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天賀谷様があんなご様子で…
空がおかしくなってしまって…
これから…どうなってしまうのでしょうか……
私達、ここから出られるのかしら……
[憂いに沈んだ顔を伏せる。睫毛が白い膚の上に濃い影を落とした。
施波は何か言いたそうな表情をしていたが、ただ「きっと何とかなりますよ」とだけ声に出した。]
─3階廊下・雲井の客室前(回想)─
[暫し廊下に佇んでいると、何やら悲鳴らしき声や慌しい物音が天賀谷の私室の方から聞こえてくる。]
? 何かあったのかしら…
まさか、天賀谷様のご容態が、
[「失礼します。様子を見て参ります」と丁寧に一礼した後、施波は小走りに廊下を駆けていく。日頃落ち着き払った執事らしからぬ振る舞いだ。
それ程の只ならぬ様子であった。]
[碧子は。
恐怖と不安をその白い貌に満面に湛えてその場に立っていた。どうして良いか分からない、と云う様に茫然と廊下の先を眺めている。
が、やがて意を決した様に厳しい表情を形作ると、騒乱の元と思しい天賀谷の寝室へと歩き出した。]
[丁度開け放たれた寝室の扉の前に人が何人か居るのが分かった頃合いだった。
顔面蒼白の施波が物凄い勢いで引き返して来て、必死の形相で碧子の行く手を遮った。]
「いけません、碧子様。此処から先へは…」
どうしたんですの、施波さん。天賀谷様に何があったの。
もし天賀谷様が…
[亡くなったのならば、とは口には出せず、]
…覚悟は出来て居ります。どの様なお姿でも…
[気丈に言い張った。]
[しかし施波は、]
「いけません。ご覧になってはいけません。あれは…旦那様のお姿は、碧子様がご覧になって良いものでは御座いません。」
[そう繰り返すだけだった。]
退いて下さい、施波さん。
私も天賀谷様にお会いしなければ…
[強引に施波の横をすり抜けようとする。その身体に触れるのを躊躇った施波が制止しかねているところを振り切って走り出す。]
「碧子様!!」
[戸口で立ち尽くす人影の合間から“それ”を覗き込み、]
見習いメイド ネリーが「時間を進める」を選択しました
―天賀谷自室―
[ざわめきが大きくなる。
悲鳴を聞き付けた使用人たちが集まって居るのか。
「碧子様!」
施波の声が一際大きく響いた。
どさり。
崩れ折れる音。
翠は刀を握り締めたまま立ち上がり振り向いた。]
大河原様!
[施波が駆け寄って居る。
助け起こしに向かい、触れようとして翠は自分が血に汚れて居る事に気付き]
どなたか大河原様をお願いします……!
[そう呼びかけた]
扉を閉めて。
騒いでは駄目、旦那様を眠らせてさしあげて。
望月様に、お願いをして。
仁科さん、こっちへ……!
[仁科に歩み寄って手を伸ばしながら、
指示を、願いを思い付くまま口にした。そうする事が崩れ落ちない為の精一杯だった。
肉塊から溢れ出す紅い染みは、*どんどんと床を浸食して行く*]
―天賀谷自室前―
ふ…、ふふふっ…。
[部屋から出た万次郎は肩を震わせる。
階下から小さく万次郎の耳にも届く、ピアノの音。
――楽師シロタの手によるものだろうか?
この騒ぎにも心惑わされることなく、優雅に音楽を奏でてでもいるのかもしれない。
この場に彼の姿が見えようと見えまいと、万次郎にはどうでも良いことだった。
名も知らぬその曲は悲しみを誘うかのごとくに響いてはいるが、彼が肩を震わせたのは、心を切り裂くような思いにとらわれてのことでは無かった]
[人里から閉ざされた屋敷。
唐突に命を奪われ、横たわるその主。
招かれた鑑定家は刀で、その首を斬らせてくれと言う。
紅に染まった部屋。
ざわめく使用人達。
階下からは悲しいピアノが、バッググランドミュージックまでをも奏でているのだ]
ああ――。
これじゃあまるで、映画の中にいるみたいじゃあないか?
[職務を忘れず、他の使用人達に指示を飛ばす西洋人形のような翠の動き。
凛と響く指示の声も万次郎にはどこか痛々しさを感じさせ、これがスクリーンの中にあれば彼女は美しく映画に華を添えるはずだ。
そしてまた一つ、人々の目を惹き付けて物語を盛り上げるのに違いない、美貌の女の倒れる姿]
[「どなたか大河原様をお願いします……!」
哀れ椿の花は、無残な主の姿を目にして床の上。
翠は仁科に声をかけ、施波は主人の惨状を前にしてさえ冷静さを失わぬよう努め、それでも初老にさしかかるその男に一人の大人の女を運ぶことは難しい。
若く、今場にいる者の中では大河原を運ぶのにも問題ないはずの力と、使用人の義務があるはずの万次郎に、施波は指示する]
よくやるよ……翠さんも、仁科さんも、施波さんも。
[だが万次郎は、すぐには返事をしなかった]
俺達が彼らを丁重に扱っていたのは、旦那様にとって大事なお客様だからというだけの理由じゃなかったのか。
旦那様がああなってしまわれた今…、招かれたお客様とやらの立場にどれほどの意味があるんだ。
仕える主がああでいて今…、使用人という俺達の立場に、どれほどの意味が?
ましてや――、
旦那様を死に至らしめた者が、あるいはこの屋敷の中に居るかもしれぬと言うのに。
その可能性はお客様であろうと俺達であろうと、等しく……
[万次郎の呟きには取り合わず、くり返し指示の言葉を続ける施波]
……わかったよ。
[...は使用人の顔を形式的に取り戻して、動かぬ主を前にした苦しい胸の内を取り繕う微笑みすら見せずに、無造作に床へ倒れている大河原に歩み寄る]
それではお客様…、今お運びしますので。
[万次郎には到底軽々というわけにはいかずとも、力を込めた腕でその女を抱え上げると、大河原の部屋へと運んだ。
誰も見ていないその部屋の中で、自分を天賀谷の部屋前から離れさせたその「お客様」をベッドへと横たえさせる万次郎の所作は、とても丁重とは言えなかった。
...が放り出すようにベッドへと投げる美しい女を、柔らかなマットだけが優しく*受け止める*]
──三階・天賀谷自室──
[望月が離れて行く時に再び目を見開いた。
不死の話を匂わせながら出て行く枚坂と、首を切り落とす決心が出来たなら呼んでくれと言う望月の対照的なうしろ姿に──、]
…アァ、自分は旦那様の考えが分かりません。
死相が見えるなんてえ生易しいもンじゃあ無く、此れ程恐ろしい目に遭うかもしれぬと言うのに、何を成したかったと言うんでしょ。
…自分には分かりません。
もしかして、屍鬼を利用して不死身になりたかったのですか…ね?
確かに、死ぬのはおそろしい。
失われてしまうのは、おそろしい。
だが、人成らざるものに変わってしまうのは……。
屍鬼に旦那様は本気で成りたかったんで?
アァ、自分は何を言っているのか。
[二階ホールから、シロタの奏でる葬送行進曲が現実離れして空虚に響いてくる。現実的なのは、施波と翠の声。呼びかけられ、伸ばされる手を取り、震える膝で何とか立ち上がる。]
『動かなくちゃ…いけねえ。』
自分は、望月様を──呼びに。
[「呼びに行く」と言おうとして、絨毯の血の海に足を取られずるりと滑る。]
[十三は既にこと切れ、十分に血を(内臓まで)吐き出し切ったと言うのに、床の赤黒い血の沁みは、まだ広がり続けている。毛足の長い絨毯の上に、血溜りと言うより池と呼んだ方が良い程の量に増加していた──。]
[さつきの手紙はすっかり血に浸り、封筒の一部と思しき部分だけが赤い海から姿を覗かせているばかり。
血はまるで粘液質の生き物の様にうねり、広がり…──。
その動きは何かを探し求めている様にも思える。
事実、血液は三階の廊下へは広がらず、十三の部屋の奥にある二階の書斎へ続く階段へと、誰の目にも明らかな程、大量に流れ込みはじめた。]
[仁科は思わず血の海に転げそうになり、手を付く。
生温い感触に鳥肌が立つ。血の海に手を入れた事も、此処までの量の血液の匂いを嗅いだ事も無い。嘔吐感がこみ上げるが堪えた。]
──…血が。
な、んだ…生きてるみたいな此れは……。
『本当に血なのか?』
『もし、本物の血なら、此のままでは二階の、旦那様の一番大切なコレクションが血に水没してしまう。』
[現実離れしすぎた光景に、やはり日常的なのか非日常なのか分からない事を考えた。]
─回想─
[江原と望月を置いて自室に戻ってから、煙草を灰にし続けている]
……望月さん、だったな、彼は。江原にサムライ呼ばわりされて、ちょっと困っていたようだったが。
彼も、屍鬼対策で呼び出されたか?
[望月は素振りがどうとか言っていた。剣術の心得はあるのだろう。]
長物が扱えるわけではない俺は、何のために?
[煙草を指に挟んだ自分の右手に目をやる。]
……修練をやっといたほうがいいのかも知れんな。
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