情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 エピローグ 終了 / 最新
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
[新芽は、血臭に淡く甘い緑の香りを混じらせる。傷口に痛みはあまり感じないのは、肉体構成が変質してしまっている所為か。
アーノルドは仕事人間だった所為か、良質な被験者を確保する為に手段を選ばなかった所為か、元妻にも「冷血だ」と言われた事があり──といってもエレノアもアーノルドとある意味同類だったのだが、また、人体実験後に、大きな人生の挫折を味わっているにも関わらず、人間的な感情が失われつつあることを自覚していた。
シャーロット=レリアの事で動揺していたが、それはまだ彼が人間で有る事を証明している様でもあり、アーノルドは心のどこかで安堵を感じていた。]
――ああ。
生きているか死んでいるかは分からない。
だが、話した事はある――可愛い声だ。ドクと2人、幸せそうだった――。ああいうのを、平和な家族とでも言うのだろう。
[言葉尻が小さくなった事には気づく――誰でも秘め事の1つや2つはある。後数時間で意思のなくなる俺には関係ない。
本当はトランクを持とうかと差し出した手ではあったが、アーノルドが体勢を立て直すのを淡々と手助けする。]
…冷たい手だ。
君も具合が悪そうだな……。
[過去に数多くの被験者──特殊な身体の持ち主も含むをみてきた勘が、奇妙だと告げていた。それに先刻の会話では──リビングデッドと言う言葉が。
だが、グレンの言葉に動揺でやっと抱えたトランクをまた落としそうになる。何度も揺さぶられる所為か、抗議のようにトランクの中から「…ほう」と言う溜め息のような声が漏れて来た。]
…Dr.oddとシャーロットが家族?
莫迦な……。
私と…。私の……娘だ。
[Drがトランクを閉じる瞬間に口付けていた光景が甦り、鼻に皺を寄せた。]
[階上から何かがくだけるような音と悲鳴が聞こえた。
階段の上にアーノルドが振り捨てて来た、凶暴なモンスターと化した左腕の先は見当たらない。階上へ登り暴れているのだろうか。]
エヴァーグリーン。
再生し続ける緑――粋なものだ。
[一瞥し呟く。
このMr.Perfectのような男が此処まで傷つき、動揺する事――一般市民よりは数十倍は良い生活をしている高官がグレン達と同じ感性を持ち合わせている事を面白く感じる。]
トランクを階上まで持っていってやる。
ドクの仕業さ――メイ・ランツァに要らぬものを――
[口元を歪める。怨念のような激情――]
俺は将来死んだら――海に灰として撒かれるもんだと思っていたが、どうなるものか。あと数時間で、Chaos Bloodの人形になるとは――思ってもみなかった。
[呟き――階上からの音↑視線を、アーノルドへも向ける。]
シャーロット?
[レリアの事か、と頷く。]
有り難う。
[トランクを運んでくれると言うグレンに頷く。
前髪は乱れたままだ。当然のように鼓動は落ち着かない。]
──あの娘の血──Chaos Bloodは、腐食の血か。
腐食+活性=→リビングデッド、成る程、そこの金属が溶けたわけだ。
彼女を殺しても、支配下に置かれる事を防げないのか?
[ゾンビ化については無理だろうか…と首を捻る。階段を上がりながら、踊り場の腐食した金網を指し示す。]
[シャーロットがレリアと名乗った事に、更に動揺しながら]
シャーロットだ。
トランクのこの娘は、確かに買収されて来た被験者ではあったが。
三ヶ月前から私の養女になっていた…んだ。
書類上も、間違いは無い。Dr.oddは業界の有名人だったとは言え…──何故こんな未来の無い場所にシャーロットが。
………………。
嗚呼、君は生きたいか?
気にするな――。
[アーノルドからトランクを受け取ると、抱きかかえるようにして持ち運ぶ。筋肉はあるようだ。(左手の甲の刃の傷がおかしい事にも気づくだろう)]
腐食・溶解――ついでに俺は、あの祝祭の日――メイ・ランツァが引き起こした、あの白き白亜の噴水で生き残った人間でもあるんだが、後遺症に悩まされている――自分の経験を基準とした幻影<ビジョン>を見るという。今は――前より酷い。おっと、間違えないでくれ。
俺は人を覗き見る事は出来ない――。シャーロットのビジョン<過去や未来>なんて見れやしない。
[踊り場で一息つき、また一瞥。]
メイ・ランツァは殺す――溶解や腐食の効果は、血とドクの賦活剤<エーテル>の混合剤を飲んだ俺には効かないようだから、その間に――。
[政府の犬はどうでもいいとの雰囲気は如実に現れている。]
……それでも、俺が意思をなくし、Living Deadとなる事を防げないだろう――ドクの予想が違っていなければ。俺には研究者共の言葉は分からないから、食い違いが出るのかは知らない。
――Drを殺したのは早計だったか。
被験者を買収?
そういう事はよくある事なのかは分からないが……Dr.oddが、お前から奪った糞野郎だという事は理解した。派手好きなDrの事だし――そういえば、Drは手元から離したくなかったようだが……父娘と名乗っていたぐらいだから。
[唐突な質問に、]
当たり前だ。
俺はさっさと生きて出たかったから――契約書にサインをしたんだ。
[淀みなく答えた。]
だが今は――
[沈黙。]
[アーノルドの左腕の傷口はすでに半透明の緑色の皮膜によって血が止まっている。その隙間から伸びた新芽が次第に太く硬く長く成長を始めている。
緑の色はエメラルドグリーンに輝き美しくもあったが、アーノルドには、ただ苦々しく思えた。]
フラッシュバックする幻視──…か。
否、私はシャーロットの過去は知っているんだ。
彼女が6歳の時に犯した過去の殺人時のデータ内容が、私が所長を務めていた研究室で希望していた被験者の条件にピタリと一致した。だから、長く……知っている。
[希望する被験者を得る為にラボを持つ会社は、なんだってやるさ。時には被験者の住居の隣に引っ越して、その家族と親しくなる事からはじめる場合もある。
シャーロットも数年越しの交渉の末、彼女の14歳の誕生日を待ち──職業殺人鬼としての将来を保証すると言う契約と共に、養女になってもらう事の承諾を得たのだ。アーノルドのラボの優秀さは、適切な被験者を選択出来る所長が居る事に由来していた。
アーノルドが人体実験の成果よりも、当時のシャーロットの境遇から彼女の幸福を考えたのは、希有な出来事だったが。]
否、グレン・リズム君。
私は失脚したからね。
彼女がこんな場所に送られたのにも、Dr.oddの手に渡ったのにも──Dr.oddも被験者としてシャーロットを希望していたのか、否…──そんな事はどうだって良い。全ては私の責任と言えるかもしれない。
[グレンと共に階段を登って行く。2Fには、何か実験室の名残のような部屋もあるだろう。そう、期待しつつ。
アーノルドの左腕だったものは3Fに向かったのか。
2Fは「今は」──静かだ。]
──↑↑→→2F──
[──生きると言う言葉を質問乗せている自分をアーノルドは不思議に感じた。
そもそも、「処刑人を殺せば」と言う条件は、政府関係の会社に所属していた身からすれば、最初から期待するだけ無駄な条件にしか思えなかったのだ。
ふと、エレノアは自分の実験に最適な人材がアーノルドだと以前から目を付けていたからこそ、此処まで冷徹な事をやってのけたのかもしれないと思い付いた。
離婚や、シャーロットを養女にした事だけが理由と言うのは、アーノルドの認識するエレノアには不似合いに思えた。]
[生きると言う事には敢えて触れず、]
……メイ・ランツァ。
さっきの彼女があの有名な噴水事件の少女だったか。
本土でも端の方で起きた事件の情報は、私のような仕事でもなかなか入って来ない…。
孤島等の出身者は、特殊な殺人鬼が多いとも聞くが。
メイ・ランツァとは、また別の腐食の血の持ち主が居れば…何か、血清のような物が作れるんじゃないかと思うが、この建物内にそんな都合の良い囚人が居るとは限らないか。
嗚呼、この部屋なら──使えそうだ。
運んでくれて、有り難うグレン君。
正確には少し違う――先ず、こうだ。暗闇の中に浸ると、現実そっくりな幻影が目の前に――それは経験した過去から作られるんだ。そして、if――現実にはあり得なかった場面が見える、人物の囁き声が。フラッシュバックのように見えるのは、昼間だ。
今はもう、そんな区別なんてないが。
[アーノルドが語るシャーロットの話=今までのDrが語った事との差――そういえば、メイ・ランツァが処刑人の徴がないと言っていたが――]
責任感が強い男だな。
上の連中は始終肩が凝っていそうだ。
[アーノルドに促され、一室へと入りトランクを横たえる――外側のトランクが少女であるかのように。自分では扱えないような機器が蔓延り、口笛の1つも鳴らしたくなる程だ。]
偶然に期待するより――Rimitは3時間はもう切っている――キッカリ3時間ではないにしろ。アーノルド、……
[壁に背を凭れかけ、問う。]
何を持ちかけようとしている。
俺には血清が作れない、だがお前には作れる。何故、こんな話を聞かせてくれる。
──正確には、私にも完璧な血清が作れるとは限らない。
100%なんてものは無いからね…グレン君。
それに責任感が強いのかは、自分では分からない。
血清を作る代わりに…──。
君の血清の材料になりそうな生きた人間と。
シャーロットの蘇生に使えそうな人間──こちらは、私等とは違った種類の再生能力があると良いのだが…を、見つけて来る事は出来るかい?
前者は、3時間以内に。
[アーノルドの左腕は随分と再生が進んでいた。緑から青にグラデーションの掛かった皮膚とは思えないその色と、指らしきものが3本しか無い事を別にすれば、充分「腕」と言って通用する物だった。
右手の指先と同様に、左の指先も針のように伸びる。
アーノルドはグレンに見せる為に、わざと左の指先を1M程伸ばしてみせた。]
種を撒き散らし、誰かに植えなくては、私の内側に巣食ったこの植物は内部に向かって暴走し、異常増殖してしまうだろう。
シャーロットにこう言った身体になってもらう訳にもいかない。
[針の先を震わせると数百個の種子がびっしりと、アーノルドの指先に浮かび上がる。トランクもグレンにも当たらない方向に種子を適当に飛ばすと、種子は空中で発芽し即朽ち果てて砂の様に散った。]
[実のところ、種子を植える為の人間を運んで貰っても構わなかった。
植物によるアーノルド自身への侵蝕をある程度、種付けによってくい止める事が出来るのならば。]
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 エピローグ 終了 / 最新