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旦那様ッ!!
[倒れた天賀谷の身体を支え、
半ば悲鳴の様な声を上げる。]
担架を、
旦那様をお部屋まで……ッ。
[翠は近くの同僚に声を掛け、応急処置を施そうとした。]
枚坂様、
お手をお借りすることは出来ますでしょうか。
天賀谷さん!
天賀谷さん、しっかりしてください!!
[朦朧とした様子の彼の脇に屈み込み、その表情を覗き込む。]
「――君は屍鬼を知っているか」
[その言葉はズキズキと血流が拍つ頭蓋に残響となって響いた。]
天賀谷さん!!
『異界――』
[老いた男が洩らした、讒言めいた単語がさつきの耳に止まる。屍鬼の話は父親だけでなく、やはり当時の上海に居た乳母からも聞かされていた。尤も彼女からは、怪談めいた御伽噺としてであったが。
異界堕ち――其の点にさしかかる度、さつきは尋ねたものであった。では何故この御話が知られているの、と。乳母の答えもまた、判で捺した様に決まったものだった]
[昏倒する天賀谷。]
『……ヒューさん、俺に天賀谷氏のこの姿を見せて、どういうつもりなんだ?』
[招待された自分の代わりに天賀谷のところに行くよう自分に頼んできた美術商に、
届きはしないし、答えも返ってこないとわかってはいたが、心の中で問いかける。]
この人を部屋に運ぶの、手伝いましょうか?
[先ほどまで、天賀谷の身体を支えていた眼鏡の男に声をかけた。]
[翠を睨みつけ、また天賀谷に詰め寄ろうとしたとき天賀谷が崩れ落ちた]
…… お、おい、天賀谷、天賀谷。
お、女 (翠)、い、医者を呼べ。急げ。
[視線の先には、唾棄すべき成り上がりの老人が老醜を晒す光景が。]
屍鬼?呼び寄せる、だと?……下らん。
何を言っているんだ、あのご老人は?
[だが、その狂気に満ちた表情は妄念と片付けるにはおぞまし過ぎた。半ば呆然とその姿を見つめていると、やがて白目を剥いて倒れ行く様が視界に映った]
……何がしたいのだ、ご老体?
[惧れではなく、嫌悪を満面に込めて、独り呟いた]
翠さん、勿論だ。
私がここにいるからには安心してくれ。
担架を――
[翠を安心させるように、確然とした表情で肯く。]
ありがとう。君も手伝ってくれるんだね。
脳に障害が残ってはいけない。人出が必要だ。
[由良の助力を頼んだ。]
[乳母の声が記憶の中から囁く。そして、もし自分達が其の場に居合わせて仕舞ったら――]
「――良くは判りませんけれど。屍鬼を退治するしか、無いのじゃないでしょうか。喩え人の姿をしていても、化物なのですから――」
喩え人の姿をしていても、化物なのですから――。
[記憶をなぞるように、さつきは小声で口にした]
『――屍鬼。ええ、識っていますよ。』
[白目を剥き意識を失った天賀谷氏に屈み込んだ私に浮かんでいた表情を知る者は*いなかった*。]
[来海の言葉に、ゆっくり首を振った。]
もう、遅い。
天賀谷の言った事が真実なら、ここはもう屍鬼の領域だ。
[ふと気を取り直したように、口調を改めて。]
ああ。いや。
「医者」なら、居ますな。
枚坂軍医中佐が。
[てきぱきと使用人たちを指揮する枚坂を、どこか皮肉そうに見やった。]
屍鬼……首を、落とす、だって?
[カタ、カタカタ、カタカタカタ、カタカタカタカタカタ……!]
病気が見せた、そんなものは夢だよ。天賀谷さん。
[どこからともなく鍔鳴りの音がする。抜き放たれる時を今か今かと待ち受ける妖刀が血に飢えて騒ぐかのような]
熱が引けば、きっと。
[カタカタカタカタカタ]
……うるさい。
[耳のすぐ近くで響く鍔鳴りの音]
馬鹿な考えは消えるに決まっている。だから。
[カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ]
[担架が運ばれてきた。枚坂と言うらしき男とともに天賀谷を担架に乗せ]
天賀谷さんの部屋は?どなたか案内していただけると助かりますが。
ありがとうございます、枚坂様。
[確然とした態度の枚坂に
翠は感謝の意を込め礼をした。
それから、来海の方を向いて]
枚板様は御医者様です。
だから、どうか御安心ください。
[内心主人が酷く心配だったが、
それを表に出す翠ではなかった。
いつもの顔で言葉を紡ぐ。
程なく使用人が担架を運んできた。
手伝う由良にも小さく頭を下げ]
ありがとうございます、
旦那様の御部屋まで御案内します。
[謂うと、立ち上がった。]
[叫んでから、はっと我に返った。
……鍔鳴りなど聞こえるはずがない。ここに刀はないのだから]
あ……。
[瞬きして、あたりを見回した]
[雲井をまじまじと見ながら]
貴様、どこかで見たことがあるな……
それにその動き、軍人か…… まあいい。
それより『屍鬼』とは何だ? 『領域』?
天賀谷は何と言ったんだ?
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