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文学少女 セシリアは、智狼 を希望しました(他の人には見えません)。
──回想 詰め所・尋問室──
[人狼を捕えると言う功績のかわりに、自警団長アーヴァインは、瀕死の重傷を負った。アーヴァインがセシリアを追い詰めたその尋問室で、副団長が捕えた人狼──Cecilia・ Archibaldに関する覚え書きを作成していた。壊れた椅子とテーブルの替わりに、粗末な木箱の上に羊皮紙を広げている。
アーヴァインと比較すると線の細いその男──副団長の文字を綴る指先は、醒めやらぬ興奮と混乱のために、震えていた。]
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■Cecilia・ Archibald
──年齢:16〜20歳前後。
(確認しなくては今この場では分からない。)
──身長5.2フィート(160cm)前後。
──体重不明。
(人狼の体重を測定する事に意味はあるのだろうか?)
──森向うのアーチボルド家の娘。
──眼鏡。すでに他界した父親が、生前にこの地方を納める領主の元で功労を立てた際に、贈与された眼鏡を掛けている。(この時代、眼鏡は庶民が持つことの無い高価な貴重品である。)
──猫っ毛の柔らかい髪を二つに分けて束ねている。
──髪は背中の中央より少し短い、ロングヘア。
──清潔感のある白い肌。
[副団長は「眼鏡」に続いて、セシリアの外見的特徴を記述していく。
銀の鎖で戒められた細い少女の右首筋には、確か小さなほくろがあった。華奢な身体の割に豊かな胸──。]
──右首筋に小さなほくろ。
(一旦、必要が無いと思い、胸の大きさは記述するのを止める。)
──二軒向うの粉屋の若女将の証言が、最初の人狼疑惑。アーチボルド家へ訪問を行った際、衣服に血痕が認められ連行される。
セシリア及びセシリアの母親は、彼女の衣服の血痕は「母親が怪我をした為、手当をした際に付着した血液」と証言。
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[最初にセシリアを引き立てた時、自分を含め、ほとんどの兵士が彼女を疑ってはいなかったはずだ。
セシリアの母親は本当に怪我をしていた。
それを「娘を庇うための自傷の可能性がある」──と、セシリアを尋問室に抑留したのは、権限を持ったアーヴァインだった。団長の主張する時系列の曖昧さに対して、疑問の声もあった。密告は彼女に対するやっかみの類だろうと言う意見が多数派だった。]
[副団長は背筋に悪寒が走るのを感じてペンを手を止め、セシリアによって破壊された小さな格子窓(華奢な少女で無ければこの窓の外へ出る事は困難だっただろう。)の外、『檻』を見下ろした──。]
──あの少女が本当に、本当に人狼なのか。
村長殿が来ない間は、私が『檻』を監視しなくてはならないと言うのに。
[昨夜、月明かりの下で、黄金色に輝く人外の瞳を覗き込んだにも関わらず、副団長には<人ならざるもの>が、平凡なこの村に居り、『檻』に捕えられていると言う現実が信じ難かった。
愛する者を人狼に殺されたと言うアーヴァインが一番、人狼殲滅に執念を燃やしていた。副団長は混乱と不安の中、人狼の存在を確信させてくれるアーヴァインの厳しく低い声言葉が聞きたいと切実に思っていた。
だが、無惨に片腕をもがれ、胸部に傷を負ったアーヴァインは、意識は戻らないまま。副団長からみても、彼の命が三日と保つとは思えないのだ──。]
俺が行くと、色々面倒なことになろう。
[村の自警団にではなく、教会組織に属する己がそこに加わることは後々の邪推の種にもなるのではないか――とクインジーはもっともらしい理由を匂わせて断った。
本音を言えば、ただ面倒なのであった。
お世辞にも、己の貌は柔和とは言いづらい。
偉丈夫を相手に剣を交えるならまだしも、女子供が恐怖に貌を歪め、ましてや泣き叫ぶ様を想像するだけで倦んだ。尤も、それが必要不可欠な場面では己の役割を心得てはいたのだが、それにしても愉快なことであるはずはなかったのである。]
嗚呼、だがそれにしても。
あの短時間でよく『檻』を作り上げたものだ。
村長殿にそんな力があったとは。
嗚呼、そうだ。<人ならざるもの>を──
…じ…人…狼…を恐れる事は無い。
神のご加護が──私達には、神のご加護がある。
[アーヴァインが運び出された後も、尋問室には、むっとする様な血の匂いがこびり付いた様に残存している。副団長は<人狼>と言う言葉を口にしてしまった、その不吉な穢れを払うように、素早く十字を切った。]
[クインジーの気の乗らない姿勢に、アーヴァインの確信に満ちた瞳の光もわずかに揺らいだ。
その言葉から想起された後の厄介ごとや隊員の心情のことにも思い至ったのだろう。それらを背負いきれるものか――やはりこの男は恐れ、迷い、それ故にこそ確信めいた力を欲してやまぬのではないかとクインジーはそう思ったものだった。
捕縛と連行に加わったとしても、その後の訊問や警護に加わり続けたかどうかは疑問だ。それでも、アーヴァインが死の淵にある今となっては、その重傷の責の一端があの時固辞したことにあるように思えてならなかった。]
[副団長による覚え書きは、二日後に追記される事になる。]
────────────────
■セシリア逃亡時の人狼による被害リスト
・死亡者1名
(自警団長アーヴァイン・
胸部に深い裂傷3ヶ所、左腕切断。2日後に死亡)
・重傷者3名
(腹部に深い裂傷1名、胸部裂傷1名。
落下に巻き込まれた複雑骨折者1名。骨折者は命に別状は見られないが、一生不具者となる可能性が高い。回復は難しいと思われる。)
・軽傷者9名
(いずれも人狼の鈎爪による裂傷多数。
他、打撲と骨折。鈎爪によって眼窩を抉られた者と、鼻が削げた者が居た事を特記して置く。人狼に噛まれた者が2名。彼等が人狼化せぬか要観察。)
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―翌日―
[狂騒に満ちた夜が明けた。
落ち着きなく騒がしい村の中。集められた男たちは、水車によって動かされる大型のふいごを操りながら炉で鉄と銀を溶かし、檻を作った。
村長は並々ならぬ熱を込め、大がかりな仕掛けを作り上げようとしていたのだった。]
[クインジーは檻作りの労役を終えると水浴びをし、汗と埃、煤を洗い落とした。
ブレー(半ズボン状の肌着)を身につけ緋色のホーズ(ズボン)を履く。漆黒のチュニックを羽織ると、幾本かの細い革のベルトを締めた。革のベルトからは短刀やポーチを下げる。
左の前腕にはチュニックの袖の上から革の紐を巻き付けた。
清潔になり人心地つくとエトワールを止まり木から空に放ち、詰め所へと向かった。]
―詰め所―
詰め所に入り、二階の尋問室を片付けた。
テーブルや椅子、格子窓は明らかに修繕が必要だった。クインジーは退屈な水車番よりは、こうした手作業を好む傾向があった。]
酷い有様だな……。
[クインジーは思わず呟く。その眼差しが、床に転がる小さな道具の上に留まった。
――拷問用の針。
……なぜこんなものが?
不意討ちに凄惨な過去が甦り、眉を蹙める。]
アーヴァインのヤツ、この手のことに手慣れているとは知らなかったが……
[呟きながら、拾い上げる。その耳に、窓外の顫えを帯びた蛮声が不意に届いた。]
[クインジーが窓際に寄ると、村人たちを前に村長が弁舌を振るっている真っ最中だった。
熱を帯び、次第に高揚してゆく村長の言葉に、村人たちは波のようにざわめいていた。
ある者は恐れ戦き、手で顔を覆い、またある者は亢奮した様子で両腕をグルグル回し、跳びはねた。おぞましいと最後まで聴かずに立ち去ろうとする者は隣人に制せられ、人狼を捉えたという村長に無防備なまでに心酔しきった表情を向けている者もあった。
クインジーは彼の言葉に感心するでもなく、かといって恐怖に取り乱すでもなかった。強いて言えば、その表情は内なる高揚を現すかのようにやや上気し、口元にはえもいえぬ笑みが浮かんでいた。
手の中で弄んでいた検査針を腰から下げた革のポーチの中へと忍ばせ、その場を後にした。]
ケッ…あの神父邪魔だな。
混乱に乗じて殺っちまってもバレやしねえだろ。
[物騒なことを、小声で言った。]
……死体が1人増えようが、大した問題じゃあない。
言い訳なんぞ、この非常時には腐るほど出らあ。
[ネリーとその傍らの少女を見て舌打ちしつつ。]
―詰め所/戸口―
おやおや……
[クインジーはそこでいつしか生じていた舌戦に片眉を上げた。
村長の弟のノーマンが神父に絡んでいる。
愉快げにその様子を見ていたが、諍いは喧嘩に発展することはなく収束に向かっているように思われた。神父は宿舎へと足を向ける。
クインジーが興味を失い視線を彷徨わせると、村長宅の使用人のネリーと彼女に話しかけるウェンディの姿が目に入った。]
――檻の前――
[流石に檻の中に入っている者は人狼。人狼と言われれば二の轍を踏む人が大半のようだ。檻が見える所まで行く人は多くても、目の前まで進む人は皆無に近い。 一瞬だけ遠目に見てそれ以上は見たくない、といった状況だ。]
誰かがいる…綺麗そうな髪。女の人みたい。
あれ…? この人、どこかで見たような。
[檻の中にいるその姿をウェンディは見た。]
──詰め所前・檻──
[セシリアは人狼の力を削ぐ為に、前腕をコの字に折り、後ろ手に手錠をかけ、更に肩から足首まで5度6度と鎖を施している。前腕にも1回、2回。また揃えさせた足首には鉄球をつけ足している。さながら木乃伊や蓑虫のようであった。
食事を抜いている事が効いているのだろうが。何よりも、首に聖銀の細い首輪を巻きつけているのが功を奏しているのだろう。死んでいないのは一目で分かるが、意識があるかは分からない。]
………………。
[セシリアは、遠くから聞こえる音に意識を取り戻した。]
あれは…セシリアお姉ちゃんじゃない。
どうしてセシリアお姉ちゃんがこんな中に? セシリアが人狼だとでも言うの?
[ウェンディは鉄格子を掴める程の目の前まで来た。セシリアと言うことも肝を抜かれたが、若い女性がこのような姿でいる事にも、またこの様な仕打ちが出来る事にも驚いた。]
セシリアお姉ちゃん。だよね…どうしてそんな事されてるの?
よう。ネリーにウェンディ……
[クインジーは声をかけかけ、少女の視線の方向に気づくと僅かに顔を蹙めた。
村長も随分と立派な趣味だ。
敢えて人狼の容疑者を晒し者にするとは。
そうしたことは形さえ違えどクインジーがこれまで多く見てきた事柄ではあった。しかし、同年代の少女の目にそれはどのように映ることだろう。]
[ウェンディは衝撃を覚えた。人が人をこうまで踏みにじる事が出来るとは。許し難い感情を覚えた。
と同時に、人を征服することにある種の優越感が存在する事も自身の心をもって知った。]
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