと言った後連行。

あれ、探偵のどちらも本物でない限り安城さんの言ってることは辻褄があいませんわ。あれー？】

【霊が見える人とか鑑識さんとか意味もなく出てくるとは思えませんの。そうなると安城さんは嘘つきということになりますわ…ってあれ陽子ちゃん？】

[沈黙している陽子に向かって]

よ、陽子ちゃん、聞こえてるかな？

【うわー、返事がないですわ。
……あう、考えすぎたせいか何だかぼーっとする】

あの何だかふらふらするので部屋で休ませてもらいますわ。
こんな時にごめんなさい。

うん。おやすみなさい。…明日会えますように。

【堀●さんと面識のある摂氏さん、
沈黙したままの陽子ちゃん

せめて陽子ちゃんの答えを聞きたかったですわ。
でももうげんかい…】

…あたしもそろそろ…休もうかな。

もしかしたら、犯人の自供とか引き出せるかと思ったけど…甘いよね。

[そう言うと*ロビーを後にした*]

[　言うべき時なのだろうか？澤野さんは自分の過去を洗いざらい語って聞かせた。あたしは言うべきことを言ってない。それが保身としても、今それをする理由が本当に必要なのだろうか？]

言わなきゃならないのかな？
そうだよね

あたしと
あの男・・堀●との関係

[　2人が疲れているようなのを見て、休むことを勧めた。あたしの話はたぶん長くなる。だから後で聞いてくれればいいよ。あたし自身もかなり限界が近づいていた。だけど、これだけはやらなければならない。恵理ちゃんと摂氏さんのために・・]

あたしの名は河野陽子

調べがついていると思うけど
名前もプロフィールも全部嘘

あたしは陽子じゃない
本当の名前は
教える必要が無いと思うし
申し訳ないけど伏せるよ

あたし自身が抱えたトラブルの為だから

あたしには堀●を殺す動機がある
これは本当

もっとも
堀●って名前を知ったのは
彼が殺された後だったけどね

澤野さんに1度だけ言ったことがあって
それを鳳さんに聞かれちゃってたみたい
うん
他の人に聞かせるつもりじゃなかったのに
それはあたしの失敗

[　思わずこれからのことを考えると、一度書いた文字を消しそうになってしまう。澤野さんは信じると言ってくれた。それが嬉しくてあたしと一緒に戦ってくれるんだと思った。でも、澤野さんは巻き込まれて今はいない。あたしはひとりで戦わなきゃならない。それが本当に出来るのだろうか？あたしはずっと悩み続けていた]

澤野さんの十字架・・

あたしは
逃げてちゃいけない

澤野さん
あたしを助けてくれるよね？

[　あたしは警察関係者を連れてくると、記録を取ってもらうように頼んだ。全て話し終わったら、決断しよう]

堀●の顔は知っていた
あたしの母さんの事件の関係者だった

だから
この旅館に来て
堀●をたまたま見かけた時
驚いたよ

この旅館に来たのは
ほんの偶然
行き先も決めずに家を出て
探した時に偶然
部屋がキャンセルになっていた

これは本当

あたしは
スゴク怖かったから
逃げてきた

母さんの事件が全ての始まり
人並みの幸せな日々は
完全に壊れてしまった

壊されてしまった

あたしと母さんは2人で暮らしていた
父さんはあたしが小さい頃に亡くなっていて
生活は苦しくても
母さんはあたしのことを大切に育ててくれた

あたしは小さな雑誌社に就職して
一生懸命働いたよ

でもその分
家のことに目を向ける余裕が無くて
母さんの異変に気付いていなかった

時々
その男・・堀●が母さんを家まで送ってくれるのを見たの
随分良い車に乗っていて
ちょっと変だと思ったけどね

母さんのプライベートには口を出さなかった
あたしは仕事で一杯だったから
余裕もなかったのは確か

母さんは真面目な人だったから
見知らぬ男の為に自分を見失うなんて
思ってなかったんだよね

あたしが堀●を見るようになってから
母さんはおしゃれをするようになってたし
もしかして新しい父さんができるのかもとか
思ったけど
あたしは自立していたから
母さんの好きにすればいいと思ってた

そしてそれから数か月後
母さんは自殺した

[　あたしは思い出してうっすら目に涙が滲んだ]

何の前触れもなく
その日は訪れた

警察から
母さんが自殺したと
連絡があった

真面目に生きてきた母さんが
自殺なんてするわけがない
でも
遺書を見せられて
あたしは呆然とした

間違いなく母さんの筆跡で
『XXちゃんごめんね　愚かな母を許して下さい　あなたは元気に真っ直ぐに生きてね』
って短く書いてあった
信じたくない気持ちと
信じてしまう気持ちと
あまりにあたしの想像とかけ離れた事実に
混乱していた

母さんが死んでから
少ししてすぐに
堀●があたしを訪ねてきた

あいつは・・
母さんに対する悲しみなどこれっぽっちも見せずに
平気な顔であたしに対して取引をもちかけてきた

その内容は直接は関係無いから
言わないけどね
少なくとも
母さんとあたしを人とは考えていないような
あからさまに見下した提案だったよ

もちろん
それを受け入れることはなかった

後で考えると堀●の強気な態度にも納得できる

しばらくすると
頻繁に怖い人達が訪問してくるようになった

母さんは闇の金融に借金を作っていたらしい
証文を見せられたりしたけど
信じられなかった

真面目な母さんが
男に貢いだとか
ギャンブルで身を滅ぼしたとか
そんなのありえないよ

だから
母さんは利用され嵌められたんだ
あの男に
堀●に・・

【寝ようと思ったけど…目が冴えちゃったな】

[ロビーに入ろうとして 一人述懐している河野の入り口から窺う]

そこから先の物語は
特に説明の必要はないかな

母さんの作った借金はあたしに到底払えるような額ではなかった

あたしは怖い人達に怯えて
仕事に行けなくなり
精神がぐちゃぐちゃになって
身一つで逃げ出してきた

生まれ故郷に
いつか見た星空の下に
戻りたかったんだと思う

そして今
あたしはここにいる

そこで因縁の相手堀●の殺人事件の現場に居合わせた
偶然にしては出来すぎてるよ

【バファ○ンをのんでしばらくしたらふらふらが直りましたわ。陽子ちゃんと摂氏さんまだ話をしているのかな？】

[ロビーの入り口でいる摂氏を見つける]

？？
摂氏さん？

これが
あたしの物語の全て

あたしは堀●を憎んだ
それは
確かに動機としては十分なんだと思う

解決できてない問題がいろいろありすぎて
今もあたしはどうしたらいいかわからない

あたしは殺していないよ

堀●も
少年も
カミーラさんも
キャロルさんも
メイドさんも
崎山さんも
殺していない

何より
あたしは澤野さんが一緒にいてくれると思ったのに
もしかしたら
あたしが母さんの事件に立ち向かうのに
味方でいてくれるって思ったのに

殺すなんてありえない

[肩に手を置かれてびくっとする]

あ、辺見さん…。

あは
疲れちゃった

もういいでしょ？
詮索したいことはたくさんあるかもしれないけど
恵理ちゃんにも摂氏さんにも
ちゃんと伝えてくださいね

何か、話が出来る雰囲気じゃないね。色々聞いちゃった。

あたしも有るお話を聞いたことがあるよ。偶然だけど、河野さんの話とよく似たお話。

有るところに、優しいお父さんと、綺麗なお母さんと、小さな娘がいました。

三人はいつも仲良しで、あまり裕福ではないけど幸せな毎日を送っていました。

あ、驚かせてごめんなさい。

[ホワイトボードをじーっと見て]

陽子ちゃんって呼んでいいのかな…うん、いいか。
堀●に関係のある人だったのね。

娘はすくすくと成長し、やがて中学校に上がります。

「教育にはお金がかかるモンだなぁ」
「私も働きに出ますから、それでなんとかしましょう」

こうして、綺麗なお母さんは有る場所へパートとして働きに出ました。…でも、これが不幸の始まりです。

[　あたしは伸びをしながら立ちあがった]

天文台に
行こうかな

そっか仲居さんいないんだっけ
鍵勝手に持っていっちゃっていいかな？

ん〜
今日は晴れだからたぶん満天の星空だな〜

恵理ちゃんの大切だった人のこと
聞きそびれちゃったな

あたしのばか

[　あたしはぐーを作って軽くあたし自身の頭を小突いた]

お母さんは綺麗な上に賢かったので、どんどん大きな仕事を任されるようになりました。そのうちに、社長さんに見込まれ、秘書のような仕事をすることになったのです。

お母さんは時間を取られるのを嫌がったけれど、お金が良かったことと社長さんからのたっての希望と言うこともあり、秘書の仕事を続けました。

そして、ある日悲劇が起こります。

社長さんは、お母さんの美貌に惹かれ、自分のものにしようとしました。

お金、地位、脅迫…あらゆる手を使ったけれど、お母さんは決して首を縦に振りませんでした。

そして…ある日、お母さんは行方不明になります。

幾日も幾日も見つからず、お父さんと娘は眠れない日々を送りました。

そして2週間後、お母さんはようやく発見されました。…最悪の形で。


お母さんは自殺でした。そして、お母さんの体には複数の男性から暴行を受けた後が残っていました

お父さんは悲しみにうちひしがれ、病に倒れました。

娘は…………………


これでお話はお終いです。


あはは。変な話をしちゃいましたね。

さて、さすがに眠いわ。

おやすみなさい、二人とも。

[二人に微笑むと ロビーを*後にした*]

[...はぼろぼろ涙を流していた]

ひどいよ、その社長！
その社長さんのせいで…うう

【その娘さんが……摂氏さん】

…たしかに動機があるとは正直にはなしましたけど
詳しくは話してませんわね。

メモをして貼ることにしましょう。

わたくしには真里ちゃんという従姉妹がいました。
お互い一人っ子だったので姉妹のように
仲良くしていましたわ。

ある日合コンでIT企業の社長と出会って
最初は真里ちゃんは乗り気じゃなかったようなんだけど
そのうち楽しそうに出かけていくようになりました。

真里ちゃんが離れていくようで寂しかったけど
幸せであればそれでいい、そう思ってました。

真里ちゃんが幸せだったのは短い間でした
IT企業いや、堀●にぽいっと捨てられたのです。

わたくしは「あんな人のことは忘れなさいよ」と
言ったのだけど真里ちゃんは日に日に口数が少なくなり
憔悴していきました。

どこか遠くを見て「どうしよう」「ごめんなさい」と
何度も何度もつぶやいていた。

ある朝真里ちゃんは自分の部屋で自殺していました。
遺体を調べたら真里ちゃんは妊娠していたのです。
預金通帳を調べたら残高がなくなっています。
一体どこにいったのでしょうね。

わたくしがもっと大人だったら
真里ちゃんを助けてあげられたかしら？
相談にのることが出来たかしら。

自分が何も出来なかったことを棚にあげて
堀●を恨んでいたところはありましたわ。

警察にもここまで詳しくお話してませんでした。
ごめんなさい。

[...はメモの束をロビーに置いた]

さて、自室に戻りましょう。

おやすみなさい。

―天文台―

[　あたしはその満天の星空の下にいた。ここを訪れた最初の夜見た星空。こんなことになるなんて思ってもみなかったな・・。そして、あたしの生まれ故郷の星空でもあった]

摂氏さん
恵理ちゃん

今ごろどうしてるかな？
もう寝てるかな？
そうだよね

あたし
死ぬならこの場所がいいな

澤野さんに一番近いこの場所が・・

[　あたしは望遠鏡を覗き込みながら星を探した。失われた大切な人は戻って来ない。だから祈ろう。誰もがこれ以上悲しみを背負わずにいられるような世界を。大切な人の命が簡単に奪われることのない世界を]