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− 久仁彦の実家がある町 墓地 −
[揺家と書かれた墓の前に立っている。
本名、庶民とは一線を画する財力、魔術師としての教育、そして葬儀。素性を知るのに必要なだけの情報は既に持っていた。
葬式は既に行われ、その日のうちに納骨も行われたという。
考えてもしょうがないことを考え、口にしてもしょうがない言葉が口をつく。]
あの時、令呪でランサーを止めていたら…
[この墓に納められている死者の数が一つ少なかったかもしれない。
結局自分は自分の目的のために令呪を使うことを選び、救えたかもしれない命を見捨てた。そう思った。
そして果たそうとしたその目的も自分では果たせなかった。
悪いとは思わなかった、ただとても悔しくて。そして残念だった。]
…さて、いつまでもぼーっとしててもしょうががない、さてお仕事、お仕事。
本人しか知らない財産なんかあっても死人には使い道ないでしょ?
それを私が有効活用してあげようってわけ、社会貢献、社会貢献。
[周囲に人の気配がないのを確かめ、儀式のため護符と粗塩で結界をつくる。]
かごめかごめ
[現在は童遊びとして残る、口寄せの儀式。]
かごのなかのとりは
[本来は一人で行うような儀式ではない。]
いついつでやる
[その背中はどこか寂しそうだった。]
よあけのばんに
[身にまとう雰囲気に久子以外の人間のものが混じる。
儀式は成功したようだ。
何の用かと問う死者に答える。]
そんなの、久仁彦に会いに来たのに決まってるでしょ?
[皮肉とも思える言葉とともに屈託のない笑顔を見せる*]
[宗冬は左腕で美貴を抱き抱えた。抱き抱えて分かる戦いの激しさよ、美貴の身体はもうぼろぼろであった。]
おぉこんなになるまで戦って下さったか!それがしが不甲斐ないばかりに申し訳ない……。
美貴殿には幾ら礼を言っても足りませぬ。
こんな情けない男でござるが、美貴殿と一緒になりたいと思っております。
[そして右手で改めてキャスターを掴む。]
感動の再会が二つになれば、感動は四倍になりましょう。
我らは物陰から応援してやりますから、キャスター殿はババンと!もうババンと!
[左手には愛を、右手には友を、宗冬は移動を始めた。]
ババンってなんだよ!
むしろその効果音が出る行為って何があるんだよ!
[魔力もスッカラカンで満身創痍のキャスターに、バーサーカーの力に対抗する手段は無かった。
色々と諦めた顔で溜息を吐く…また老けるぞ、キャスター。]
あー…わかったわかった。
てかどこにいるかなんて……。
[ま、分からないなんて言っても家か教会か川原だろうか……と思い、移動を始める。]
[横になり、手のひらを見る。以前なら、魔術回路を視覚で捉える事が出来た。もう、何も見えない。気持ち悪いように思っていたが、今は、寂しく思う]
落ち着いたら、フランスにでも行ってみようか。
[穏やかだった。波打たない水面のように。一度に戻った感情はもう鳴りを潜め、気持ちは落ち着いている]
[母の笑顔を、思い浮かべる。
闇だったそれは、今はもう、*光のまま*]
[首に当たる美貴の腕が気持ち良く、幸せを感じている宗冬の口は一層滑らかである]
愛する女性の居場所が分からないとは……、臆病の証拠でござりますな。
突然に若返ったのだから、受け入れて貰えるか心配という気持も分かりますが、恋愛は押しが勝負でござります。引いていては成就なりませぬぞ。
さっさと行きますぞキャスター殿。場所は何処でござりましょう。
[宗冬はキャスターのをどんどん引っ張って行き、街中を回った。そして遂に教会に辿り着いたのだった。]
‐教会‐
[川原を歩きながら教会を目指す。
もう横にいる2人は考えない事にした。
居ない物として扱おう…きっとソレが平和だ。
そして、廃墟となった教会に足を踏み入れる。]
【ああ、そうだここで俺は…殺したんだな。】
[心の中でそう呟く。
そして…瓦礫の中、彼女は静かに佇んでいた。]
[人の気配に、静かに振り返る。
……始めてみる若者、そして、美貴と宗冬である。
面影と、服が同じなので判った。
否。
そうでなくても、魂が判った。
あの人が。
そっと、その人に柔らかな微笑を向ける。]
や、マリアちゃん。
気分はどう?
[こちらを見て微笑むマリアに、自分も笑いながら話しかける。
自分がキャスターだとどう説明しようか考えていたが、そんな心配は無かったようだ。
それが……例えようも無いほど嬉しかった。]
マリアだなんて。
ワイナさん。
私の意志も確かめずに、この世界に呼んだ貴方には、聞いてもらいたいお願いがありますわ。
シャルロット、と呼んで下さいます?
私の、本当の名で。
もしも、が許されるのならば。
私が、もし平和な時代に平和な国に生まれて居たのならば。
歩んでいたであろう、死んだ歳から先の人生を歩いてみたいのですわ。
……貴方と共に。
[ワイナへと、右手を*差し伸べた*]
[ワイナの背後の2人へと視線を移し、ふわりと笑顔を零す]
美貴さん……それにバーサーカーの方。
おめでとうございます、と言うのが一番適切ですわね。
この世界は、なんと喜びに満ち溢れている事でしょう。
ね?
ワイナさん。
[キャスターの心シャロ知らず]
あー、だって言っただろ?
俺に殺させた責任取ってもらう…って。
[あんなの下手したらトラウマだぞ?とキャスターは子供のように楽しそうに笑った。]
んー…じゃあ俺もシャルロット本当の名前で呼んでもらわなきゃな。
言いにくいだろうけど、略すなりしてそこは我慢してくれ。
[ゆっくりとマリア…いやシャルロットに歩み寄るキャスター。
そして、差し出された右手を取った。]
もう、喜んで。
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