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[ノーマンへの告発。拘束が緩められていく。
急に首、手、足すべての鎖から解放された事で、躯が弛緩する。
紅潮したままの頬、その場に滑り落ちる。
枷の痕が残る首をゆっくりさすりながら、けほと小さく咳き込む。
──瞬き。
ノーマンとクインジーのやり取りを無言で見上げていた。
クインジーの問いに、]
…はい。
[簡潔に、通る声で答える。]
“セシリア”
貴女が“エロイーズ”であると証明できる何かがあるだろうか。
エロイーズなる人物でしか知り得ないこと――などでもいいのだが。
[答えてから、ジェーンを見つめた。
けれども、ジェーンの表情からは何も伺えない。
そのまま数秒間静止していた。
小さく息を付いてから首を横に振り、手許に視線を落とす──。]
[手枷に刻まれた聖句。
ラテン語の一部分がひび割れて居る。文字が刻まれた際、指示とは多少造形が異なっていた所為だろうか──。
手首から視線を逸らし、ゆっくりと立ち上がった。
数日ぶりに自らの指先で、衣服や髪を払う。
クインジーに向き直った。]
──…証明等は出来ないのではないでしょうか。
私が何かを知り得ていたとしても、それが真実であるのか、妄想であるのか、誰にも分からないのでは──。
この国で育ったセシリアが、例えば外国の言葉を話せるならば、それが証となりうるだろう。
私は何度か異国の旋律を耳にした。
学習の履歴についてはジェーンから裏書きがとれるだろう――
外国人だと立証されたら、この地の法の裁きを受けない。
被告が、外国人乃至余所者であったり、村邑の住人でない者である場合には、「第三者の手で直ちに雪冤宣誓を申し立て遂行することができる」。
村長は、地方の裁判所の裁判権からの不入権を獲得し、独自の司法権を行使していた。
この地の慣習法によれば、雪冤宣誓の申し立てができる。
そして、私は彼女と同郷の人間であり、彼女の身分を裏書きするため宣誓する。
つけ加えるなら、ジェーン・アーチボルドに案内されアーチボルド家の捜査をさせて戴いた私だが、セシリアが蠱物の類を行使していたという証拠を終に発見することはできなかった。
[皆に聞こえるよう、通る声で宣言する。]
“裏返しの毛皮”や変化のための“革帯”、未洗礼の幼児の遺体を用いた“膏薬”。人狼の証として知られるそれらを見いだすことはできなかった。
[そうして、彼女の署名の入った自供書を破った。]
[だが――そんな事で収まりがつく村人ではあるまい。そもそも、長年に渡る憎悪と怨恨があったからこその――この事実。この檻、であるというのに。
何か切欠があれば暴動が起こりそうな中、
視線はノーマンにも注がれる。無言なる圧迫。]
私に云えること、法的に選び得る道筋はそれがほぼ全てだ。
そうして、怒りに充ちた群衆を見据えた。
それが、――あなたたちの法だ。
[――そんなものが通用はしない。
本来であるなら、そうであろう。
だが、一人の男が震えながら、ミッキーが正に呪いとしか言えない狂態で先程死した事を告げに来た。
ざわめき。
広がる――呪いへの恐怖――簡単だ。
愚衆の心理など、如何ようにでも変わる。
所詮、命は惜しいのだ――更なる憎しみに彩られようとも。そして、そうでない者達は、彼らの旅路の途中に現れ、襲撃もしようが――今、この場では――留まっている。]
私は異端審問官として、“人狼”たる告発をここに破棄した。
尤も、彼女は捕縛にあたった自警団員を、自衛の為とはいえ疵付けた。
だが、それらは異端としてではなく世俗の権力にて裁かれることだ。
そして、世俗の法手続として、私は雪冤宣誓を申し立てる。
[その瞬間、ひび割れていた右手首の枷が崩れ、ポロリと床に落ちた。
彼が、あくまで彼は異端審問官の立場を貫きながら、事を終えようとしているのだと思い、それに委ねようと考えていた。彼が何故その様に進めようとしているのか、幾つかの理由が浮かび、彼女は、心情を述べる事も無く簡潔に答え、続きを見守って居たのだが──。]
…………──。
[沈黙]
彼の……彼の言う通りにしてやれや…。
[自警団員に命じる。]
ということはよ、出てってくれるんだろ、村から。
コイツらが何であれ、下手に触れた方が
大怪我負うってもんよ。俺たちが関わるべき
相手じゃあなかったんだよ………。
[村人を納得させるように。]
[波打つ群衆の声が、遠い潮騒のように聞こえる。
長剣を抜くと、足枷の縛めを、左手の、首の枷を外した。
ざわめく群衆を向き――]
尤も――法は社会が決めるものだ。
この村に司法権があった以上、この村の者全員がそれを望まなかったなら是非もない――。
[そして、ノーマンの方を見た。]
――世話に……なった。
[ウェンディは自分に聞かせるように問うた。]
セシリアお姉ちゃん、これからどうするの…? これからどうやって生きていくの…?
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