…おれの心のようでもある。
近くにあって、ちらとでも話しかけて貰えるのが楽しかった。
たとえ沢山の、からかい甲斐のある者達の一人と見なされているにせよだ。
欠けている月だとして…共に見ながら酒でも酌み交わせたなら、おれにとってさぞ良い一時だったろう。
地下へと行かれてしまっては、声も聞けん…
[使用人に頼んだ白い葡萄酒をぐいと呷って、もう一度目を閉じ思い浮かべようとしても、自然と瞼の裏に映るものが故郷の景色を押し退ける。
それでも瞼は閉じ続けて、酒の効果か襲う睡魔に、身を包むものの温かさゆえか案外幸せな*夢を見る*]