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[夜桜の声が直ぐ傍で聞こえる。
耳にかかる息にびくりと身を振るわせた。]
……な、に……を?
[瞳を夜桜へ向け、問うた。]
[その音が発せられ、そして空(くう)に消えていくと。
瞳に僅かに光が戻った。]
……雲井様。雲井様にお会いしなければ。
[だがその表情はまだ、夢中にある者のそれであり、現が見えておらぬ者の瞳であった。]
屍鬼に殺されたものは、屍鬼になると……
[望月の声にハッと目を向ける]
それでは、やはり?
枚坂先生が仰っていたように、可能性はあったんですね…?
旦那様が再び目を開け起き上がる、その可能性が!
ならば…
[憂う望月に懇願する、しかし強い目を向ける]
ならばあのままにしておきましょう!
首を切り可能性を失わせてしまうことこそが、いけないことだ…
死んでも死なない…。
そんなものがいるんだろうか。
[雲井の言葉に素朴な疑問を投げかける。望月の屍鬼への知識は噂話の寄せ集めに過ぎない。だから、それについて思うことも、個人的な感想にすぎないのだが]
それはもう、生きている者じゃない。
自分が死んだことを受け入れることが出来なくって、迷ってるだけなんじゃないのか。
『この中の、誰かが、本当はもう、死んで、迷って』
[来海が目を覚ますと屋敷のベッドの上だった]
そんな…… あれは、夢、まさか……
[呆然とする来海に屋敷の使用人が説明する
天賀谷の死を目の前にして動転した来海がふらふらと歩き出して廊下ですぐに倒れたこと
それからベッドに運ばれて眠っていたこと
それにしても腑に落ちない
あの感覚が、夢?
そのとき来海は声をハッキリと聞いた
『バカガ ニゲラレルト オモッタノカ?』
!!??]
[確保した十三の書付と思しき本を抱えたまま、]
──…施波さんやら。
名前が無い者が居ますやねえ…。
あたしの名は、多分此処では旦那様しかご存知無いのに「美蘭」と書かれている。
此れは…一体。
――ほう
雲井さん。貴方、よくご存じのようだ。
貴方は一体何者だい?
[雲井は私に向けて「識っているはずだ」という。まさか、あの場所のことを識る者が……?]
無論、様々な研究が行われていたことだろうね。
そして、君は「荒唐無稽」というが、そこに居た研究者は皆大まじめだったことだろうさ。
「死んでも死なない」そういう現象もありえるだろう?
人は簡単には死なない――。
[望月の言葉に頷き。]
そうでしょうな。
だが、あの頃その違いを云々する者は居なかった。
致命傷を負っても戦い続ける兵士が存在し得るなら……。
命令さえ聞くなら、それが生きていようと死んでいようと、気にしなかったでしょうな。
[翠にだけ聞こえる声で囁こうとした夜桜は、だが、藤峰が尋ねかける声に口を噤んだ。──が、再度、藤峰の注意が、望月や雲井達へ向くと、口を開いた。]
さつきさまは、屍鬼ではない。
[翠にだけ囁く。問い返そうとした翠へ向け、指をあてるとそれ以上の追求を留めた。雲井達による話が始まっている。]
[藤峰をじっと見る。その狂おしい思いのほどを量ろうとするかのように]
天賀谷さんを死なせないということは、あの人を生きられない身にするということじゃないのか。
[首を静かに横に振りながら]
藤峰さん。あんたは天賀谷さんを輪廻転生の輪から弾かれて、生きておらず死んでおらぬ惨めな彷徨い人にしたいのか。
自分が死んだことを受け入れることが出来なくって、迷ってるだけ…?
だが望月さん!
[首を横に振り]
自分が死んだことを、それに自分が死ぬことを受け入れることができる人間なんて、果たしてこの世にいますかね?
誰だって生きてたいはずだ。
誰だってずっと、死にたくないはずだ。
旦那様もきっとそうだった。
生きている者じゃないとして…
死んでもいない者なら、旦那様がまた目を開け身を起こし手足を動かせるなら…
それでいいじゃ、ありませんか……?
如何にかして、この屋敷を元の世界に戻して、自由になる術を突き止めねば……
[異界の闇の中では、白い貌が冴え冴えとした聲で呟いていた。
その重たげに半分だけ閉ざされた瞼の奥の、夜より黒い瞳が冷たい光を放った。]
[藤峰の言葉に首を振る]
それでもいいかも、知れないね。
ただ屍鬼は、人を襲うらしいよ。
それが、正確にどう謂う意味か迄は解らないが。
君の旦那様が、もし身を起こし手足を動かして……此処に居る我々を襲い始めたら……それでも、いいかな?
藤峰君、可能性はあるんだよ。
屍鬼になってしまう、そんな話はさておいても。
それをなんて呼ぶかは、意味のないことだ。
一度死んだかに思えた人が、戻ってくる――それは決してありえないことではない。
土葬した棺を掘り起こすとね、その棺の蓋の裏には、幾筋もの爪の後が残されていた――そんな話は聞いたことがないかい?
埋葬した後、息を吹き返した事例はいくつも記録されている。
[雲井を見ぬまま、哀しそうな声で]
不慮の死、非業の死、苦しみの多い死を遂げた人は鬼になりやすいと聞く。戦場には、そんな死が満ち満ちていた。…屍鬼を産む母胎として、あれ以上の場はないだろうな。
[短い期間だが戦場を見た望月には、少し判る気がした]
[さつき様は、屍鬼ではない。]
……ぇ?
[眼を丸く見開く。
夜桜の囁きを反芻する。
口を開こうとして、夜桜の指に制された。
小さく頷く。
そうか、彼女は伝承の―――?
雲井たちの言葉が続く。
水鏡は今も揺れているだろうか。]
[さながら夢遊病者の様に…否、ある意味そうであるのかも知れないが…寝台から起き上がると、ゆらゆらと覚束無い足取りで扉へと歩いて行く。]
惨めだって…?
[望月の自分の思いを量り、そして諭そうとするかのような目付き。
だが望月が言わんとすることが、万次郎にはわからない。
行き場の思いを己の頭をかきむしるようにぶつけ、それは乱れゆく]
旦那様を死なせないということは、あの方を生きられない身にすること…
……何を言ってんです?
りんねてんせい…、それが、それが何ですか。
その輪から弾かれるということが、一体どれほどのことだと言うんです?
旦那様が再び動き、物を言い、また俺を…俺達をその目に映す。
叶うというのなら、それの何が惨めだ?
[藤峰に向ける声は優しいまでの響きを帯びている]
それでも、生まれたものはいつか死ぬ。
それが定めだ。いつまでも中有を彷徨っていては、本当に逝けなくなる。業が深まれば、いっそう悪い。
[なまじ、天賀谷の亡骸があればこそ藤峰がこんなにも揺れるのだ。それも一つの業ではないか]
藤峰君、間違っていない。
間違っているものか。
脳梗塞などの病に倒れ、意識を失った者はたとえ命をとりとめたとしても、後に重い障害を負っていることはしばしばだ。
言葉が通じなくなったり、以前と違った人となってしまったように思えることだってあるだろうさ。
それでも、家族がその者を愛していれば、見捨てることはできるものじゃない。
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