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……っ!……
[思わぬところで声をかけられ、危うく紅茶に噎せかける。]
江原……さんか。お前さんとここで会うとは思わなかったな。
[目顔で、麻の利用法についてこれ以上言及してくれるな、と江原に訴えてみる。]
――三階・自室――
[寝台から身を起こしたさつきは、分厚いカーテンを閉ざした窓を見遣った]
『まだ、夜なのかしら。それとも、朝――?』
[薄絹の寝間着の儘で窓辺に歩み寄ると、ゴブラン織の生地をサッと引き開けた。さつきの目に入った光景は――]
……其のどちらでもないと云うの、此れは……。
誰ぞ、彼ぞ……
彼は、誰ぞ……
[……その時既に天賀谷は、碧子に興味を持っていたのだと、思う。くだらない自慢ではなく客観的な事実としてそう思うのだ。
思い起こせば、初めて家を訪れた天賀谷に亡夫が妻として紹介した時の、あの笑みと見詰める眸には何か常の好奇心ではないものが込められてはいなかったか。]
[とまれ、伯爵が亡くなった後、天賀谷が何かにつけて不足しがちな日用品から甘い菓子や花、時には宝飾品の類まで贈ってくれた事は事実だ。]
―二階食堂へ―
[時間のほどはわからないが、随分長い間素振りをしていたのに今更気づく。……喉が渇いた]
……水。
[刀を手に提げたまま食堂へ入っていく]
[尤も、それらの品々など、彼女にとっては容易く手に入るものでしかなかった。]
[そして、真実の意味では、彼女に必要な物はそう多くはなかったのだ。]
[江原の胸の略綬に目を走らせる。]
……お前さん、国籍は今どうなってる?日本国籍に変えたかと思っていたが、
それを見るとそうでもなさそうなんだがね。
[江原と由良の遣り取りを見ていた翠は
眼を数度瞬かせて]
あの、お飲み物お淹れしましょうか?
[と、申し出てみた。
其処に新たな声が響いた。
手に刀。
あ、と思って一瞬刀を見つめるが、
失礼に当たると思ったのか直ぐに目を逸らして]
望月様、お疲れ様です。
今日も素振りを?お水、今御持ちしますね。
[と、厨房の方へと歩いていった。]
ふう、暑い暑い。
[いささか脳天気とも思われかねない明るい声。藤峰が気遣ってくれたのをつかまえて、水を頼む]
ああ、そうだ。水だけじゃなくて風呂も頼んでいいかな。
[そこから先はやや真顔になる]
身を、清めておかねばならんと思うんだ。
[そんな話をしているうちに、翠と由良、それからまだ言葉を交わしたことのない男(江原)の存在に気づく]
[やがて、扉をノックする音がさつきの耳に入った。小さく呼ぶ声の調子は昨日の朝と変わらない。さつきは何処か安堵した風情を漂わせ、扉を開けて杏を招き入れた]
お早う、杏。
日月があの様に成ってしまったとは云っても、起きた時の挨拶は矢張り、おはようですね。早々に支度は済ませましょう。お客様の中にも、既にお起きの方がいらっしゃるやも知れませんし。
[そう云って微笑んださつきは、杏に手伝わせつつ着替え始める。朝食を取る彼女の脳裏に、深更の事柄が思い出された]
──三階使用人室/仁科の部屋──
[仁科のために食事を運んで来る]
[さつきが口外を禁じていようと、鳶口が現れない事──空にある異形の月により、程なく、異界に陥った事は知れ渡るであろう]
……期待ね。それがどういうものかは知らんし、今のところあえて知ろうとも思わんが。
[と。新たに感じた気配のほうに目をやると]
だんびら片手に食堂に、ですか。驚かさないでくださいよ。
『やはり、天賀矢氏は荒事をお望みなのか』
[望月にも会釈をすると、翠に、紅茶のお代わりとりんごジャムを頼む、と声をかける。]
「今日も素振りを?」
[翠に答える]
ああ、落ち着かなくてね。
[そこまで言ってから、さすがに己の非常識に気づいた。
公衆の面前に、本身の刀を持ち込むとは。
即座に逮捕されても、事と次第によっては文句も言えない]
……済まない。こんなものを持ったまま食堂に来るなんてどうかしている。
随分落ち着いたつもりだったのに、やはり俺は阿呆だ。
──三階使用人室/仁科の部屋──
ねェ、仁科さん。
さっきの話。
実は続きがあるんです。
屍鬼を、
殺した事もあります。
信じるかどうかは、仁科さん次第ですけど。
[浴室内に居る仁科の反応は、浴室の外にいる夜桜からは窺い知れない。]
食事、机の上に置いておきます。
ちゃんと休んで下さいね。
[そう言い、夜桜は仁科の部屋を出た。使用人用の階段を使い、階下へと向かう。]
──仁科の部屋→二階/食堂裏炊事場──
――数刻前・エントランスホール――
[エントランスを抱き包むような曲線を描く階段の一方を、二人の姿が下ってくる。静寂に満ちひんやりとした空間に靴音が反響するさまは、先ほどまでの喧騒に満ちた出来事など無かったかの様だった]
……杏、其処でじっとしていて。
[西洋画の描かれた天井に吊られたシャンデリアの真下に少女を立たせ、さつきは彼女の周囲をゆっくりと歩き始めた。メイドの全身だけでなく、石畳に落ちた影の色、形、濃さまでを見定めようとするかの如く、無言の儘で幾度も回る]
影は――消えては居ないのね。
良かった、と云うべきなのかしら。
[奇行としか思えぬさつきの行動であった。微かに身を震わせていた杏が、正面に立ち止まった主を伺いつつ恐る恐るといった様子で口を開いた]
「あの、……何を」
貴女の姿を――影を――確かめているの。
何か変わってしまった様子は無いか、と。
[杏に向けて小さく微笑み、新たな言葉を継ぐ]
――屍鬼、という化物の事は聞いたことがあって?
[はい、と丁寧に返事をしてから
厨房で藤峰と言葉を交わす。
水は藤峰が持っていくようだった。]
それじゃ、私は紅茶を。
[先に由良が紅茶を頼んだらしい使用人が、
林檎ジャムの瓶を指差してくれた。]
ありがとう。
――数刻前・エントランスホール――
[ 曰く、大陸から来たと噂される化物。
曰く、戦前の上海に現れたと云う、屍肉を喰らうおぞましき者。
曰く、死者の世界に生者を引きずり込む怪異。
更には、異能の力持つ者との関わりまでを、さつきは語った]
――ほら、あれを見てみなさい。
[さつきは振り返り、両階段の間に置かれた柱時計を指差した]
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