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先日、セイバーにお会いしました。
でも彼は……、前回の聖杯戦争でアサシンとして召還された方でした。同じサーヴァントが違う聖杯戦争で呼び出される、そのことはわかるのですが、その、どうも……。
[一旦言葉を切る。なんと聞こうか、迷っているようだった]
ふむ。
つまり、偶然ではないと、言いたいのかな?
[紅茶をすする]
僕も現状につては全てを理解しているわけではない。ただ。
聖杯が介入して召喚されるのがサーヴァントならば、前回の戦争で不遇の死を遂げたサーヴァントが聖杯の魔力に残留している可能性は否定出来ない。
その残留魔力が今回の戦争にも引き続き召喚の手助けをした、というのはあながち大間違いではないと思うけどどうかな?
それとも。何か引っかかる事でも?
不遇の死、なのでしょうか。
前回の聖杯戦争、そのことを祖父が調べていたのですが、今回呼び出されていたセイバーは、前回「神殺しの槍」で倒されたと記されていました。
その事が関係ないとしても、引っ掛かりを覚えるのは確かです。
それと。
貴方は、セイバーと何らかの繋がりがあるのでしょうか?
セイバーは「沖田総司」と名乗りました。
これは、ただの疑問ですので、あまり深くは考えないでいただけるとうれしいのですが。
[その事こそが本題であった様な気がしたが、追求することを本能が恐れたのか、それだけにとどめる]
[乱れ撃つ。致命的な距離からの弾丸。]
オコガマシイ
ホウグハドウシタ
[せせら笑うように告げる。ランサーの心臓付近の服が弾け飛んだが、青い肉体は貫通されなかった。貫通していれば、心臓を抉り出されていた筈だった。
"ある方法"によって供給された魔力を全て防御に回している。(本来であるなら、多量の魔力を回す事などせずとも、傷一つ付けられない筈が、ここで知名度が問題となってきている)同時、久子からの魔力もゆるやかに奪うが――反対に、パーシャと呼ばれるロープは消えうせた。]
コレガセイイッパイカ
[二度は使えないだろう。半回転し、背中側から、臓物を零れさせるべく、斜めに切り裂いた。久子から怪しまれない為には、ここで制止するしかない。
それに、宝具を使うにも魔力が足りない。]
[急速に、貫通はされなかった銃弾による打撲の痛みと、胸元の痛みが戻ってきた。]
・・・・・・
神殺しの槍はサーヴァントを殺害できないのかな?
あと、沖田という苗字だけでセイバーとの関係を問われるとは思わなかったな。
では、逆に聞こう。
もし関係があったら、君は僕をどうするんだね?
…っち。
[銃を撃つ、その反動を、体が制御できない。
急所を、狙い撃つことが、どうして、できないんだ。
さっきまで、あんなに、簡単に、できていたのに。
そうする間にも、どんどんと、血は、流れ出していくのに。]
…もう、
くそっ!
くそぉ!
[意識が遠のく。
自分の存在を、この体が、支え切れなくなりつつある。
右手に持った、銃が霞む。
一瞬、だらり、と腕が垂れ下がる。]
…。
クソ、は、こっちの台詞だよ。
[剣呑な空気がゆっくりと遠のき、平凡な空気。
悪態をつく。]
ここまでやったんだから、勝てよな…!
いてぇし!
[右手の銃が、そのまま立ち消える。
走る。
急がないと、間に合わない。
ランサーの横をすり抜け、自らの左腕を掴む。]
殺害できない、ということはないでしょう。現に前回の聖杯戦争は終結を迎えたはずですから。
何故「沖田総司」を倒すのに「神殺しの槍」と表記する必要があったのか、そこに疑問点があっただけですから。
彼は、英霊としては新しく、神としても認知されているわけではありませんので。
関係があったとすれば、そうですね。
素直に申しますと、貴方がマスターなのでは?と思ったからです。
中立のはずの貴方がマスターであれば、この教会も安全な場所ではなくなってしまう。
今回の聖杯戦争に参加するものとして、魔術師としてこの教会は中立でなくてはならない、と思っていますから。
ですが。
貴方がマスターであるとしても、それを無理に聞き出そうとは思いません。聞けるのならそれは私に優位に働くかもしれませんが、ここは「教会」ですので。
[振り返り、ランサーらしきサーヴァントの方を見る。]
…?
[少し、動きが鈍っている。
ならば、今を置いてない。]
…逃げる!
[脱兎。
本気で追われれば、逃げ切るのは難しいだろう。
だが、ある意味、「彼」に対する信頼があった。
「彼」は、ただで負けやしない。]
・・・・・・ 成る程。
ならば、答えは近い将来に教会の外で出そう。
君は信じてくれないかもしれないが、この教会の中にいる限り安全は保障しよう。
・・・・・・ マスター、はね。
これで納得してもらえたかな。
[ランサーに無数の銃弾が命中するの、心臓付近に当たったものもあったように見えた。]
ランサーっ!!いやああ!!
[思わず駆け寄る。
ランサーは倒れず、動き続けさらに攻撃を加える。
流石にアーチャーの姿はどう見ても戦闘不能に見えた。]
ランサー大丈夫!?すぐ手当てしないと!!
[恐らくもう脅威ではないアーチャーには目もくれず、ランサーに肩をかし背負うようにしてテントの方に向かう。]
[弱い。
自分。
あまりにも。
唇を噛む。]
だけどな。
自分にだって。
できることが、全くないわけじゃない…!
[右手に、針と糸を生成する。
左腕の、切断面を見る。
決して、綺麗なものではない。]
こりゃ、厳しいな…!
[こうなれば、「彼」が宝具を出せず、止めを刺せなかったことも、幸運ですらあった。
まだ、マスターの魔力は、残っているはずだ。]
その言葉が、真実であることを願っています。
[出された紅茶を飲み干す]
お茶、ありがとうございました。
サーヴァントを伴って、教会の中にまでくることはない、と思いますから、大丈夫です。
それでは、失礼します。
[立ち上がり、一礼して礼拝堂から出て行く]
[…治療を、開始する。
川べりの、橋の下へ飛び込む。
まだ近すぎるかとも思ったが、遅くなれば、繋がるまい。
この、左腕は。
それに。
他の傷だって、生易しいものじゃない。]
お前には。
万全の状態で、戦ってもらわないと困る…!
[左腕の、縫合を開始。
同時に、脇腹と背中からはみ出た臓器を強引に押し込み、
治癒力向上の術式を施す。
魔力を、急激に消耗する。
*間に合え…!*]
・・・・・・
さて。
[思わぬ客人だったが、彼にとってはさして問題も無かった。
これから滅び行く人類を無意味に殺害する気は毛頭無い。
それが無関心なのか、それとも感傷なのかは分からなかった。
だが、はっきりしている事はただ一つ。
この戦争における贄でしかない、サーヴァントを断つ事だけが全て。
そして、その駒の一つを迎え入れるために、彼もまた教会から出て行った]
− 樹那森林公園 発掘調査現場 −
[ランサーはテントにあった医療用具で止血等の応急処置をしてなるべく魔力の消費を抑えるようにとテントの中で休ませている。
自分はその場に留まり辺りの警戒を続ける。敵がきたら今度こそ自分が霊呪を使わなくてはならない。]
−公園・ランサー達のテント前−
こんな所に陣取っていたのか。賢いな。
[令呪とランサーの魔力を追いかけてたどり着いたのは、まさに人の目につかない場所だった]
ランサーのマスター、いるかな。
聖杯の管理をしている、沖田敬一郎だ。
君と話がしたいんだがどうかな。決して悪いようにはしないと誓おう。
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