42 死びとの指─…屍鬼村2─
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医師 ヴィンセント
……君はどれだけの“屍”を見たんだ
[彼岸にある者を見定めるというその瞳に揺らぐ、今という時の狭間で呟きが漏れた。
彼女もまた、おぞましいものを見てきたのだろうと実感が込み上げた。]
冒険家 ナサニエル
―食堂脇―
［手を振った枚坂から、照れたように目をそらした］
いや、お邪魔しました。
［枚坂と夜桜に目を向けぬようにそっと通り過ぎる。その会話の内容は聞こえていなかった］
→食堂へ
逃亡者 カミーラ
[扉内に見えない角度の壁に押し付けていたと思ったが、枚坂の態勢からは内が見えたようである。]
望月さま。
[一瞥をしたが、それだけで。
直ぐに枚坂へと視線を戻す。]
鬼と成り果てるまで。
[意外にも朗らかに笑みを浮かべた]
逃亡者 カミーラ
[書斎へと足音を響かせて歩く来海が、後ろを通り過ぎるのを凝っとして。何か心に秘めたものがあるのか、強い沈黙が束の間、夜桜を支配した。]
医師 ヴィンセント
―食堂脇
[食堂脇に居た故、翠と来海のやりとりが耳に入っただけだったが、来海は苛立たしげな舌打ちと共に書斎へと消えてゆく。
食堂に消える望月が私と夜桜のやりとりをどう感じたものか、その様子には気づかぬままに、彼女の中の彼岸へと心が誘われていたのだった。]
「鬼と成り果てるまで」
[以外にも朗らかな語調に、私はふっと弛緩し現世へ戻った。]
逃亡者 カミーラ
枚坂さま。
[夜桜は、再度口を開く。]
あなたさまは、屍鬼について、あたしよりも詳しい部分がおありなご様子。一つ尋ねてもよろしいでしょうか。
医師 ヴィンセント
成り果てることはない。
行きすぎると決して戻ることは叶わないのだから――
[それを、朗らかに笑えるのは――]
女性というのは強いのか――
男には、謎めいた存在だよ。
[あるいはおんなとは母であり、娼婦であり、聖女であり、鬼であろうかと思いながら。]
見習い看護婦 ニーナは、鍛冶屋 ゴードン を投票先に選びました。
見習いメイド ネリー
……あの方は、何を。
[問うまでも、ないことだと口を噤む。
そ、と望月を遠慮がちに覗き込んで]
え、えと、お召し上がりに、なりますか？
冒険家 ナサニエル
翠さん。
何かあったら、俺を呼んでくれ。
……そんなことしか出来ないから。
『もしもの時は……』
［思いを隠して笑って見せた］
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