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──裏庭…→使用人部屋──
[屋敷へ戻る道は拍子抜けする程、はやかった。何時も通りだ──。最初に誰か使用人に声を掛けようと裏口へ回ったが未だ誰も居ない。厨房の面々とはあまり馴染みが無い(馬が合わないとでも言うのだろうか)仁科は、二階へ向かう…。]
──二階──
[ちょうど夜桜に水を貰っている望月に出会う。
何が起きたのか不吉な予感を感じ乍ら、事情を二人に聞いた…。]
『あたしの話を──…誰にどうやって打ち明けたものか。』
[自分は酔って等居ない。其の事は漠然だとだが理解出来た。傍らの夜桜を少し放心した様な態で暫し見つめていた。]
[翠の心遣いを硝子の如き碧眼で受け流し、皆が騒然とする中ホールへと歩む]
全く、食事の用意があるというのに誰も彼も気に留めないとは、つい10年前まで飢えていた国民とは思えない羽振りの良さですね、皆様。
在るかどうかも解らぬバケモノ風情に殺される前に、餓えて死んではどうにもなりませぬ。
さて、この膳はどなたが片付けてくれるというのですか?
[口の端で笑いながら、食卓に着く。
豪奢なシャンデリアと、贅を尽くした料理の数々が、主を失って呆然と佇んでいた。
楽師はフォークとナイフを手に取ると、まるで自らがこの席の主賓であるが如く悠然と口へ運び出した。]
[暫し考えた後、表情の硬い望月ではなく夜桜にだけ──、櫻の元へ辿り着けなかった話を小声で打ち明けた。(しかし余裕が無く望月にも聞こえたかもしれない。)]
…自分が酔っているだけなら良いンですけどね。
――二階/ホール――
[食堂への扉からは、一体何事かと興味深げに成り行きを窺う給仕やメイドの姿があった。客人らの様子を振り返り、さつきは
僅かに嘆息する]
嗚呼――あの様子では、晩餐とはなりませんわね。
叔父様も、倒れられて仕舞った事ですし。
……誰か?
[扉口へと呼びかけた声に、黒の御仕着せも折り目正しい男性が現われた。さつきの姿を見知った様子で近づいて来る]
─3F廊下→2F─
[しかし、腹が減った。室内の枚坂と翠に断って、再度食堂に向かう。
廊下の水鏡の前には女が二人と先ほど若干取り乱した青年。
彼らにも軽く頭を下げる。]
[しかし、仁科は酒は呑むものの基本的に酔いはしないのだ。天賀谷に会いたく無いと思った自分の直感も当たって居た様な気がした。一気に不吉な様相を帯びた見慣れた豪華な室内装飾を見上げた。視界には中国の円月刀。望月を巡る刀の話がそらおそろしかったが、]
『屍鬼、屍鬼と。
こう言う時は、本当は男に頼りたい…。
──若しくは。』
[悪寒を感じた様に、自らの肩を抱く。]
[執事の姿に見覚えは無かったものの、彼の会釈する間に杏がさつきへと耳打ちした]
「執事を務めております、施波で御座います。
さつき様の事は御主人様から伺っておりますが――」
ええ、でしたら結構です。
叔父様がお倒れになりましたから、ひとまず晩餐は持ち越し、と云う事にして下さい。もし、何かお召し上がりになる方がいらっしゃった時の為に、給仕はまだ暫く下げさせぬよう。
「かしこまりました。御主人様のご様子は……」
残念ながら、私には判りかねます。
平坂様と仰る方が診て居て下さるようですが。
[然様で御座いますか、と施波は多少の安堵を見せ、食堂へと踵を返す。其れに併せてさつきもホールを後にする事にした]
アァ、こう言う時こそ、食べなくっちゃあいけません。
…いけませんね。
[そう言ってから、仁科自身は水鏡に*視線を落とした*。]
晩餐会は中断みたいですね。
……お一人だけ続行なさってるようですが。
[室内で、一人豪勢な食事に舌鼓を打つ青年の方をちらりと見やる。
かといって並んで食べる気にもなれないのが困ったところで。]
……すみませんが、後で、俺の部屋に何か軽いものを持ってきていただけますか?お手数をおかけしますが。
[使用人らしい女性二人に頼むと、*自室に向かった*。]
[悠然と食事を続けながら、水鏡の周囲で騒然とする人々を遠目にちらりと見やり、]
全く、あるかどうかも解らぬバケモノがそんなに恐ろしいのか。
凡夫の考えることは解らぬよ。
何せ、使用人が賓客をもてなすことすらしないのだからなあ……。
[はっきりと皮肉な笑みを表しながら、食事を続ける。が、]
―――。
[手からフォークがかちゃりと零れたのは、震えによるものか、*否か*]
[満州から帰国した私は程なく、縁故を通じて国立大学の外科に雇い入れられた。戦後まもなくのことで医師不足だったということだけが、元軍医でありながら容易く医業に復帰できたことの理由ではなかった。
私は多くの患者の施術を同僚たちとは比較にならない早さでこなしていった。
内地にいた医師たちの誰よりも、人の体についてよく知っているという自負があった。血管の一本一本、神経の微細な繋がりから臓腑の隅々まで。]
[医師たちの中には驚きをもって問いを投げかける者もいた。]
「君はどうやってその若さでそんな技術を身につけたんだい?」
[それは、私にとって正確な答えを返すことが困難な質問だった。
その問いを受けるたびに、後ろめたさを感じずにはいられなかった。私は医療の発展のためとはいえ、あまりにもおぞましい早道を駆け抜けたからだ。]
『満州では内地よりずっと多くの患者を看なければならなかったからですよ。』
[それは一面の真実だったが、すべてを説明した言葉ではなかった。
たしかに、あの場所に居れば、たとえ凡庸な医師であっても、人並み外れた経験を得た名医になることができただろう。
それほど隔たった異境だったのだから。]
―天賀谷自室
脳梗塞や脳卒中、心筋梗塞といった命に関わる病状の徴候は見られない。
さしあたっては心配いらないよ。
[処置を終え、気遣わしげな様子の翠に振り返った。屍のように血の気が失われた天賀谷氏の様子はお世辞にも『健康』とはほど遠い容態だったが、現在できる処置はすべて施したのだ。あとは自然な体力の恢復を待つほかない。
不安な様子が抜けきらないように思える翠を元気づけるように、やや声を張りながら楽観的な観測を口にしたのだった。]
彼に必要なのは僅かな休息だよ。
大丈夫!
君は私のことをよく知らないだろうけど、これでも最新の医療に通じているんだよ。
安心してくれ。
心配かもしれないが、君も休める間に休んだ方がいい。
[翠に言葉を残し、点滴架台や予備の輸液といった医療器具を取りに向かうことにした。]
―2F/ホール―
[眉間に皺を寄せながら、無言で食事をする。]
…………。
[胸に、いくつかの略綬。青銅星章と称される
ものもついている。]
…ふん、蚊トンボが。
[そう呟くと、渋い表情で食事を続ける。]
[オキナワという島々での戦闘。
彼は日本の出身ではあるが、米国人として
太平洋戦線を勇猛に切り抜けてきた。
オキナワ戦を含む、彼の戦場での活躍を
知る者は、口々に「英雄」と呼ぶ。
彼の誇りは、日本のサムライと戦って勝利したこと。
しかし、敗戦後の日本を見るにその誇りが
汚されるような思いが募る一方である。
軟弱な蚊トンボに勝つのは当たり前である。
日本人は、もともとサムライだったのか、
最初から蚊トンボだったのか。いやいや。
サムライの心を忘れているに過ぎないのだ。
そうした自尊心の葛藤より、彼は日本の
極右思想家へと転向していった。]
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