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[ウェンディは、村長の死に衝撃を受ける周囲の喧噪とは別世界に居るかの様に無邪気に見えた。
セシリアは、何処かやるせなさを含んだ眼差しをウェンディに向け、彼女が思い付いた事をしゃべるに任せた。
妖精の様な外見のプラチナブロンドの少女は、何故かセシリアの胸元に食い込んだ鎖に、その澄んだ瞳を輝かせている様だ。]
──…餌。
(誰かに、獣の様に地に這って食え──と言われかねない…な…。)
[気怠くウェンディを見つめながら、セシリアは呟いた。
頬についた涙の跡を拭う事も出来ず黙り込むセシリアは、一連のジェーン──セシリアの愛する母親への暴行から、絶望感を感じているのだ、と言う風に見えたかもしれない。
やがてネリーが訪れ、セシリアに餌を与え始める。]
「おめさんが、村長さまァ食らって殺したんかェ……!?」
[ネリーの言葉に、セシリアは夢から醒めた様に淡い微笑を浮かべた。]
──ずっと檻の中に居る私がどうやって。
あの黒衣の女(カミーラ)が言った様に、「人狼は群れで行動する。」だから、私が仲間と共謀して殺させたとでも…?
[ネリーの頭が弱いのではと言う嘲笑が、昨夜檻の見張り番をしていたらしき兵士達からあがった。ネリーの主人は、アーノルド死亡後はノーマンになってしまうのだろうか。]
………………ッ。
[ピチャリ。]
[スプーンで与えられる、ワイン以外の味のやや薄いスープに大人しく口を開ける。零れない様にゆっくりと舐めた。
ネリーの目をじっと見つめ返す。
暗くなり始めた夕刻の気配。
ネリーの手元が逸れた時に、セシリアの顎に流れた淡い紅色のスープ。舌先でそれを拭う、セシリアの瞳が一瞬黄金色に輝く。]
ネリーが村長さんを殺したのでは無いの…?
…アーノルド一人が死んでも、ネリーの人生は変わらない…か。
(檻に閉じ込められてしまった私も。同じ。)
(村人全員が死んでしまえば──良いのだわ。)
(この村が滅びてしまえば。)
──檻(夜)──
──…滅びよ。
人間で有る事、それ自体がすでに罪だ──。
罪深きもの達は、全て。
************ **** *** ****** *******
──…血の海でのたうち、苦しみの果てに命を落とすが良い。
焔に灼かれ、灰に還えるが良い──。
[セシリアは、暗い目で月の光る天を仰ぎ見る。
そして、セシリアを知る者が聞けば、震えてしまいそうな低い低い声で、呪詛の言葉を紡いだ。
──わざと。人狼の言葉では無く、人間の言葉で。]
[暗転──*時刻は翌朝へ*]
――夜/水車番詰め所――
――――――――
クインジーは何やら思案しているようであった。
卓の上に羊皮紙を広げながらもすぐに書き始めるでなく、窓外の黒々とした森の向こう、遥か遠くに視線を彷徨わせている。
この日は、ジェーンを巡っての諍いの後も大きな出来事があった。
村長のアーノルドが森で何者かに襲撃され死亡した。
そして、ノーマンが新たに村長として名乗りを上げたのだった。
それは確かに村にとっては一大事であったろう。だが、クインジー自身はさほどそのことに思い煩っているわけではなかった。
アーノルドなる男は使用人のネリーの扱いにしても、人狼との容疑を確信したものであれセシリアなる少女を見せ物のように扱ったことにしても、クインジーにとっては惜しむべき人物とも思われなかった。
彼が教会へと運ばれたと聞き弔礼に赴いたものの、それは完全に儀礼的なものであった。
「ヤツが人狼に……ねぇ……」
クインジーはノーマンと村長の確執に気づいていないわけではなかった。それを人狼の行状として記録しておくべきか、その時点では保留することにしたようだ。
ともあれ、今はその書きだしをどうしたものか先刻より思考を巡らし一向に筆が進まない。
それには、理由があった。
クインジーはその記録を自著として記述すべきか、躊躇していたのだ。聖職者として現在表に出にくい立場に身を置くことになった過去――。それは、クインジー自身が忘れたくとも必ず追い縋ってきた。
やがて、何か打開策を見いだしたものか、予の方を向くと謎めいた表情を見せる。
予は厭な予感に重い息を吐く。
書き出しが決まったのか、男は羊皮紙にペンを走らせ始めた。
――――――――
「予を筆者に仕立て上げるつもりか」
[エトワールは不満げに喉を鳴らした。]
仕方がなかろう。
私の真名は、異端者として記録されているのだから。
[私は弁解するように呟く。
一日の記録を終えると、謡うように遠くへ声を飛ばした。
月の光を浴びながら。]
―宿坊→檻の前―
[カミーラは朝食をすませた。]
…そうだ、檻の方はどうなっているのかな。
少し様子を見てみるか。
[カミーラは、人狼が入れられている檻がある例の場所へ向かった。]
―翌朝/教会・宿坊―
[クインジーはジェーンの容態を気にかけ、彼女を見舞うため宿坊を訪れた。]
――よう
怪我の調子はどうだ?
[それは、ヴィンセントなる医者の治療が適切か、また常軌を逸した治りの早さを見せてはいないかを見定めるためのものでもあり、唯に善意からの見舞いとは言い難かったかもしれないが。
炉辺で温めたスープにパンを溶かし、できあがった粥状のものを彼女に勧める]
──檻(夜)──
[ジェーンを打ち据えながらノーマンに脅迫された時、セシリアが答えた「村に人狼が2人」と言う言葉は、ほとんど出鱈目だった。常日頃の推測が思わず零れたと言う意味では嘘では無いが。
以前から村、若しくは近隣に自分以外に人狼が居るらしい、徘徊しているらしい──と言う事は薄々気が付いて居たものの。セシリア・アーチボルドとして暮らす事を決めていた以上、どの様な人外とも接触を持つ気は無かったのだ。]
―教会/宿坊―
[打ち身のように出来た痣は生々しい。
ジェーンは寝台に横たわったままだったが、クインジーの呼び声に、左目を薄っすらと開いた。
目だけが、彼の行動を、追う。
全身の痛みが勝るのか、一夜明けただけでは、そのぐったりとした様子に然程の変化が見当たらないようにも思えるが――]
……否。
本来の私はこの村に来てから、2年半以上の歳月を。
──セシリアと言う少女のその血潮の波の間に。
混濁した意識は少女と混じり合い、胎児の様に眠っていた──。
セシリアとして暮らし、時折、人狼の力を振るい──人の血肉を闇の中で貪りながら。
この村へ来る以前の、深い傷を癒す為に…──。
―檻の前―
[カミーラはセシリアが入っている檻の前に到着した。どうやら周囲に人はいないようだ。]
…!!
[カミーラは、セシリアに視線を合わせた。
すさまじい威圧感か何かはよく分からないが、途端に身体に若干の寒気が襲い掛かってきた。]
―教会/宿坊―
[呼吸は、喉の奥で引き攣れた濁音を混じらせている。]
――――
[無言のうちに悲痛な空気を纏いつかせているのは、それは、親ゆえか、それとも。]
こ…こは……セシリア……
[乾き、罅割れのようになった唇からだみ声が漏れ出す。]
――教会・聖堂前――
[詰め所から教会へ向かう道すがら、昨夜ジェーンを運んだ宿坊に泊まっていた女とすれ違った。
通りがけに宿坊の方をうかがうと、人の気配がある。
中に誰がいるのかは確かめずに、聖堂に向かった。
ノーマンから依頼された器具を探し出して、そしてどうするのか。
まだ決めかねている。
ノーマンの主張通りなら、それを貸し出してくれるよう、司祭に頼んでもいい。
だがその二人の間に、険悪な雰囲気があることは、昨日檻の前で見た諍いから充分見て取れた。
自分で司祭に頼んでも無駄だと思ったからこそ、ノーマンもわざわざこんな取引を持ちかけてきたに違いない。正直に事情を話したら、司祭はモーマンに貸すことを許してくれるだろうか。
それを諦めるなら、別の口実を設けるか、断らずに持ち出して、司祭が気づかないことを祈るしかないが……。]
まずは、見つかるかどうかだ。
聖堂に行って祈る。誰でもすることじゃないか。
[迷いを振り払うように、大股で中へ入っていった。]
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