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[藤峰青年に斯様に慕われる天賀谷は幸福な人物であるように思えた。
ただ一介の知人である私に望月青年を止められる道理もない。
だが、姪のさつきがこの場に居たらどうしたであろう。
結婚を申し込まれていた、 碧子ならどうしたかったであろう。
さほどの交流のない親類であれば、その運命は容易に見切りのつくものだっただろうか?
碧子が、たとえどのような姿になっても愛するというほどに天賀谷への思いがあれば、結婚を既に受け入れていたのであろうか――などと、私はその周囲の人間模様に思いを馳せていた。]
未亡人 オードリーは、異国人 マンジロー を能力(襲う)の対象に選びました。
―天賀谷私室―
[じっと天賀谷を見ている。なるほど、枚坂の腕は確かだ。あれほどむごたらしかった亡骸なのに、今は眠っているように見えなくもない]
天賀谷さん。
此の世に不死なんて、ないんだ。
[すらりと刀を抜く]
……鍔鳴りが、聞こえる。
[その音は、望月以外の誰にも聞こえまい。刀に震えはない。鍔も鳴ってはいない。
音は、ただ望月の中にある。
…まだ震えている]
私は嫌……。
私は嫌です。
旦那様が屍鬼となって、
かつて旦那様が自分で語られたような、、
あの恐ろしい鬼になって徘徊する姿など見たくない!
人を殺め、喰わずには居られないなど、そんなのは、そんなのは……!
[翠の言葉の最後は悲鳴のようだった。
我侭なのだろうか。
分からなかった。
*――分からなかった。*]
こんなに頼んでいるのにどうして!
[痛みを感じるほどの声で叫ぼうと、頼もうと、喚こうと、言葉を吐こうと――…望月は止まってくれないのだった。
声は次第に悲痛さを増し、万次郎は怒りすら感じ始めているようだった]
どうしてそんなに首を斬りたいんだ…望月さん!
――望月!
もしやおまえが旦那様を殺した屍鬼で、旦那様が目覚め犯人の名を言っては困るからか?
……どうなんだ!
[真に迫るその声は、しかし完全なる本気と言うわけでは無さそうだった。
ただそれで、彼の足が止まってくれればと思っているということは伝わってしまうかもしれない。
それでも諦める気持ちではなくて、怒りを燃やしてそのことが自分の足をもっと早く動かしてくれればと万次郎は強く願った。
そしてすらり刀を抜いた望月の腕を、万次郎は強く掴む]
止めろ!!
[迷わぬように。それだけがただ祈り。涅槃経を唱えながら、刀の柄に添えた右手の指に力を入れて握りなおしていく]
…諸行無常、是生滅法、生滅滅已……
[人差し指、中指、薬指、と指を握って行く]
あんまりだ…あんまりじゃないか?
経など唱えて、それはあんたが今からこの人をもう一度殺すのだと、自覚しているからじゃないのか!
[怒りよ燃えてくれと、万次郎は強く願っている。
そうすればこのびくとも動かない腕をどうにか、どうにか止められるかもしれないではないか?
それでも動かぬ腕に、望月の腕を掴んだのと逆の手で刀を握っていく指を剥がしたく願い、それをも外そうと手を伸ばしもがく]
……寂滅為楽
[刀を振り下ろす動きが藤峰を振りほどく。
さぱっ、と軽い音がして、望月の刀は天賀谷の首はおろか、ベッドの中ほどまで切り込んでいた]
「――せんせい」
[なぜか、夜桜の声が聞こえた気がした。]
斬れることは――
思い切れることは幸せなことだ……
[呟きが漏れる。望月青年に向けた眼差しはどこか眩しげに細められていた。
ゆっくりとその姿を追い、階上へ向かう。]
「あの恐ろしい鬼になって――」
[悲痛な翠の叫びが耳を打った。彼女もまた……識っているのだろうか?
死はおぞましい彼岸のことに相違ない。]
どうしてそんな静かな顔を……!
[望月の横顔は哀しさすら感じさせた。
――わからない。
この静かに経を唱え天賀谷の解放を望む男。
それからその瞳に己を映し、それまでの生涯でただ一度頭を撫でてくれた男をどのような姿ででもこの世に在らしめたいと願い――執着だろうか?
…執着ゆえに恐らくは鬼の形相で、醜く浅ましい姿になると知りつつも、天賀谷をこの世に残そうとしている自分と。
どちらが――間違っているのか]
………っ!
[迷いは望月に掴みかかる手を緩め…いや、きっと緩まなくとも望月はやってのけていた。
...は振りほどかれ、床へ転がった姿でそれを見た]
[斬られた胴体にもはや血液はほとんど残っていまい。切り口はつるりと鮮やかであった。
刀をベッドから抜くと、シーツで拭って鞘に収めた]
…おまえさんも泣いてやれ。天賀谷さんのために。
[藤峰にそういうと、手近なタオルでそっと天賀谷の首を包んでやった]
[――望月が刀を振り下ろすのを見た。
音は床へと己が転がる衝撃で、聞こえなかった。
だが刀が天賀谷の首を、ベッドの中ほどまで振り下ろされた刀によって切断されるのを、悪夢のように見ていた。
首は床に落ちた。
もう今は胴から離れ、それは床へと転がり――
…床へ転がった”それ”の瞳は、決して自分を映してくれてはいやしない。
初めて会った時のように、これほど近くに在るのに]
〜〜〜〜っっ!!
[獣が絞められている時のような声が聞こえると、体から魂の剥離したような心持ちでそれを耳にした。
…そうではない。
それは自分の声だった。
だが叫んでいるのか泣いているのか喚いているのか、怒りの声を望月にぶつけているのか、自分でもさっぱり分からない]
…………。
こうなってしまったら、仕方がないね。
望月君、その首級をどうするんだい?
思い切るなら焼き尽くしてしまう他ないと思うが……
[私は沈痛な面持ちで訊ねた。斬られた首の断面からは透明の不凍溶液が零れだしている。]
[抱きかかえた首の重さを感じながら、天賀谷の往生を願った]
天賀谷さんの好きな香を上げて、好きな花を捧げて、この人を、終わらせてくれ。
[藤峰にそう告げるけれど、泣くとも喚くともつかぬ声をあげる彼に届くだろうか]
……藤峰……。
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