人狼審問

そんな…ハーヴェイ！！
なにやってんのよ…。あんた達なにやってんのよぉ！

[皆から発している殺意がハーヴェイを飲み込み、蹂躙する]

お願い…やめてよ！！
ハーヴェイは人間なんだから…。
悪い事なんて何もしていないんだから！！

[レベッカはセシリアに殺意を向ける所ではなくハーヴェイの元へと駆け寄ろうとするが、弾き飛ばされる]

[カチ、カチ、とランプが点滅しては、ゆらり消えた。不意に集会場が“闇に包まれる”]

[慌てて手探りでランプを探り、少しの間を置いた頃灯りをつけた――そして明るみになる、死]

[突如明かりが消え、再び誰かが灯したのか明かりが復活する…]

あ…あぁぁぁ……。

[レベッカの前には村人達の暴力によって、血の海に沈んでいたハーヴェイの死体が転がっていた]

え…？

［車椅子に座る自分のすぐ後ろ…
　そこで今まで車椅子を支えていた
　ヘンリエッタが血を流して息絶えていた］

…え……？
………ヘンリ…ちゃん？

[ ずっとメモに没頭していた顔をあげた刹那、なにも見えなくなった。
悲鳴。喧噪。レベッカさんが必死に叫ぶ声が心を裂く。]

なんでよ！なんでハーヴェイなのよ！！
[セシリアの胸倉を掴み]
死ねばよかったのに…。あんたが！あんたが死ねばよかったのに！
順番が違うじゃない…。ハーヴェイなんて、ほっといてもどうせすぐにそこら辺の道端で死んでたわよ！なんでわざわざ、あんな事しなきゃなんないのよぉ…！
馬鹿。ああぁぁぁ、馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿…どいつもこいつも馬鹿ばっかり！！
どうしてこんな事になるの…。

[――気付く。
見慣れた、幼さの残る…執事の姿、が]

―――ヘンリ、エッタ……？

[一瞬の暗闇に、先ほどの惨劇を思い出して身体が強張る。微かな悲鳴、日常を送る上では絶対に聞くことの無い類の液体音。咀嚼音。そして光が点る]

……なっ……

[かくして、惨劇は既に終わっていた。]

ハーヴェイ…ねぇ。
あの時のように笑ってよ……。
お願いだから…さぁ。

昔から、あんたは身体はあまり強い方じゃなく外にも出ない子だったけど、悪い事なんかなんもして無いのに…。
小説書くようになったって言った時、嬉しかったんだよ。
あのハーヴェイが少しは有名になって戻ってきたんだってね。当時の私にはクインジーがいたけど…。

[がっくりと項垂れ、ハーヴェイの手を握る]

そんな…っ！嘘っ！！ヘンリちゃんっ！？
ねえ！返事してよ！！ねえったら！！
ヘンリちゃん！？

［車椅子の方向が一人では変えられず
　首を必死に後ろに回すが
　詳しい様子が分からない］

いや…イヤ…嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁっ！！！
ヘンリちゃん！ヘンリちゃんっ！！！

［セシリアは車椅子から落ちるように降りて
　必死にヘンリエッタの死体まで這いずる］

[ただ、ただ唇をかみ締めている]
狂ってやがる･･･楽しんでるのか･･･！
俺達がこうして人間を殺すしかないと踏んで、わかって、
一人、一人と殺め俺達の苦しむ様を見てるってのか！

[幼き少女の変わり果てた姿を見て叫んだ]

あぐぅっ！！
は、放して！放しなさいよっ！！
ヘンリちゃん！ヘンリちゃんっ！！
今まで私の後ろにいたじゃない！！

［ソフィーに掴みかかられ
　ヘンリエッタに近づけずにもがく］

私の両親のことについても聞こうとすらしなかった…。
あれは多分、人付き合いが苦手な貴方なりの配慮だったんだって今なら思えるよ。

ハーヴェイは何も悪い事なんてしてない筈なのに。
みんな、みんなおかしいよ！！狂ってるよ！！

ヘンリエッタ…エ、ッタ……
嘘―――嘘だろう……？
お前、なん、で、嘘、ぁ、あ…っ！！

[血溜まりに蹲り声は掠れ]

絶望が邪心を生む。しかし絶望は止め処なく生まれ来る。

[人間の手によって作られた、死。そして見えない恐怖によって作られた、死。二つの亡骸を前に、音にならぬ息が漏れて]

――また、人が、死んだ。
また……

[それ以上言葉続かぬかのように、きゅっと唇を閉ざして。嘔吐感を堪えながら、親しき人の死に嘆く人々の声を聞く]

[荒く吐いていた息を沈め]
ははは…。あはははは、でももう迷う事は無いわ。
あいつも、こいつも、どいつも、そいつも遠慮なく殺れる。みんな、みんな殺したんだもの…。よってたかってハーヴェイを殺したんだもの。

いいよね？いいよね？他人の命を奪っておいて、自分の命を乞う奴なんていやしないよね。
殺してやる殺してやる、あっははははははは！

[ ランプが再び灯され、やっと見通せた大部屋には…赤い血だまりができていた。]

や…、死んで。る。

[ハーヴェイの右手に十字架を握らせ、セシリアを睨みつける]
セシリア、貴女だけは…絶対に許さない！！
何があっても、私がどうなっても絶対に…絶対に、
ハーヴェイに懺悔させ、ハーヴェイを殺そうと仕組んだ事を後悔させてから殺してあげる！！

[自分が初日にどんなことをしていたか覚えていない為、周りの人間の変貌振りが信じられない]

はは……なんだこれ……。

あ、そうだったそうだった……
結局、皆死にたくないんだ。
好きなヤツを殺されたくないんだ。

はは……どうすんだ？
殺された上に殺し合い？

ははは……
[力なく笑って、へたりこむ]

はぁ…ははは。
結果…、ハーヴェイが何者だったか言ってあげようか？それともセシリアの胡散臭い占いを待っておく？

[ きつく紙のかたまりを握りしめていると、ほんの少し血が滲んだ。]

わたし…わたし…。

[くすくすと笑いながら]
わかりやすくていいじゃないか。
皆、自分のためにお互い殺しあうんだ。
散々やってきたじゃないか。
アタシが一番わかってるじゃないか。

―――覚悟しろ、ってことだね。
[強い口調で言うが、膝は笑っている]

[今も残る感触。ハーヴェイの断末魔。ナサニエルの手は、震えていた。]

そうか･･･俺は、またやったんだな･･･。
人が死んだ。
そして、人を殺した。

犠牲者は二人･･･。
もう後戻りは出来ない。
生きる為に、殺さなければならないんだ。

[ナサニエルの手は震えるのを止め、力強く握り締められた。左手の傷口からは、未だに血が滴っていた･･･。]

ヘンリちゃん…ヘンリちゃん…

［呼吸が少しづつ落ち着いてくる…］

…私は…占い師…この目の前の人を…占う…
…ヘンリちゃんの…ためにも…

…占術…発動…

セシリアが人間の気狂いだろうが犯人だろうが構わない…。
ハーヴェイの死以上の死を持って、貴女には償わせてあげる。

お父さま、お母さま…クインジー、ハーヴェイ。
見ていてね。
私が全部全部終わらせてあげるから…そして私も死んで会いにいくから…さぁ。

あははははは…もう、恐れる事なんて何も無いわ！
躊躇なんて考えていた私が馬鹿だったんだよね、みんな？
あの時セシリアを殺してしまえば良かった…あぁぁぁぁ。

[ソフィーに静かに視線を向け]

――どういう状況か、理解、してる？
あなたと同じ能力を持った人間が、殺された。
もうあなたの力なんて……
信憑性が、ないの。

何故、ヘンリエッタが死んだ？
ウソを隠す為、言葉を失わせた。
……多分ね。

[カミーラに少し覇気のない目を向けた]
何圧倒されてんだ。
傷負った時言ってなかったが、
お前だってこんなんだったんだぞ。

改めてわかったよ、人ってなぁ酷く脆いもんだ･･･。
･･･アーヴァイン。

［眼鏡を外して瞳の奥の奥に力を込め、
　ソフィーを見つめる…しかし、そこには
　特に邪悪な影は無い…普通の人間、
　ソフィー=カーマイケルの姿があった］

…あなた…人間…だったの…

好きにしたらどうだ、ソフィー。
この状況で占いと一緒に言う事は難しいだろう。

[ベンジャミンの言葉にハッとして]
うっさいハゲ！！！
適当なこと言いやがって、この期に及んで口説く気かこのエロジジイ！

……そ、そんな、そんなはずないだろ？

―――私は強くなったんだ。強くなったはずなんだ……。
じゃあ、あ、あ、アタシもあんなふうに？
何も出来ないガキみたいに？
怯えて？震えて？わめき散らして？
嘘だ……
[頭を抱えてぶんぶんと首を振っている]

――――なんで。
何でだよ、ヘンリエッタはまだ13歳なんだぞ……？

執事の仕事ばっかりで、お洒落とかそんなのちゃんと出来てないのに。
あんなに立派だったのに。
俺のために怒ってくれたのに。
いつもいつも、誰かのため、誰かのためって――――！！！

[握り締めた拳でだん、と床を叩く。
血飛沫が顔に飛び散った。]

そうだ、いまから全員を殺せば全て終わるんだ…。
セシリアを殺して、ハーヴェイを殺そうとした村人もみんな、みんな死んでしまえ！！

絶望を与える存在に絶望を与え返さなきゃ…。
死は救ってくれるんだよね…。
私は…救わなきゃいけないんだよね？

[セシリアの占い結果を聞き]
はっ！あんたに人間って言われてもうれしくもないわね。

言ってあげる。人間よ。ハーヴェイは普通の人間だったわ。どう？笑えるでしょ？

――――俺の所為だ。

俺の所為だ、俺の所為だ俺の所為だ―――！！！
俺のところに来なければ、こんなことにはならなかったのに！！！
俺が、おれ……

馬鹿野郎、馬鹿野郎ッ……！

――なぁ、そんなところで寝てるなよ。
お願いだから、お願いだから起きてくれよ…ッ

誰がお前みたいな色気のない女を口説くってんだ、
え、カミーラ？
それにこんな状況でそんな事するか。

俺ぁ嘘ついちゃいねぇよ、
それにお前にこんな嘘ついてなんの得があるってんだ。

あーははははは！！！
私に関わった人間がどんどん死んでいくわ！！！

近いうちに、カミーラも…ベンジャミンも…。
……ネリーも。

嫌…それは絶対に嫌！！
嫌なのよ！！
カミサマぁ…お願いだから私からみんなを取り上げないでよ！
村のみんなを取り上げないで…返してよぉ！！！

ソフィーさん…あなた…狂ってる…

…ヘンリちゃん…ヘンリちゃん…
起きてよ、ねぇ…ヘンリちゃん…

…ヘンリちゃん…

［そう呟くと泣きながら気を失って
　*地面に倒れこんだ*］

[ネリーに顔を向け]
あぁそういえばあの子も死んだのね。可哀相に。あの子の場合可哀相なのは頭の中身だけどね。あはっ。

セシリアの力･･･ソフィーは人間だと言った･･･。
ヘンリエッタは･･･。
セシリアには、残りの殺人鬼はレベッカ以外に有り得ない･･･。
そして、俺は･･･何者なんだろうな。

[セシリアの言った事を噛み砕く様に呟いた]

見えるよ…こっちへ来いって言葉が。

[レベッカは頭を壁に打ちつけ何かを拒むようにしている]
こっちへ来ないで！！お願い！！
もう、死なんかこりごりよ…。

ハーヴェイ、ネリー。助けて…うわあぁぁぁぁ！！！

[ベンジャミンの言葉を受けて]
……誰が色気が無いってんだ、全くうっせえよ……

……なぁ、アタシはその時に何か言ったか？
ロクでもないことをさ……
[俯いて、視線を合わせないようにしながら呟く。すると、ソフィーとセシリアの声が聞こえる]
……あいつら、少し落ち着いたか。

ソフィーは、ハーヴェイが人間だってか。
メガネは、ソフィーが人間。

……わっけわかんねえ……
[髪の毛をくしゃくしゃしながら]

[ナサニエルから少し離れた所から]
お前が何者？
そんなもん知るか。

あぁそうだ、
お前が村に来てからこんな事になったんじゃねぇか。

お前がこの村に災いをもたらしたんだ！！

[幼い少女の血が服を汚すのも構わずに蹲り、
唇を噛み締めている。

と。

どさり、という音にはっとして顔を上げる。]

――――セシリ、ア…っ
…ちくしょう。
俺は、俺は何もできずに…何も……！！

[搾り出すように言うと、セシリアの傍に寄り、助け起こそうとした]

――人間って醜いの。
自分の命の為に、人を、殺す。

[ハーヴェイの死に携わったであろう人々に目を遣るも、ふっと小さく嗤い]

わたしだってセシリアちゃんを殺そうとした。
同じことね。

……そう。わたしだって自分の命が大切なの。
だから、だから――

セシリアちゃん……そして、ソフィー。
あなたたちには、死んで欲しいの。

[どこか狂気めいた笑みで、告げた]

…はぁはぁ。
今からナサニエル、見なきゃ。

ヘンリエッタ。
…んで、なんで、こんなちいさな子が。

[ 血の海に横たわるヘンリエッタとラッセルを、遠巻きに見守って、呟いた。]

大丈夫よ、レベッカさん……
逝かせはしない。
わたしだって死なない。
一緒に殺人鬼を殺せばいい、そう、それでいいの。

喩え、此処に居る皆が死のうとも。
わたしとレベッカさんが生き残れば、それでいい。
それでいい――

詠唱から…やらないと。瘴気が集中を遮断している。
[レベッカはナサニエルに向けて手をかざし、呪文の詠唱を開始した…]

汝、光と闇の狭間にて何を望む…。
未来への希望か、太古の果てに風化した知識か。
言霊は紡ぐ…唯、真実のみを…。

[レベッカはぼんやりと光を宿し始めた手を十字に斬り、詠唱を完成させる]

我はナサニエルが宿す者の真実を見抜くことを望む！！


[レベッカの手から放たれた光は辺りを漂い、虚無へと消えていった]
……ナサニエルは異変の原因ではなかったわ。

[めんどくさそうにカミーラに答えた]
あん？
確かに俺にとっちゃ、
ろくでもねぇし関係ねぇことだな。
ユベールだかなんだか知らねぇが、
お前の過去なんか知ったこっちゃない。

これでナサニエルは…誰の目から見ても関わっていないわ。
リーダーを立てるとしたら、彼以外に考えられないわ。

[ネリーの言葉に少し元気付けられたのか…レベッカは再び立ち上がり、先ほどまで座っていた椅子に戻っていった]

[ベンジャミンの言葉に驚き、顔を抑える]
……！！！！
そうか、アタシは「ユベール」って言ったのか……ユベールの名前を……
ははっ、最低だ……まだ、アタシはあの頃のガキのままだってことか……

最低だ……
[語尾が詰まり、擦れる。そして、歯を食いしばる。
少しの間を置き……顔から手をよけると、いつもの挑戦的な表情に戻った]

[ナサニエルはレベッカの判断を聞くや否や、床に膝を付いた]

これでは･･･！これでは分からないんだ！
レベッカ、俺はハーヴェイを殺したんだぞ･･･？

俺は･･･！
[それ以上の言葉が出ず、ナサニエルは床を殴り付ける]

ふぅん、旅人さんは普通の人間だったか。まぁいいわ。
とりあえずセシリアちゃんが人を襲う怪物だって事はわかったわ。あはは、随分とくさい演技をするのね。
いい加減、薄幸な少女を気取ってラッセルの気を引くのは止めてよね。イライラすんのよ、そういうの。

ナサ、ニエル？あなたは人間……
そう。良かった……
あなたを殺す必要がなくなったから、ね。
――殺されても知らないけどね。

[震える手、上手く力が入らない。
血に濡れてずるりと滑った]

―――っくそ、情けねぇ……動け、よ…ッ

[レベッカの結果を聞いて複雑な心境]
占い師を名乗った二人から見て、
ナサニエルは確実に人間、って事で良いのか？

村連中殺した奴じゃなかろうが、あんま素直に喜べねぇな。
奴が来てからこうなったのは間違いないんだ･･･。
だが指揮をとるならコイツ以外いねぇな。

セシリア、しっかり…。

ラッセルさん、セシリアを。ベッドまで運んであげてくれませんか？
わたし、タオル濡らしてきますから。

[ 言うと、台所に向かった。掌の紙片を握りしめたまま。]

[ナサニエルに歪んだ笑みを向けて]
そう、ハーヴェイを殺したのは貴方。
でも、これが全て終わるまでは、生かしておいてあげるわ…。
どんなに憎い存在でも、人間である事には変わらないから……。

[床を殴りつける音に顔を上げ]

―――ナサ、ニエル？
…そう、か。
人間、だった――の、か。

[そこはかとなく、安堵の滲む声。
血の色が赤すぎて、現実感が、ない。]

[意を決して、ラッセルの方に向かう]
……おい……

[手を貸して、立たせる]
よし、これで立てるな。

なら……

[手を掴んだまま、顔面を強く張った。よろめくラッセルの胸倉を掴んで、引き寄せる]

[カミーラに怪訝な表情を少し見せた]
ガキだろうがなんだろうが
俺から見りゃママッ子と変わりねぇよ。

今はこの状況なんとかする方が先だ。

[ソフィーの悪態に冷たい眼差しで]

頭の中にどす黒い混沌が広がっているのはだぁれ？
――少なくともあの子、ヘンリエッタではなかった。

ヘンリエッタは狂っていた人間で、ソフィーが本物である可能性……一応考えてあげる。でも、あなたのその厭味な態度が変わらない限り、わたしはあなたを醜い存在だと思い続けることは、言っておくの。

[ハーヴェイの殺害に加担した身だけに
レベッカを慰めようにもその手を伸ばす事はできなかった]

[ニーナに頷き、ふとカミーラが手を貸してくれたのに気づいて]

―――ぁ、悪ぃ…　
…つッ！！！

[張られた頬を逆手の甲で押えて]

だけど、犯人に襲われる危険も飛躍的に上昇したでしょうけど…。
誰の目から見ても人間である貴方を放置するほど、犯人も甘くは無いと思う…。

ネリーさえ、生きていてくれれば…。
後はどうなっても構わない。
だが、もしネリーが犯人だとしたら私はネリーを…。

[視線を変えるとそこにはヘンリエッタの死体があった…]

この子が…霊能者を名乗ったこの子が殺されたの…。

[レベッカの歪んだ、変わってしまった笑顔見て呟いた]

*すまない･･･*

[ラッセルを睨みつけながら、まくし立てる]

おい！！何情けねえツラしてやがる！！
なんだ、お前はこんなちっちゃい女の子の助けがなきゃ、立って歩くことも出来ねえのか！？

ああ、ヘンリエッタ嬢ちゃんが死んだのは、お前の弱さもあるだろうな？そうやってウジウジして自分だけはイイコちゃんなお前の弱さも原因だろうさ！

ったく、これだから貴族の坊ちゃんは甘っちょろくて嫌いなんだよ！！ったく、お前はこれから何人の屍を超えなきゃねえと思ってるんだ？

そんなグダグダなご主人様に惚れたなんてヘンリエッタは大層情けないだろうさ！
そんなヤツがグダグダ理想を語るな！！
[半ば涙目になりながら、喉が張り裂ける勢いで]

あぁ疲れた。少し休ませてもらうわ。

[ソフィーは椅子に*腰を下ろした*]

[ 竈に薪を放り込んで、湯を沸かす間に、掌に食い込んでいた書き付けを開いた。
「ハーヴェイさんなんて殺してしまえばいい」
と綴られた紙切れを伸ばして、胸ポケットに放り込んだ。]

…ハーヴェイさん。わたしが殺したんだ。
ヴィンセント先生…わたし。人殺しになっちゃった。

[レベッカの言葉に微笑む。「犯人なら」などという言葉、有り得るわけがない、そんな笑みで。レベッカにつられてまだ幼い少女の死体に目を向け]

――もう、躊躇っている場合じゃない。此処でぼんやりしていたらわたしが……レベッカさんが殺される。
その前に殺す。殺せばいい。殺してあげる。殺人鬼なんかこの手で葬ってあげる。……必ず。

[肩を離して]
……ほら、もう歩けるだろいくらなんでも。
アンタの好きなように動きな。

アタシは情けないウジウジしてるヤツが嫌いだ。
―――大事なモノを失うばかりだから。
アタシも弱かったから、自分のダメなとこ見てるみたいでムカつくんだよ。

……ほら、言ってこい。悪かったよ、殴って。
[肩を叩くと、ラッセルのポケットに飴を一掴み突っ込んだ]

カミーラ……。

ああそうさ、俺は弱いさ。
俺が弱いからフランツは売られちまったんだ！！
だから強くなりたかった！！！
だけど足りないんだ！

目の前で人が死んで、
―――はいそうですかと納得できるか！！

俺が殺す、殺すから殺されて殺されたから殺して繰り返すだけだろうがよ！！
殺さなきゃ終わんねぇのは分かってるさ！
頭で分かってても感情がついていかねぇんだよ！！

―――――つか泣くなよ！
お前が泣いてどうすんだ……

ガラじゃねぇって言ってただろ……？

[語尾が弱り、苦しげに]

…アンタの言うとおりだ。
俺は手を汚したことのないただのぼんぼんだったさ。

でも殺した。
俺はハーヴェイを殺した。
手は汚れた。
一生拭うことなんかできない。

何としても、殺人鬼を見つけてやるさ。
引き返せないなら突き進むまでだ。

[緑の眼にゆらりと焔が揺れた]

―――礼を言う。それから、……悪かったな。

[ 沸いたお湯を持って、ヘンリエッタの顔をぬぐうと、綺麗な唇に真っ赤な桑の紅色をちょん、ちょん、とつけた。ドレスの紅と、唇の紅。調和した赤は、溢れ落ちてしまった血液の、くすんだ朱なんかよりずっと綺麗だった。]

ヘンリエッタ…。

[黙ってたラッセルが言い返したのにハッとして]

―――！！！
うっせぇな！
女の子の涙は武器なんだよ！！

ったく気分悪い！あー、こういうのはやっぱりガラじゃねえってことかよ！
気分悪い！！ココアでも飲んでくる！！

[どすどすと足音をたてて台所に向かう]
[……ふと、振り返って呟く]
礼なんかいらんが受け取っておく。
だけど、アンタはどうやって何を守る？

[そう言うと、台所の奥に消えた]

[ぐつぐつとココアを煮ながら、ニーナの方を振り向いて]

アンタも飲むかい？
―――どうやら、食料は相当余ることになりそうだしな。

[そう苦笑いしながら、手元を見つめる]

ありがとう…カミーラさん。
テーブルに置いておいて貰えますか？

立ち働いていると、いやな気持ちが忘れられるから…

[ ラッセルにセシリアを委ねて、一緒にベッドに向かう。横たえたセシリアの顔は疲労の色が濃い。
タオルを絞って汗をふくと、たたんだタオルで額を冷やす。]

[ラッセルが言う「売られた」という言葉に、僅かに眉を顰め]

……、強くなる為に。
人を救おうと、したの？
――わたしを、買うのではなく、雇うことで
救おうと、した？

[カミーラの背中を見送りながら]

……守る……なに、を……

[血に濡れた掌を見つめ。ぎゅ、と握り締める。
今度は力を込めることができた。
ニーナに促され、セシリアをベッドに横たえた。]

――……ありがとな、ニーナ。
世話になりっぱなしだな…。

そんなこと。
気にしないでください。セシリアは、大切な友達だし…

セシリアの足、なおす方法が見つかるといいんですけど。
ヴィンセント先生、夜遅くまでいろいろな文献を読んで、手だてを探してくださってるんですよ。
この事件がおさまって、先生が戻ってらして…
そうしたら、きっとセシリアと一緒にかけっこできる日も来るような気がしているんです。

本人には、ナイショですよ？
治す方法が見つかったわけでもないのに、期待を持たせたくありませんし。

[ミルクパンとマグカップを一つ持って歩いてくる。ポケットには鍋敷きを無理やり突っ込んでいる]
いちいち台所に行くのめんどくせえから、もう鍋ごと持ってきたわ。
お前らも適当に飲んだら？どうせレベッカにつけとくし。

……人間食わなきゃ死ぬし、頭もまわりゃしないからな。
[遠い目をしながら自嘲するように付け加えた]

しかし、ナサニエルが間違いなく無実だったとはな。あー、なんつーか……悪かったよ、アタシも大分テンパってた。
[気まずそうに視線を逸らしている]

……ありがと、な。

[小さく微笑んで]

ああ―――医者の。
あの、先生見ないと思ったらそんな事を。
……うん。
いいな、かけっことか、木登りとか。
出来たらいいな。
こんな事、終わらせて、そしたら……。

ああ、内緒だ。

[頷いて]

…セシリア、着替えさせてやってくれ。
こんな状態じゃ……あんまりだ。

[頼む、とニーナに頭を下げると広間へ戻る。
ネリーの呟きが聞こえた。]

―――言ったろ。
―――自己満足だよな、って。

誰かを助けられれば……償える気がしたんだ。
もう、見たくなかったんだ。
……。

[ゆるゆる力なく首を振って。
ミルクのいい香りが漂うけれど、食欲は湧かなかった]

[ニーナとラッセルのやりとりを遠目で見ながらブツブツと]

あーあ、この期に及んでいちゃついてやがる……。
ったく、気楽っつーんだかなんつーんだか……
でもまあ、さっきよりはマシ……なのかね？
ちぇっ。
[苦笑いをするものの、すぐに表情を曇らせて]

―――向かいで喋ってるのが人殺しかもわからんのに。

セシリアのメガネが本物なら、レベッカを殺せば終わる……。
でも、そうじゃないって信じたい。
だとしたら？

[周りで各々好きなことをしてるのを見回し……]
……はぁ、全く……
[苦々しい表情でココアを啜った]

[ラッセルにちらり目を向ければ、無言でモップを手にし]

――いいんじゃないの？
人間、自己満足の塊だもの。
それで自分が納得出来て、自分が善人だと思えて、尚且つ周りに善人だと思わせることが出来れば。それで正真正銘、立派な善人になれる。

[軽い口調で返しながら、モップで血溜りを掃く。紅く染まるモップに、少々厭そうな顔をしつつも、手は休めない]

［鼻が微かに反応した、気付けばもう二日間食事を摂っていない。食事を摂る余裕など無かったからだ。だが、空腹感は感じない。］
そうか…俺は…。

［自らが「物」なんだと言う事を確認したかの様に、体の力を抜いた…既に立ち上がる事すら、出来なかった。］

そうですね。
身体も拭かないと。

それじゃ、男性は席を外してくださいね？
…しばらく、ランタンを借りていきます。

[ 大部屋を照らすランタンをとりあげ、ベッドルームの扉を閉じる。]

[よろめくナサニエルに気づき、食料庫に向かう。
そして戻ってきてニヤニヤと顔を覗き込みながら]
……ったく情けない顔しやがって、さっきまでの威勢はどうした？
[バゲットと生ハムをドサっと投げつけて]
……食えよ。皆がてめえに任せるっていってんのに、勝手に死ぬ気か？
ったく、それじゃアタシが困るんだよ。
こういうめんどくせえ状況はイライラすっからよ。テメエに丸投げしてやろう思ってたのに。

……散々疑って悪かったよ。アタシの目も相当節穴だったみたいだな。
ほら、意地張ってたら死ぬことぐらいわかるだろ！？テメエも流れ者ならよ。

[気まずそうに頭を下げて、いそいそとテーブルに戻って着席]

[ 肌着を車椅子の換えに着せ替え、いったん毛布をかけると、上着の血糊をよくタオルでぬぐってセシリアに着せた。]

血の汚れ…落ちないケド…。しかたないね。
朝になったら。
…朝になったら。助けを呼んで、新しいお洋服に着替えようね。

「物」は食事など許されない…。
水が有れば死にはしない…。

体も、命令が有れば動かせる…。

…。
［ナサニエルは端的に、口だけを動かした。］

[ラッセル・ネリー・そして自分の言葉を反芻しながら]
救い？償い？満足？守る？愛情？混沌？約束？

―――救いってあるの？
――――希望ってあるの？

――――――「それ」って「何」？

……わかんないよ……わかんないよ、ユベール……
[口の中でボソボソと呟くと、空ろな目でテーブルに*突っ伏した*]

[ニーナの手によって戻されたランタン。闇は無残な死体をも隠していたが、薄明かりがまたその死体を浮かび上がらせる]

……なんだか、麻痺してくる。
こころがコワレテいくような。

死――

[モップの柄を握ったまま、ふっと目を閉じて、何かを追懐した]

ごめんなさい、真っ暗闇で不便でしたよね。

ナサニエルさんは、見分けがつくと主張するふたりともが、人間だと言っているようなものなんですよね。たとえ直に確かめていなくても。
だから、もうこの犯行に手を染めた可能性はない。

…けれど、ごめんなさい。
どうしても…恐いんです。暗い森からでてきたときが忘れきれなくて…

[ふと、聞こえた言葉に反応して]

――――もの。
――――ものなんて、言うな。

ちゃんと喋って。ちゃんと息して。ちゃんと考えてんじゃねぇか。
ものなワケあるか……。

昔の……俺の友達みたいなこと言ってんなよ……。
ナサニエル。

[悲しそうに、怒ったように、ナサニエルを見る。]

[追懐を終えたようにすっと目を開ければ、集会場の中に居る人々へ、小さく言葉を紡ぐ]

殺人鬼、或いはわたしに殺気を向ける者に告ぐ。

――わたしを殺す時には、

靴を、履かせて。

紅い、朱い、血液の靴を――

[Bloody dirty boot...そう呟いては、ふっと自嘲的に息を吐き、壁にモップを立てかけた]

暗く、冷たい…森の中…。
物は…その場を、動けない…。

物は、トモダチ庇おうと…力いっぱい突き飛ばす…。
トモダチ、森が…怖くなり…。
誰も…助けは、来なかった…。


暗く、冷たい…森の中…。
物は…その場を、動けない…。

［ナサニエルはとても小さな声で、歌の様な詩を詠んだ。］

[ ナサニエルから３歩離れたところを大きくまわって、シャワー室にはいった。
服を脱ぐと、メモが脱衣所に落ちる。
「ハーヴェイさんなんて殺してしまえばいい」

冷たいシャワーで汗を流して、ハーヴェイのことを考えた。]

わたしは、ひとごろし…
言葉でハーヴェイさんを、殺めてしまった。

まだ、恐ろしい犯行をしたなにかは、わたしたちに紛れているのかな…。また、殺さなくちゃいけないのかな。

[カミーラの不穏な様子に、その傍へ寄る。影になって見えない表情。転がった、棒つきの飴]

救いは死を、希望は死を――
死を持って、与えられる無慈悲なもの。
多くのサクリファイスを必要とする、残酷であり泡沫の夢。

……多分ね。

[曖昧に紡いでは、カミーラの傍の椅子に腰を下ろし、す、と転がった飴に手を伸ばしては、*それを口に含んだ*]

[ナサニエルの様子を目の端で捉える。彼が紡いだ言葉は不確かで、聞き取れはしなかった]

……皆が、狂っていく。
狂ってる……

[独白のように呟いて、テーブルに頬杖をつき、闇に包まれた*窓を眺めた*]

[ 冷え切った心とからだをタオルで拭って、服に袖を通す。こざっぱりとした顔に、ひさびさに紅をさした。鮮やかな赤い唇。]

がんばって…生きなきゃ。セシリアと、ソフィーおねえちゃんと…。みんなで。もう、犠牲を出したくない。

[ 大部屋に戻ると、こっそりレベッカの背後に近寄って、ちいさなメスを構えた。]

（…これで突き刺せば。きっと…終わるのに。
　どうして手が動かないの？
　ばかっ。ハーヴェイさんを追い詰めて、殺めたじゃない。
　今更…なんで怖じ気づいているの？）

なん…で。

[ つい声を漏らしてしまい、慌ててメスを袖にかくす。
　怪訝そうな顔の皆に、涼しい表情を見せて。ゆっくり、ナサニエルとランタンを挟んで向かい側に近づいた。]

[歌が聞こえる。
灯の揺らめきにすら消えてしまいそうな童歌。
旋律は不確かなれど、確かに捕らえる「もの」の韻]

―――ナサニエル、お前―――？

[ゆらり、陽炎の様にランタンの光に影がうねる。
燈火は頼りなく更に闇は濃い。

――狂っていく。

ネリーの言葉が空気に溶けて染みていく。
ふらり立ち上がり、柱に凭れ掛り、虚空を見上げた。
幼い面影を*探す様に*]

[集会場、用具室に入り何かを手に取った]

自分の身は自分で守らなきゃな。
そうだ、そうだとも、
身を守るためだ、人を殺すために使うんじゃない。

[薪割り用の斧を手に取り繰り返し呟いた]

守るためだ、殺すんじゃない。
大事なもんを守るためだ。

[ ベンジャミンが持ち出してきた、斧。
重たい鉄を抱えて、なにか呟く姿は常軌を逸していたが、…もう慣れてしまっていた。]

ベンジャミンさん…
あと、たった一人。それだけで終わるのに…

セシリアの言う通りに、レベッカさんを殺めてしまいましょうよ。
きっとそれで、もう暗闇におびえることはないのだから。

―――なんで、
ヘンリエッタだったんだ。

ヘンリエッタが―――邪魔だったから？
嘘吐きの真実を、闇に葬るためか……？

それならば、ソフィーが狙われてもおかしくない筈……。
何か理由があったのか、
単純にどっちを殺しても良くて―――

[眉を顰め眼を細める。]

……冗談じゃねぇ。

殺した、殺した殺した殺した殺した。
誰が殺した？
あんな赤は不似合いだ。
冗談じゃねぇ。

誰　が　殺　し　た　…？

[呟く。]

占い師、2人。
ハーヴェイを人間じゃないと言ったのはセシリア。
人間だと言ったのはレベッカ。

殺人鬼が自分の首を絞めるようなことをするんだろうか。
―――少なくとも俺はそう思わない。

ヤツラはまたきっと殺すだろう。
殺して、1人殺して1人殺して殺して殺して殺して、
数が少なくなったら一気にやっちまう……
そうなったら、終わりだ。

させるかよ……
贖え――――血で、贖え。

[ランタンの灯を映し、少年の瞳は*紅く輝いて見えた*]

はいはい。
それじゃ、さっさと次に処刑する奴を決めちゃおっか。って言ってもセシリア以外にいないんだけどね。
あんたが得体の知れない化け物だってのはわかったし、他の人から見ても、あんたの仕事はもう終わりだって明らかだしね。
ちゃっちゃとやっちゃいましょ。

それとねぇ、なんでヘンリエッタがなんで襲われたかっていうのはね。ハーヴェイが何者か曖昧なままにしておきたかったからだと思うわ。
ヘンリエッタがヘマして私と同じ結果を言ったらハーヴェイが人間だってわかっちゃうもんね。それはさすがにまずいと思ったんでしょうね。

…そうよねぇ、セシリア？

[テーブルで頬杖をついている間に、うたた寝をしていたのか。微睡の束の間に見た夢、はっとして顔を上げ]

――ころ、そうと。
誰かがわたしを殺そうと……

[夢の中で感じた殺気と、視線巡らせた先に居た人物。既視感のように、重なる]

……殺すなら、ソフィーを。
ソフィーを殺したい。

殺される前に。

あとはレベッカの占いで順に怪しい奴を占っていくだけね。レベッカさえいれば奴らの息の根は止めたも同然だわ。
あははっ、とっても簡単ね。

[感情の侭に零れた言葉に、す、と一呼吸置いて。こめかみに指先を触れさせながら、幾分冷静に紡ぐ]

嘘を吐いているのは、セシリアちゃんか、レベッカさん。
セシリアちゃんが嘘なら、ソフィーも嘘かもしれない。

わたしはレベッカさんを信じる。
理由だってある。もしハーヴェイが殺人鬼ならば、レベッカさんがハーヴェイを占いたいと――セシリアと一緒に占いたいと言ったことが、不自然だもの。

嘘吐きはきっと、セシリアちゃんとソフィー。
どちらかが気が触れた人間なら、それはセシリアちゃんだと、わたしは思っている。……だから、一刻も早く殺したいのは、ソフィーなの。

あらあらあら。怖いわぁ。
殺される前に殺す？…何勘違いしてるんだか。
別に私、あなたを殺す気なんてないんだけど。そんな被害妄想で殺されたら堪ったもんじゃないわ。
調子に乗らないでよね。

[ソフィーの相変わらずの悪態に、幾つか瞬いて]

殺人鬼は殺されたくないんでしょう？
よくそんな態度が取れる。不思議なの。
まぁ、わたしの気持ちを動かすつもりがないということは、よくわかったから。
――今更泣き落としなんかしても、逆効果だろうけど。

[目を覚まし、辺りを見回す]
…再び意識が飛んでしまったのね。
意識が飛んで生きている事そのものが幸運。ここに狂気が蔓延しつくすのも時間の問題…。
そうなったら…。

出来るだけ、起きていないと。
[止まらない身体の震え、何とか起こして椅子へと腰掛けた]

[呆然としているうちに、まどろんでいたことに気づく。咥えていたはずの飴が無いが、どこかに転がったんだろうくらいにしか考えていない。]

……んっ……寝てたか……良かった、おきることが出来た……まだ生きてた……。

[レベッカも同じような台詞を吐いているのを耳にし、苦笑を浮かべた]
―――大丈夫かい、レベッカ？またアンタに占い頼むことになるんだろうけど、やれんのかい？

なぜ、犯人はヘンリエッタを狙って殺すことが出来たのだろうか…。

もし、セシリアが犯人だとしたら、犯人からは霊能者候補の区別なんかつかない状況。霊能者の偽者が自殺志願者の狂人であってもそれは人間なのだから。

ううう…ああっ…はぁ…はぁ…

［セシリアはゆっくりと目を開ける。
　最早見慣れるほど見た悪夢から逃れるために］

……また、気を失ってた…？…それに誰かが身体を
拭いてくれたみたい…ニーナかな？

もう一つのパターンとしてはセシリアが狂人で、ソフィーが犯人の場合。この場合ヘンリエッタは真霊能者。

現在の所、私はこの状況が有力だと思っているわ。
占い師が両者生存という事で、犯人は占い師にいると思わせることが出来、セシリアはヘンリエッタと繋がっているように見せることが出来る為、私を疑える環境を用意できる。
流石に犯人が犯人を闇討ちするなんて真似はしないだろうから、セシリアが狂人ならソフィーが犯人であるとセシリアは分かる筈。これが合図なんだろうと考えているわ。

ソフィーを人間と判定し、私とソフィーが繋がる事によってセシリア自身もいつ殺されてもおかしくない状況に追い込まれる。
この場合は犯人のソフィーを見捨ててでも、隠れている犯人が生き延びようって思っているのかもしれない。

[カミーラに頷き]
大丈夫、まだやれるわ。
大分体力も戻ってきているし…。
そろそろ次の占いが出来るわ。

[レベッカに反応して]
別にどっちでもよかったんでしょうよ。
向こうからすれば、ハーヴェイの正体が第三者から見ても明らかにさえならなければ、それで良しってところでしょうねぇ。
ヘンリエッタからすれば報われないでしょうね。ホント哀れな子よねぇ。

[レベッカの言葉に頷いて]
そうだな……アタシはレベッカを信じたい。
アンタにまだ借りを返してないからな……。
で、そうなると結局ソフィーかセシリアをぶち殺してしまうのが早ぇ。っていうか両方殺せばどっちかは当たるだろ？別にどっちが死のうとアタシには関係が無いしな。

そうなると……ソフィーかね。アンタのがどっちかってーと気に食わないし胡散臭い。まあ、ぼちぼち大好きな彼氏の所に行くのもいいんじゃない？そもそも、ヘンリエッタが殺られちまった以上、アンタが生きててもノイズにしかならないんだよ。逆にセシリアはいつでも殺れるからな。
[鼻で笑いながらソフィーとセシリアを交互に見た]

[ソフィーは舌打ちして]
ちっ、どいつもこいつも馬鹿ね。
今のセシリアに存在意義なんてありはしないのに…。

[レベッカの言葉に耳を傾けつつ、やや目を伏せて]

―――判定、…霊能者……。
占い師の力については信じざるを得ねぇだろうが……
死んだヤツの姿を観ることができるっつーのは……まあ、あると、仮定するけど、さ。

[哀れな子。ソフィーの言葉が刺さるようだった]

セシリアが犯人なら、ヘンリエッタとソフィーは両方人間でどちらが真の霊能者か分からない状況であるということだけは確か。

…悪いけど今の所はセシリアもソフィーも生かして置く理由が無いわ。
この中には守護者って言う犯人にも対抗できる凄腕のやり手がいる筈。その守護者の可能性がある人物を殺すくらいなら能力者を殺すわ。

[レベッカの言葉、幾つか理解出来ない単語も含まれているものの、ニュアンスは捉えたようで]

うん、たぶん、同じようなことを考えているの。
セシリアちゃんは自殺志願者――それならいっそ、殺さずに、屈辱を味合わせてあげても良いと思うくらいに。

わたしたちは存在意義がない人間を殺すよりも、殺人鬼を殺したいの。

[チラリとソフィーに目を向けては、冷たく言い放った]

［広間についた途端ソフィーが自分への
　暴言を吐いたことに憤る］

…いきなりご挨拶だね、この気狂い…
存在意義が無いのは確かだけど、
気狂いのあなたに言われる筋合いはないよ。

ん･･･俺は･･･。
[ナサニエルは息を吹き返したかの様に起き上がった、目には輝きが戻っていた]

チッ･･･体が重いな･･･。

仮説が一つ有る。
セシリアがハーヴェイに「人間ではない」と言ったのは、セシリア自身の「殺人鬼」への自殺願望が有る人間だと言う事を知らせる為の動きなのかも知れん。
殺人鬼どもから見たら、俺達の中の誰が自殺願望が有るかなんて判らんだろうしな･･･。
だから･･･ハーヴェイを殺人鬼に仕立て上げる必要が有った、とも考えられる。

セシリアを偽者だと仮定したら、もう一人のレベッカは本物だと考えられる。
そして、ヘンリエッタが殺された･･･。
だとしたらどうだ？
力持つ者の中で、殺人鬼はソフィーという事になる。

･･･俺の考えはこんなものだ。

セシリアに未練のあるお方も多いようだしさぁ、今のうちに切っちゃえば？

[ソフィーの言葉を反芻しながら]

……ハーヴェイの正体をぼかすことは、殺人鬼共にとって有利だった、ってことか……？
或いは、そうせざるを得ねぇ状況だったか。

例えば、死んだヤツの姿を見ることが出来る2人の言い分が―――占いの時みたいに、食い違うことが分かっていたか。
そう思わせるためかも知れねぇが。

……どっちだ。

[額を掌で覆い前髪をかきあげて]

私は最初の占いをハーヴェイに使うと公言してきた。
>>1:234と>>1:236で私とセシリアはハーヴェイ占いを一緒にやることを合意したわ。

私とハーヴェイが犯人の場合、私がハーヴェイを簡単に差し出したって事になるよね、その事はどう思っているのかしら？

[舌打ちしたソフィーに向かって、鼻で笑いながら]
ああ、すでにセシリアに存在意義はないさ。
だけど、ヘンリエッタが死んだ今ではアンタも同じくらい存在意義は無いって知ってた？

……なら、死人がどうこうとか余計な混乱を招くアンタをすっぱり切った方が話が早いだろ？簡単な理屈じゃないか。
そして、アタシは何よりもアンタが嫌いだからさ。ったく、口開けば文句ばかり言いやがって。さっさとハーヴェイの所にいけば？
[吐き捨てるように]

違うわラッセル。
ハーヴェイの正体が分かるという事は、つまり占い師の正体も分かるって事。これは奴らにしたら、どうしても避けたい事態だわ。
ただ問題はレベッカが偽者だとしても話が通じるところね…。

[それっきり、ソフィーには関心を失って]
んでさ、レベッカ？今日は誰を占うつもり？
今日もアタシらに希望聞くわけ？

私もそこが一番不思議だよ、レベッカさん。
それは無いだろうと思っていたからこそ
ソフィーさんが「人を殺す何か」だろうと
思っていた…正直な話、私はすごく驚いたよ。
ソフィーさんが人間だったことに。

でも、ハーヴェイさんを占うことになった時、
リーダーとしてみんなを
統率してくれる人はいなかった…
それなら最終的な決定をいくらでも誘導できる。
レベッカさんが強固にハーヴェイさん占いを
主張すれば私が黙っていないことは
レベッカさんにも分かっただろうしね。
私やみんなの意見を聞く振りをして
最終的には別の人を占うつもり
だったんじゃない？

[レベッカに頷きながら]

ああ、そうだろうさ。
レベッカはハーヴェイを占うと言った。
セシリアは―――カミーラを挙げていたのだったかな。
多数決で、3人に絞られて……セシリアがハーヴェイを選んだ。
そして、レベッカは其れに同意した。

結果は、其々全く真逆。

……殺人鬼共が表に出ているのが1人、隠れ潜むのが1人ということが確実ならば、
繋がりを見つけられるのは得ではないはず―――例えば、庇いあったりな。

故に、わざと仲間を窮地に追い込むような発言を、敢えてして見せる可能性もあるんじゃねぇか。
……わからねぇけどよ。
そこまで無茶はしねぇかな……。

皆に希望を聞いても構わないけど…。
私は生きているうちにニーナを占いたいと思っている。
彼女はセシリアと過去からつながりがあったからかもしれないが、私に対して無関心でセシリアが本物だと最初から盲信しているように思えるの。
狂気にやられそうなただの人間かもしれないって思ってしまいそうだけど…。
怪しすぎて放置できないと思っているわ。

さっきも…私を殺してしまおうとしていたよね…。
貴女の殺気を感じていないと思ったら大間違いよ。

>>139
だが、私はハーヴェイを占うのに合意した。
それは事実よ。

[ソフィーの声に成る程、と考え込み]

―――そうか、そうだな。
悪ぃ、ありがとう……。

そりゃ殺人鬼にとっちゃ崖っぷちだよな……。
ああ、其れでも決め手にはならねぇのか……。
どちらが本物、どちらが嘘吐き……
―――ちっ

[顎に手を当てながら小さく舌打をし]

[レベッカの言葉に、集会場を見渡しながら少し沈黙し]

わたしが疑っているのは――ラッセル君。
殺人鬼を探す意志は、それとなく見えるけれど……
結論を出せずに居る。
仮定でもいい、彼の視点からどんなことが見えるのかを知りたいのに。
本当に迷っているか、何か……。

或いは、ニーナちゃん。
彼女でもいい。
――セシリアちゃんと親友？幼馴染？だから信じる？
過去の絆に縛られて盲目になっていない？
盲目になっている振りを、していない？

……このどちらかを。

［ラッセルに宥められ少し我にかえる］

あ…ラッセル…うん。今ソフィーさんと喧嘩したって
何にもならないことは分かってる…
だけど…怖いんだ、私…
だって今、私に存在意義がないのは確かなんだから…
…みんなに殺されたって
全然不思議じゃないんだから…

［不安げにそう呟き、ラッセルにしか
　聞こえないくらい小さな声で言葉を続ける］

…ねぇ…もし…もしも私がみんなに
殺されることになったら…

…ラッセルが、私を殺してくれる？
ラッセルなら、私、許せるから…

あのさぁ、私レベッカに全然信用されて無いみたいなんだけど占い希望言ってもいいかしら？
私が希望を言ったからって、じゃあそいつは占わないでおこうってなったら嫌なんだけど。

ナサニエルの仮定は―――ありえないことはないが。

ソフィーがもしも、殺人鬼だったとして。
ヘンリエッタを―――

[少し言い澱み]

殺して、……そして、今日に至って。
用済み、とか。
……そんな事を言われてるんだ。
殺人鬼だったらそんな事をするか？
容易に予想が出来るんじゃないだろうか…。

自らを危険に晒し身を投げ打って……
それには相応の見返りが無ければ、危険すぎやしないか。
――例えば殺人鬼の仲間が信頼を得られるなんかのさ。

[皆がいる方向へ向き直った]
レベッカは俺達力を持ってない人間の話を聞くのはいいが、
調べる相手の名前は
胸の内にしまっておいた方が良いんじゃないか？
その力を使うには時間がかかるんだ。
もし、調べる相手が襲われちゃ無駄になる。

[セシリアの傍に寄り、少しだけ笑んでみせる]

……状況が…状況だからな。
…殺されるとか言うなよ……。
お前、ヴィンセント先生が必死で―――

[言いかけたところで、続く言葉に息を飲み]

―――！！！
ば、ば……か！何、言ってるん、だ…よ…
そんな、お前……。

[レベッカの言葉に頷き]
なるほどねぇ……んじゃ、アタシの希望でも出しとくか。

アタシはベンジャミンのハゲかな。
正直、慌てふためくばかりで何考えてるんだかよくわかんねぇもん。
案外ビビってるふりして裏でなんかやってんじゃねえの？

あとは、ネリーも胡散臭い。
胡散臭さではハゲの比じゃねぇけど、逆に迷うな。
でも、案外目立つことやらかしてこそこそしてないように見せかけてるのかもしれないけどさ。

ま、とりあえずオッサンからかな。

[ソフィーに頷いて]
構わないわよ。参考にはさせていただくけどね。

[ラッセルの>>147に対して]
ヘンリエッタが死んだ今、能力者を名乗り上げた私を含めた３人の命は能力者を名乗っていない方々がいつでも奪える状況なのよ。
能力者の犯人が死んだとしても、もう１人の犯人が生きていればこの村はいつまでも疑心暗鬼、阻止できなければ…全員の死が待っているわ。

[レベッカの返答を聞いて]
そう。それなら…ニーナを占ってよ。

[動揺しながらも、レベッカの言葉に]

―――俺は、……ベンジャミンのオッサン、かな。
隠れず、かといって騒がず。
無茶苦茶怪しいってワケじゃないんだけど、そつがない分―――気に掛かる。
それに……
何か、斧……持ってたし。

[ベンジャミンの方を向いて]
ん？なぁオッサン、占う相手がぶっ殺されたら、そいつはまともな奴だったってことじゃねぇの？
なら、占うまでも無かったってことだろ。別に無駄じゃなくねえか？
―――ま、むざむざぶち殺される確率上げるのは嫌だけどよ、そりゃ。
なーんか、引っかかるなぁ、ハゲ？
ご丁寧に斧なんか持っちゃってよ？
それなら鎧ぐらい叩き割れるよな？

…うん。先生は必死で私を治そうと
努力してくれてる。だから私は生きたい。
…でも、この場合仕方ないよ。
…それにさ、ほら…
…私が死ねば、それだけラッセルやニーナは
長く生きられるでしょ？

［そう言ってぎこちない微笑みを浮かべる。
　襲い掛かる死への不安から逃れる為に。］

[眉をひそめ、カミーラに言った]
レベッカが力を発揮するには時間がかかるんだぞ？
もし、まともな奴が調べる対象になって、
それを見て得体の知れねぇ奴がソイツを襲う場合を考えてだ。

これのどこがおかしい？
俺達の目から見てナサニエルと
同じ立場の「人間」が襲われて無駄じゃないって
言うほうが怪しいな？

[ 喧噪に耳を傾け、静かに閉ざしていた口を開いた。平静な表情になるよう意識しながら。]

レベッカさんは、わたしにすごく執着するのね？
そのわりに、実際にはナサニエルさんのことを、人間に違いないとはっきり断言して。
こんどはわたしから殺気…？
そうまで言うのなら、わたしの大切なひとたち、セシリアとソフィーさんをどう考えるのか教えて？やっぱり殺気を感じるのかしら？どちらから？

……セシリア……
…ッ…。
ばかッ！
俺も、ニーナも、そんな、
――お前が死んで長生きだなんてそんなこと望んじゃ居ねぇよ……。

[硬い微笑みに眉根を寄せる。]

セシリアが死ねば、ラッセルやニーナは長生きできる…か。ホントその通りよねぇ。あんたが死ねば、殺人鬼は残り一人。あとが無いもんねぇ。

あんたが、わざわざ事実を公表してくれるなんて思わなかったわ。あははっ。
そういう事いうならさぁ…。さっさと死んでよね。

…奴らが「仲間の犠牲を出さずに殺戮を楽しみたい」のならば、力持つ者を殺したりはしないだろう。

嘘を吐いた仲間を窮地に陥らせる事になるだろうからな…。
だが、ヘンリエッタが殺された。

仲間が危険に晒される事よりも、力持つ者が生きている事を恐れたのではないだろうか？

…どうしても、村の全員を殺したい様だな…。

それになんだって？
俺がアーヴァインを殺したみてぇな口ぶりだな。
あん時俺は斧持ってたか？

変な疑いをかけられるのはごめんだ。
俺の言ってる事にわざとケチつけてるように見えるらぁ。

[ベンジャミンの反論に眉を潜めて]
そりゃあ人殺しのやることだ、喜んでそういう風にしてくるだろうな。

じゃあ聞くが、だからって奴らが殺しをやめてくれるのか？誰かは殺りにくるだろう？
と、なると、一番アブねえのはナサニエルだ。ナサニエルならば殺られても一向に構わねえって言いたいわけだ？
だからこの村の連中はいけすかねえんだよ。

まあ、明日からは確かに的が散らない方がいいだろうさ。でも、果たしてそれでうまくいくのかねぇ？

[ニーナに苦笑して]
セシリアとソフィーだとどちらかと言うとソフィーの方だと思っているわ。

最初の占いにハーヴェイを指名し、セシリアがハーヴェイに冤罪をかけた後、私に対して占いの希望を言わなかった。セシリアには聞いたのにね？

ハーヴェイを殺す理由もろくに言わなかった…。
何かを隠している。思考が停止し、セシリアを盲信しているにしてはあからさまに怪しいって思っているわ。
逆に聞きたいわね。私を疑う理由は何処？

[ 迷いながらもソフィーさんを弁護する、ラッセルさんの手を握った。]

そうよ！ラッセルくん。
迷うことないの。レベッカさんが生きているあいだ、ずっと誰かが犠牲になって、そしてその間に無実のヒトが、ひとり、ふたり、さんにん、よにん、と、レベッカさんの味方ではないからといってはセシリアが、ソフィーさんが。そしてレベッカさんが人間だといってくれないからといっては誰かが。
私達自身の手にかけられてしまうのよ…。そんなのって、あんまりよ。

セシリアに1つだけ質問しとくわ。
今さぁ、割とレベッカのほうが占い師として信用されてるみたいだけど。あんた、どう思ってるわけ？
あんたからして見ればレベッカこそが、この事件を起こした犯人。そんな奴が信頼されたら、けっこうやばいんじゃないの？
その割にあんた、淡白すぎんのよね。

そうだとも、カミーラ。
あの男が災いをもたらしたのかもしれねぇしな、
こんな状況じゃなけりゃ、俺はかまわねぇよ。

うまくいくどうかは俺にだって知らん。
だからと言って得体の知れない奴に
生贄を増やす必要もないと思うがな。

ソフィーさん…あなたが言ったんじゃないですか。
「私はもう存在意義が無い」って。
…確かにその通り。私はもう実質的に
村に巣食う「人を殺す何か」を全員見つけた。
だから私に出来ることはみんなが
私を信じてくれることを祈るしかない。
もう能力者以外のみんなの中に化け物はいないから
みんなの中で怪しい人を見つける努力なんて
意味ないし、レベッカさんの粗を探すにも
限界がある…これ以上何をしろっていうんですか？

――そうだ。

俺はそろそろ死ぬかも知れんな。
何回考えたとしても、次に殺されるのは俺だと言う結論に達するんだ…。

…一つ、頼み事をしよう。

［ナサニエルは、懐に収めていた一枚の手紙を取り出した］
もし俺が死んだら、この手紙をある人に届けて欲しいんだ。

…明日の朝、この村に伝書鳩が来る。
誰でも良い…生きていた奴は、その鳩にこの手紙を託して欲しいんだ。

みんなこわい、こわいよ。レベッカさんが勿体をつけて、すこしずつだれかがこの事件を起こした犯人ではないことを明かしていく間、手当たり次第に疑わしいヒトを殺めるの？
そんなことをして…、レベッカさんの選んだ３人とか、４人が残されたところではじめて気がつくのよ。ああ、やっぱりレベッカさんが悪かったんだ、って。
ナサニエルさんが、もしもみんなが言うみたいに狙われやすい立場だって言うなら。レベッカさんが誰かを人間だって言うたびにその恐れは高くなるもの。その誰かを人間じゃないんだ！って言うのなら、ともかく。

セシリア、ソフィーさん、わたし…
ふたりとも、生きていて欲しいよ。

おっと、いけねぇ。
占いで調べる奴を言わなきゃな。

カミーラのことがちぃっとばかし気になったが、
他に比べりゃまだ大した事ぁねぇ、かもな。

レベッカ、俺が調べてもらいたいのはネリーだ。
どうにも気にかかってしょうがねぇな。