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声がする。
殺されたんだよ、
殺されたんだよ。
魂が揺らめくようだ。
「嗚呼、矢張り見込んだとおりの」
尚も狂気にとらわれた声。
翠の眼が揺れる。
泣いてはいけない。
御客様が居るの。
確りしないといけない。
旦那様を殺したのは誰。
首を落とさないといけない。
―――御客様なのに?
―――否、敵だから。
『……厭……厭……厭……』
「――さつき様!」
[ぱたぱたと足音を立て走ってきた姿は杏であった。ともすれば再び崩れそうになる膝に、其の声で支える力が戻る]
――っ。杏……。
[上目遣いに見上げる杏に手を伸ばしかけ、其れが己の胃液に汚れた儘であると気づいて引っ込める。代りに室内へ歩み入り、床に落とした儘の封筒を手に取った]
[仁科も翠も泣いている。さつきや藤峰の嘆きが自分にはわからない。そのことが済まなく思えた]
こんなときにすぐに決断できることでも、無い、な……。
[皆の反対を押し切ってでも天賀谷の首を斬ればよかったといつか思うのかもしれない。だが、今の望月にはそこまで惨いこともいえなかった]
もし、決心がついたら俺を呼んでくれ。
苦しみを少しでも覗いてやれるように、俺が…。
『それも、おこがましいことか』
[そっと仁科から手を離し、踵を返した。いつの間にか自分の足元まで血の海が広がっていたことに望月は気づかない。廊下に赤い足跡を残して*自分の部屋へ*]
私は拾われた美術品の様なものだ。
打ち捨てられたものを
旦那様により
泥の中から拾い上げられたのだ。
恩義に報いようと誓った。
それなのに。
それなのに。
居合いとて、
護る為に覚えたのに。
無残に殺された。
傍に居た。
護るなどおこがましかったのか。
それならせめて、
仇を討とう。
護る為でなく、
私は殺すために此れを*使う*
『血……中にまで入り込んでいる、のかしら』
[十三の血を吸った厚手の封筒には皺が生まれ、宛名と差出人の名も歪んで見える。とは云え此の儘にしておく訳にもいかぬ]
中身だけでも、確かめておかなくてば……。
[だが精神的な疲労は極限に達しつつあった。会釈を残すことも出来ず、杏に支えられてさつきは自室へと*戻って行った*]
[己の言葉で後じさったさつきに対しても、職務を思い出し丁寧な目礼を返すことすらしなかった。
翠の、そして仁科の悲しみの涙さえ、万次郎に他を気遣う余裕を取り戻させるのにまだ足りない。
ただ枚坂の去り際の声にのみ、頷く]
土に埋めてはいけない…
土に埋めては時間と共に零れ落ちていく万に一つの可能性をも、焼いてしまうことになるから、ですか…
[枚坂が言ったようにまだ残る可能性が、天賀谷を横たわっているベッドから起き上がらせれば良いのにと万次郎は思った。
だから望月の発言に目を剥く]
俺に首を落とさせてくれ……ですって!?
医師 ヴィンセントは、書生 ハーヴェイ を投票先に選びました。
[もし決心がついたら呼んでくれと去って行く望月の声が思いの他、穏やかに耳に響くようだった。
万次郎は近付くことなく、部屋の壁に背を当てたまま物言わぬ天賀谷を見る]
どうすればいいんだ…?
…少しでもまた起き上がってくださる可能性があるなら、枚坂様の仰るように土になぞ埋めず、首だって落とさせずに、このままにしておきたい。
屍鬼になってしまうとしても、旦那様自身が「待っていた」とまで仰ったんだ。
それをお望みなら、旦那様が屍鬼になってしまわれても……俺はそれでいいとも思う。でも……。
[「苦しみを少しでも除いてやれるように」
望月の去り際の言葉が万次郎の心を乱す]
――…わからない。
旦那様……。
旦那様は、そのままでいらっしゃりたいですか?
それとも―――……苦しいのですか?
[――問いかけてももちろん、天賀谷は口を開くことない。
それでも答を求めるようにその場に長く佇んでいた万次郎は、ぼんやりとした表情の浮かばない顔で*部屋を後にした*]
─3階・天賀谷の私室(前日の朝の回想)─
[天賀谷に面会を求めると、若いメイドは困惑した表情で「旦那様はまだお休みになっておいでのようです」と言いつつも、天賀谷の寝室まで案内してくれた。
丁度枚坂医師は席を外しており、容態が急変した時の為に一人年嵩のメイドが付き添いに付いている他は誰も居なかった。
ベッドに横たわる天賀谷へと静かに近付くと、痩せ衰えたその顔には色濃い影が張り付いていた。
ドーランで白塗りした面の下に隠そうとしていたもの、それは死の影、であったのかも知れない。]
天賀谷様、天賀谷様。
[囁く様に話し掛けるが、明確な反応は返って来ない。]
[天賀谷のぺったりと額に張り付いた髪を白い指で丁寧に整える。
死相の浮かんだその顔を、そっと撫でた。]
お屋敷の外の空が……
[硬く瞼を閉ざした天賀谷の顔をじっと見詰める。]
天賀谷様、貴方が待ち望んでらっしゃったのは今のこの状況でしたの?
不死はあると仰って、八方に手を尽くして貴方が手にお入れになったのはあの水鏡だった。
あれにどんな意味がおありになるの、あれは……あれが、このお屋敷をこんな風にしてしまった原因ですの?
貴方は屍鬼を呼び寄せて、どうしようとなさったの。
──貴方の仰る、屍鬼とは一体何なのですか。
雲井様が説明されたような……人を襲う化け物だと云うのなら、何故…
[答えの返って来ない問い掛け。
目を伏せて、小さく溜息をついた。]
[メイド達に、くれぐれも天賀谷を頼む、と言い置いて、枚坂の帰りを待たずに部屋を出た。
勿論部外者にそう言われなくても彼女達は主の為に出来るだけの事はするのであろうが、碧子がそういう言葉を言ってもおかしくない程天賀谷と親しい間柄であることもまた確かであった。]
[天賀谷からはもう到底真実は聞けそうに無い。であれば、もう一人雲井に尋ねる他は無い。
廊下に出た時、丁度行き会った執事の施波を呼び止め、雲井が何処にいるか*尋ねた。*]
[異界に落ち込んだ天賀谷邸の中では、“あちら側”の彼女の身体が、施波に案内されて雲井の泊まっている客室へと向かっている。]
[──が。
”こちら側”では。]
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