人狼審問

―宴会場―

[同僚とともに掃除をしている。窓拭きをしはじめた。客がいないのでたわいもない話をしている。]

朝雨が降っていたけど、やんでくれたね。ん、なんだあれ……。

[窓の外には、大きなてるてる坊主があった。大きな気に縄が括り付けられ、こどもと思しきひとがたがシーツにくるまれて、ゆらり、ゆらりと動いている。]

―外―

[てるてる坊主は地面から2mは離れたところに宙吊りにされている。地面には複数の足跡と脚立が穿った穴、そして昨日刑事から鳶少年に返されたスパイメモが落ちていた。ただ事でないことを察した...は、同僚に声をかけた。]

刑事さんを呼んで……、ここに足を踏み入れちゃダメよ。

【ああ私のカンが外れてますように……。】

[すべての仲居に声をかけた...は、ひとつの確信を抱いていた。仲居が呼んできた数名の警察官のうちの一人に、声をかけた。]

刑事さんにお伝えください。仲居に確認を取ったところ、橘さんが一番最初に【殺された】と発言されたようです。【橘さんはクロ】です。

きょうは

星空

見え・・

[　あたしは布団に包まって*夢を見ていた*]

[郷田を警察に任意同行させた後、 キャロルは部屋で調書を眺めていた]

崎山ね。何故彼がここにいるのかしら。堀●を追っていたかそれとも、別の用件で来ていたとか？
わかんないことは聞くに限るけど、そっちはそっちで専門家に任せたい所よ。

郷田の結果が出るまで動かないと言うのも性に合わないし。

［キャロルの部屋のドアがやや乱暴に叩かれる。そして「キャロル警部、大変です！」と声がした］

なに？　どうしたのよ血相変えて。

［ドアを開けるとまだ若い警官が立っている。そして出入り業者の一人であった少年の惨状を伝えた。
そして、自称探偵である鳳の証言も一緒に］

わかったわ。現場に案内してくれる？

［上着を羽織ると、警官と一緒に廊下に出て、事件現場へと*向かった*］

―部屋―

[昨夜は、宴会場のバタバタから逃れるように部屋に戻った。備え付けの急須でお茶をいれて寛ぐ。]

ふう……。

【後から来たあの女……たしか〇暴だったな。

厄介ですね。
彼女が消えたら、私に証拠が無くても疑われそうだ。
明日からは気をつけた方が良さそうですね。】

[携帯を取り出しドライバーに指示を出そうとしたが、私から彼にまで疑いが飛ぶのも悪いので止めた。
ひとしきり思案すると、部屋付きの露天風呂に入り就寝した。時刻は24時頃だった。]

[身震いしながら目を覚ました。朝方の雨のせいか気温が低い。]

……7時ですか。

昨日の今日では、まだ表には出られないのでしょうかね。

[浴衣を直すとロビーに向かった。]

―ロビー―

[昨日と同じようにテーブルに就くと、コーヒーを飲み新聞を広げた。一面にも地方欄にも、堀●が死んだ事はまだ報じられてなかった。]

【それにしても、なにやら騒がしいですね。また何かあったのでしょうか。】

［飛太の遺体は既におろされており、現場検証も終わっている。そして丁度警察車両が到着し、遺体を運び出すところだった］

自殺とも考えられるけど、この状況からは他殺が濃厚。
でも、どうして彼が殺されたのかしら。メモにも特に気になることはそんなかかれてなかったし。
それから鳳さんの証言も気になってるけど。橘さんて茶道の先生よね。

足跡が一つなら単独犯、もしくは自殺として処理、他殺としても力の弱い女性や子どもは除外できるわ。
でも複数の足跡が付いてるってことは犯人は複数。
進展はなし、か。
堀●の方も片ついてないって言うのに。

……もっと単純に考えるなら。

堀●の事件について犯人が困ることを鳶くんが知っていた。それで殺されたって所かしら？
でも。
彼は別に何か悪いことしたわけじゃないわ。しかも、こんなむごい……。

［言葉を切り、キャロルは何事か考えている］

−外−　〜早朝、大き目の照る照る坊主の下で〜

あっちゃー・・・間に合いませんでしたか。僕としたことがねぇ。

[葉月はさして残念がる風も、死者を悼む様子も無く言葉を漏らした]

しかし、これでほぼ間違いないでしょう。後はもう一度裏を取って･･･ソフィー嬢に報告、ですね。

[葉月は再度捜査のために*そこを立ち去った*]

どちらにしても。
犯人捕まえなきゃいけないわね…。

報告書書かなくちゃだわ。昨日の件と今日のと。
後、橘さんにも話を聞かないと。そのまま任意同行って言うのも本人に言い分があるでしょうし。

［現場を別の警官に任せ、キャロルは部屋へと向かった］

―1階・ロビー―

［ざわついている人々の中に、ハーヴェイは入っていった。］

………失礼致します。
郷田氏が連行された、との報告を受けましてね。僕の方でも調査させていただきました。

ああ……申し遅れました。【僕は鑑識です】。
郷田氏の調査結果ですが…【彼はシロ】…今回の事件とは何の関係もありませんでした。

［ハーヴェイは俯き、言葉を続ける。］

それから…当然ですが、飛太少年もシロでした。特に事件には関係がありませんでしたから。…何か犯人にまつわる情報でも得ていたのでしょうか…

それでは、僕は引き続き調査せねばなりませんので、これにて。

［白衣の裾を翻し、黒いレザーパンツに包まれた足を*何処かへと向けた…*］

[ロビーで橘の話声が聞こえた。]

【ふむ。なるほどな。
鳳は橘をクロと推理し、その橘は郷田と鳶をシロとの鑑識か。
そして葉月は、誰を監視したのか保留、と。】

[ひとしきり思案すると、若い警官を呼び止めた。]

あー、君、ちょっといいかな。伝言を頼まれてくれ。

・自称探偵の葉月に【監視の結果を伏せる理由】
正直なところ、探偵の真似事をしているようにしか見えない。

・自称鑑識の橘に【なぜ鳶が「事件と無関係」だと知っているのか。】
そもそも、堀●殺しと鳶殺しの犯人が、いつのまに同一になったんだ。

・刑事のキャロルに【鳶の死体周辺の足跡を調べて、容疑者と比較しろ。】
子供は大人の靴を履けるが、大人は子供の靴を履けない。

キャロルという刑事が指揮を取ってるのだろ？
手柄になるなら、君から尋ねてもいいぞ。
という私も容疑者の一人だろうから、出来れば私の名前は伏せておいてくれると助かるのだがね。

[警官に、もうひとつ言おうかと思ったが、こちらは確証がないので止める事にした。]

【なぜ鳶が殺されたのか、だな。
橘の言う「堀●殺しの犯人」の何かを掴んでいたために殺されたというのが本当なら、いったい何を掴んでいたのか。

昨日の時点で、刑事キャロル、自称探偵の鳳と橘以外に情報を握っている者がいたとするなら、犯人か……探偵。

鳳と橘の二人が偽で、一人が犯人、一人が真似事だとするなら、犯人から「探偵は偽」と知り得る事が可能なのは……昨日の時点で監視された者が犯人の場合のみ。
つまり、橘か安城が犯人の場合だ。
だが、鳳は橘をクロと断定している事から、この推理が成り立つのは「犯人が鳳・安城、真似事探偵が葉月」
……すると橘は本物の鑑識か。

……。
鳶が黙っている理由が無いだろうな。
よって、これは無いだろう。】

[温くなったコーヒーを捨て、新しく買いなおすと新聞を広げた。]

【ん？

違う、自称探偵は鳳と橘じゃなくて、鳳と葉月か。】

【鳶が殺された理由……。

他にも刑事が潜伏していたのか？
やれやれ。キャロルや〇暴の女の他にも刑事がいるのかね。

あとは、鑑識か。
連行された郷田や、殺された鳶が鑑識ならば、とか考えてしまうのは、橘がそれだけ胡散臭いのだろうな。

葉月が胡散臭いのは昨日からだが、今日も一際だな。なぜ監視の結果を言わないのか。
葉月が真似事探偵で鳳が本物なら、犯人の一人は橘だ。そして橘は鑑識と名乗った。本物の鑑識が生きているなら、名乗りを挙げるだろう。

……これを待っているのか？

結果を伏せる理由は何だ。
・葉月が犯人で結果を伏せる理由。
・葉月が真似事探偵で結果を伏せる理由。

……少なくとも、葉月が本物の探偵で結果を伏せる理由が見つからない。】

[新聞を閉じると、腕を組んで目を閉じた。]

【どちらにせよ、葉月の監視の結果が一番先だな。

後は……堀●殺しと鳶殺しの犯人が同一なのかどうか。
単独犯なのか、複数犯なのか。

……もっとも、堀●殺しは容疑者全員が犯人でもおかしくなさそうですがね。】

[対策本部のホワイトボードには堀●と鳶の二人の写真が貼り付けられ、両者と関係のある人物の名前が書かれている。
その前のテーブルでキャロルは昨日の調書と今日別の警官が調べてきた資料をつき合せている]

安城さんの娘さんは行方不明ね。本人も今まで行方不明で記憶喪失、記憶をなくすきっかけは不明、と。
これも事件の匂いがするけど、今回のと関係があるのかしら？
それに…河野陽子、陽子ちゃんの身元は不明。台帳の住所に河野陽子という人物はいない、と。怪しいけど、悪さするようには見えないのよね。外見で決めちゃダメだけど。

[資料とにらめっこしているキャロルに若い警官が話しかける。そして橘が鑑識だったと告げる]

ふうん？　あの人がね。茶道やってて走り屋で鑑識。んで今日の鳳さんの発言で犯人、と。橘さんは昨日あいつが白だったって証言してるのよね。
どちらかがへぼ探偵ってことか。

え？　足跡の調査？　それはあたしじゃなくて専門家がすることでしょ？　あたしじゃ足跡のサイズくらいしかわからないわよ。しかも足跡がはっきりしてればだけど、踏み荒らされてるんだもの。
今科学捜査班が調べてるはずだし、調査結果は一通りもらえるはずだから。

ま、鳶くんの死亡推定時刻が出たらまたアリバイ聞き込みに行くわ。進展は少ないだろうけど。

ただ、複数犯だろうから、その辺りから絞り込めそうな気もするわね。犯人同士は表では知らない振りをしている。それならどこかに嘘があると思うもの。

さてと。報告があるまで時間があるでしょうし、バタバタする前にお風呂とご飯済ませておくわ。

ここはよろしく。

[警官に本部を任せると、キャロルは*部屋へと戻った*]

―自室―

【外の騒ぎで目が覚める。　通りががった仲居に何が起きたのか聞いてみると、新たな事件…宿に出入りをしてる業者のバイトの子供が裏の木に吊るされて殺されているのが発見されたのだそうだ。】

…子供が何故？　堀●の事件と何か関係があるのだろうか？
いや、”殺人事件”が”偶然”に”同じ旅館の敷地内”で”二日続けて”起きる可能性など皆無に等しいだろう。
堀●殺しと今回の事件の犯人は同一犯の可能性が高いのではないか？
ならばその子供は犯人にとって何か不都合になるようなものを知ってしまったか、あるいはそう思い込んだ犯人により口封じの為に殺されたのだろう…なんにせよ気の毒なことだ。

[ふと、事件に興味が湧いたのか、更に詳しい状況を知りたくなった…は、旅館内を散策しはじめた]

―廊下―

ふむふむ、なるほど。

―宴会場―

それで？　あーあー、はいはい。　そうなんですか。

【事件の概要は概ね把握した。　…まったく、昨日の自分がいかに思考力が低下していたのかが伺い知れる。　…まあ、こっちにも色々とあったのだから…いや、それは言い訳に過ぎないな。　素直に昨日の自分の行動を恥じる。】

さて…これからどうするか？

【新たな事件が起きたことで警察は殺気立っているようだ。　仲居も皆、表情が暗い。　自分も容疑者の一人として微妙な立場に立たされている事をここで初めて認識した。（我ながら情け無いものだ…）】

【わたしは「刑事でも・探偵でもない」のだから、事件の捜査については基本的に本職に任せるしかないのだろう。
もちろん私が出来る限りでの協力は惜しまないつもりだ。
だが、罪も無い子供を情け容赦なく殺害する犯人が今もこの近くに潜伏しているのかと思うと1人で居る事に不安を感じてしまう。
なるべく人の多い場所で行動するよう肝に銘じておこうと思う……そんな事を考えながら歩いていると、いつの間にやら私の足は、裏庭に向かっていた。　ここはそう、第二の事件が起きた場所だ】

−回想　自室・朝−

[布団の中で目覚め、半身を起こす]

うーん、もう朝か。
頭いてぇ。
昨日、露天風呂でへんなとこ打ったのかもな……。

なんだか、目の前がぼやっとしてる。
廊下なのに霧みたいなものが見えるような。

あれ……、人？
その顔は……。

って、出たーッ！

−宴会場−

……という感じで、堀●の霊が現れたんですよ。
どうやら、昨日露天風呂で頭を打ったせいか、ぼくの中に秘められていた【霊能力】らしきものが目覚めたらしいです。
そういえば、うちの母親が、うちは代々そういうものが見える家系だというようなことを言ってた気もします。
ちばみに婆ちゃんは恐山出身で先祖はイタコだったらしいです。
そういう血が今回の事件をきっかけに覚醒したのかもしれません。

朝、仲居さんに郷田さんという人が犯人として連れて行かれたということを聞き、ぼくは堀●の霊の語りかけました。
犯人が捕まったのだからさっさと成仏しろと。

しかし、堀●の霊は首を横に降りました。【郷田さんは犯人じゃない】と言ってるようでした、
じゃあ犯人は誰なんだよと聞きましたがそれは答えられないらしいです。
そういう霊界のルールなのかもしれません。
霊は今は消えてしまいましたが、明日になったらまた現れるような気がします。

まぁ、自分で言ってて眉唾っぽい話ですが、事実は事実ですし、何か捜査の役にたつかもしれないということで、名乗り出てみました。
信用するかどうかは皆さん次第。

現場にいた警官のおじさんたちにも、一応は話はしてみたんですが、幽霊がどうとかいってもあんまりまともに聞いてもらえてなかったような感じですね。

そして鳶君が無惨なことになったと。
彼とはそうたくさん話をした訳ではないですが、ショックですね。

堀●の死自体は、衝撃は受けましたが、そういうこともあるかもしれないな、ぐらいに思いましたが。

鳶君が殺されたと言うことは。
犯人は自分の目的のために、堀●と無関係な人物でも容赦なく殺すと言うことですよね。
これは恐ろしい。

―第二の事件現場―

！！！！！！！！！！！！！

【再び激しい頭痛と眩暈が…を襲った。　この感覚は昨日も経験している。
すぐ側で警官たちが忙しそうに仕事をしてるが、誰一人私の変調には気がつかない。
…いや、時が止まっているのか？―
　その場でゆっくり崩れ落ちる。　】

―　気がつくとそこには1人の少年（鳶田くんと言うらしい）が木の上に登っていた　―

少年は黙って指を指すその先には、今朝任意同行を求められていった郷田の姿がそこにあった…。

　『ボクを殺したのはアイツさ』

そう呟いたように聞こえた。

気がつけば少年の姿は無く、心配げに私を見つめる警官達の姿がそこにあった…。

うーん。
〔昨晩遅くまで調書を読み、結局現在お風呂中〕

途中で聞いたけど、他にも事件が起きたようね。
とりあえずあとでキャロルに詳しいことを聞きにいかないと。

〔逃げればいいのに〕

ううう…頭が……しかし、なんなんだ今のは一体？

[心配げに声をかけてくる警官達に”大丈夫”とだけ言い残しその場を後にする]

夢か？　幻覚？　…私はおかしくなってしまったのだろうか…

【頭の奥ががずきずきと痛む】

こんなばかげた話、まともな人間ならば相手にしないだろう。　下手をすれば病院送りにされかねない。
…しかし、なんだろうこの胸騒ぎは？

…素直に話して信用されるだろうか？　ちょっと部屋で考えよう…

[ふらふらとした足取りで…は、自室に戻っていった]

まぁ、こうなった以上。

鳶君のように、僕らも犯人に狙われるかも知れない。
警察は動いてますが、あてにしていいのか微妙ですね。
キャロルさんも、ぼくらに何かを教えてくれる訳じゃないしね。

ということで、午前中、そのへんの仲居さんたちと仲良くなって噂とかいろいろ聞いてみました。

堀●を殺した犯人は複数らしいということです。
3人ぐらいらしい。
ガラスの灰皿で後頭部を一撃らしいです。

―自室―
さっき聞いた事は本当なのだろうか？
あの青年…確か”流”とか言っただろうか。
霊媒師？　正直頭が混乱している。

そういえば”橘”とかいう茶道家も自分は鑑識だと言い、郷田はシロだと主張しているそうではないか。

…私が見たものは幻覚だったのだろうか？
とにかく話だけでもしておいた方が良さそうだ…あの矢沢という警部なら信用できるだろう。

[そう呟くと、重い腰を上げてキャロル警部に事情を説明しに行った]

―宴会場―

困った…

[まさに”困った”を絵に描いたような顔で【堀●殺人事件対策本部】と書かれた看板の前に居る]

キャロル警部に報告にきたものの、肝心の警部は留守中とのこと。

―やるしかないのか…。

[悲壮感を漂わせ…は、【堀●殺人事件対策本部】に入っていった]

…な、なんだろうこの喪失感は…

[…は、今にも倒れそうなくらい疲弊していた]

ちょっと疲れた。　部屋で休もうか…

[そう呟くと…は、自室に＊戻っていった＊]

―自室―

【朝、窓から見えたもの。あれはきっと夢ですわ。
真里ちゃんみたいに縄で…嫌だ、思い出したくない！】

どうしてこんなことになってしまったの。
堀●はたまたま殺され実は無差別ってことなのかしら。

[キャロルは休憩を終えて対策本部へと戻ってきた。そこで留守中にあった報告をまとめて聞くと、それぞれをホワイトボードに書き込んでいく]

なんだかややこしくなってきたわねぇ。
自称探偵が二人に郷田を白だというのが二人、そして黒だと言うのが一人。
解剖結果で鳶くんの死亡推定時刻が出て、３時から４時の間、ね。堀●の時とは時間がずれてるわね。
そして複数犯は濃厚である、と。足跡からの人数は判断できかねるが、複数犯であることは間違いない。

現場に残った小さめの足跡は鳶くんのものと一致。

どんどんややこしくなってきたわね…

ああ、そうだ。
崎山さんから伝言を戴いておりましたね。
僕からの回答をお伝えいただけませんか？

『そもそも僕の本来の仕事は、郷田氏の白黒をつけることです。彼自身を調べ、また身辺も調査させていただきましたところ、特に郷田氏に怪しいところは見当たりませんでした。』

『そして飛太少年が殺された件につきまして。
　どうしても彼が殺された理由が気になりましたので、僕ひとりの判断で調査させていただきました。利権やら何やらが絡む大人と異なりまして、飛太君が殺されるには、理由というものが見つかりませんでしてね。そこで僕は、いろいろな可能性を考えました。

　(1)飛太少年と堀○氏殺害には、一切関連性が無い
　(2)飛太少年が犯人と繋がっていたのではないか？
　(3)飛太少年が犯人について何か情報を掴んでいたのではないか？』

『(1)を素直に考えるのが普通のことではありましょうが、この殺害状況を見る限り、何故かそう素直に考えることができませんでした。……職業病とでも申しましょうか、疑念を持ってしまう癖がありましてね。それに、この殺害方法にはどこか「憎しみの色」が見えるのです。こんなにも残酷な方法を用いるのですから、犯人と飛太少年の間に、何か関係があったのではないかと考えてしまったのです。

　……そこで考えたのは(2)。飛太少年が犯人である可能性も探らせていただきました。鑑識としてではなく、僕自身が持っている独自のネットワークとでも申しましょうか。橘家の情報網を駆使して、彼の身辺を調査させていただきました。そして……その答えは「シロ」。彼は犯人とは関係ないという結論に達しました。

　ならば可能性は(1)か(3)……。飛太少年殺害の理由は、堀○氏殺害とは一切関係が無いのか、あるいは彼が何か情報を掴んでいたのではないかという推理に達しました。もちろん、そのどちらでもない可能性はあります。ですが現段階では、それを決定的に言えるだけの材料はそろっておりませんので、明言を避けさせていただきました。』

……ああ、仲居さん。
これを崎山さんにお渡ししていただけませんか？
僕があの方に確実にお会いできるかどうかが分かりませんので。

……お届けいただけますか。
ありがとうございます。

それでは、僕は一度失礼いたします。

ああ、仲居さん。ちょっと待って下さい。
少々言葉足らずな表現がありましたので、伝言を追加させていただけませんか？

『飛太少年が犯人説を考える上で、橘家の情報ネットワークを用いましたのは「彼が殺害に到るまでの動機を持っていたか否か」を探るということです。僕の調査では「飛太少年が堀○に殺意を抱くだけの関係を持ってはいなかった」という結論に達したというわけです。』

『また(2)を考えた理由も、「犯人同士の仲間割れ」の可能性を少なからず考えたからでして。どうやら先ほどまでに述べた通り、これは僕の邪推である可能性が高いのではないかと考えました。』

『もちろん先述のことも断言しきれるほどの話ではございませんが、まず可能性として考えにくい話である、と僕は思っております。』

………と。
このような内容で、お願い致しますね。

［ハーヴェイは仲居にもう1枚メモを渡した。］

[部屋から戻ってきたキャロルはホワイトボードを眺めている]

まずわかってる事実を書き出して見ましょう。

・被害者　堀●　鳶飛太　両名の間に関連性なし。
・死亡推定時刻　両名とも深夜〜明け方
・鳳→安城白橘黒　葉月→橘白
・橘→郷田白　流→郷田白　安城→郷田黒

まあ、あたしとカミーラは犯人からはずすとして。
なんだかすごい関係図になりそうね。

−宴会場−

[ホワイトボードを眺める]

ややこしくなってきたな。
まぁ、この中に犯人がいて、偽の手がかりで捜査を混乱させようとしてるってことだろうな。

自称探偵さんの言ってることは食違ってる訳だから、片方が本物の探偵だとしても、もう一方は偽物ってことだ。たぶん、そいつが犯人……。

まぁ、俺からみれば事件はほぼ見えてきてる。

もし、赤毛の兄さんが犯人の一味なら、茶道家が共犯。
安城さんは少なくとも犯人じゃない。言ってることがおかしい。まぁ、夢でも見たんじゃないか。

もし、鳳おばさんが犯人だったら、茶道家は犯人じゃない。
そうなると、安城さんがぐっと怪しいね。

状況だけ見れば、鳳さんのほうがまともっぽい。葉月さんと茶道家がグル。
だが、これだけ考えると、昨日、葉月さんが茶道家はシロだ！　とわざわざ主張をした意味がわからない。
あんなことを言えば、目立って警察だって裏を取るよう調査するだろうからな。
仲間同士ならメリットがない。

じゃあ、鳳おばさんと安城さんがグルか？　ってことになるが。これだと、安城さんが郷田……犯人が一人もう捕まったとか言い出すメリットがよくわかんないんだよなぁ。

結局、自称探偵の2人のどちらが犯人なのかはよく分からない。どっちもあると思うぜ。

まぁ、怪しい奴全員しょっ引けばいいんじゃないか。

あら、流…霧羽さんだったかしらね。
こんにちは。

まあ事件が二度も続けて起こっちゃったし、しばらく旅館から出すわけには行かないけど我慢してね。
と言っても、貴方もかなり怪しい位置にいるんだけど。

って、考え中は声かけないほうがいいみたいね。

あたしもご飯食べながらかんがえましょうっと。

［ホワイトボードに記載してあることを眺めながら］

………状況は概ね把握いたしました。

鳳さんが僕にクロ判定、葉月さんが僕にシロ判定。僕の視点では、葉月さんが真……と考えて、ほぼ間違いないでしょう。他に探偵であると名乗りを上げる方が現れない限りは。

そして…僕、流氏、安城氏が鑑識…あるいはクチヨセとして名乗りを上げたと。僕が見る限り、お2人とも偽者であることは間違いないのですが、実際に皆様にはどのように見えているのでしょうね。

僕と流氏は、郷田氏をシロと判定。
安城氏が、郷田氏をクロと判定……ですか。

僕の視点では、郷田氏はシロ。
流氏が何故僕と同じ判定を出すことができたのでしょう？おそらく、郷田氏が犯人か否かを知っている立場なのではないかと思うのですが……。あるいは単純に、適当なことを言ってみて、それが真実と同じであったか。

一方の安城氏。彼は郷田氏をクロと見ておりますね。何故このような判定を出したのでしょう？

彼は犯人で、他の人の視点から出た情報を霍乱させようとしたのでしょうか？……いえ、それにしてはメリットが少なすぎる気がいたしますが。犯人がわざわざ、後から顔を覗かせて偽の判定を言って行く理由が見当たらない。

ならば彼は……単なる愉快犯？状況を霍乱させたいだけの存在……？いえ、僕にはその真意が理解しがたいのですが。

僕の視点からは、探偵の真贋は一目瞭然。
葉月氏が真、鳳氏が偽です。

何故に鳳氏が僕の身辺を調査しようとしていたのかが気になってはおりました。対抗である葉月氏が僕を調査し終えたから、適当に罪を擦り付けて僕を処理しようとしたのでしょうか？

それとも、僕が仲居さんから『堀○氏が殺された』とのお話を聞いたのを見て、罪を擦り付けやすい相手だと見越したからなのでしょうか？

……いずれにせよ、彼女は犯人の一味であるという推測が、あくまで僕の中では成り立ちます。

では一方の鑑識…クチヨセの面々ですが。

流氏が犯人、安城氏は…何と申しましょうか。愉快犯ではないかと推測しております。

安城氏は犯人と言いますより、愉快犯であると考えたのは先ほどの通り。彼がもし犯人なら、わざわざ後からやってきて偽の情報を流していくだけの正当な理由が見当たりません。むしろ状況を混乱させたいだけの発言であるような気がいたしました。

そうなると…スライド的に「流氏が犯人である」と推測可能ではないかと考えまして。とりあえず「正しい答え（＝郷田氏シロ）」を言っておけば、妙な疑いを掛けられずにすむでしょうからね。

すみません、所用でまた席を外させていただきます。
また後ほどお会いいたしましょう。

［ハーヴェイは皆に一礼すると、*宴会場を後にした*］

ふうん。まあ、彼からすればそうなるんでしょうね。
もちろん全員の言い分を聞いて判断したいけど。

ただ、実際任意同行求めて連れて行くのはあたしじゃないから、あたしが連れて行きたいと思った人でもつれてけない場合もあるのよね。警官の中にはどこに誰のシンパがいるのかわかんないしー？

あ、そうそう。

［傍らに控えている警官をみる］

ここで自論述べる人がいたらちゃんと調書取っておいてね。見たいって人がいたら見せてもいいわ。

それじゃ、あたしも潜伏捜査のほうの報告書、本庁に出してこなくっちゃ。
また夜には戻るわ。

―宴会場―

[状況が続々とホワイトボードに書きこまれていく。複雑な人間関係を整理させるためだろうか。新たな情報を書き込む警官に話かけた。]

ふーん。
橘をしょっぴけばいいと思いますけどね。

そもそも、橘は不可解です。また伝言をお願いしてもいいですかね。

【橘への伝言】

クロと言われたあなたに判るのは「鳳が偽」というだけでしょう。
なぜ、葉月がほぼ真になるのですかね。

あなたがの鑑識の結果、郷田はシロなのですよね？
橘の情報網でも、鳶はシロなのですよね？

しかもあなたは、鳶が殺された理由として、堀●殺しの犯人の何かを掴んだのではないかと推理もしませんでしたか？
なぜそこで、鳶が探偵とは出てこないのですかね。
郷田についても同じ事です。

他にも、あなたが鑑識に見えない理由もあるのですがね。
ヒントは三人の鑑識、です。

[ホワイトボードを眺めながら]

ふむ…葉月くんからの報告がまだ無いようだな…
自称探偵だというのだから今頃は調査に夢中になっているのだろうか？
いづれにしろ彼の調査報告が早く待たれる所だ。

私なりに現在の状況を整理してみたのでメモを残す。
【…は、自前の手帳にメモした】

『探偵』”鳳”
『犯人』”郷田”、”橘”、”葉月”（？）、”流”（？）

”鳳”が真の探偵だとするならば、報告どおり”橘”は犯人である可能性は高い。
そしてその”橘”を擁護している”葉月”も犯人側の一味なのだろう。
更に言えば私の視たヴィジョンでは、”郷田”が”飛太”くん殺害の犯人である。
”橘”が犯人ならば仲間の”郷田”を庇うのはわかるとして、理解不能なのが”流”の存在だ。

まあ、私も人の事は言えないのだが彼の存在は謎である。
愉快犯や犯人に協力しようとしている者が存在するならば…ひょっとすると…。

[眉間にしわを作りながら考え込んでいる]

う〜〜〜む。　何やら釈然としないな。
ひょっとすると既成の考えは捨ててみた方がいいのかもしれないな。

【…は、再び自前のメモに追記した】

『探偵』”葉月”
『犯人』”郷田”、”鳳”、”流”
『勘違い』”橘”

犯人の”鳳”は、とりあえず自分への味方を作ろうともっともらしい理由付けのできる”私”をシロだと言った。　予定外だったのは仲間の”郷田”がいきなり警察に任意同行されてしまったこと。
慌てて”橘”を犯人だとでっち上げるも、”橘”は…何故嘘をつく必要があったのだろう？
彼には”鳳”が犯人であることはそこで分かったはずだ。
”橘”が犯人側の協力者ならばそのまま任意同行をうけても良かった気はするのだが…。

結果論だが、”橘”の偽証は犯人側には都合が良かったし、”橘”が”味方”であることがわかっただろう。
しかし…”流”がダメ押しで出てくる理由は何だ？

仮に”橘”が今日任意同行されても捜査をまだ混乱させることが出来るから？
その為にわざわざ犯人が表舞台に出てくるなど…考えられないな…。

いや、この考えは保留だ。
【メモに大きく”保留”と記す】

崎山さんに伝言を。

『僕が葉月さんを真として信頼するにも、「他に探偵として名乗りを上げる方が居なければ」という条件をつけたのをお忘れではございませんか？

もし彼ら2人以外にも自らが探偵であると名乗りを上げた方がいらっしゃるなら、僕の前提は覆ります。

……しかし、ああやって2人も「自称・探偵」が出て来た時点で、もう一人探偵さんがいらっしゃるのなら、何故自ら自分がそうであると名乗りを上げぬのでしょうか？偽の探偵に好きに持論を展開されてしまう状況を、探偵さんは見て見ぬ振りができるのでしょうか？

少なくとも僕は、そのような探偵さんは信頼しにくいと考えております。あくまで個人的な感傷のようなものですが。

それゆえに僕は「飛太少年が探偵である」という可能性は見ておりませんでしたし、「葉月さんが探偵であろう」という結論に達しました。

崎山さんのご指摘通り、或いはまだ探偵さんが潜伏していらっしゃる可能性を考えていなかったのは、僕の視点が狭いからかもしれませんけれどね。』

では逆に、崎山さんに質問を。

『崎山さんは、鳳氏と葉月氏が探偵として名乗りを上げてもなお、もうお一方、探偵さんが潜伏していらっしゃるとお考えだったのでしょうか？そして、潜伏するメリットとはいかように？

また、もし飛太少年が探偵なら、そう名乗りを上げなかった理由をどのようにお考えなのでしょう？』

―自室―
[部屋の真ん中であぐらをかきながら首を捻っている]

飛太くんが…探偵？
確かに少年の頃は誰しもあこがれ、マネをすることぐらいはあったかもしれないが、やはりそれは無いだろうな…。
『探偵』飛太
『犯人』郷田、鳳（？）、葉月（？）、流（？）、橘（？）

警察が調べれば直ぐにわかる事だが、私のみた最初のヴィジョンでは犯人は”３人”だった。
”飛太くん”を探偵だとした場合、”勘違い”をしている者が２人存在することになるが…

そんな事がありうるのだろうか？

確かに堀●は複数の人間に恨みを買っていた。
犯人に対して協力しようと思う者が出てもおかしくはないだろう。
だが、飛太くんはどうだ？　彼が殺されるほどの罪や恨みを買っていたとは到底思えない。
そしてその凶行を行った者を庇おうなどと考える人間が複数も表れるなど……私は”無い”と思いたい。
うーん、うーん。

【メモをじっと睨んだまま、また唸り続けた…】

まぁ、あの赤毛の探偵さんは何をしてるのかな。
彼とは今日まだ話しをしていないから、ちょっと彼の意見を聞いてからまた考えるつもり。

［夜の国道をやや法廷速度超で走っている。目当ての灯りが見えて、スピードを落とした］

一時一課貸し出しって何よ。もう。正式に上から言われちゃったら何もいえないじゃない。

問題は、明日誰を取り調べるかよね。ま、今日みんなの意見を聞いてからにしましょ。
カミーラなら崎山を真っ先にしょっ引きたいでしょうけど。

［旅館にたどり着くと、駐車場へと車をとめ、対策本部のほうへと足を向けた］

刑事さん、鑑識の方が三名揃ったんですって？
びっくりしちゃったわよ。

橘さんが鑑識を騙るのはまぁわからないでもないですが、流さんと安城さんが鑑識だと主張するなんて……。
私が調査した、あるいはしようとしたかたがたが対立するとは思ってもみませんでした。

ああ、そのようね。あたしも驚いたわよ。

そういう風に名乗っておけば、ひとまずは安心と思ったのかしら？
どちらにしても頭を悩ませるわ…

あと葉月さんですが、犯人の一人である橘さんをシロとしてしまうあたり、迷探偵であるような気がします。
彼が犯人の一人であれば、最初にいきなり自分の仲間を差し出すだろうかという疑問が出てきますね。

彼を調査して見たいという気もしますが、捜査の流れから彼を鑑定するということもあるかもしれないですから、別のかたを調査しようと考えています。

飛太くんのことですが……。
[声が震えている。]

なぜ殺されてしまったのか全くわかりません。
きっと私よりよっぽど頼もしい探偵に見えたのでしょうね。

……そうね。鳶君が殺されてしまったのは意外だし、警察のいる旅館内で殺されたのは同じ警察のものとして不甲斐なく思うわ…だからこそ、犯人は捕まえたい。

ただ、余り手がかりが少ないのも事実よ。
宿泊客や旅館の中に犯人がいるのはわかってるけど、誤認逮捕だって避けたいもの。

［相も変わらず突然に姿をあらわす。場所も当然キャロルの背中越し。今日はハリセンに対する警戒も十分だ。］

お疲れ様ですよー。
いやぁ、こっちも色々と調べたいことがありましてね〜。しかも当初の推理、というか調査と違う結論の物象なんか出ちゃったものですから遅くなっちゃいましてねぇ、申し訳ない。

調査の結果【○安城さんは白】でしたよー。

［現れたラッセルにため息を一つつく。取り出しかけたハリセンは無駄と判って元の位置に戻した］

はいはい、安城さんはこれで白ってことね。
ほんとは今日安城さんに事情を聞いてみたかったのだけど。どうしようかしら。

−宴会場−

へぇ。安城さんは犯人じゃないと。
犯人じゃないのに、郷田さんが犯人だったと嘘の告発をするのには納得いかんがね。

そんなハリセンもって残念そうなため息つかないでくださいよ！

［そして、居合わせた鳳のほうに向き直る］
鳳さんの調査とやらが信頼できるかどうか、申し訳ないけど試させていただきましたよ。で、折角協力してやっていける能力のある方かと思えば･･･橘氏がクロ、ですって？
･･･2人目の犠牲者も出てしまいましたし、お遊びでしたらそろそろここまでにしていただきたいですよ。
もっとも、もしも貴女が犯人の一味だとすれば、それもまた当然なのかもしれませんが。
私も昨日はてっきり善意の協力者だと思っていたもので、この可能性に思い至らなかったのはまずかったのかもしれませんがね。

-旅館の外-

………。

【…また人が死んだの…。】

［昨日までは静かだった内庭に、今はせわしなく蠢く、制服姿の数人の人達が居る。そこには入る事の出来ないように、ロープが張られていた。］

【…昨夜宴会場に居た…あの子が…。】

［軽い目眩を覚えて、一瞬足元がふらついた。］

だって、せっかく叩きがいのある髪の色してるんだもの。

まあ、現状で見ると自称探偵の貴方と、鳳さん、それに鑑識だと言った橘さん、同じように郷田さんについて語った流くんと安城さんが怪しいのは事実ね。
安城さんは白みたいだけど、偽証罪ってのもあるし。

まぁ、ぼくの目から見たら謎はほとんど解けている。

赤髪と茶道家はまちがいなくグル。この2人が犯人。
犯人がこの2人だけなら、2人とも連れて行かれるだけでメリットがないから、
たぶんもう一人ぐらい犯人が客の中に潜んでいて、そいつをかばってるんじゃないかな。

安城さんは、犯人じゃないが、捜査を攪乱するために嘘の情報を言ってるね。
まぁ、犯人じゃないなら急いで逮捕するまでもないから、押し入れにでも閉じこめておくといいと思うよ。

―自室―

…………う、くあ……。
…やめ…ろ………俺…は……もう……

……ちが…んだ…………誰　か…　…


……しょう　…　　…


[澤野は部屋でうなされているようだ]

葉月さんは最初に橘さんを調査されたようですね。
その直感には敬意を表します。
ぜひその直感をいかしてほしいですね。
私が、あなたに足りないところを補いますから。
それが、プロの探偵というものです。

……。

［宴会場には、昨夜顔を見た何人かが居て、何かを話し合っているようだった。］

…何か、わかったのかな…。

［再びキャロルの方へ顔を向ける］
ところで・・・自称鑑識のお二人と面識は無いんですか？
お二人とも殺人の実行犯ではないはずですが、鑑識結果が違っている以上、どちらかは共犯、もしくは愉快犯である可能性が高いですよ。
あの連中は数も少なく腕は確かなはずですからね。違う結果を出す、なんてことはありえないはずなんで。

それに･･･明らかにうさんくさい、あの流という霊媒師と名乗る青年はいったい･･･?
［ちらっと流の方に視線をやり、眉をひそめる］

そもそも霊媒師なんてもの、存在するんですか？ご存知あります？

しかし。
ぼくも、ミステリなんかよく読むんだけど、これほどあからさまに怪しい事件は小説にもないね。

はっきりいって、郷田さんが黒いとか白いとか言ってる人間が3人も出てきたのが怪しすぎる。
自分で言うのもなんだけど。

【なにやら宴会場が騒がしいな…】

ちょっと覘いてみようか…

[…は、皆の集う宴会場へ向かった]

流くんから見れば確かにそうね。でも、貴方以外にはそれを立証できないのも確かよ。

もう、こうなると一度に全員しょっ引きたい気持ちだわ。

［ラッセルの問いに振り向く］

安城さんは良く知らないけど、橘さんは話したわよ。物静かな感じでとても人を殺しそうには見えなかったけど、世の中そんな人には見えないって犯人も多いもの。
ただ、嘘をつきそうな感じには見えなかったのよね。

【ホワイトボードを見つめ厳しい表情を浮かべている】

うーむ、これはまた…なんというか…。

探偵のお2人には、私はよっぽど胡散臭く見えたようだ。
【頭をぽりぽり掻いている…傷跡が気になっているようだ】

-宴会場の前-

［急須とお茶の葉、ポット、湯のみをお盆に載せて、宴会場の戸を開ける。］

…失礼します。皆様、お疲れ様です。
よろしければ、どうぞお飲みになって下さい。

［皆に一礼をすると、お茶の用意を始めた。］

もちろん、貴方を疑ってることも忘れないでよ？
あたしはあくまで公平にものを見たいの。

だからこそ他の人の意見も大事だわ。もっと色んな人の意見を聞きたいところなんだけどね。

まあ確かに、自分でそれを証明することはできないね。
まぁ、状況的に僕が怪しまれるのは仕方ないと思うよ。

まぁ、客観的に見ても僕か茶道家のどっちかはあからまさに怪しい訳だろうから、二人とも県警のほうで取り調べして貰うってことでいいんじゃないか。

他の客は数が多いから、探偵さんに調べさせればいいんじゃない？　その態度で探偵のどっちが本物かとかわかるかもしれないし。

いえいえ、そうじゃないですよー。
キャロルさんもおちゃめだなぁ。
いままでお仕事なさった際に、会ったことが無いか？って聞いてるんですよぉ。
貴女と、もう一人、どなたでしたっけ、貴女の同僚の女性の方。この２人のどちらかと面識があるのなら、間違いなく本物の鑑識の方でしょう？

[由貴からお茶を受け取る]

貰うよ、ありがとう。

皆様、こんばんわ。
どうも捜査が進んだようですね。

葉月氏が、安城氏にシロ判定ですか……。
つまり…安城氏は犯人ではない、と。

僕の視点から見れば安城氏は偽者ですので、捜査を霍乱したいだけの愉快犯とお見受けいたしますが……皆様の視点からはそうでもないのでしょうね。

あら、安城さん、いらっしゃい。
自称探偵二人のおかげで、貴方を今日しょっ引くことは出来そうにないわ。

ということで安城さんの意見を聞かせていただける？
自称探偵のどちらを胡散臭く思ってるか、とかね。
それに貴方が犯人だといった郷田さんとどちらが繋がってそうに見えるのか。

【由貴の淹れてくれたお茶に手を伸ばし頂く】

ああ、ありがとう…（ごくごく）

うん、ウマイよ。

[…は、茶をすすりながら皆の会話に耳を傾けている]

ああ、そういうことね。
残念だけどないわ。
あたしが事件関係に借り出されるようになったのは本庁に行ってからだし、この辺の県警とはあんまり関わりないもの。カミーラはどうだかわからないけど…。

―部屋―

[　堀●の事件後に、新たな殺人事件が発生したことを聞いた。再び事情聴取を行うという事らしい。しかし、堀●の事件直後に犯行を許すなんて、どうやら日本の警察組織は相当無能なんだろうと思った。そうじゃなきゃ、あたしだって今こんなに苦しい想いをしていない。母さんの事件だって解決してもらえなかったんだ。そしていずれあたしも殺されてしまうんだろうか？]

［由貴に対して］

メイドさん、どうもありがとうございます。

［ハーヴェイは、温和な微笑を見せた。］

橘さんもこんばんは。

安城さんをしょっ引くのを保留すると、今のところ候補としては貴方なのだけど、何か言い分はあるかしら？

ああ、それと殺された鳶少年についても調べてみたんですが･･･どうも掘●さんと接点があるということはなさそうです。
鳶少年自身にも、そのご家族や周辺にも、彼が殺されるような原因は見当たらないですしね。

つまり、掘●殺しについて、何か重要な手がかりを持ってしまったために口封じされたか、それとも単なる無差別殺人か、の２つの可能性しかなさそうです。

[　元凶はあの男・・堀●じゃないのかな？後で話しを聞いたところでは、相当多方面から恨みを買っていたらしいから。今日殺されてしまった少年がどういう関係なのかはわからないけど、単なる復讐劇ではないのかもしれないわね]

ええ
準備したらすぐに行きます

それにしても怖いですね
殺人が起こるようなところに拘束されるなんて
あたしには耐えられません！

［安城が頭の同じ所を何度も掻いているのが少し気になった。］

……?虫にでも喰われましたか?

無差別ね…あんまりそういうことは考えたくはないわね。そんな凶悪犯がいるようには余り見えないもの。
だからといって、理由があるから殺すなんて真似だって許せないけど。

せめてどこかに閉じ込めるとか夜のうちに遠い場所に連れて行くとかにして欲しいものだわ。
なんて殺人犯に言っても無駄かしらね…

刑事さん…なかなか難しい質問をしてきますな。

うがった見かたをするならば、”鳳”さんは初めから主導権を握ろうとしていた様にも思われる。
もし犯人か、あるいは犯人に味方しようとする者ならば捜査を撹乱する為に一番に名乗り出てきたともとれる。
私を調査したと言ったのも、最も理由付けが簡単だったからであろうか？

―宴会場―

[刑事や探偵、鑑識が混じり議論しているのが見える。先ほど橘への伝言を頼んだ警官から、返事を聞いた。]

ありがとう。

【橘からの返事ですか。
二人の探偵以外に単独が「いる」かどうか……。
もし「いる」のなら、三人の探偵と三人の鑑識ということですね。
「いた」かどうかは、私にはわかりません。
ですが橘さんは、「いた」ことにはあまり触れていないことから、逆説的に「本物探偵が既にいる」事を知っているのではないか。
だからこそ、鳶や郷田には触れないのではないでしょうかね。】

[ネリーに向かって]
あ、ごめんなさい。
うっかり私が仲居であることを忘れちゃってたわ。
由貴ちゃんばかりにお使い頼んで申しわけないけど、お夜食が準備できているか確認をおねがいできるかしら。

［色々とごちゃごちゃ書き込まれたホワイトボードを見る。］

………うわ…。これはどういう事なんですか…。

言い分……ですか。

僕としては、気になる箇所が1点ございまして。
それは、鳳氏が「どうして自称・鑑識」の面々を次々と調査することに至ったのか？…ということでしてね。

最初の安城氏を調査したという話は、まあ何とか『偶然』としても考えられます。しかし次に僕、そして次に流氏を調査しようとしていた。……ここまで立て続けに「自称・鑑識」を調査することが、「偶然」の領域で可能なのでしょうか？

安城氏が直接的な犯人でないことは、もはや高確率で言えること。おそらく偶然か、あるいは…おそらく犯人の一味であろう鳳氏が「安全圏」の人員と見越して彼にシロの判定を下したのでしょう。

彼女が僕を調査したのは、葉月氏が僕にシロ判定を出したから…と考えられます。もし本日僕にクロ判定を出しても、他に探偵が居ない以上、僕に嫌疑をかけることはたやすくなります。僕に無実の罪を着せ、警察に連行することを目的とした調査でしょう。

……そして今日、流氏が「クチヨセ」であると告げる前に、彼女は流氏を調査すると宣言していた。これは何故でしょうか？偶然にしては出来すぎている。それよりむしろ、裏でお2人が相談し、表面上は無関係であることをアピールしたかったのではないかと考えましてね。

状況証拠からも、そしてこの一連の流れからも、鳳氏と流氏が、堀○殺人事件の犯人グループの一味ではないかと推測いたしております。

［鳳の言葉に、はっとする。］

あ、そうですよね。
この時間でしたら、お茶よりもそちらを考えるべきでした…。
では、厨房に行って見てきますね。

―宴会場―

[　前に見かけたような人物達が持論を展開していた。あたしは特にそれには興味は示さずに、事情聴取を受けに行った。ちらりと耳にした感じでは警察組織の捜査を撹乱する目的の偽者が紛れ込んでいるらしかった。事件を解決するのはあたしじゃなくて警察だから、任せてしまって良いだろう]

[葉月の言葉にハッとした。]

【無差別……ですか。
ふむ。

誰でもいい場合に、なぜ鳶が対象になったのか、ですかね。】

あ、橘さん。
今朝頼まれていた喉の薬、お渡ししておきます。

ぼくが犯人だったら、おとなしく一般人のフリをしてたほうが得だったと思うんだけどね。

別に誰かに疑われてたわけじゃないし。

ありがとう、メイドさん。

［ハーヴェイは、喉の薬を使った］

……少しだけ楽になった気がいたしますよ。

流さん……そうでしょうか？

それだけでは「何故、鳳氏が流氏を調査しようとしたのか」の答えにはなっていないような気がいたしましたが。

…確かに偶然にしては三連続、なのはちょっと不思議ね。
ただ、橘さんが犯人ならしょっ引かれないために鑑識だと言い張った、ということも考えられるわよね。

ウーン、悩むわ…
あたしから見れば、橘さんはそんな風には見えないのよ。鳳さんからすれば葉月くんと橘さんが繋がってるように見えるのだろうけど、ならどうして葉月君が最初に橘さんについて証言したのかが引っかかる。

[　事情聴取は2度目だったので滞りなく済んだ。事件に前後した時間の行動と、被害者との関係を尋ねられた。その写真の少年には見覚えがなかった・・いや、あの事情聴取の日にどこかで見た気がした]

えと
この旅館に来てから見たのが初めてですね
名前も知らない子です

事件があった時間にはあたしは自室で寝てたはずですけど・・

”葉月”さんは…正直いって謎ですね。

探偵にしては飄々としていて…いや、探偵という職業を詳しく知るわけではないのですが、もう少し真面目な職業だという印象が強いもので。

二番煎じというのもマイナス要素ではありますが、私はそれほど疑っているわけではありません。
調査結果だけでは今のところ２人とも甲乙つけがたしといったところでしょうかね。

希望を申し上げれば今日は”橘”さんを任意同行し、詳しく調べれば何か埃が出るのではないかと…。

ああ、ｌこれは直接聞いたほうが早いですかね〜。

［そうもらすと葉月は流のもとへ歩み寄る］

ええと、流さん、でしたっけ？
貴方のその霊媒っていうのはいったいどういうものなんですか？
あと、貴方が霊媒師というものだとして、自称鑑識のお二人と、いったいどういう関係になるのかが僕にはさっぱりわからないんですが、ご説明いただけませんかね〜？

[橘に聞く]

え、鳳さんは僕を調査しようとしてたのかい？
それは知らなかったな。

もし、本当に鳳さんと僕がグルで、無関係を装うために僕の名前を出したというのなら、もっとみんなに聞こえるように言わないと意味がないとおもうけどね。

[ニコリと笑って」

ああ、ありがとうお嬢さん。
ちょっと頭を怪我していてね…傷がかさぶたになっていてどうにも気になってね。

……。

【ふと、由貴の顔に別の女性の顔が重なって見えた】

いや、なんでもない。
ちょっとこのところ、ぼーっとすることが多くてね。

[葉月に]

いや、ぼくがわかるのは、堀●の霊が出てきて、郷田は事件に無関係だったいうそぶりを見せた。
それだけですよ。
まぁ、非科学的と言われればそれまでですが。

鑑識がどうとか、そんなことはぜんぜん知りません。

［流に対して］
……いえ、ホワイトボードに記載されておりましたよ。
もっとも、あなたがクチヨセであると告げた時点で、そのメモは消されてしまいましたが。

[橘に向き直る。]

鳳さんが調べた先が鑑識だということの偶然よりも、普通に犯人を見つけたからと考える方が自然だと思いますが。

橘さんが鑑識なら、葉月さんが探偵で、鳳さんは何だと思います？
流さんは？

そして、郷田さんを鑑識の真似事をしていると仰るのですか？

[ハーヴェイに向かって]
橘さん、それは私が答える質問だと思うのでお答えします。
流さんがお風呂で失神したことがありまして、そのとき私がそこに駆けつけました。

流さんには失礼かと思いましたが、ちょうどよい機会と思いまして、体をあらためようかと思いました。彼が犯人であれば、なにか手がかりになるものが残されてないか……まぁ実際みてみないとなにが手がかりなのか、わからないわけですが、それぐらい手がかりがほしかったのです。

[葉月に]
鳳さんが、無関係であることを装うことをアピールするために、わざわざホワイトボードに僕の名前を書いたというのなら。
消す意味がわかんないんだけどさ。

［崎山に向き直り］

先ほどから申し上げております通り…
鳳氏と流氏が犯人グループの一味と考えております。

安城氏は、単に鑑識の真似事をしていらっしゃるのでしょう。その目的は何なのか、僕にはさっぱり分かりませんが。

-厨房-

［厨房には、きちんと人数分よりも少し多目のの膳が用意されていた。］

……さすが鳳さんだわ。私はまだまだ気がきかないなぁ…。

［ワゴンに膳を載せ、厨房を後にする。］

………。

[　質問はあたし自身のことにも向けられた。予想した通り、あたしの嘘の住所がどこにもない場所だと調査が済んでいるらしかった。厳しい口調で詰問されたがあたしはそれでも真実は伝えられなかった。あたしの身はあたし自身で守るしかない。それができなかったから母さんは・・]

ごめんなさいっ
母さんと大喧嘩しちゃって家出してきたんです

お願いだから家には連絡しないで欲しいんですよ
駄目ですか？
酷い家庭内暴力であたし怪我しちゃうかもしれない！
それでも本当のこと言わなきゃならないのかしら？

[　いざとなったら泣き落としすると決めた。そんな姑息な手段が通用するとは思ってはいないが、あがく必要はある。あたしを追っている怖い奴らと対峙することを思えば警察組織くらいなんてことはない]

流氏を調査したいと考えた理由が、
お風呂で倒れていたから、ですか。

……それはどうも。

［ハーヴェイは、釈然としない表情で鳳を見ている。］

［ワゴンを運びながら、昨夜の事を考えている。］

【……何故あの少年が殺されたのかしら。】

[キャロル警部に向かって]

あと、”郷田”との繋がりと言われても…
残念ながら私は”郷田”とは面識もなく…というよりも、ここの皆さんとも正直ほとんど話すらしたこともない方々ばかりで。

何のお役にも立てず申し訳ない。

【申し訳なさそうに頭を掻いている】

ははぁ、ということは流さんの能力･･･といっても僕にはさすがに信じられないんですがね、申し訳ないですが。
それと、鑑識の判定は全く別のものであるってことになるんですかね。
もっとも、殺人犯が突然目が覚めたら霊と交信できる、なんて言い出すのも考えづらい話ですからねぇ。

［キャロルに向かって話しかける］
やはり、もっと他の一般の方々のお話を聞いたり、調べたりしてみたいと思うんですがどうでしょう？
鑑識を名乗るお二人は少なくとも実行犯ではないですし、あの青年は・・・あはは、申し訳ないんですが、どうも私の理解の範疇の外になってしまいまして。あんな殺人犯がいるとも、ねぇ。
（耳元に口を近づけて小声で）正直なところ、鳳さんに対する警戒は必要だと思いますが、まだ泳がせても構わないと思いますし、必要とあれば極秘裏に調査してみますが･･･。

［流に対して］

……そうでしょうか？
わざわざ「次は流氏を調査する」と書き、そしてそれを撤回することによって、「鳳氏が流氏の正体を知らなかった」とするアピールをすることが可能ではないかとも、僕は考えたのですが。

『無関係だからこそ、あなたを調査したかった』と考えていることを見せ、あなたとの表向きの関係を絶つ。そこであなたがクチヨセであることを告げ、申し合わせたように鳳氏が調査対象であるということを撤回する。そこで「我々が互いに真の探偵・クチヨセである」とアピールする。

……そういう考えは邪推でございましょうか？

[お茶を飲んだ。]
私はその時点では、葉月さんが同業者だと思っておりましたので、葉月さんの調査を信じて、流さんの体を調べてみたかったわけです。

私が調査する前に流さんの目が覚めて、調査する機会を失ってしまったのですが。
そこで前から気になっていた橘さんを調査しようと考え直したのです。

[キャロルに]
赤髪が茶道家の名前を最初に出したのは僕も引っかかってる。

まぁ、その裏を取って、別の探偵が茶道家を調べるとは思ってなかったんじゃないか。
下手に頭の回る探偵なら、昨日の時点で赤髪と茶道家は無関係だと推理して、別の人を調査するっていう手もある。そういうのを狙ったのかなあ、ぐらいしか。

［鳳に対して］

……葉月氏を信頼して、流氏の身体を調べる？

よくわからないので詳細をお教えいただけますか？

[　長い間拘束されさんざん質問されたが、結局相手の方が折れた。あたし自身のことは、今回の事件とは直接関係がない]

あのぉ
警察が大勢いるなかで殺人が起こってしまうなんて
どうなんでしょう？

それとも、犯人が見つかればそれでいいとでも思ってるのかしら？
殺された人は帰って来ないというのに・・

[　終わりに、嫌味を言ってやった。今回の事件もそうだが、あたしは母さんの事件を自殺と決めつけた警察を最初から信じてはいない。必要最低限の情報を提供して、あとは適当に対応すれば良い。なんにせよ、早いこと犯人を見つけてもらいたいものだ]

［渡り廊下の途中で足を止めて、考え込む。］

【あの子には、何か殺される理由があった…?…わからない…。宴会場でちらっと見ただけだったからなぁ…。一度だけ視線が合ったかな…。】

［必死で昨夜の事を思い出そうとしていたが、特に何も思いつかない。］

…あの子、好奇心旺盛な目をしてたな…。

……葉月さん。

あなたのお話だと、鑑識の中に「愉快犯が2人」とお考えになっていると捉えられてもおかしくはございませんが。

あなたは、誰が真の鑑識だとお考えですか？

まぁ、自称探偵やら鑑識やらのことばかり考えて、一般客の中に犯人が潜んでいる可能性を見逃しちゃまずいね。

今日は、茶道家の【橘さんに任意同行願う】のが正解だと思う。
まぁ、客観的に見ても、今日取り調べるのは僕か彼のどっちかが怪しいんだろうし。

＞橘さん
おっしゃる意味がわからないんですが・・・？
鑑識は貴方と安城さんのお二人ですよね？
どちらかが本物、確かにお二人とも偽者なのかもしれませんが。
お二人とも本物と言うのはありえない。それは貴方が本物なら、その職業柄一番ご存知なのではないんですか？

［再びキャロルの耳元で囁く］
そういえば、鑑識の方々って言うのは何か身分証明できるようなものをお持ちだとか、そういったものは無いんですかね？
皆さん、どうもそういう部分から意識が飛んでいるような気がするんですが。

私と葉月さんとの最初の挨拶の際に、私は葉月さんに協力して調査しましょうと提案しています。
この時点では、私も彼も同等の能力を有した探偵であると、考えていたわけです。
これが「葉月さんを信頼」という部分です。

ですから安城さん･橘さんを交互に調査するよりも、多くの人物を手分けして調査したほうが犯人を見つけられる、と考えたわけです。

安城さん、ありがとう。体調が優れなかったら部屋に戻ってもいいと思うわ。

［葉月の耳打ちに顔は動かさずに視線を向ける］

そうね。鳳さんはここの仲居さんだし、もっと意見を聞いてみたいと思ってるわ。
後は誰をしょっ引くかよね。
葉月くん、警察に来てみる？　
カツ丼位なら出すわよ。

冗談だけど。鳳さんと一緒で貴方の探偵としての意見も聞きたいところではあるし。

―自室―


[巡る記憶。

入り乱れる人々。錆びた鉄と土の匂い。身体中を駆ける痛み。
そうだ、俺は囲まれていた。
相手は十人程だったか。人を殺すのに理由なんかいらねぇ奴らだ。
まあ、俺も同類だが。

心臓の鼓動が耳元で五月蝿い。
身体中が悲鳴をあげているが足はやられてない。まだイケる。
足元に落ちていたパイプを拾って握り締める……]

［葉月の方を向き直り］

いえ……結果が割れている以上、どちらかが偽者であると考えるのが筋かと存じましてね。

逆に言わせていただけるのであれば…
どちらも真とあなたがお考えになっているというのは、僕にとっては少々理解しかねる点でございます。

[橘に答える。]

鑑識を名乗った順序的には、鳳は橘にクロ→橘が鑑識→流が鑑識→郷田が鑑識→葉月が郷田にシロ、ですよね。

橘さんは、犯人は「鳳・流」と仰いましたが、「犯人である流さんが鑑識を名乗る理由」は何だと思いますか？
既に犯人である鳳さんが探偵を名乗っているのですが。
同じく犯人である流さんからは、誰が鑑識でも良かったと思わないでしょうか｡

これが、私が言ったヒント「鑑識が三人」という事の答えです。

［鳳を見て、微笑んだ］

……なるほど、そういうことでしたか。
僕の理解が至らぬばかりに。

どうもありがとうございます。

[　事情聴取が終わって戻って来ても、警察や探偵が議論している最中には近寄り難かった。ぼーっと遠巻きに見ながらホワイトボードを眺めていた。状況がすぐには認識できなかった]

［橘にむかい怪訝そうな顔を向ける］
ええ、ですから、両方が本物、と言うことだけは無いでしょう。と、何度か申し上げたと思うんですがね〜。
実際、鑑識なんてものがそう都合よくこんなとこにいるとも思えないんですよ。もし堀●さん絡みでいらしてたんなら、キャロルさんとお知り合いじゃなければおかしいですからね。

[陽子の「殺された人は帰って来ないというのに」という言葉が聞こえた。...は自分の亡き夫を思い出して、つい顔を歪ませた。]

[鉄パイプを持った両腕を振り上げ、目の前の男めがけて
勢いよく振り下ろす――]

…………！？

[刹那、男の顔がぐにゃりと歪み、その輪郭はやわらかな
少女のそれに変化する。
白い肌、長くゆるやかに編んだ髪、あどけない笑顔――

――祥子、だ。

]


うわあああああああああああああっ
　

そこが僕にも理解しかねる点でしてね。

僕が始めに鑑識として名乗り出ることにより、慌てて犯人グループの誰かが「郷田氏の正体を知っている」と名乗りを上げたのではないかと。

……まさか犯人側も、愉快犯がこの中に紛れ込んでいるという考えには至らなかったのではないかと、僕は考えているのですが。

「鑑識が3人出た」というこの現状は、そこから来ているのではないかと思われます。

それと、流さん。
いや、僕が貴方の霊能力とやらを信じてあげられないのは心苦しいんですが、それだけでどうして僕が殺人犯にされてしまうんでしょうか？
それも霊のお告げ、とやらなんですか？
どうにも貴方の存在自体が僕には良くわからないんですが･･･。
それについてもご説明いただけますかね？

［葉月を見て、困ったように微笑む］

……そうですか。

残念ながら僕は、別件でこちらに来ておりまして。
こんなことを言ってもおかしいかもしれませんが、僕は偶然この場に居合わせたのですよ。

……信じていただけるとは、思っておりませんが。

橘さん？
鑑識が３人とは・・・自称鑑識は貴方と安城さんのお二方のはず、では無いんですか？

-宴会場-

［膳を載せたワゴンを押しながら、再び宴会場のドアを開く。外は肌寒かったが、部屋の中は人の熱気で暑いくらいだった。
何となく、声をかけづらい雰囲気だったので、宴会場の片隅にワゴンを置き、そっと皆の様子を眺める。］

ああ、すみません。
「鑑識が3人出た」という話は、崎山氏に向けたお話でして。

分かりやすく言うために、クチヨセも鑑識も纏めてしまいました。

[　ちょこまかと動き回っているメイドさんを見つけた]

あ〜〜〜！
メイドさん！

え、安城さんって鑑識を自称しておられるんですか。

てっきり、妄想をそのまま口に出してる人かと思ってましたけど。

橘さん。

あなたからは、愉快犯は、最後に名乗りを挙げた安城さんを指しているのですよね？

[飛び起きる。呼吸が荒い]


……夢、か。

……まさか……こんな……。
私はもう、あの頃の私ではないのです……。

[まるで何かに言い聞かせるように呟いている]

[…は、少し青ざめた顔をしている]

話の途中で申し訳ない。
少し体調が悪くて…悪いが続きはまた明日にでも。
先に休ませてもらうよ…

あ、そうそう。　私の考えを纏めているメモをホワイトボードに貼っておくよ。

…もし私に何かあったら参考にしてくれ。

[寂しそうに微笑んだのち、危なげな足取りで自室に戻っていった]

［崎山の方を見て］

……ええ。そうですが。

確かに僕も、どうして彼が鑑識として名乗りを上げたのかも分かりません。それこそ、「夢で見たことをそのまま口にしている」…とでも思えてならないのですが。

彼は、状況を霍乱させたいだけではないかと。

鑑識だって警察の一部なんだし、手帳くらいは持ってると思うけど…
ただ霊媒師の流くんや突然死んだ人の意見が聞けちゃった安城さんなんかはそれ持ってないわよね。

うーん。
鳳さんを信用しているわけではないけど、明日橘さんに任意同行を求めてもいいかしら？
まだカミーラが来ていないから彼女の意見も聞きたいところなんだけど。

ぬふふふ、今日は大量だったわー。まさかこんなに早く物証が見つかるなんてね。

でもお腹空いたー。今日は朝から晩まで調査してたから。さくっとお風呂入って、ご飯ご飯。

[宴会場の片隅にたたずむネリーを見かける。]

みなさん、食事の準備ができました。とりあえず食べましょう。食べながら話しましょう。はーい、そうしましょう。

橘さん、ひとつ疑問なんですが･･･
犯人側、愉快犯、貴方は殺人者のグループの人数や役割を知っておられるんですか？
そうじゃないと、どうにも貴方の発言は解せない。

率直に伺います。貴方はこの事件の共犯者、ではないんですか？鑑識の身分を証明する何か、もっていらっしゃいませんか？

[　あたしは頬をぷうと膨らまして、メイドさんの顔を見つめた]

昨日
逃げたでしょ？

折角背中流してあげようと思ったのに！

今日は
ゼッタイ逃がさないからっ

あら？　葉月くんは橘さんを白と証言したんではなかった？　犯人ではないでしょうって。意見を変えたの？

……さあ、僕は犯人が何人かは存じ上げません。
ただ、あまりに安城氏のお話が稚拙すぎる故、愉快犯ではないかという気がしただけです。あくまで、直感として。

鑑識としての身分証明ですか？
……お見せしてもいいものであれば、お見せいたしますが。

……はは、ひどい汗だ……。
まあ、露天風呂は日に何度いただいてもバチはあたらない
かもしれませんね。

それより喉がカラカラになってしまいました。
備え付けのポットの湯も尽きてしまったようですね……。

[意識して丁寧な口調で呟き、浴衣姿で部屋を出る]

［葉月は立ち位置を変えずに、部屋の隅の方にいる鳳に声をかけた］

鳳さん、伺いますが貴方の調査ではこの橘さんは掘●さんか鳶少年を「直接殺害した犯人」と言うわけなんですか？何か物証が出たとか。
ただ単にアリバイや動機の問題であれば、彼が共犯者だとすれば、我々の調査に違いはなくなるのでは？

キャロルさん、私は橘さんの反抗は不可能だった、実行犯ではないと証明しました。彼のアリバイによって。
ただし、彼が鑑識、などと名乗った以上はもし犯人に共犯者がいるとするのならその可能性はありうると思っています。
どうにも犯人の事情と言うものを知りすぎている気がしますしね。

［由貴は、いきなり詰め寄られて、たじろいだ。］

……あ、あのですね、昨夜は、い、色々仕事が貯まってまして…あはは…すみませんでした…。

［なんとなく、少しづつ目の前の女性から後退している。］

−宴会場−
〔所属している警察署と連絡を取る為に外出していたが、戻ってきてまた宴会場に〕

さて、今日もキャロルちゃんは頑張っているのかしら？

……そうですねぇ。
言われてみれば、安城氏が愉快犯ではないという話は、どこにもありませんね。

本物の鑑識ではないことは、結果が分かれたことにより明白ではございますが、彼が犯人ではないという証明にはなりません。

ただし、犯人がこんなにも顔を出すことがあるのでしょうか？もう何人も怪しい人間が出ているというのに、後からさらに犯人が顔を覗かせる必然性が全く見えないのです。

……それゆえに、安城氏が愉快犯であると思ったのですよ。

なるほど、そういうことね。わかったわ。

［葉月に答えると、橘のほうを向く］

それで、橘さんは何も反論はない？　ちゃんと警察の取調べでも色々聞くと思うけど。

[葉月に]
橘さんは2人の自称探偵に調査された。
で、渦中の人の橘さんが鑑識を名乗って出てきた。
なにも言わなければ、そのまま今日橘さんが県警のほうに連れて行かれた可能性が高いから、あわてて嘘を言ったと思う。そうなると、橘＝犯人の可能性は高い。

そう考えれば、橘さんを犯人だと告発した鳳さんは本物の探偵。
橘さんと、彼をシロだと主張した葉月さんはグル。

こういう推理です。ＱＥＤ。

―宴会場―

すいません、水をいただきたいのですが……。

[と、言いかけたが、宴会場の物々しい雰囲気に、思わず
言葉を飲み込んだ]


あの、何かあったのでしょうか……。

[誰にともなく問いかける]

―宴会場―

[ホワイトボードを見て]

探偵が２人で鑑識、霊媒師と３人。
鑑識はともかく霊が話しかけてきたってうさんくさすぎですわ。

[...は溜息をついた]

だ・め

仕事があるからこそちゃんと疲れも取らないとね★

[　にっこり笑って素早くメイドさんの手を掴んだ]

さて、少し疲れたので。
そろそろ風呂に入って休ませて貰う。

昨日はあまり眠れなかったし、頭もまだ痛いんだ。
すまないな。

・・・鑑識までこの宿に来てるの？
ずいぶんと騒々しい温泉ね。

〔と、宴会場に入っていく〕

[露店風呂の中]

ふふーん♪ふふふーん♪

でも、なんか今日も旅館の中が騒然としてたわねー。また何かあったのかしら。もう一回調べられるとか本と勘弁なんだけど…ご飯前に覗いてみようかな。

葉月さんのいうことには一理ありますね。
掘●氏に直接手を下した犯人は別にいると考えることは不思議なことではありません。

［キャロルを見ながら］

……いえ、反論ならもう既に済んでおります。

…どうぞ。

［宴会場に入ってきて立ち往生していた男性客に、水を差し出す。］

流さんにはどうして橘氏が犯人である、とわかるのですか？
私も現状、彼のことは怪しいと思ってはいますが、貴方が彼を偽鑑識である、と決め付けられる根拠はなんなのですか？彼が本物の鑑識であったとしても、当然名乗り出てくるとは思いますよ？
それと、だから私と彼がグルである、と言う部分に飛ぶのも、全く理解が出来ないんですが、説明していただけます？
それと、安城氏についてはどう考えているんでしょうか？

−宴会場−
ふー、さっぱりしたー…うわ、この時間にまた大勢いるわねー。

[ホワイトボードを見て]

ねー、これって私たちが見ても良いものなのー？

【この少女は……】

……どうも、ありがとう。

[澤野は、動揺を悟られないように注意しながら、由貴から
水を受け取る]

事情聴取はまだ終わっていないのでしょうか？
昨日も遅くまでかかっていたようですが……。

って、キャロルらしくないわね。
まああたしもちょっと野暮用で席はずしていたのも悪かったけど。

で、どうなっちゃってるわけ？

あ、澤野さんだ
こんばんは〜

何でも、ここに来てた男の子が殺されたらしいって
さっき延々事情聴取受けちゃったわ

[　宴会場に現れた澤野に手を振った]

……といいますか……
ここで何人も犯人が出てきているというのも、少々間抜けすぎるような話だと思うのですよ。

普通、殺人事件の犯人というものは、なるべく隠密行動をするのではないかという認識だったのですがね……ああ、犯人というものは僕達の理解の範疇を超える行動をするものかもしれませんが。

それなのに、僕視点では偽の判定をする者が複数現れている。僕としては理解しがたく、どうしても「偽の判定をした人間が全員犯人である」とは考えがたいのですよ……

中にはこの状況を面白がって、かき回したいだけの人間がいるのではないかと、自分でも嫌になるくらいの邪推をしてしまいます。

［女性に手を掴まれながら、男性客に答える。］

……また新たな事件が起きまして…。

［言いながら、目を伏せた。］

………ああ。
こんな邪推までもが脳裏をよぎるとは。

［ハーヴェイは疲れたような溜息をついた］

いつも思うのですが、こういう状況は何とも言えず嫌なものです。仕事柄、仕方ないとは思うのですけれどね……。

[議論している探偵、鑑識たちをぼーっと見ている]

【……誰を信用すればいいのかしら？
この中に殺人犯がいるみたいですしどうしよう】

〔机の上の調書と、ホワイトボードを軽くみながし〕

ふーん、よく分からないけど霊媒師とサイコメトラーがいるのね。それは心強いわ。






・・・なんて警察が言うわけ無いでしょうが！！

とりあえずそこの鑑識さんから免許は見せてもらったの、キャロル？

鑑識技術免許、持ってるんでしょ？

だってカミーラ、助けを求めたくもなるわよ。連行した郷田さんについて犯人だとか犯人じゃないとか言う人が三人もいるし…
大体、容疑者はこの旅館にいる人すべてなのよ。もっと宿泊客だって仲居だって事件を解決しようって情報持ち寄ってもいいと思うのよ。

捜査に非協力的って言うの？
もっとその辺り周知したほうがいいとおもうわ。