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[来海は朦朧とする意識の中彷徨していた
自分がどこを歩いているのかがわからない
自分がどうして歩いているのかがわからない
足が重い、やけに喉が渇く……
来海は崩れ落ちた、そのままピクリとも動かない
地面の冷たさが心地よい、身体に力が入らない]
疲れた
眠い……
やれやれ。
こんなのは簡単なトリックじゃァないか。
どこかに映写機が隠してあるに相違ないよ。
時計仕掛けで動くようにさえ仕込んでおけば、彼自身がこの場に居なくとも問題はない。
………。
[哄笑が静かに書斎の空気へ溶ける頃、万次郎はやっと文字を読めるほど近くへと足を向けることができた]
名前……。
[――上から六番目。
そこに在ったのは自分の名前であるはずだ。
学があるとは言えぬ万次郎は、文字の読み間違いなどせぬよう慎重に名の一つ一つを確かめる。
だがすぐに分かった]
こ、れは……。
ほとんどが旦那様が屋敷へと招かれた方々の名?
使用人のものも…勝手にこの屋敷へ入って来た者の名まで…
[そして線で消された天賀谷の名の下、「屍鬼殺害」と見えた瞬間]
そうか――…屍鬼が。
屍鬼が、旦那様を……!
[溜息を一つ。]
枚坂さん。
映写機で液体が動かせると、貴方ほどの人が本気で思うのか?
現実を、有りの儘に受け入れる態度を、科学的と謂うのじゃなかったのか?
[階段と廊下に血の跡を認めて、改めて書斎を見やる]
……天賀谷さんが生きているとは、どういう意味だ。先生。
[枚坂に問いかけながら書斎のほうへ。その手には刀。髪は濡れて、今もしずくを滴らせている]
この血はいったい……。
[雲井の声に、万次郎はそちらへと目を向ける]
最悪?
……そうでしょうか。
やはり血は、道標で……。
どうするべきか、旦那様の死後俺たちが何を成すべきか、これは伝えてくれているのではないですか?
病死か自死か事故か、あるいは望んだ死であったかもしれぬものを、この血は違うと教えてくれたのだとは…
屍鬼。
屍鬼の糞が旦那様を殺したのだと。
おかげで今それを、俺達は知る事ができたのだとは、そうは思いませんか雲井様…?
最悪などということは、きっと…ありませんよ!
――待ってくれ。
こんな話は聴いてない。
聴いちゃいないよ、天賀谷さん!
[苛立たしげに髪を掻きむしる私に、雲井の声が届いた。]
科学の埒外の現実――
雲井さん、貴方は先刻、「最悪の予想」と云ったね。
貴方は何を識ってるっていうんだ。
[ゆっくりと雲井に向き直った。]
[藤峰が謂う。
旦那様を。
旦那様を。]
……そう、居る。
居るんです、枚坂様。
……人の姿を模し
……人に紛れ
……人を喰う―――鬼。
[翠は刀をぎりりと握り締める。
天鵞絨の眼が釣りあがった。]
[そのままじっと、横たわって動かぬままに、天井を見詰めている。
開かれたその瞳はただ目の前にあるものを映すだけで、茫洋と定まらない。]
[血で書かれた名前、名前、名前。そして、屍鬼殺害の文字]
……俺の名もあるのか。
[口に出しては見たが、どこか、当然のことであるような気がしていた]
屍鬼に殺されたものは、屍鬼になると聞く……
[憂い顔を見せる]
やはり、いけない。このままでは……。
天賀谷さまは、
余程、水鏡と屍鬼に腐心されておられたのですねェ。
[聞こえるか聞こえないか、ギリギリの小さな声。
枚坂と雲井の会話が始まろうとしている。
夜桜──神居零は、翠の傍へと近づいた。]
翠さん、間違えちゃならない──。
[耳朶を息で擽る程近くへと]
──(回想)/三階・天賀谷自室…→二階・書斎──
[夜桜から受けとった手拭はヒヤリとしていた。張り付いて血塗れの顔を其れで拭う。生物の様に床を這う血液が内階段を伝い、書斎に向かって行くのを、呆然と眺めていたが…──。]
『…行かなくては。
旦那様のコレクションが。』
[血の後を追う様に、内階段の手摺に上半身を預け、滑る様にして書斎へ降りた。(階段はまだ血の海で到底、人が降りられた物ではなかった。)
無意識に手拭で両手の血を拭う。手拭は既に真っ赤に染まっていた。]
[仁科が降り切った後の書斎に、既に雲井の姿は無い。
血液が意志を持って、書物の方へ向かって居る事に気付く。
慌てて、机の上に転がっている物を全て回収しようとして、最初に目についた明らかな十三の自筆の絹張りの本の様な何か──を手に取った。書き付けの様な物だろうか。]
とりっく…時計仕掛け…?
[...はおずおずと尋ねる]
もしそうだとして…いやしかし…
しかし…旦那様がお亡くなりになったこと、あれは…とりっくでは無いのですよね?
[これがただのトリックで、それなのに何の手がかりも無く天賀谷が殺されてしまったのだとしたらそれは何と絶望をもたらす事実か]
いや…いや!血が蠢くなどと…
映写機で映されたものが、足を血で濡らしますか?
やはりこれは、仕掛けなどではなく…っ
[せめてこれは我々への道標であってほしいと、どこか縋るような目を枚坂に向ける。
確信したかのような夜桜の声はむしろ救いだった。
どこから持ってきたのか、刀を握る翠の声も同様に]
ずいぶんはっきり言うな夜桜さん。
それに…翠さんも?
あなた方にはまるで迷いというものが感じられないようにも、俺には聞こえる。
何か知っていることがあるなら、言ってはくれないか?
[板坂に]
貴方も識っているでしょう。
大陸で、先進的軍事研究と称して、どれだけ荒唐無稽な事象が研究されていたか。
貴方たち医官も随分動員されて居たはずですよ。
困ったことに、その中の幾つかは……完全に荒唐無稽とも言えなかった。
「屍鬼」はその一つですよ。
私も詳細まで知ってはいない。
何度か軍が遭遇した事件から、最初は日本への所謂テロルとして追及されていたものが、ある時から「高次の機密」に格上げされたという事くらいしかね。
それは「死んでも死なない技術」の研究だと噂されていた……。
[次に、中国の墨文字で書かれたと思しき巻物が目に付いた。
恐らく美術的な価値のある物か──其れとも、屍鬼に関係のある物か。]
『駄目だ…なんて気味が悪ィ…──。』
[ガクガクと差し出しかけた手が震える。
遡って机の方へ向かって来る血の流れが恐ろしくて、仁科は巻物を回収する事が出来ず、壁際に下がった。
後は──…その巻物を染めた血が仁科が居るのとは別の壁に向かい、血文字を描き終えるまでを──…只、呆然と見つめる事しか出来なかった。
何時の間にか、扉が開き──雲井や夜桜達が入って来ていた。]
[翠にやってきた藤峰青年、天賀谷の使用人であった彼らが主の敵の名に色めくのは無理からぬことのように思えた。]
屍鬼……
ちょっと待ってくれ。
この中の誰かの中に、そいつが潜んでいるっていうのかい?
[「居る」と云う翠の言葉にも未だ確信めいた現実として受け入れられずにいた。]
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