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書生 ハーヴェイが「時間を進める」を選択しました
―天賀谷別荘庭園
[屋敷の外へ出た。凛冽とした夜の中に微かに身を震わせながら足を踏み入れる。
昏い闇の中に、ぽつんとひとつだけ淡く霞のような白い影がある。目を凝らせば、櫻の樹であった。]
夜桜か……。
[遠いその姿は、まるで闇の中から誘う亡者の霊魂のように思えた。]
……私は…
[一、二歩彷徨った足取りに我に返り、その姿から目を背けた。私には為さねばならないことがある。今は――
静かに、愛車と牽引してきた医療車両の方へと歩みを*進めた*。]
[夜桜の、声であった。
今しがた階段を上って行った由良>>124に何事か頼まれた様で、其の視線には云い出しあぐねる気配が感じ取れた。云わんとする所を察した心算で、さつきは首肯した]
ええ、そうですね。夕食を摂られなかった他の方にも、部屋まで運んでお勧めするように云っておく事にしましょう。
施波さんに申し付ければ構いませんね?
[そう云えども彼女の憂いた気配は晴れぬ儘で、黒瞳はちらちらと、水盤と其れを見つめる仁科の間とを幾度も往復する。云い出そうとして云い出せない雰囲気は、他の三者とやはり同様であった]
「……ええ、いえ、ですが……其の事ではなく……」
……云い難い、事なのですか?
……杏、少し控えているように。
[怪事の内容は、父から聞かされていたものと概ね似た内容であった。曰く――]
『――異界に堕ちた者が中から出ようとしても、叶わない』
[それでもさつきが平静を保っていられたのは、伝聞した内容との差異――即ち、この場にあって消えた者が居らぬという点の故だった。件の事件で消えたのは十名余り、他の者は皆無事だったと云う。彼らから見れば、堕ちた者こそが消えたのだと云う事であった]
……そうですか。
暫くの間、その話は他のメイドや給仕には口外せぬよう。
叔父様が倒れられた所に、あらぬ噂を撒いて惑わせるようではなりませんから。
[さつきの言葉に頷いた夜桜が廊下の方を見遣った。別荘の者ではなく、他から尋ねられたとしたら、と云う意味合いだろう]
他のお客様にも――と云って、この夜中からもう御帰りになるとは思いませんが――同様に。帰りの方が出られるまでに、もう一度、仁科さんに確かめて来て頂きましょうか。
そうすれば、ご自分でも只の気の迷いだったと判るでしょうし。
其の様にして頂くと云う事で宜しくて、夜桜さん?
[言い終えると、さつきは杏の名を呼んだ。小柄なメイドを従え、さつきはエントランスホールへと、階段を*降りて行った*]
[運ばれてきた食事を片付け食器を廊下に。煙草に手をつける気にもならぬまま、うろうろと室内を歩き回る。
立ち止まると、デスクの上で胡坐などかいている。これも人様には見せられない悪癖かもしれない。]
しかし、妙な雲行きになったもんだね、まったく。
――ヒューさんは、本当に何を考えていたんだ?まさかこの手の事態を予期してたとか、な。
─2階食堂(回想)─
まァ、天賀谷様はお口が御上手ですこと…。
[自分の手を取り口付ける、天賀谷のその手が不自然に震えているのを目にして、柳眉が僅か顰められる。]
矢張り御加減が悪いのでなくて?無理をなさらずに休まれて……
[と、そこへがさつな男が割り込んで来て、天賀谷に何やかやと捲くし立てる。
それを見た碧子の顔には、艶やかな笑顔こそ崩れていないがはっきりと侮蔑の色が浮かんでいる。]
しかし、肝心の天賀谷は、碧子の手を離すと覚束無い足取りで、熱に浮かされたように水盆に近付いて行く。]
―回想・一ヶ月ほど前のロサンゼルスにおける美術商ヒューバートとの会話―
「ジェイク(と、ミドルネームで呼びかけられた)、君は屍鬼と呼ばれる存在を知っているか?」
[に始まり、ヒューバートは自分が手に入れようとして果たせなかった“水鏡”なるものの来歴をひとしきり語る。
しかし、古美術にもそのような妖怪変化の類にもまったくもって門外漢の自分になぜそのような話をするのか。そう訝しんでいたところに]
「でだね、水鏡を手に入れた幸運児のMr.アマガヤからご招待を来月受けているんだが、あいにく私は別口の商談でその時期に日本に行くことは難しいのさ。」
そして、自分の代わりに天賀谷氏に会ってきてくれとのこと。
はぁ?俺がですか。
[多少の義理もあり、断りきれずに今回ここまでやっては来たのだが――]
――ヒューさんが厭な予感か何かでここに来たくなかったという可能性はある。
でも、その代理になんで俺なんだろう。ヒューさんところのスタッフのユージーンやギルさんでもよかったはずなのに――。
[なおも*考え続けている*]
屍鬼、ですって…?
天賀谷様、貴方はまさか。
[不安な色がさっと面に浮かぶ。]
あれ程そんな怪しげなものに手をお出しになるのはお止めになったらと申し上げましたのに。
[不穏な、ひずんだ空気。それは終戦直後に心を病んだ祖父の収容されていた病院のそれとどこか似ている。]
[いやらっさァ][まァホンに][アハハハハ][トッケもなかァ]
――爺さん、戦中に何を見たんだろう?
[イタリアで地獄を見たつもりでいた。が、いまだに自分は一応正気を保っていると思う。
いかなるものを見て祖父が心に癒えぬ深い傷を追ったのか。]
[天賀谷の後を追い、水盆の側へと近付く。
メイド達にやっと支えられて立っている天賀谷の有様に痛ましげな目を向ける。]
『この人は取り憑かれてしまって居る。』
[正気とも思えないその言動に、長い溜息をついた。]
この人の言う“屍鬼”が同じものであるかどうかは分からないけれど……
以前洩らした言葉が本当ならば。
厄介なものを探して出してくれたわ。
[長い間の癖となった独り言を聲として吐き出す。]
殺せる心算ならば殺してみると好いわ。
出来ると信じているのなら。
さて、君は
不死が欲しかったのかい?
それとも、
不死が怖くなったのかい?
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