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―天賀谷邸に向かう車の中―
[彼は高揚感と焦燥感の只中にあった。]
(俺はこのまま終わるような人間ではない。必ず返り咲いてみせる…… 必ずだ……)
―麓の村・駅前→車前―
[暗くて、車の傍らにいる人影の男女は分からない。大声に呼びかけながら近づいていく]
其処にいるのは、迎えの人かい。
[よいしょ、と荷物を背負い直すと、口の中に花びらが飛び込んだ]
――本日・午後
天賀谷氏がわざわざ招待状とは……。
これはどういった趣向の催しだろうか。
[うららかな日和の田園の中。細い道路を土埃をあげながら走る愛車のハンドルを注意深く切りながら呟く。]
[純白の1937年式リンカーン・ゼファー。春の豊饒の風の神の名を冠するその車は、本来ならこの時期に気持ちよくドライブを楽しむのにふさわしい車だっただろう。
しかし、山を越え至った地方の道路の多くは、自動車が通行するのには神経を使う狭隘な道筋だった。舗装されていない路面はあちこちにでこぼこがあり、ガタガタと車体が揺れる。
それだけではなかった。リンカーン・ゼファーのバンパーの下には牽引装置が取り付けられ、一台のトレーラーを牽引していたからだ。]
無事、たどり着けるかな……。
[研究機材を搭載しているため、振動対策には気を遣っているはずの車両だったがそれでも悪路が気にかかる。かつてトレーラーを牽引していない折にはさほどの距離とは感じられなかった、天賀谷氏の別荘までの道のりがひどく遠く感じられた。]
[高原に至り湖の側を抜ける道にかかって、ようやく道路が平坦になった。窓からは心地よい西風が吹き込んでくる。
周囲の風景が馴染み深いものとなってきた。
胸の中を郷愁と恐れ、矛盾する二つの感情が満たす。]
……もうじきだ。
[家々に視線を向けないようじっと前を見据えたまま、別荘に至る麓の集落の道を通り過ぎていった。]
[身なりのいい少女と、きちんとした制服を纏った妙齢の女性が目にとまった。他の人影は暗いせいでよく見えない]
天賀谷氏の車、なんだよな?
[こんな立派な車、早々誰もが乗れるものじゃない]
助かった。見てのとおりの荷物で往生してたんだ。
[ほっとした声で手近な二人に話しかける。人好きのする笑顔]
…へえ。
随分と若いお嬢さんと、大きな荷物のお客人だ。
こりゃあ、遅くなっちまって申し訳なかった、お二方。
自分は、天賀谷様の所の運転手で仁科(にしな)と申します。
[望月の「迎えの人かい」と言う言葉に頷き、]
膝に抱えてなきゃあいけない様な品で無いのなら、今、トランクを開けましょう…。
[青年が荷物を背負い直した。まるで、ごそりという物音と同時に重量感までが伝わってくるようだった。其の様子を見続けるうちに、此方へ向かっているのだとさつきは気づいた]
……え、うち?
ううん、うちは違うんどすけど。運転手の人はもう来てて、この辺の何処かに居てはる思うんどすけどなぁ。
[正確には彼が向かっているのはさつきではなく、自分の背後に停まっている自家用車なのだ、と彼女は認識を改めた。そして漸く、思い至る]
逃亡者 カミーラ が参加しました。
逃亡者 カミーラは、占い師 を希望しました(他の人には見えません)。
[櫻]
[桜]
[さくら]
[舞い] [山桜] [ソメイのようには散らぬ] [山の古樹]
[女] [炯眼にて] [旧き意匠ながら新しき宅を] [カァ]
[女中の着物の衿首を] [無意識に隙間を空けて]
[駅と駅前の酒場から零れる僅かな灯りの中、目を凝らす。
どちらも初対面の客だ。天賀谷がどの様な人物に招待状を送っているのかもしれない。天賀谷の交際範囲は広く、未だ運転手になってから数年の仁科には計り知れない。
さつきに向かって、]
…お嬢さん。
そちらの客人はお嬢さんの後ろに居る自分を運転手だと分かっていらっしゃる様ですよ。流石に、小さなお嬢さんを捕まえて運転手は無いでしょうよ。
と、お二方のお名前を伺っても宜しいですかね?
[目元は制帽で隠れたまま、しかし望月の笑いに答えて口元を笑みの形に動かす。]
……おん……なの、人?
[呟きは仁科と名乗った運転手へのものであった。随分小柄だ、とは思っていたが声の高さとトランクを開ける横顔でようやっと得心がいったのだ]
……あれ?
そしたら、此方も叔父様に縁おありの方で居やはったんどすか? それはえらい、手ぇも貸さんと、すんまへんえ。
[笑顔を向けてきた青年に謝って答えながら、積み込む様子を眺めた。自分の荷物は入れる余裕はあるだろうか、無くてもさして問題になる量ではないが――]
あ、もしかしたらうちのことは聞いてはるかも知れまへんけど。
京都から来ました、さつきです。
十三叔父様には昔っから、いつも良ぉしてもろてて。
[鞄に視線を落とす]
御父様からの手紙、預からして貰うてますんやけど……。
御会いできますのんやろか。
[櫻の花弁は相変わらず、はらはらと舞い散り続けている。怯えた男が未だ居るであろう酒場に後ろ髪はひかれたが。
この辺りは駅近くは水田が多く平地と言って良いのだが、天賀谷様の別荘は駅から随分離れており、別荘近くの山道は随分と険しい道になっている。崖道と言って良い。
客人二人の組み合わせを眺め、マア、あのまま男の家に流れて行っていたら酷い話だったろうと帽子の内側で密かに、仁科は苦笑した。]
『怯えた男が妙に気に掛かるのは困った性癖で。』
―天谷屋屋敷エントランスホール―
[典雅な装飾が施された窓の向こうで月の光が揺れている。]
御客様、
到着が夜遅くになるということだったけれど。
[八重櫻がほろほろと散るのを
翠は眼を細めて眺めた。]
仁科さん大丈夫かしら。
御酒呑んでたりしてね。
[とんとん、爪先で床を鳴らす]
[車の傍らにいったん荷物を降ろし、肩をぐるぐると回して答える]
俺は望月。望月龍一だ。招待状は荷物の底にしまっちまった。今取り出せそうもないんで、勘弁してくれ。
[さつきに答えて照れくさそうに]
縁がおありなんてそんな大したもんじゃ……。
[『叔父さん』の言葉に気づいた]
俺なんぞ、ほんの浅い縁だよ。血縁じゃあないしな。
[さつきと望月両方の言葉に、]
確かに、女だてらに運転手と言うのは珍しいかもしれません。マア、天賀谷様に拾って戴いたあばずれでさ…。
ロクなもんじゃあ有りません。
天賀谷様は拾い物が上手なお方だ…──。
そうさねえ。この辺りは良いが、別荘付近は一歩間違ったら崖下へ真っ逆さまの蛇みたいな道で…──。逆に大切な荷物なら抱えてらっしゃる方が良いかもしれませんねえ。
[まさか死体じゃあ有りませんよねえ、と冗談を言いながら、後部座席の扉を開き。]
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