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―天賀谷自室→書斎
[内階段から書斎に入ると、壁面にかけられた一枚の絵に目を向けた。
暗く重い雲が立ちこめた空の切れ目から僅かに光がのぞき、中央に描かれた島の上部の輪郭を浮かび上がらせている。
岩だらけの島の真ん中には死を象徴する糸杉が生い茂り、海は波立たず静かに広がる。
その島に向かう一艘の小舟の上に、白く布で覆われた棺と――
島に向けてうやうやしく頭を下げる白づくめの人物。
――ベックリンの『死の島』
いつか、天賀谷氏が「これは喪われた四枚目」であると自慢げな口ぶりで話をしていたその様が、思い出された。]
―書斎→天賀谷自室
[額を壁から外すと、天賀谷の居室に担いでゆく。
今は一つとなったさつきと杏の後ろ、扉を開ければ真っ先に見える壁面の中央にその絵を飾った。
それだけ済むと、天賀谷の部屋の錠をかけるよう女中に頼み、その場を後にした。]
あら――随分と必死だこと、仁科さん。
クスクス。
けれど、其れは結局――どちらが早いか、遅いか、という其れだけの御話でしょう?
尤も、既に斯く成り果てたる私には関わりの無い事ですけれ、ど――――!?
[ドクン]
[ドクン]
[何かがさつきの霊魂へと伝わって来た。力強く禍々しい脈動が送り込まれて来る。徐々に濃度を増し頻度を高めていく其れは、半ば曖昧な幻影と化していたさつきの姿を、ハッキリとした五体を持った形へと作り変えていった――]
[ドクンドクンドクン]
『――嗚呼。入ってくる――』
[ドクドクドクドクドクドクドクドクドク――]
『――流れ込んで、くるわ――』
『忌まわしい波が、幽り世の水が、私の身体の中に――』
[十三の部屋に寝かせられ、器械に繋がれたさつきの身体が何の様に変わりつつあるのか――其を知ってはならぬ、感じてはならぬと思い乍らも、さつきの意識は何処かで明白な事実として其を察知していた]
―三階廊下→自室
[仁科の告白も、ましてや仁科が私を殺すよう嘆願していることなど、知るよしもなかった。
漸く私にしかなしえぬ事を行い得たのだ。
重い疲労が体を包んでいたが、心は満ち足りていた。
ゆっくりと自身に宛がわれた居室へと戻ってゆく。]
『枚坂先生。貴方は此れを知った時、何の様に感ずるのでしょうか。狂喜して快哉を叫ぶのでしょうか。其れとも』
『己の為した事の罪に慄き、罰に怯えるのでしょうか――』
『或いは仁科さんも。ひとで無く成りたる貴女が――肌を重ね、精を受けようと狂おしく求めて居たのは――』
『或いはもしかすると、“何か”を生み出そうとしていたから?』
[さつきの問いに答える者は無い。やがて彼女の瞳はその出で来たった闇の帳へと向けられ、妖しの色を湛えて細められた]
何れが何れであろうと、私には構わない事。
私が欲するのは、ただ――
くすくすくす……
[茫漠たる異空にさざめきが広がる。艶めいた声を残しさつきは深淵の中へと姿を消した。やがて、其の彼方からは――二人の娘の巫山戯合う様な声が時折、*聞こえ始めた*]
―三階・居室
[熱いシャワーが肉体に精気を呼び戻す。
あまりに多くの人が損なわれた。
生者も狂気に落ちてゆくように思えてならなかった。
荒ぶり、凶刃を振るった来海を思い出していた。]
来海さん、貴方も最後は取り憑かれてしまったんだな……。
なるべく早く、事態の収拾を図らなければ。
混乱と狂騒が、おもわぬ破壊をもたらしかねない。
―三階・居室
[部屋の壁には尚も血文字が躍り、じわじわと蠢いていた。]
“天賀谷さつき ――屍鬼殺害”
[その文字はさつきの施術後も変わらずそこに刻まれていた。]
――まだ、時は満ちていない。
蘇生には、今しばしの準備が必要だ。
[あるいは、異界に落ちたこの場所は現世とは異なった時の流れ方をしているのかもしれなかったが。]
[部屋に持ち込んだ小さなガスボンベで湯を沸かす。
碧色の透明な薄い玉-ぎょく-を、注意深く洗う。
玉は彫刻を施されていた。
複雑に刻まれた面が光を跳ね返しキラキラと光る。
消毒液のみの洗浄ではなく煮沸を行ったのは、むしろ迷信めいた清潔観の故だっただろう。]
これも迷信の類か。
あるいは――
[狂気の沙汰であろうか、とその言葉は*発せられることはなかった*。]
医師 ヴィンセントは、見習い看護婦 ニーナ を投票先に選びました。
書生 ハーヴェイは、逃亡者 カミーラ を能力(守る)の対象に選びました。
―江原自室/回想―
そろそろか…影と影の交わる刻。
[静かに目を閉じ、宿命の刻を待つ。]
………………。
[時間だけが過ぎる。]
手応えがない。当然だ。私が死ぬはず……だが。
[不思議。江原の思い描いた瞬間が訪れない。]
………ッ!?
[火に追い立てられ、避難場所を求めて逃げ惑う人々の群れ。その奔流に逆らって彼女は行く。その手には、まだ銃が握られている。そして、彼女はおのれの命運に挑む様に劫火の中に僅かに開いた道に飛び込んだ──。]
[哀れみと慈しみに眼差しで見詰める、養父の手を取る。微笑を浮かべようとして、ぎこちなく唇と頬の筋肉を動かす。乾いた布が皮膚に触れる感触に、微かに痛みを感じながら。]
[沖に向かって滑り出す客船のデッキで、見送る埠頭の人々に手を振った。手摺を掴む白手袋の手が一際眩しく目に映る。]
[夫──大河原の御前──の子供じみた哀願に、母の如き慈愛と女あるじの残忍さを込めて笑みを返す。そして、鞭を……]
[夫の後ろから進み出て、会釈をする。西洋風に手を取ってその甲に軽く唇を寄せた、男の眸に見える色を、訝しく思いながら……]
────……
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