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[両親の死に際を、憶えている。辛かったけれど、自分も連れて行って欲しいと思ったけれど、それを両親は許さなかっただろうと思う]
お父様、お母様、ごめんなさい、私は、二人が忘れないと言ってくれたのに、私が忘れてしまっていて。忘れては、いけなかったのに。
お爺様に頂いた魔術もすべて使えなくなってしまった。
[水差しへと手を伸ばす。触れた水に、残った魔力をふわりと乗せ。わずかに凍り、又元へ戻る]
お父様が、最初に教えてくれたこれだけ。
[役には立たないと思ったが、それを憶えていただけでも、良かった、と思える。
点滴の、*最後の雫が落ちた*]
[窓からそよぐ風を受け、滝田真は目を覚ます。
目に入るのは弧を描いて広がるカーテンと、見知らぬ天井。
ハンガーにかかった服、傍らのテーブルに置かれた煙草。そして、折りたたまれた便箋。
見覚えの無い物に包まれて、2、3度、瞬きをする。]
ここは病院……?
僕は……いつ倒れたんだ?
[体に鈍い痛みが走っている。
やや顔を歪めて周りを見ると、驚いた様子でこちらを見つめる看護婦と*目が合った。*]
[医師からの話に惑い、滝田真の目が泳ぐ。
自身が数日意識不明だった事を聞いたが、そもそも滝田にはここ5年ほどの記憶が無い。
それを自覚し、妻子は元気なのか、今でも自分を待ってくれているのか、次々不安が湧いてくる。
医師の話が終わり、1人残された滝田は茫然とする。
虚ろな表情で首を回すと、ひしゃげマルボロの箱と1本の煙草、そしてその傍にある、折りたたまれた便箋に*目が止まった。*]
−『魔女の館』−
[クローゼットに「彼」が着た服を片付ける。
ベッドを整え、床を掃き、部屋を見回した。]
案外綺麗に使ってくれたのね。
[他に片付けるところはないと確認して
部屋をでて階下へ降りる。]
[いつものように開店準備を進める。
ポットを持ち上げると人差し指が引き攣れ、
暗い店内にがしゃんと耳障りな音が響いた。]
やっちゃった……。
[時折、引き金を引くかのように引き攣れる指。
あの日、覚悟を決めて引き金を引いた代償は
魔術回路を焼き尽くしただけではなかった。
それでも、あれほどの魔力を使い、魔術回路を失って
この程度で済んだのは僥倖なのだろう。
それを代償などというとまた「彼」は鼻で笑うのかもしれない。
ポットを拾い、床を片付けながら露葉は苦笑する。]
[ストッカーを覗いて足りない香草を確認し、
種を成長させようとして手を止める。]
……もう使えないんだった。
[いまだに魔術が使えないことには慣れられず、
ふとした拍子に魔術を行おうとしてしまう。
無くなってしまったものはしょうがないのだから
いい加減忘れてしまってもいいのにと思うのだが
当たり前のようにあったものだからそれには時間がかかるのだろう。
温室に行き、必要な葉を摘む。
思い出して、天井を見上げる。
修理をしてあるが「彼」が空けた穴はまだ確認できる。
店に戻ろうとすれば庭にも外壁にも跡が残っている。
だが不思議とそれを直そうという気にはなれなかった。]
[摘んできた香草を所定の位置に片付け、
店内に問題がないか見回す。]
……。
[ゆっくりと片方の手を銃を構えるように空にのばす。
胸にゆれる弾丸の入った守り袋を指の引き攣る手でにぎる。
心の中で引き金を引く。同時に指が引き攣れる。
引き金を引いた感触が甦る。
それは気持ちを切り替える儀式のよう。]
……さぁ、時間ね。
[そして、かかったままだった『臨時休業』の札をはずし、
いつものように*店を開けた。*]
[点滴の針を抜いてもらい、ゆっくりとベッドから降りる。窓際に立ち、外を眺めた。何箇所か工事が始まってるのを見て苦笑する]
あそこは、霊脈の強いところ。沖田敬一郎は、あの場所を死に場所にでも選んだのかな。
死ぬつもりはなかったのかもしれないけど。
私は人だから。人は過ちを正せるものだから。貴方が言った未来が来ないことを、信じたい。
[傷が痛む。彼から受けた傷は、大きな傷跡を作ったが、体の傷などどうでもいいように思えた。それよりも大きな傷が、体の中と、心の中にあることを知っている]
歩くと、傷が開くかな……。
[用意された車椅子へと座り、腕でこぎ始め、病室から出る]
[1本の煙草を持ったまま、滝田真はどうすべきか悩んでいた。
彼自身は煙草を吸わず、それは不要なものである。
だが、何故か捨てる事には躊躇があった。
既に読み終えた便箋を横目に、滝田は悩み続ける。]
[始めは戸惑ったが、元から覚えだけはいいほうだったのもあって、次第に操作に慣れてくる。滝田の病室がどこにあるのか、以前と同じ場所であればそこだろう、とそちらへと方向を向け]
あ、ぶないっ。
「わ、わ!! ごめんなさい。だいじょーぶ? いたく、なかった?」
[男の子が、ぶつかってきた。微笑んで、その頭を撫でる。まだ幼い、元気一杯のその子は、病院には不釣合いで、自分に乗り上げた形で、見つめてきた]
大丈夫、でも、病院は、走ったらだめでしょう?
具合の悪い人がたくさんいるから、気をつけて歩きなさい。
[「はーい」そんな声をあげて、去っていく。車椅子から降ろそうとして、手をかけたが、力は入らなかった]
ほんとにもう、使えないんだ。傷が治れば、筋肉は元に戻るだろうけど。
[今まで、いろんな面で魔術に頼ってきたことを少しだけ恥じる]
[気持ちを切り替えて、滝田の病室へと向かった。幸い、同じ階だったのをナースセンターで確認する]
ここ、だ。
目を覚ましたとか言ってたっけ。憶えてはいないだろうけど、事情を話すくらいなら、できるかもしれない。
[ドアをノックして、中からの返事を待った]
[家族が来たのだろうか、滝田はそう思い、ふと時計を見る。
医者の話から聞いた、家族が訪れる時間にはまだ間があるようだ。]
……どうぞ。
[しばし躊躇した後、滝田はそう言った。]
[声を聞いて、ドアを開く。車椅子のまま中へと入った]
……。ええと。滝田真さん、ですよね。
初めまして、流・ソフィー・空穂と申します。
お気分はいかがですか?
[挨拶をして、間を置き]
ケネスさんは、もう、いらっしゃらないのですね。
[尋ねた言葉は、どこか寂しそうに]
あなたが……
[滝田は顔をあげてソフィーの顔を見る。]
「ケネス・グランド」の手紙で読みました。
……病院に担ぎ込んで頂いた上、ケネスに手紙を書くように勧めてくださったそうで。
[そこまで言い、少し沈黙が訪れる。]
……実は、その手紙の落しどころと言うべきなのかな……自分の中でどう処理していいか悩んでいるのです。
内容が何か、夢みたいな話で……。
ケネス・グランドなんて本当にいたのだろうかとか……そんな事も考えてしまって……
……ケネスはどんな人でしたか?
[そうソフィーに聞いた。]
[問われて、言葉に詰まる]
……ケネスさんは。
[短い時間だったが、確かに、そこにいた人]
優しい、人でした。少し口は悪かったですけど。
私もそれほど知ってるわけではないのです。ただ、一生懸命、生きようとしていた。
自分は、与えられた人格だから、人ではないのだと。
滝田真さんに戻る日を、恐れていたようにも思います。
貴方にとって、その手紙は言ってしまえば夢なのかもしれません。知らない間に起きた出来事なんて、時間は過ぎて、確かに体験したことだとしても、夢と変わりないのでしょう。
でも、ケネスさんは、確かに貴方の中にいたんです。
今も。きっと、貴方の中にいるんだと、思います。ケネスさんの中に、貴方がいたように。
だから、夢だと切り捨てないで、貴方の中のケネスさんに、語りかけてみてもいいのかもしれません。
彼は、自分が消えることを怖がっていたから。
……滝田真さんにとっては、突然の話だと思います。
だけど、消えてしまった5年間を、そのまま無駄にしないでほしい。消えたのではなくて、多分、どこかにあるはずだから。
ケネスさんにもっと関わりの深い方に会えたら、思い出すきっかけになるのかも、知れませんね。
[話しながら、自然と涙がこぼれた。もう、会えないのだろうか、と言う思いが、沸き起こる。覚悟は、していたはずだった]
す、すいません、そんな辛い思いをさせるつもりではなかったんですが……
そうですか……やはり、いたのですね。
一生懸命にか……。
僕には……正直その手紙の出来事は良くわかりません。
でも、5年間の中で、自分なりの夢を追って精一杯生きようとした男がいた……それならわかる気がします。
事実を伝えていく手紙の中で、ケネスが自分の思いを言葉にしている事は3つ。
1つ目は僕への詫び、2つ目は僕への激励だったんです……。
「しっかり生きてくれ」ってね。
まったく、他人事だと思って……
[滝田は軽く微笑んだ後、手に持った煙草に目を落とす。]
……そうか、これはバトンなのかもしれませんね。
[ケネスから自分へと渡されたバトン、そう考えると納得ができる気がした。]
ケネスが僕の中にいるのか、自分では解りません……でも、このバトンは大事にしていきたいと思います。
……あと、3つ目なんですが、あなたに……
ありがとう、そしてすまない
そう伝えて欲しいと書かれてました……
[滝田はそう言うと窓の外を見つめた。]
すまない、ですか。
私は何も、彼に謝られるようなことはされてないんですけどね。
[笑う]
いいえ、いいんです。辛いのは、私の勝手で、滝田さんが悪いわけではないですから。
ケネスさんの分まで、ちゃんと、生きて、がんばってください。彼が出来なかったことを、彼の分まで。
そうすればいつか、思い出すのかもしれません。
私も、忘れませんから。
[頭を下げた。もう、涙は止まっている]
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