情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 7日目 エピローグ 終了 / 最新
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
先生、土蔵に一緒に居た姉さんってのは……。
そうして、戦争で見たものってのは?
[戦争のほんの浅い部分しか知らぬ自分すら狂気を負った。枚坂はいったい、何を]
―望月自室
何日もその闇の中に取り残された時間は、凄絶なものだった。
互いのいばりを呑み、姉の膚を舐めてはそこに滲んだ塩を味わった。
それでも、食糧がないその場所で辛うじて生き延びることができたのは、共用水栓が破壊され、水が空間の隙間から滲んできたためだった。
その泥水をすすって、なんとか命を繋いだんだ。
朦朧とした姉が夢を見るように、なにかの唄を唄っていた。
その響きが――好運にも瓦礫を撤去していた人足の耳に届いて――
私たちは救助された。
―回想・階段付近―
[枚坂の、さつきと杏が絶対安静だという言葉に、
翠は困ったような顔をした。]
―――……
[仁科が喰らったという、2人に何を。
枚坂と共に部屋へと向かう望月。
その背になんと言葉をかけるべきか分からずに。]
―望月自室
母も、その愛人だった男も、姉以外の家族は皆瓦礫の下に押しつぶされて死んだ。
私と姉は、そうだね、藤峰君と同じ――
この別荘付近の村にある遠い親戚の家に引き取られたんだよ。
姉は震災の怪我が元ですこしびっこを引いていてね。
外に出てはからかわれていた。
新しい家になじめずにいた。
姉は、新しい家にもあった土蔵に閉じこもるようになってしまった。
―望月自室
私と姉さんは、土蔵の闇の中で遊んでいた。
闇の中は、決して恐ろしくはなかった。
その狭くて親密な暗闇が、私たち姉弟を護ってくれたからだ。
震災で、外の世界が滅び去った時、そうだったように。
だが、私は結局――
その闇を……姉さんを見放してしまったんだ。
――ある時。
――それが、私の負っている罪なんだ。
[最後の言葉は、懺悔に他ならなかった。]
[闇][土蔵の、どこか湿った空気]
[触れ合うぬるい人肌][同じ血の流れる、柔らかな]
[……遠い歌声]
[陰惨でありながら、どこか甘美と受け取れてしまう]
鬼は、鬼のまま。
術を術と行使する。
何処まで行っても報われる事なんてありそうに思えませんが、あたしは後悔する事はないでしょう。
鬼とは。そういうもの。
[ふふ、と笑う。]
屍鬼となりぬるお前さん。
暫し辛抱しておくれ───。
[夜桜は刀を下げたまま、三階へ向けて歩き始めようとする。]
闇の中にただ一人、閉じこもるようになっていた姉さんの心は不可思議な世界を作っていった。
闇の中に、彼女の王国を築き、私はその下僕だった。
そのことに、私はだんだん飽き足らないようになっていったんだ。
私は、村の新しくできた友達と野山を駆け回って遊ぶことにも心惹かれていた。姉さんと遊ぶ時間も少しずつ減った。
ある時、私ははやり病にかかった。
私は数日寝込んだだけで起き上がることができた。
残念ながら、同じ病は姉さんにもかかっていた。
悪いことに、閉じこもりがちだった姉さんは免疫力が私よりも低かったのだろう。
病は深刻だった。
……その病は、私が外から持ち込んだものに他ならなかったんだ。
―望月自室
花純-かすみ-姉さんは――
……世間的に言えば……
[――死]
――いや
[――土を掘る音が聞こえる。]
違う――
姉さんは……死んでは……いない。
―望月自室
望月君。
姉さんはね。――死んではいないんだ。
あの日、私と一緒に帰ってきたのだから。
――びっこを引いていた姉さん。
私がかつがなければ、歩けなかったが……
――ああ、死んではいないんだよ。
[過去へといざなわれた眼差しはゆらぎ、うわごとのような声が漏れだした]
死んでないって、病で亡くなったんだろう?
[見捨てた――?罪?]
先生、かすみ姉さんってのが貴方の、罪なのか?
そんなとっくの昔に亡くなった――。
[はっと己の失言に口をふさぐが]
―望月自室
[わずかな間目を閉じ、現れた表情は再び理性を取り戻していた。]
――望月君。
さっき、協力が欲しいって言っていたね。
私にできることがあれば、なんでも言ってくれ。
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 7日目 エピローグ 終了 / 最新