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セシリア、貴様ァ!!
[バランスを崩した彼女の襟首を掴み、引っ張る。彼女の躰を振り落とすと、瞬時に姿勢を整えた。
左腕の袖から滑り落とした聖銀の鎖を右手が掴む。]
[火傷を負った掌が熱を帯び、針を刺したような痛みに引き攣る。
だが、生命の危機に血が滾り、痛みを省みることなく反射的に躰が動いた。
銀の閃きがセシリアの躰に打ち下ろされた。]
[檻の前に着くと、目の前にはショッキングな場面が視界に入る。どうやら檻の人狼による負傷者が、また一人増えたようだ。カミーラは、手持ちの愛用のナイフを持って武装をして、檻の怪物に襲われている者を助けるために檻の中へ入ろうとするが…
…檻の扉には、鍵が*かかっている。*]
[セシリアの身長は、漸くクインジーの胸の下あたりまでしかない。
その彼女が、己の躰を引き倒したことに信じられない思いだった。
このように恐ろしい現実となって目の前に突きつけられてもなお。
――殺されるわけにはいかない。
ただ、その本能に突き動かされるように、到底追い切れぬセシリアの動きに直感的に反応した。]
[叩き付けられた背は猫のようにしなやかにうねる。
男の顔を見上げる。激しい勢いで滴り落ちて来る彼の血を舌先で受けた時、細い金属が滑る音が聞こえた。
それは銀色の──、]
──…ぁ、はァッ。
[鎖で打たれる痺れる様な痛みに喉元を反らす。]
[肩口から胸にかけて、焼ける様な激しい痛みに瞬時に熱を持つ。
彼女は淡い笑みを口元に浮かべ──、
そのまま、くちびるの内側へ。
──…爪の切っ先に突き刺さった新鮮な眼球を口に含んだ。]
[ナイフで武装をしたものの、檻の扉には鍵がかかっている。
カミーラは、セシリアとクインジーの様子を*見守ることにした。*]
[聖銀の痛みに身を捩るセシリアにのしかかると、両腕を掴み聖銀の鎖を巻き付けて縛め、引き上げた。]
セシリア!
貴様――
[セシリアの両手首を掴む左手は、万力のようにギリギリと締め上げられる。
彼女の躰は檻の格子に押しつけられながら高々と掲げられた。
クインジーの眼前に彼女の顔があった。]
[穿たれた眼窩から、血が迸り落ちる。
荒く息を吐きながら、クインジーは己の眼球を嚥下するセシリアを睨みつけた。
信じがたい思いで。]
やはり人狼だったか――
[耐えがたい劇痛か憎悪か、その両方によってか、クインジーの歪んだ凶相は悪鬼のようだった。]
[呼吸音が頭蓋に反響し、グラグラと視界は揺れる。
己の魂を翻弄する凶猛な嵐のような痛みと共に押し寄せる快楽。
その圧倒的な熱量に、正気を奪い去られそうだった。]
[男にのしかかられた重みで背が撓る。
反らした喉元の内側をすべる様に、彼の眼球は彼女の体内に飲みこまれる。
──鎖で纏められた両手首が真紅に染まり、焼ける様に引き攣れる。
格子に突き当たり逃れる事が出来ない。
彼女は黄金色の目を見開き、目の前の男の凶相を凝視した。]
あァ!? セシリア!
てめェ、人を喰うのか。どんな風にだ!
喰ってみろよ!!
[挑発的な言葉で罵り、両手首を掴む左手を揺さぶる。
揺さぶるたびに、少女のたおやかな躰は金属の檻に叩きつけられた。
少し開いた唇からは、尖った犬歯が仄見え――]
[彼女のくちびるの内側は男の鮮血で赤い。
聖性を帯びた檻に叩き付けられる度に、背中に格子状の傷が出来る。]
──…ッァアッ。
[重なるよりもはやく、
彼女のくちびるからは熱い吐息が零れた。]
[延髄から][尾てい骨を辿り]
[つま先まで届く] [躯の痺れ。]
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