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吟遊詩人 コーネリアスは、書生 ハーヴェイ を投票先に選びました。
由良様の、勇気。
そう、あのときのお二方は、
触れれば斬れてしまいそう、でした……。
命を……賭して。
[眼を伏せる。
江原の苦笑が空気を震わせた。]
日本を護る……
それが、江原様の願い、なのですね。
──使用人部屋──
[背筋を伸ばし正座で着物姿の夜桜。
指先を揃えて頭を下げるその動作に、目を見開き仁科も正座して向かい合う。]
[さつき] [屍鬼] [屍鬼では無い]
[その言葉が仁科の中で木霊する。
無意識に隠し持った金属を握った感触を思い出す。]
この日本――
[青年の言葉に、この国の姿を思う。
私の知るこの国は幾度もその姿を変えた。
巨大な国家幻想が、遠く亜細亜の果てを目指したその怒濤の潮流の先に――私のいたあの施設もあった。]
江原さん。
だがその勲章は――米国のものじゃないか?
貴方には複雑な過去があるようだね。
私には……わからないな。
貴方のこの国への執着が――。
逃亡者 カミーラは、書生 ハーヴェイ を投票先に選びました。
[枚坂に名を呼ばれ、苦く眉を寄せた。]
……分かっています。
……斬ったこと等無い。
……分かっています。
けれども私は、
人が殺した人を見るのです。
それは人の魂を暴くも同じ。
それこそ、斬るよりも罪深い―――
江原様ッ!?
―三階、由良の客間、ドアを押し開けて―
……ほう、「私を殺す」と仰いましたか……それは穏やかではございませんな?
私は一介の楽師でございますれば、そのような荒事などとてもとても……
どうでしょう、矛を収めてはいただけませんかねえ?
[そう恐縮した調子で語る、美貌の青年。
だが、その目には隈がくっきりとついており、
まともな睡眠を得られなかったことを物語る]
[悲愴感に満ちた眼差しを受け、昂然と顔を上げる]
俺は、侍ではない。
だが、覚悟を決めるということは、何も獣に堕ちることばかりを意味するわけではないだろう。
俺は望月龍一のまま、この罪の意識も犠牲の重さも何もかも抱いたままでいたい。
……人のままで。
獣に殺されては、往生などできるものか!
―天賀谷の部屋の前―
[来海は枚坂が智恵を探しに行くのを呆気にとられながら見送った]
何なんだ、アイツは……
[そして来海は静かに深く呼吸をした。
彼は、天賀谷に会うためにゆっくりと扉を開いた……]
-> 天賀谷の部屋
―書斎―
軍刀の拵えがあれば、慣れているんだが……。
まあ、中身は完全に同じ物だ。
如何とでもなる。
[佩用の手段もないそれを、仕方なく左手に持ち、書斎を出ようとして、例の血文字に気づいた。
消された名前が、一つ増えている。]
由、良……?
[眼を細めると、踵を返した。]
[ふらついたように見える江原を
支えようと踏み出した先、]
……聞いておられたのですか。
コルネール様。
[彫像のように美しい青年が立っている。
疲労感は隠しえなかったけれど。]
[耳を劈く様な金属質の哄笑。]
…な、何を。
あたしが屍鬼だと…──。
さつき様では無く、あたしが屍鬼だと?
あたしは…──。
あたしは。
[仁科の声は弱々しい。]
―回想―
>>#0-3
[高慢な老人を挑発して悠々と部屋に戻る、高慢な青年。
その顔には皮肉気な笑みが浮かんでいた]
…全く、あのような俗物は全くもって好かん。
まあ、彼が何かするというのであれば……な。
[そう呟いて引き出しを開けると。そこには真新しいピアノ線が]
……弦の張替えなど調律師を呼んでやればいいものを、あの音楽を解さぬご老人め……だが、これも幸運というものか。
全く、私のような天才はつくづく神に愛されているのだな!!!
[そう高笑いするや否や、
ぞくり、と
嫌悪]
江原さん……
[彼に屈み込み、助け起こす。]
しばらく休んだ方がいい。
まだ刻は少しあるだろう。
[見る限り、彼が外傷を負った出来事はなかったように思えた。
不思議なことに、赤黒い染みが広がっている。]
治療した方がいいかい?
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