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はい。
[凝っと見詰める]
上海が混沌としていた──毎日毎夜繰り広げられる祭の頃のお話です。……先生は、西堂芳人という名前に、もしや聞き覚えはあるでしょうか。
……はい。
ありがとう、ございます。
[微笑むと]
お茶を、お持ちしますね。
[薄氷を踏むような、危うく儚い時間。
それでも心地よいと感じる。
沢山の人が死んだのに、
こうして。
気付かれないよう、
堪えるようにぎゅっと眼を閉じた。]
『私は――鞘……』
[日本茶を淹れ望月へと運ぶ其の後ろ、
ひっそり誰も飲まないはずの*ジャムを添えた紅茶もまた置かれている。*]
せんせいは、どんなお話を聞かれました……?
[夜桜は付け加えるように、]
……せんせい、少し、包帯の具合を見て頂いてもかまいません?
[今は誰もいないであろうホールの扉をちらりと見て。
激しい運動をしていない為に、包帯がズレている様子はなかったが]
少し、待っていてくれたまえ。
[私は僅かに彼女を待たせると、自室に書類鞄を取りに行った。
小走りに戻ってくると、鞄の中より写真の束を引き出す。
その中から、選び抜いた数葉の写真と、聞き取り調査の際に描いてもらった似顔絵を彼女の前に差し出した。
長髪が表情を隠し、片目だけが覗いた青年の姿がそこにはあった]
悠迅――と彼は自身の名前を後藤少佐という海軍陸戦隊の士官に話していた。
包帯……ああ、済まないね。
ひょっとしてずれてしまっていたかな?
[ほどきかけ、肌に僅かに見える刺青の色に目を見開いた。]
夜桜さん。貴女とその青年の関係は――一体……
彼は、残念ながら行方不明だ。
三井洋行に努めていた御堂氏のお嬢さんらしき人物と一緒に居るところを目撃されたのを最後に、消息を絶っている。
[何処とも解らぬ空間、嘲りと皮肉が飛び交う中、仏頂面で黙りこくっていたが]
……ほう、また一人。
[訪れしは、妙齢の女性。それも、「シキ」と呼ばれていた。]
[皮肉気な笑みを浮かべ、その様を見守る。
周囲の屍どもがそうするように、ただただ、黙りこくり、傍観者として。]
―ホール
[ホールの壁際にある椅子に夜桜を誘い、包帯を解く。下にちらりと覗いた黒子を刺青と見誤ったのは、上海で耳にした伝聞の所以だったのだろう。
包帯を治しながら、私は話を続けた。]
[ 夜桜は話を聞ければそれだけで良い、と思っていた。
枚坂が戻ってくる間に、ホール入り口にと移動して待ち、帰ってくると共にホールへと。がらんどうとした場所は、数刻前までシロタが音楽を奏でていたというのに。
ピアノの上に、写真が散らばった。
屍鬼に関する資料──写真や似顔絵のようなものすら、常に持ち歩いているのかと、枚坂の執念に空恐ろしいものを感じた。]
[──が、ばら撒かれた写真に、目を瞑り頭を振った。]
[そして、医者とは言えど男である枚坂の前で着物を脱いでゆく。恥ずかしがる素振りすら見せずに、淡々と。やがて、襦袢の袖を肩まで捲り、処置を施してもらおうとした。]
悠迅という名ではありません。
それに、あたしとこの人の間に繋がりはありません。
[と、続ける]
枚坂さまは、まるでそこで聞いたように何もかも知っておられるのですね。屍鬼が出た、という場所でお聞きになったのでしょう?人の記憶は曖昧なもの……それに、迷信蔓延る場所で聞き出す事は、とっても大変だったンじゃありませんか。
中国南方の衛生防疫を統括していたのは、南京に置かれた栄1644部隊だった。無論、新宿戸山の陸軍防疫給水部は各機関を統轄していたから、資料はそこにもあった。
最初に私が資料を目にしたのは、そこだった。
私は、上海でその事件が起きた時に現地に居たわけじゃないよ。
上海のある娼館で、陰惨な殺人事件が起きた。
日本租界の日本人所有の建物で起きた事件だ。
便衣兵のテロルかと思われたが、そうではなかった。
発見された遺体の中には、明らかに人にはなしえぬ様相を呈しているものもあった。
今のような事態の渦中にいる君になら話せるが、それは屍鬼にまつわる出来事であると判断された。
──二階・十三の書斎──
[三階の天賀谷の部屋から内階段を下り、二階の書斎へ降りた。
主人で有った十三の死体を仁科が今振り返る事は無く、枚坂の行為には気が付かない。]
[枚坂の行為に気付かないのは余裕が無いからだ。
仁科は追い掛けて来る霧から、逃げる様な速度で移動している。
だが、赤黒い霧は仁科を嘲笑う様に纏い付き、仁科の背を何度も氷の様な指先で撫で、仁科を震えさせた。]
──二階・十三の書斎──
[壁の血文字の前に辿り着く。
「翠さん、江原様…。」と呟き乍ら、血文字を指先で示し──生存者の名前を凝視した。]
夜桜さんの言葉によれば、さつき様は屍鬼では無い。
夜桜さん葉は他に誰かを──。
水鏡で姿をご覧になっただろうか。
[来海、雲井、枚坂、望月。
彼等が屍鬼である可能性を順に想像してみている。]
[だが、其れは突きつけられ、認めざるを得ない現実の確認に過ぎない。
赤黒い霧は既に仁科の全身を覆い、息を塞がん程の深さ。
立っているのが苦しい──。
視界が霞む。]
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