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待て。
ちょっと――待て。
本当か……本当なのなら
[生きた人間――だが。右手を胸に当てる。まだ大丈夫だ。喩え見つけても、不死的な再生能力のないグレンでは、肉体が完全に死んだ状態でゾンビの血清を打てば、その途端にTHE ENDだ――。
この塔に放り込まれてどれくらいの時間が経ったかは分からないが――…さっさと探しに出かけなければ、皆自滅、潰し合いになるだろう。最初、グレンがそれを狙っていたように。]
まだ、生きていれば――
俺には再生能力も何もないのがウィークだが致死になる前に、――後者は心当たりはある。使えるかは判断出来ないが。――恐らく。
【メイ・ランツァとは別の腐食の血の持ち主】……見つける事は厄介だな――心当たりがない。
[種子の発芽音が小さく囁き続けるのを聞いていた。――だが、答えは*決まっている。*]
見つけて来よう。
[だが、アーノルドがそれをグレンに頼む事は無かった。]
……………。
[オフィスで情報をモニタしているエレノアの事を考える。
アーノルドの行動原理を彼女が把握しているとは言え、やはりシャーロットがこのような目にあっている事に、エレノアには負の感情──何か嫉妬のような、呪いのような──があるようにも思えた。]
[悪鬼の戦闘能力の真髄はスピードにこそある。
OUGEの姿になり、ブラックサイクロンを(恐らく)使えないナサニエルに対峙するなら、拳の届かぬ距離への離脱を行うべきだった。
離脱と隣接を繰り返し、攻勢に転じる。さもないと腕力に勝れたナサニエル相手では分が悪い]
「はは、なかなかのブツをぶらさげてんなあ」
[揶揄する口調ほどの余裕は実はない。なのに、体は馬鹿の一つ覚えのように近接攻撃ばかり繰り出し続けている]
「デカくて、硬くて、熱くて、なかなか強い。成長したもんだ」
[言いながら“消える”。
常人の目には止まらぬ程のスピードで左右に移動しながら嵐のような連撃。
仕上げは喉、腹、眼球を目がけた三段突き。
が、これが常人ならぬナサニエルにどれほどの効果を持つものか?]
「―ぐ―惜しかったな」
[お返しに、強かなボディブロー。
とっさに避けてダメージを軽減したはずなのに内臓が焼けるように痛い]
「教えてやろうバカ息子」
[深く踏み込み、膝、腰のひねりをきかせながら]
「男は腰づかいが肝心なんだよ!」
[言いながら、重い重いフックを*放つ*]
─ 2F ─
[軽い足取りで彷徨い歩く]
どこだろう。
どこかな。
あの女性<ヒト>。僕に触れた。
探さなきゃいけないよ。
探さなきゃいけないね。
お外に出るためには殺さなきゃ。
僕のお外はなんにもないのに?
パパは居ない。
あの人は居ない。
「私」はお外に出たいから殺す。
「私」のお外にはなんにもないのに。
──お墓。"島"?
[ふらふら・ふわふわ][きゅ、と強く唇を噛む]
でも、あの女性<ヒト>だけは殺さなきゃ。
パパに怒られる前に殺さなきゃいけない。
人も悪魔も神様も同じって言ってた。
悪いことをしたら罰がひつよう。
悪魔も神様も悪い事をしちゃいけない。
触られたのは悪いこと。
だから殺す。
殺すのは悪いこと。
だけど殺す。
……ぐるぐる。
いけないな。わかんない。
「私」じゃダメなのかな。
「私」じゃなきゃだめなのかな。
血、不味い。
――2F→3F――
[まだ静かではある――。2Fの好く区分けされた場所を過ぎ――階段がある場所へ向かうと、3Fへと向かった。――聴覚/noise――視界xnoise→映りの悪いTVのような混濁。女と男が睦み合う――チョコレート色の肌、眼球の上を覆う皮のベルト・アームザックの拘束/樹木が横に伸びる――絵の具を伸ばすように。]
――3F・黒髪の女が絶命している場所――
はぁ……
[黒髪の女の傍らに手をついて、息を吐き出す――混沌が胸中を支配していく心地がする。一度頭を振り、女を眺める→内臓が誰かに喰い千切られている=ピクピクと再生したそうに動く肉塊。]
喫煙者だからって使えないって言うなよ――。
[グレンは死体を担ぎ上げる。]
――3F→階段――
[頬骨を抉る不快な音。続けて飛来する3連のチャクラムは、死体を盾にして防いだ。――先程までは致死ダメージを受けようが構わなかったが、今は違う。階段へと駆け出す―――→]
――階段→2F――
[普通の通路――今や迷路のようにぐにゃりと歪んで見える。アーノルドの部屋に無事戻ると、死体を床に投げ出した。ぐちゃっという音がする。]
――未だ死んで間もない――再生能力が死んでからも暫く体に残る奴で良かったよ。ゴホッ、使えるといいが――。
[危なっかしく頭が揺れる。]
メイ・ランツァと別の腐食の血の持ち主……血がどれくらい必要なんだ。それとも、ここまで身体ごとか?
[アーノルドから補足的な事をまた聞き、頷く。]
分かった。
探して来る――。
[何らかの機器を触り始めたアーノルドを後にして、部屋から出た。階下、或いは階上の様子が金網越しに見る事が出来る支柱周辺へと向かう。]
[どれくらい寝ていたのだろうか。
ようやくベッドから体を起こした...は、階下より異質な雰囲気が流れているのを感じ、自室を出た。
相も変わらず、人気は無い。
だが、階下から時折流れてくる気配は――]
なんだ。楽しそうな事をしているじゃないか。
[肌はチリチリと焼け焦げ、中にある肉がミディアムになっていく極上の殺気。
思わずアンプルの痛みに耐えたために乾いていた唇をペロリと舐め、足早に1階へと移動する]
2F→1F
[階段を半分以上抜き飛ばし、飛び降りた彼女の肌に自室にいた時よりも激しい殺気がちりちりと流れてくる。そのせいか、背筋の産毛が心地良く逆立った]
ククククク……。
お祭りするなら自分も混ぜてもらわないと。
[スカートの中からパーツを取り出すと、一息に組み立てた。
直径1メートル、持ち手の柄は長さは2メートルを超える巨大なハンマー。それを片手で軽々と持つと、殺気の源泉に向けて人を超える速度で疾走した。
だが、その途中で...は足を止めた。
視線の先で拳を交えているのはナサニエルとミッキー。別にその中に飛び込むのは問題ない。二人ともハンマーで潰せばいいだけだ。
しかし、足を止めたのはそこではなかった。
彼等が闘う場所から少し離れた場所にある男の死体。そこに一人の少女が立っていた。
いや違う。
立っているのではない。
彼女の体を介しておくの風景が実像に重なる]
……貴様は誰だ?
「…………」
[反応は無い。だがもう一度問いかける]
貴様は、誰だ?
「……て」
?
「私を……壊して……」
[それだけを告げると、少女は姿を消した]
壊して?
何を言っている?
……いや、あの男はドクターと呼ばれていた男だ。確か娘云々という話も聞こえていたな。すると今のは娘か? だが降りた面子の中にあの顔はいなかった。
と、すると……。
[必死に記憶野を掘り起こし、記憶の隅に落ちていたものを思い出す]
アタッシュケースか。
[...は、ナサニエルとミッキーの殺し合いに多少後ろ髪惹かれつつも、少女の申し出の方が面白いと結論つけて、その場を後にした]
修道女 ステラが「時間を進める」を選択しました
[壁沿いにぐるりと歩く]
変。へんなの。
壁の向こうにヒトがいる?
なにかある。なにがある。
[手首を噛み切り、手を壁に当て]
[刺激臭と共に、壁は薄く溶ける]
んや。意外にじょーぶ?
仕方がないなあ。
こんこん。こんこん。
[ノックの音は唇から]
[おどけた様に壁を叩く]
こんこん。こんこん。
誰が、いるの?
もしもーし?入ってますかー?
……へんじがない。ただの、、、って何だっけこれ。
もーうー!
居留守はしちゃいけないことなんだよっ!!
[返ってこない反応に苛ついたのか、低く構えて]
[跳躍][跳躍][壁に後ろ回し蹴り]
[当然その矮躯では壁はびくともしない]
う〜〜〜〜〜〜。
[反動を使って、再度、跳躍][後方へ]
[その先には──?]
[空を飛ぶ少女=壁に跳ね返されたメイ・ランツァが丁度目の前――支柱から階段までを同時に見る事が出来る通路に現れた。
――というよりはグレンにぶつかったのだが。]
ありがと──、
────あ、おにんぎょうのおじさん。
[激突の衝撃はほとんど無く]
[礼を言い見上げる男を認識すると薄く笑った]
まだ生きているんだね。
まだ死んでないんだね。
まだ生きようともがいているの?
おじさんが僕のおにんぎょうになるまで、あとどれくらいだろうね?
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