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……厭な気配だな……。
[なにやら自分のいる空間が歪んでいるような感覚。無性に煙草が欲しくなる。が]
……何ぼなんでも、衆人環視の中であれに手は出せないな。
[小さく舌打ちを一つ。]
にしても何なんだ、この感覚は……イタリアにいた頃でもこんな……
…………いや、爺さんを見舞ったときにこんな感じがしたが。
[第二次大戦後初めて日本に来た際、九州に住んでいた祖父を見舞ったときの病院の雰囲気が、強いて言えば、今のそれに近いか。]
[平坂の申し出にもさつきは緩く首を振り、謝意と否定を示す]
あら、それほど私は病弱に見えるのでしょうか……其れは確かに、叔父様が患っていらっしゃるとの噂も御座いますけれど。
でも、このように。
[云いながら立ち上がる。其の時には既に、望月が手早く水の入ったグラスを差し出した時であった]
[ゆらり、
ゆらぁり。
水面が揺れる。
ゆわぁん、ゆよぉん、
写し見は揺れて、現身は歪む。]
――、……。
[さつきが掌を浸した、水鏡。
そこに映る自らの姿もまた、薄明の彼方に在るような……希薄なモノのように。
それはこのみすぼらしい服装故なのか、それとももっと禍禍しい何かなのか]
ふっ、
[唯、自嘲する。それ以上の表現を彼は持たない。
音楽すらも。]
お嬢さん。
貴女の様な人は、こう云う物にあまり近寄らない方がいい。
さあ。
身体の方がもう大丈夫というのなら、晩餐が始まりますよ。
[数秒の沈黙を紛らわすように、殊更張りのある声で言った。]
仁科さん。
[声を掛けられて振り向き]
お疲れ様です、
酔ったって……大丈夫ですか?
ええ、お水とか欲しかったら声掛けてくださいね。
[そう謂うと心配そうに顔を覗き込んだ。
続いた言葉に微笑を浮かべて]
はい、
頼りにしてます。
[天賀谷は碧子の姿を認めると、食堂の奥まった一番暗い席から楽しそうに視線を向けた。僅かに蝋燭の灯りに照らされるその貌は、やはり控えめに言って窶れている…──。
そして、水鏡の周囲が騒がしい事に気付くと、大仰に眉を上げた。]
ああ、どうなさったの。矢張り御加減がお悪いのかしら。
それにしては随分と楽しそうなお顔をなさっているわ…何か良い事でもありましたの?
[天賀谷の変貌も異相にも、全く動じた様子は無く話し掛ける。気にならないのか、或いは言及してはならないと思っているのか。]
嗚呼、そう。天賀谷様。
天賀谷様から招待状を戴いて、私(わたくし)、本当に吃驚致しましたのよ。
だってこちらに引っ越されてからは、東京へは全然お出にならないのですもの。K…の方もすっかりお見限りだと黒田さん、嘆いてらっしゃったわ。
てっきり私の事もご一緒にお忘れになられたものとばかり。お手紙は何通も戴きましたけれど…
[少しく咎める様な流し目を送った。]
政治家の偉い先生やら、何やら難しいお客人もいらっしゃる様で。マァ、実は翠さんが半端な男子より強いのは知ってるが。
[親しげに笑う。水と言う言葉には、片手にまだ持ったままの銚子を無言で見せた。
軽く手を振って、制服姿のまま──*裏庭へ*。]
[天賀谷の目線が廊下に向かったのに合わせて振り返り、]
あら…どうなさったのかしら。人が集まってらっしゃるわね。
[たった今気付いたと云う様に不思議そうに小首を傾げた。]
[さつきがグラスを受け取ってくれたので、だいぶほっとした顔をする。それからコーネルに礼を言われたのに答えて]
あ、いや。礼には及ばない。
[何気なくコーネルの表情に不思議なものを感じた]
楽師の先生、あんたもどうかしたのかい。
それなら、よかった。
ここは麓とは寒暖の差が大きいからね。
体調を崩しても不思議はないから、変調があったら用心した方がいいよ。
[謎めいた水盆の水を混ぜる、幼さの残る仕草に笑みを含みながら言った]
いいえ、何でも有りませんわ、望月さま。水の揺らぎに酔いでもしたのでしょうか――汽車に一日揺られても、何とも有りませんでしたのに。
[望月にそう答えてグラスを口に含んださつきへと、小柄な娘が近寄る。囁こうとするのを手で制し、ゆっくりと彼女を見詰めた]
杏。貴女が支えて下さらないから、皆様にこれほどのご心配をお掛けしてしまって。それに此の儘では叔父様をお待たせしてしまいますわね……。
「……申し訳ありません、お嬢様。
皆様も、お騒がせしてしまって申し訳御座いませんでした」
[杏と呼ばれたメイドはさつきに口応えする様子も無く、一同に向かって深々と頭を下げた。良く手入れのされた唐繰り人形がするように、滑らかで静かな動きであった]
[ふっと我に返る。廊下になにやら人だかりがしていることにいまさら気づき、
何事なのかと向かう。
探していた水鏡はそこに。]
『うわ、何を寝ぼけてるんだ、俺は。こんなところに』
[髪に手をやってかきむしってやりたい衝動に駆られたが、さすがに自重した。]
[視界に入った大河原夫人の姿を、翠は眼で追った。
艶やかな、大輪の牡丹のような、
薔薇の様な。
どうやら翠の主人と話をしている様子で。]
―――……
[続いた仁科の声に視線を戻した。]
うん、そうみたいですね。
政治家の方は気性も荒いものなのかしら。
あは、ありがとうございます。
でも御客様に手荒な真似は出来ませんよ。
[ついと仁科が掲げた銚子を見て
「相変らずなんだから」
と苦笑を漏らし、後姿を見送った。]
[碧子の言葉が天賀谷に正しく通じているのか定かでは無い。立ち上がった、やはり黒ずくめの正装の十三は幽鬼めいて居る。碧子に近付き彼女の手を恭しく取ると、老王の様な動作で口付けた。]
──…美しい。
美しい貴婦人にお会い出来ない日々等、塵屑の様だ。
[十三の手は震えている。それは屍鬼を見たと言う麓の村の若者の様子にも似ていた。
白塗りのドーランが碧子の美しい手に付いたかもしれない。]
──…して、水鏡に。
何かが映ったのかね?
此の日が此の日が──とうとうこの屋敷にも訪れたのかね?
[最後の方は早口で聞き取り難い。
天賀谷が人だかりの前の場所でよろめく。傍に居た無表情なメイドが十三を慌てて支えた。]
[なんだろう。何故だろう。
息詰まるような空気があたりに充満していく]
この水盆に、本当に何かが見えるっていうのか……?
[今、どうしようもなく、傍らに刀が欲しかった]
貴方は音楽の先生でしたか。
よろしく。
[青年の面立ちは彫像のように整い、日本人とは隔たった容貌だ。異国の血を引いているのだろう。天賀谷氏が招いた人々の多彩な顔ぶれに少々驚きながら挨拶を交わす。]
[水鏡の周囲にいるのは、白いドレスの少女に、先ほど翠とやり取りしていた男、自分より若干年下であろうかと思われる青年に、眼鏡をかけたインテリ風の男と、蓬髪の燕尾服を着た男。
それぞれに軽く会釈をすると]
これが水鏡、ですね。
[と誰に言うともなく。]
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