情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
セシリアは、私の娘です……狼憑きではありません。
[震えて。
クインジーの問いに答える前に、
震えながらも、きっぱりとそう言葉を紡ぎ上げた。]
……ああ。
あんたの名前は…知っているよ。
[一瞬、口を噤む。]
[だが、悲歎にくれるジェーンに、残酷だが真実であろう言葉を告げておかねばならなかった。]
セシリアが人狼であれ、咎なき無実の人であれ、彼女は村長によって「人狼」と断定され村人の多くはそれを信じきっている。
悪いことに、その村長は死に、彼の言葉によってそれが覆されることはありえない。
娘のことは諦める他ない……
――到底、受け入れ難いことだろうが……な。
──回想・檻(村長死亡直後)──
[セシリアでは無く『彼女』の意識が。
セシリア・アーチボルドと言う平凡な人間として生きて行こうとする程に、人間の内側に潜み、闇の中で沈黙していた『彼女』の意識が、完全に元の様に明瞭になり始めたのは──。
もはや、灰塵に帰し永劫に再会する事は無いだろうと思われた、古き時代に盟約を交した…従僕との檻の中での再会。
臣服の礼として差し出された足元への彼の接吻だった。]
…再び、相見える事があるとは思わなかった。
[『彼女』はゆっくりと瞬きをする。]
[混濁の中から覚醒する意識。] [闇の中から花が浮かび上がる様に。]
[込み上げて来る恍惚にも似た感覚。]
嫌……嫌、嫌……
[また涙が零れる。]
嫌よ――セシリアは、セシリアは私の…ゴホッ…たった、たった1人の――ゴホッゴホ…!
[後は頭を振って示す。]
相見えるどころか。
…お前が、同じ村に居るとは思いもよらなかった。
過ぎ去りし歳月の隙間を埋めるのは、我ら眷属の刻。
すべては生命の月の輝く夜に──。
夜闇の森を抜けて、我が元へ。
[一瞬だけ笑みを浮かべた『彼女』は告げる。
人では無い言葉を僅かに2、3だけ、檻の中で交し合った──。
『彼女』に完全に支配されていた間──「セシリア」はただ、手枷の鎖につり下げられた姿勢で、人形の様に虚ろな無表情を曝していた。]
[──*回想終了*]
[ジェーンの襟首を握る仕草に、感情が籠もっていた。
クインジーは振りほどこうとはしなかった。
やがて、手が離れる。
目の前の女がセシリアと“同族”故に庇うのか、人として人狼である彼女を信じているのか。それとも、セシリアはやはり人であるのか――
クインジーの中で疑問が渦巻く。]
……なあ。
例えば、の話だ。
「セシリア」が人狼なら……
……あいつはあんたの知っている娘じゃないんだろうぜ。
贋者なんだ。
あんたの娘を奪った人狼を許せるのか?
――朝、自宅周辺――
[ウェンディは独り考え込んでいた。セシリアは何をしたいのか。或いはして欲しいのか。 私は。私は何をしたいのか。
セシリアはこの村を八つ裂きにしたいという感情も持ち合わせているが、当のウェンディにはとんと知らない話。ウェンディにとっては優しいお姉ちゃんとしか見えていない。当然、セシリアが見せていないからであるが。]
まだ私は確かめてないよね。お姉ちゃんは「助けて」とか「ここから出して」とか言ってないの。これってどういう事なのかしら。
そして私は…どうすればいいのかな。
[自分の中で思考がぐるぐる回る。]
そして、人狼はまだまだいるらしい事。そして村長さんが亡くなっちゃった事。
そもそも。生命ってなんだろう。どうやったら人は生まれて、どうやったら人は死ぬのだろう。
…セシリアお姉ちゃんは知ってるはずだし。聞いてみようかな。
[よく言えば怖いもの知らず、悪く言えば子供特有の無邪気さ、残酷さがあった。]
クインジー。
では、何時セシリアが人狼と成り代わったというのですか。
[悲鳴のような声。声をあげるだけで節々が痛み、熟れた熱が右目から頭の中へ流れ込むようだ。]
贋者が――母親を騙せますか。
連れてゆかれるまで、あの子はあの子のままでした――もし、成り代わっていたのなら……私には分かった筈です。
[「何時」「何時なのです」と、ジェーンは再度重ねる。]
[クインジーは暗澹として重い息を吐く。
ジェーンの嗟歎はこれまで多く見てきたものだった。]
村の皆を見てみろ。
セシリアが無罪放免となることはあり得なかろうぜ。
だから――
“人狼”だと思いきっちまった方が楽なんだよ――
[その言葉は、どこか自分自身に言い聞かせるような響きだった。]
知りたい事はいっぱいあるけれど、どこへ行けばいいかしら。
私、字を読むのはあんまり得意じゃないし、教会もひとりで行った事ないしなあ。
セシリアお姉ちゃんに聞いてもいいけど、他の人からも聞いてみたい。人狼ってどんなもの?って。
[ウェンディは考えに耽った。]
痛むかもしれないが、無理にでも食っておいた方がいい。
粥だから、水分も摂れる。
[粥の入った鉢を預けると、クインジーはゆっくりと立ち上がった。]
思い切らねェと、それがあんたの命取りになるぜ。
あんたが狼なら娘と同じところに行けるなァ本望だろうが――
人なら、人の間で生きていくしかねェさ……
[最後の言葉は顔を背けて。呟くように云うと、そっと宿坊を*出て行った*]
[既に去り行く大きな背中へ向けて。]
……お願いします。貴方がセシリアの無実を今信じなくてもいいから、ノーマンを、あの男だけはあの子に決して近寄らせないで!
彼は、彼は、……
[ぶるぶると一層震える。]
お願い……あの悪魔を、決して…決して……
[ぽたり、と。
スープに波紋が*出来た。*]
ノーマン……
[取り乱した彼女の様子に心が動かされる。]
……覚えておくよ
[そう言い残して、その場を後にする。
クインジーの足は、真実の所在を求めて*歩み出していた*]
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新