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[ランサーの言葉に右手とランサーの顔を見比べる]
へ?霊呪?これが?
[ランサーに見えないようにこっそりと左腕を確認すると痣はそのままの形で残っている。
自分が何か勘違いをしていたことに気づく。]
そ、そう、これが霊呪よね。
[2人の反応に気を良くするキャスター。
もちろん、油断などはしないがそれでも嬉しいものは嬉しいのだ。
だって一撃で切り捨てられないし。
たとえ、その気が全くなくてもにこやかに反応してくれるだけで大満足である。]
見たところ発見即時戦闘…って雰囲気じゃなさそうだな。
いや、それは此方としてもありがたいんだが。
【女と戦うのっていやだしなー。】
[そんなことを考えていると、目の前の女性から予想外の提案が口にされた。]
そうです。
それが令呪。
私達サーヴァントに3度、どんな命令でも下す事が出来る徴。長期間で曖昧な命令は効き難く、短期間で明確な命令には強く効きます。
どんな事でも。場合によっては不可能な事すら可能に出来ます。
[グラスを瞬く間に空にして宗冬は言葉を続けた。]
でな、この三池典太が曲者でな。ったく兄貴の渡す物に碌な物はありゃしない。わかってたんだけどな、わかっていたんだよ。いや、わかってなかったんだよ。一生わからないんだろうな……。
[いつの間にか満たされいるグラスを再び空にして一息つく。そして刀を抜き放ち掲げる。]
こいつを持っているとどうにも気分が良すぎる。なんでもかんでもすっぱり切ってしまいたくなる。抜いちゃいけないとわかっているのに、抜いてしまう。抜いたら切らずにはいられない。わかっているはずなのに。
いや、しかし兄貴がな……。しかし三池典太が……。
[刀でグラスを持ち上げ飲み続ける宗冬。話はまだまだ続くようだった。だが、同じ話の繰り返しが続くこともケネスには容易に*分かった。*]
−教会−
[あふれ出す。サーヴァントの気配があふれ出す。
他のクラスの召喚に呼応したように、今まさに自分というマスターを必要としているサーヴァントが。
出てこようとしている]
召喚の儀式など、していないぞ。
[厳重に封が施されている聖杯を収めた箱。今は鍵も閉まっている筈。
だが、その隙間からあふれ出るように、魔力が流出し。
そして、人の形へと収束していく]
15人目、書生 ハーヴェイ がやってきました。
書生 ハーヴェイは、村人 を希望しました(他の人には見えません)。
[あふれ出した黒い魔力は、次第に一人の幸薄そうな青年の形を取り始めた。
その姿が闇からはっきりと出現した後、彼はまるで自分の体に故障箇所がないか調べるように指を見つめながらゆっくりと動かした]
そういう事か。全く。
[正面にいる人物は、どうやら自分をこの世界に呼び戻した張本人のようだ。彼の体から少しずつ魔力が流れ込んでくるのが分かる]
どうやら貴様が、この私のマスターのようだな。よろしく頼む。
[手を差し伸べる。彼が戸惑っているしぐさを見せている間に、その流れ込む魔力から強く感じる同調]
・・・・・・ 貴様、この私の縁の者か?
−教会−
[戸惑っている彼を一瞥し、近くにある椅子に座る]
全く、本当に困ったものだ。わざわざこんな形で呼び出されるとは。
魔力もかなりそぎ落とされてしまったようだ。まあ、元々聖杯の中に溜まる魔力の吹き溜まりのような状態からこうやって脱出の機会を与えてくれたのだから由としよう。
さて、貴様の願いとやらを尋ねようか。
・・・・・・ 否、貴様はこの私の宝具を所持しているな?
さっさと渡したまえ。
[掌を彼に向かって差し出す。さも当たり前のように]
― 樹那森林公園 ―
大事に使うようにして下さい。
[微笑み。ランサー自身の望みは口にせぬまま、]
少し様子を見てきます。
[マスターの姿が見える範囲で、公園入口方面へ向かう。果たして。]
お、おい。
何がなんだかさっぱり分からないぞ。
[丸腰のサーヴァント。全身を黒のライダースーツで包んだような格好。見た目だけではその正体どころかどの時代の英雄かも分からない。
だが、この圧倒的な魔力。間違いなくサーヴァントだ。それもセイバーのクラスのものだ]
ちょ、ちょっと待ってくれ。
[宝具を要求する彼を無視し、教会の書物庫へと移動する。
彼は聖杯から出現した。ということは可能性としては”以前の聖杯戦争に参加した形跡がある”英霊ではないだろうか。
確か引継ぎ資料には過去数回分の記録が残っているはずだ]
[アサシン。記録消去]
一体前回の戦争で、何が起こったんだ・・・・・・。
[頭が混乱する。イレギュラーが多すぎる]
それは、私の事だ。
[気がつくと、書庫の入り口に彼は立っていた]
前回の戦争でランサーとの最終決戦の結果、消滅させられた。まあ、文献に残っていない理由は他にあるが。
どうした、何故この私の宝具を返却しない。それは元来私の所有物だ。
[敬一郎の右手首を握り込む。最初は小刻みに震え抵抗を見せていた右手だが、次第に力が抜けていく。その直後]
[どこからともなく出現した赤い球根状の異物が、地面に落ちた]
ようやく戻ってきたか。ガーベラ。
[球根をそっと取り上げると、意味も無く握りこんだ]
・・・・・・ 厄介、だな。やはり所有優先権が貴様にあるようだ。これでは貴様程、いや以前ほどの力を誇示出来ないようだな。しかもあり方も全く違う。
さすがは受肉状態の英霊だ、とだけ言っておこう。
英霊・・・・・・ すまない、全く分からない。
とりあえず会話が成立する相手みたいだな。少し落ち着いて話をさせてもらえないか?
紅茶で良ければ出そう。
[黒ずくめの優男はささやかな笑みで答えると、客間へとおとなしく着いて来た。教会内を歩く様は、まるで過去にここに来たことがあるかのようだった]
[紅茶を入れる合間に呼吸を整える。目の前に座っている男は海の者とも山の者とも分からない存在だ。どう話をつければいいのか考えているうちに溢れさせてしまった。
淹れ直し客間に戻ると、彼は足を組み横柄な態度ではあるものの大人しく粗茶の到着を待っていた]
で、整理だ。君はセイバーのクラスのサーヴァント、でいいのか。
あと真名と宝具の名前、出来れば能力も教えてもらいたい。
あとこれが一番大事な所だ。残念だが俺はこの聖杯戦争に参加するつもりは無い。悪いが状況を見てもし参加者が善意な者ばかりだった場合、即その場で令呪を使い果たし消滅して貰うつもりだ。申し訳ないと思っている。
・・・・・・
実につまらん発言だな。まあ仕方が無い、覚醒していないならその程度だろうな。
仕方が無い、教えてやろう。
クラスはセイバーだ。だが前戦争から完全に座に戻っていない為にアサシンのクラス特性も持っている。気配遮断はあまり特性を見出せなかったが、単独行動は依然健在だ。
まあこの私に全て任せておけば良い。貴様は教会で庶務にいそしんでいろ。
聖杯の中で既に貴様の望みは散々聞かされているのでな。悪いようにはしない。
[何か物を言いたげな彼を無視して話を続ける]
真名は・・・・・・そうだな、覚醒前の貴様には言わないほうが良いだろう。数日経って状況が落ち着いたら教えてやろう。
宝具は、先程貴様から返却されたものそのままだ。
まあ、貴様で言うところの剣種が扱えていなかった所を見ると理解できていないようだから軽く説明してやろう。
[右手の中に静かに眠る球根のようなものを差し出す]
私が所持していれば魔剣ガーベラ、貴様が所持していれば斬撃皇帝。いわばカウンターガーディアンと等しき力を持つ剣だ。現在は貴様が所有者のようだから、斬撃皇帝として存在しているようだがな。扱いに慣れるのに時間がかかりそうだが、この状態も中々面白い。
強い魔力の敵と対峙した時に、その相手に合わせて一瞬で剣としての成長を遂げる。貴様相手に振るったら、数十メートルの刀身になりそうだな。
・・・・・・ さて、早速だが。
少しこの体を慣らしておきたい。サーヴァントも揃ったようだし、悪いが散歩にいかせて貰うぞ。
本来の力ならば雑魚共など一瞬で葬ってやる所だが、魔力も随分失い今はこんな状態だからな。
この茶は中々美味かった。戻ってきたときにまた用意しておけ。
[立ち上がり、そのまま客間を出て行く。敬一郎が慌てて後を追ったが、既に闇にまぎれた後だった]
−教会 → 樹那森林公園−
[体がどうも重い。以前ほどの力は無いようだが、サーヴァントとしては充分な力を誇示出来ているだろう。
闇に紛れて疾走していく。そして魔力が集中している箇所がある事に気がつき、進路を変更する]
前大戦のランサーがまたもや現れているというなら、尚楽しめそうだがな。
どうやらそういう訳にはいかんようだが・・・・・・
少しは骨がある奴がいるようだな。
[一つ。サーヴァントの魔力を感じる。近くに、そして強力なものが。疾走する影はすぐさま進路を変更する]
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