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ほー、なるほどなるほど。
いやーご立派だ!
自分の意見関係な使命優先なんて、俺には"絶対"に真似できないね。
[手を叩いて皮肉げに褒めるキャスター。
そして、手を止めると吐き捨てる様に言葉を続けた。]
ハッ…そりゃ自分の妻も追放できるわなぁ?
なぁ、ラーマさんよ?
図書館なら先程行ったではござらんか。
それがしはここでしばらく美貴殿と愛を育むことに致す。
如何にマスターと言えどそれがしと美貴殿の仲は引き裂けませんぞ!
[宗冬は野良犬に対するかのようにしっしっと手を振った。]
[ランサーの言葉、人類の滅び。
そして、キャスターの態度。
彼に該当する存在。
マスターから先ほど聞いた話。
全てのピースが、組み合わさるような、そんな感覚……。
暫く黙って二人のやり取りを見守ろう、そう決めた。]
貴方の心は貴方のものではなくて
貴方の体は貴方のものではなくて
[神の御心のままに、我が命をフランスの平和のために、容易くささげたシャルロットには……
何故か、心の奥底で、それを、理解出来る気がしていた。]
それが、貴方が見つけた"正義"ということですわね。
何いぃ?何だその仕草は?
何を色気づいてやがる!
お前、愛を育むってそいつは……
[キャスターのマスターだぞ、と言いかけてやめる。]
まあ、停戦て話もあったばかりだし、いいか。
とりあえず、いいから来いよ。
[ケネスは宗冬を無理矢理引っ張るが、梃子でも動きそうに無い様子だ。]
ああ、時間の無駄だ!もういい!
[図書館まで人通りも多いし、大丈夫だろうとケネスはたかをくくる。]
じゃあ、後でちゃんと来るんだぞ、いいな?
[伝票分の代金を宗冬に渡すと、*ケネスは外に出ていった。*]
追放?
ああ――
叙事詩に書かれた話はそうなっているのだったな。
[キャスターを見る。周囲の景色を全て反射する双眸。]
私の妻は、神から与えられたものだった。
妻は、私自身がおかしたある過ちによって投げつけられた呪詛により、私の目の前では決して笑わぬ人形と化した。
そして、もう一度の過ちで、
彼女は神々の元に戻された。殺されてね。
私が、敵の手より助け出した彼女を、
疑いさえしなければ、そんな事にはならなかったろう。
神の意思を疑わなければ。
[久子がキャスターのマスターと接触していた事から、自分の事は知られていると思っていたランサーは驚く事なく、キャスターへ淡々と対応した。]
義務……
(それが崇高なる使命であるのなら……)
[目の前の男は迷いなどない……
私がフランスの平和を取り戻すと決意した時にも迷いはなかった。
だけど…… 様々な葛藤で心は揺れ曇る]
神の意思ねぇ…。
[詰まらなさそうに呟く。
正直、そんな物に対して意味を見出せない。]
それで?ご大層な言葉を並べてるけどよ。
結局はお前が自分の女を疑って死なせたんだろ?
…気に入らないねー、自分の女を信じる事に"神の意思"なんて大層な御題目掲げる奴は。
伝承では、お前に疑われた事を嘆いて目の前で大地に飲み込まれたんだっけな?
そうだ。
私が疑い、それによって彼女は死んだ。
[ランサーは肯定した。]
…一瞬だったよ。
私が疑った、その一瞬に。
彼女は驚きすらしない。嘆きすらしない。
ただ、地が割れて閉じた。
体を濡らした鮮血の迸りの感触を、今も忘れる事はない。
[目の前で語るランサー。チャンドラと名乗った男。
淡々とした語り口で妻の死を語る様子。
ふと、己のマスターを思い出した。
ランサーの表情に感情が見えないだろうか。そう考えながら*表情を見つめた*]
私が望んだのは「正義と平和」
この世界を平和へと導く正義を遂行すること。
ガイアの滅びは確かに、平和とは対極にあるわ。
でも、人類の滅びもまた、平和とは対極に。
そして、人類を滅ぼすことと
ガイアが滅びるという可能性
未だ、その天秤を量りかねているのですわ。
…ガイアの滅びは既に決定している。
今、ここで変える事が出来ないなら。
ぼくは、常々思い知らされてきた。
維持という力は、破壊と創造の両方の力と
同義であるという事を。
…きみは、どのような範囲の平和を求めているんだい?
どのような範囲の平和……?
ガイアも人類も滅亡しない
"理想郷"
[そんなもの、実現するはずがない、そう、頭では理解していた。
けれど、チャンドラに対して、そんな思念を*飛ばしていた*]
−教会−
[空穂との会話を追え、教会に戻ってくる。
夜通しの作業だった為、少し横になり休憩と取る]
・・・・・
[そして、例に違わず彼は生前の記憶という名の悪夢にうなされた]
その悪夢は、アサシンとランサーにも届いていた。
ひび割れた大地。自然どころか視界内に草すら見当たらない。
人間が建設した建造物は全て廃墟となり、空は赤く染まっていた。
大気はその大地の割れ目から噴出した第五架空元素”ジン”に満たされ、その毒は一部を除いた対応できない人類の全てを滅ぼした。
残ったのは、第五架空元素に順応出来た人の変種と亜麗百種達。
残った種族は、その死の大地でなお戦争を続けていた。
死の大地の覇権を争う愚かな命達。
それこそが、ガイアが死すら受け入れた結果。
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