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―翌日
――――――――
鈍色の雲が折り重なり、重々しく空を圧してゆく。
予はすん、と鼻を鳴らす。
雨の気配がした。
静閑な水底を思わせる蒼褪めた衣服を身に纏った女が、檻の中で人狼の娘と対峙している。頭から被っていた白い布が、彼女の置かれている立場を物語っているように思えた。
曇天の中だからか、檻の前の人の数はいつもよりは少ない。
そこで、どのような会話が為されていたかはわからぬが、女の言葉に、静謐な中にも決意らしき感情が籠められているように察せられた。
――――――
疎らな人影の中に、一際背の高い男がいつしか佇んでいた。
予のよく知るはずのその男が何を考えているのか、その時ばかりは量りかねた。感情の見えぬ表情だった。
“母娘”の対峙が区切りを迎えようとした頃、
男は檻の方へとゆっくりと近づいていった。
――――
――なかなかに感動的な場面だったじゃないか。
[底意地の悪さを感じさせる微笑
ジェーンに底光りのする眼差しを投げる。]
逃亡者 カミーラは、見習いメイド ネリー を投票先に選びました。
[ジェーンの掌が頬に触れる。
肉体的な傷とはまったく言えない。けれども心が軋む様に痛む。
…別れの──それは別れただった。]
…さようなら。
本当にさようなら、お母さん。
[重たげだった曇天は灰から黒へと変化し、雨が、激しい雨が──。
温かな水滴を押し流す滝の様に、唐突に打ち付けられる。檻の天井にも。
セシリアは、去り行くジェーンの背中を無言で*見送った*。]
―村長の屋敷―
[ザバァ………ザバァ………
白い布が、木製の桶の中で水浴びをしている。]
はァ………
旦那さまァが亡くなったり、ノーマンさまァが狼っ子に腕食いちぎられて大ケガされたりでよォ……こン村ァ、どうなっちまうんだろうなァ………
[屋敷の裏に貯めておいた雨水を桶の中に注ぎ込んだ。]
奥さまァも、お嬢さまァも、心労でひでェことになってっしよォ……村ン人間は、狼っ子いじめンのに夢中だしよォ……
あン狼っ子がとっつかまってからというモノ……村はめちゃめちゃだァ……
[ネリーは冷たい水の中に手を入れ、ざばざばと白い布を洗っている。]
[ウェンディは村はずれの自宅周辺で考え込んでいた。]
人狼っていうものが本当にいて、それがセシリアお姉ちゃんで。みんなはお姉ちゃんの事をどう思ってるのかな。ネリーお姉ちゃんはずんもんって言ってたけど。
神父様とか、どう思ってるのだろう。お姉ちゃんを助ける気がある人っているのかな。
[また時間があれば、神父様なり先程の黒い姿をした女性やネリーに聞いてみようと思った。]
[俄かに雨が激しく降り出してきた――。
痛みを感じる程に、激しく。]
何を……。
[頭上で、ごろごろという音が鳴り始める。
村人は、雨から逃げ出すように去ってゆく。
暗い中――クインジーの顔の陰影が、濃く。]
逃亡者 カミーラは、医師 ヴィンセント を能力(襲う)の対象に選びました。
文学少女 セシリアは、医師 ヴィンセント を能力(襲う)の対象に選びました。
医師 ヴィンセントは、双子 ウェンディ を投票先に選びました。
文学少女 セシリアは、牧師 ルーサー を能力(襲う)の対象に選びました。
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