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では、本当に私のお願いを……
首を、切らないで居て下さったのね──
雲井様。
[赫い闇の何処かで、凄艶な嗤い聲が羽ばたきの様な微かに響いた。]
枚坂さまを……。
[確かにアレは野放しのままには出来ぬであろう]
仁科さん、あなたは如何程まで保っておられますか。
[人を喰らうをとどめるは]
[ふと、見渡す視線を望月の上に視線を止め、>>119。]
望月様は。
屍は泣かぬとお思いなのですねえ。
…マァ、屍鬼の気持ちなぞ分からぬ方が、いっそ生者らしくて宜しいでしょ。
其のまま、現(うつつ)に帰りなさればいい。
あたしは屍鬼では無い、望月様が
妬ましくて。
妬ましくて。
妬ましくて。
──…此のドス黒い爪で其の目を抉り出して遣りたい程。
[現(うつつ)、と小さく呟き、]
アァ、でも。
──…やっぱり。
あたしを殺して戴くより、枚坂先生を殺して戴く方が先です。
あたしが先に逝き、此の屋敷が現世へと戻り。
先生様が、まんまと死体を手に入れて──逃亡なんて事もあり得る訳で。
先生様は立派な車をお持ちですからねえ。
残念ですけど、あたしは運転してカーチェイスなんぞして差し上げられませんし。
あたしは先生の死を確認してから逝きましょうや。
[三階に視線を向けていたが、夜桜の言葉に向き直り首を横に振る。]
異界と此の場との距離が近付けば、もう誰かが直ぐに[と言ってまた全員の顔を見渡す──。]お陀仏で。
果たして、何刻…保つやら。
[また三階に視線を戻し、]
此のまま、江原様にはお会いせず逝く方が…なンて、チラと考えたりしてみた物の。江原様にあたしの影を封じていただいている間に、枚坂先生を殺して戴くのが一番良いのやもしれませんァ。
『──…さすれば。』
『あたしが江原様を殺してしまうやも。』
『…アァ。』
[江原との間に何があったのかは、今此処で、誰にも告げる気は無い様だ。
内心を*仁科は表には表さない*。]
[何処からか、振り絞るような呷き声がさつきの意識を押し包んだ]
『ククククク……
フフフフフ……
アーッハッハッハッハッ……!』
『寒イ……寒イノダ……』
――父上!?
『嗚呼、寒い……此処は恐ろしく寒い…………』
『さつき…………喰わせろ……喰わせて呉れ……熱い血、柔らかい肉を…………』
『滴るような、お前の生命のほとばしりを……味合わせてくれ……』
『クカカカカカ…………』
『そう怖がるでない……さつき。血を分けた父娘じゃあないか…………ホンの一口で良いんだ……嗚呼……ひもじい…………』
[殷々と響く声。亡者の果てなき飢えを訴える其の声は途切れる事なく*続いた*]
……枚坂先生……
不死というのは生から解放されないことなのですよ。
死こそ救いとなりうる事だってあるのですよ。
あなた自身、生に倦むことが、飽きることがないとはいえないでしょうに……。
……嫌、
『だって一緒に笑っていたのに。
お酒を飲んで、酔っ払っても上手に運転する仁科さんが
優しい仁科さんが』
――逝くなんて、
[堪えきれなかった泪がまた落ちた。
どうしてこんなに弱いのかと、自分を責めながら。
首を横に振る。
仁科と夜桜の声が遠い。]
ごめんなさい―――
[仁科は喰らいたく無かったと謂った。
苦しいのだろう、と思った。
今命を絶つことこそ、彼女が望むことなのだろうか。
そんなことを思いながら枚坂の死を願う仁科の声を、*聞いていた。*]
―天賀谷自室
[溶液の注入が完了した。
さつきの体温を測定する。
0度近い溶液と周囲の冷媒によって、彼女の体温は7度程度を維持していた。
酸素ボンベを準備し、彼女の血液から血液型検査・抗体スクリーニング検査を行う。
彼女の血液型は――]
ああ……
[思わず天を仰いだ。
無論、あらゆる血液型の輸血用血液を、しかも人一人の命を満たすほどの膨大な血液を常時持ち運んでいるわけもなかった。
今になって、外部との連絡を取ろうとして果たせなかった最初の刻のことが悔やまれた。]
―三階・バルコニー
[天賀谷の自室を出て、見渡しのよいバルコニーから外の風景を眺めた。
月と太陽が浮かび、禍々しい色に澱む空を忌々しげに睨む。]
天賀谷さん……。
貴方はどう収拾をつけるつもりだったんだ。
この空は、晴れることがあるのか?
貴方は何も語らないまま逝ってしまった。
貴方が何を願っていたかさえ、わからない。
せめて……さつき君や貴方が世話をしていた人たちにくらい本当のことを話しておいてもよかったろうに……。
[そして、目を閉じると大きく息を吸った。]
[遠く、遠くから女の聲が響く。
囁いているのに、それは酷く大きな金属質の残響を残して轟き渡る。]
嗚呼。
分かったわ──
何故、私が、
誰にもきちんとした不死を
与えて差し上げる事が出来なかったのか……
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