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(……何処に行っていたんだ。まさか。)
[サーヴァントの反応が唐突に現れた。
ランサーは、久子が去っていった方向とは反対方向に駆け出した。]
[隠し子マスターに別れを告げる。ヒモマスターからよろしく頼まれた。]
え、っと、……任せなさい。
[とりあえず、虚勢を張ってみた。
そこに現れるサムライ。
ますます意味がわからない。
が、一つだけ根源的な部分で反応した。]
……素敵な殿方。
図書館で本を読んでいたところ、気付いたら一人でしてな。
急いで真殿を探しに出たわけです。その道のりたるや正に宝暦治水。
ガソリンスタンドで灯油を買ったりビデオを返したり、後は刀に従って走り見つけたるは露葉殿と親しげに話す真殿。
いやいや、これは邪魔したらいかんと今の今まで後ろに潜んでおったわけです。
なのでとりあえずプリンとケーキを食べさせて下され。
[宗冬はまだ席を離れる気はないようだ。]
[マスターには、およそ年頃の女性らしい感情の起伏が少ない…それは常々感じていた事だ。
しかし、昨日ライダーのマスターに駆け寄ったソフィーに起きた出来事、そして両親の墓を見つけたという言葉。
普通であれば、泣いたり感傷的になったり、心は相当に揺れ動くのではないか。
シャルロットは、キャスターがバーサーカーとの同盟の話に乗り気でなかった事を聞いても、墓に同行して欲しいといわれた時も、ただ、黙ってソフィーを見つめるだけだった。]
(……感情を表に出さないでいるのか、それとも。)
【何よこの人?何で目隠ししてるの?何で突然こちらの席に掛けるの?――っていうかこの服装とか小物とか何??挙句の果てにガソリン談義???】
[サムライの全てが美貴を魅了する。
サムライとみすぼらしい男との親しげな会話を目の当たりにして、一つの結論を導きだした。
目の前の男マスターを可哀想な目で見る。]
……そう、……そういう関係なのね。
[宗冬の姿をうっとりと見つめる美貴を見て、今の自分に危機感を覚える。
もしかしてこいつら同類か?だとしたら何てとこに居合わせちまったんだと、やや後悔する。
そして宗冬に立つ気は無いようだった。]
素敵ってこいつが?
[思わず美貴に問う。常人から見たらどう見たって、侍姿の変態なはずだ。]
―― サーヴァントか。
[店の向かい側にある建物の上から様子を伺う。]
問題は……何故、目隠しをしているのかだが。
あの状態で、プリンとケーキを…(しかも、マンゴーの)…食べるというのか。
[残るは、アサシン、バーサーカーのみ出会っていないので、必然的に気配を断てないサーヴァント=バーサーカーとなる。
しかし。何だか和気藹々として見えるのは気のせいだろうか。想像していたバーサーカーと、全く違う。]
……そういう関係ってどう言う関係だよ。
こっちは、何なら「お二人でごゆっくり」って立ち去っても良いくらいだぜ。
[今のところ宗冬に立つ気配はなく、渋々席に座った。]
−教会→川原−
[ランサーを見送った後、少しの時を置いて教会を去る。そして足は川原へと向かった]
……マリア? どうかしましたか?
[シャルロットの様子に視線を向け]
キャスターがいるようですね。
[すぐに川原の方へと向き直った。川の姿はずいぶんと違って見えたが、目にはキャスターのみを映している]
[宗冬は、おもむろに手でケーキを掴み、向かいの店の屋上に投げつけた。]
曲者なり!
[今、宗冬は鋭い視線を感じた。視覚を閉じれば、その分他の感覚が鋭くなるという。心眼を持つ宗冬なら尚更である。目隠しをした宗冬だからこそ感じることが出来たのだろう。]
気のせいであろうか……。
アドは、あの男と相性が悪い……?
[「柳生宗冬」と早速名前を名乗っている。
……。
確かに、判断に困る。
それにどうやら。
あそこに居る面々は、マスター達のようだ。
悪い予感は当たったように思える。否、久子がこういう行動をとる可能性など、手に取るように分かっていたではないか。
…。今なら、一挙にマスターに致命傷を与えられる。
ランサーの双眸は、獲物を狙う鷹の目のような輝きを帯びた。]
[そして姿を現したランサー。昨夜見た戦闘ぶりから、自分がサーヴァントと知れてタイマンになるのは、どう考えても不利。マスターを連れて逃げ遂せるだけが関の山と考え気配遮断は解除しなかった。
ソフィーとランサーの会話を、ソフィーの感情の動き
[サムライの褒め言葉に浮かれて、ヒモの言葉は届かない。]
う、美しいだなんて……そんな、……見かけ通り、正直な方なのね……。
[そして姿を現したランサー。昨夜見た戦闘ぶりから、自分がサーヴァントと知れてタイマンになるのは、どう考えても不利。マスターを連れて逃げ遂せるだけが関の山と考え気配遮断は解除しなかった。
ソフィーとランサーの会話も、ソフィーの感情の動きに気をとられて上の空で聞いていた。ランサーが攻撃を仕掛けてくれば速やかに撤退しよう、そんな事だけを考えて居るとランサーは何事か言いながら立ち去った様子だった。]
お前、せっかく来たマンゴーチーズケーキを……
誰が金出すと思ってんだ。
何?なんかいるの?
[外を見てみるが特に変わったものは無いようだ。]
それにケーキじゃ、当たってもダメージ無いだろ。無駄な物、投げるなよ。
[ケネスは溜息をつき、もうひとつケーキを頼んだ。]
[マスターが移動するというのでその後をついてきた。今日、シャルロットはソフィーから投げかけられる言葉に対しても、満足に口をきいてすら居なかった。]
(聖杯に願う事もない、感情を出さない、私からはマスターの考えていることが、どうしても、掴めない……。)
[ふと見るとキャスターの姿が視界に入った。
バーサーカーとの停戦協定の件について、どうしても気になっていたシャルロットは、それまで閉ざしていた口を開いた。]
マスター、少しヴァイナさんと話がしたいです。少し、単独行動してもよろしいでしょうか。
危険になったら即令呪で呼んで下さい。
[そう言うなり、返事も待たずに走り出した。]
いや、今、確かにサーヴァントらしき存在とその視線が……。
サーヴァントの気配はまだ消えておりませぬな。
ならばこれを!
[宗冬は、振りかぶってフォークを投げつけた。屋上にフォークが突き刺さる。]
コントロールに失敗したようですな。
ま、たとえもし攻めて来ましても、美貴さんはこの宗冬命に替えてお守り申しましょうぞ。
[宗冬はプリンを掬い上げながら宣言する。]
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