牧童 トビー 茶髪の少年は「リーダー」と名乗った。他に名前があるらしいが不要なのだと言う。 彼の案内でたどり着いた場所は、寄せ集めの木々やダンボールで作った家とも呼べぬような住処。 だが、その中にはトビーと同じような子供達と、マリーがいた。 マリーはリーダーと同じように、トビーより年上で、この家では母親役をしている少女だった。 子供達の面倒を見て、仲間割れを叱り、稼いで来たら褒める。 ただ、この街が他の街と違う事、それは「稼ぐ」とは悪事に手を染めると言う事と同じところである。 マリーは子供達を褒めるたび、小さなロザリオを掲げて十字をきっていた。 トビーがその意味を尋ねると「幸せのおまじないよ」と、彼女はぎこちない笑顔で答える。 本当の意味を知ったのは、だいぶ後の事だ。 街で生活するうち、他の子供達と同じように、トビーもまた彼女を慕うようになった。 | |
(10)2005/12/22 15:14:18 |
見習いメイド ネリー [ナサニエルの叫びにふと、ナサニエルを見つめた] [他の何も目に無いように、じっと見る] [見えると言ったナサニエルの瞳は、何処までも澄んでいるように見えた] [魅入られるようにぼうっとその瞳を見つめた] 違います。 ………あの人を殺したのは、私です、ナサニエル様。 言わなきゃ良い事なのに、如何してでしょうね。 貴方には解かって貰う必要が無いのに、御主人様にだけ知ってて貰えれば良い事なのに、何となく言ってしまいました。 【このゲームで誰が生き残っても私には関係無いのに】 【生き残って欲しいと思うなんて可笑しいですよね】 【本当に、如何して何でしょうか? 御主人様。】 | |
(102)2005/12/24 02:49:56 |
異国人 マンジロー [ネリーに向かって、] 「俺がネリーといたのは、一緒に居たかったからだ。 君の事がひどく気になった。知っている誰かに似ているような気もしたが、記憶は戻らない。過去に俺が誰と知り合いだろうが、君は君だ……。 御主人様と言った。 その人物につかえていて、君は幸せなんだろうか? ……妙な質問かもしれない。」 [ナサニエルは自分がこの状況で自分が何を言おうとしているのかが分からず、混乱しつつ奇妙に冴えてくる頭に不思議な心持ちがした。ただ、いつまででもネリーを見つめていられそうな気がした。] [ステラを振り返る。] その質問は、俺に選べという事か……。 ……それはそうだ。 | |
(109)2005/12/24 03:09:41 |
修道女 ステラ [ナサニエルが銃弾の射線に飛び出してくることを予測していたかのように、三発の弾丸は彼の身体に吸い込まれた。静かな哄笑がステラの口から迸る] ふふ……あはは。ネリー、あなたは気づけなかったの? 彼が貴女を守ろうとする事に。何よりも大切な『ご主人様』ではなく、今ここで貴女を守ってくれるのが、彼だったという事に。 【……《あたし》 には理解できないことだけどね】 【いや、《オレ》 にはとてもよく判ることだがな】 【だけど、《私》 には実行できることでは無いわ】 [三様の声が心の中で響く。直後、それらを全て打ち砕くかのように、ステラの耳に大きな炸裂音が飛び込んできた] | |
(119)2005/12/24 03:45:15 |